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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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女神ぴゃーーーーーん

 アン王女も安定して良かったな……次は何が空から降りて来るんだろ……。若干不安になりつつ見上げていると、山頂の入口から

「あひゃあああああ!」

「女神ぴゃーーーーーん!」

「うおおおおおお!」

などと奇声が上がり、振り向くと、司祭服を着ているが明らかに様子がおかしい赤黒い顔や、鼻が削ぎ落とされたミイラのような真っ白な顔、それに顔半分が腐り落ちて頭蓋骨が露出している人間……いや、アンデッドだ、あれは死ねなかった者達の成れの果てだ。


 アンデッド達は勢い良くスズの前まで来て一斉にひざまずくと、赤黒い顔の司祭が歯をガタガタ言わせながら、無理やりニッコリと笑い

「ぴゃ……ぴょパ……し、失礼しました。このグレドネス2世、ぴょパ……女神様に今回もぴょ……嬉しいです!」

血の涙を流し始める。スズは呆れた顔をしながら俺に

「ナラン君、赤黒いのが三代前の教皇のグレドネス、真っ白なのが六代前のバリース、それから半分スケルトンなのが十代前のオミシロエね」

ローウェルが真顔で

「女神教が好きすぎて、成仏できずアンデッドの王になってしまった方々だ。しかし、彼らのお蔭で、厄介なアンデッド達が統率され、ちゃんと法律に人権や仕事まである立派な国として纏ってる」

「アンデッドの国があるのか!?」

俺が驚いていると、半分スケルトンのアンデッドが

「大女神教国という……新たな大天使よ……」

落ち着き払った声で言った後、半分骨の顔の顎が外れ、慣れた様子でガチャリと付け直した。スズは跪くアンデッド達に

「新たなる大天使ナラン君よ。シーネちゃんを管理者から降ろしたわ。この子が次の管理者ね」

紹介したが軽く会釈されただけで誰も驚いていない。知っていたようだ。


 スズは面倒そうに

「で、何かあんの?」

ミイラの様な真っ白な教皇アンデッドが顔を上げ

「モノラースが……魔法砲として、我らの同胞を利用した。謝罪と賠償をぴゃあああああっ!……謝罪と賠償を求めたいのです……ぴゃはああああ!」

途中で叫びながらも抗議してくる。確かにそれは記憶にあるわ。空から降下してサナーを助けに行った時の地下ダンジョンに居た。印象的過ぎて覚えている。スズは頷いて

「じゃあ、彼と数名の助手をそっちの国に送るわ。適当に謝罪と賠償させて。モノラース君は、今、新たな人間の身体を得ていて、女神教の為に働く予定よ」

3体のアンデッドがどよめき、赤黒いアンデッドが

「ぴょ……女神様……我らにも人間の身体を……」

血の涙を流しながら懇願してくる。スズは冷めた表情と冷え切った声で

「……おめーらは、娘のシーネが気に入ってたから、特例として赦してるだけで、本来なら国ごと駆除対象よ。生命の正常な循環を妨げているのは分かるでしょう?混沌粒子を死んだ身体を動かすために使うなっつーの。女神教で何を学んだの?外法の使い方じゃないでしょ?」

説教をし始めた。直後にローウェルが横から出てくると

「元教皇様方、大女神教国がアンデッドだらけで臭いってことを除けば、地上の理想郷であり、真の楽園であることは俺が女神に重々伝えてる。ここはアンデッドのままで居てくれませんかね」

そう言ってチラッと俺を見た後、深く頭を下げる。俺も慌てて深く頭を下げると

「ぴょふー……大天使様とローウェル君に頭を下げられては、ぴょ……仕方ありませぬな……うぴょ」

3体のアンデッド達は立ち上がり、トボトボと入口の方へ引き返して行った。


 スズはアンデッド達の背中を見ながら、大きくため息を吐いて肩の力を抜くと

「助かったわ、ありがと」

ローウェルは苦笑いしながら

「良い人達だぞ。大女神教国もよく治まってる。混沌粒子とスキルシステムのバグでアンデッドになった者達をよく救ってるだろ?」

「……死んでも私に縋ってるのが気に食わないだけよ。何が大女神教国よ。自立しろっつーの」

スズは舌打ちしながら、未練がありそうに立ち止まって振り返ったアンデッド達に

「シッシッ!」

と言いながら手を激しく縦に振り、立ち去らせた。


 俺が小声でローウェルに

「元教皇様たちは何処から来たんだよ……」

最大の疑問を尋ねると、彼は笑いながら

「この山には、太古からの隠し隧道、要するに狭いトンネルがあってな。現世代の女神教徒達は知らないんだ。隧道は島の端に繋がってる、そこまでは自国の船で来たんだろうな」

「そ、そうなのか……」

世の中って知らないことだらけだな……などと思っていると、スズが頭上を見上げたので、俺も慌てて見上げると、真っ黒で巨大な鉄屑がゆっくりと降下して来ていた。

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