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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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監視と審査

 ローブを脱ぎ捨て一糸纏わぬリースとアン王女が並んで、背後から大観衆に見守られながら広い山道を上がっていく。ここからは、俺達護衛と、リース達2人だけだ。少し距離を取ってローウェルと並んで付いていくと、いつの間にか、俺達と同じ黒装束黒頭巾黒マスク姿のスズが横に並んで来て

「まあ、警護に紛れ込むなんて毎回やってるからねー」

軽くそう言って、少し離れた先の小刻みにプルプル震えているアン王女を見ながら

「こっから山頂までは、基本的に警護以外の目はないわ」

「誰が判定するんですか?」

つい、俺が尋ねるとローウェルが苦笑いしながら

「偽聖者なんて滅多にでねえし、出ても大体御聖体沐浴行水で脱落するから、ここからは割と緩いんだよ。でもこの山では……」

黙ってスズを見る。


 スズは軽やかに山道を登りながら

「7日間に渡って、我々女神や大天使の監視と審査が始まるわけ。聖書にもそう書かれてるし、実際にそうよ」

そう言うと、いつの間にかリースとアン王女を囲うように歩いていた、赤マントを羽織り二本足で立つ大天使にゃからんてぃを肩に乗せた黒スーツの大天使クラーゴン、いつもと同じ格好の大天使セイ、大天使ナーニャを見つめる。直後にクラーゴンはこちらへと歩いてくると

「あらローウェルちゃん、相変わらず良い身体ね」

ニヤニヤしながらローウェルを見つめてきた。ローウェルはダルそうに

「さっさと女神に報告しろよ」

クラーゴンは頑強な顔を微笑ませると

「……アン王女は神罰相当でしょうね。性根も良くないわ」

スズは面倒そうに

「ナラン君が助けたがってる」

クラーゴン達からジッと見られたので、どうにか頷くと、クラーゴンは微笑み

「ま、我々は仕事終わりで」

低い落ち着いた声でそう言うと、にゃからんてぃごと消えた。


 更に半時間ほどリース達の背中を見ながら山道を上がっていると、ずっとリースとアン王女の左右を囲んで進んでいた大天使セイとナーニャがこちらへと近づいて来た。ナーニャは不満げに

「あのさー……いつも言ってるけどー……お外で裸なのはよくないと思います」

ストレートに儀式に対して抗議する。逆にセイは何ともない様子で

「宗教的儀式なんてこんなもんだ」

スズは黒マスクをずらして苦笑いした顔を出し

「私はナーニャちゃんに賛成よ。そろそろ女神教は原始的宗教の部分を捨て去るべきね。リースちゃんの感度は良い?」

セイが頷くと

「ちゃんと精神体の我々と話が出来る。メンタルが澄んでいるな」

ナーニャはニッコリ笑い

「良いですよー素直だよねーまた来ますー」

そう言うと二人共消えた。


 その後は特に何もなく、長く広い一本道の山道を上がりきる。麓から中腹までは樹木に左右を囲まれていたが、上がる度に次第に左右が樹木の無い岩石だらけの岩場になっていき、山頂まで到達すると、殺風景な岩場が広がっていた。山頂中心にある広い岩が何枚も積み上げられ、高い岩石のステージのようになっている所へとリースとアン王女は進んでいく。

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