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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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虹色のハレーション

 次の瞬間には、ジン・スカイストリート上層の街の端に戻っていた。青空の下、空中都市はかなりの速度で移動している。隣の女神が

「あー風を感じたいわー。あっ……そうか」

と言いながら俺の手を掴んだ。



 ……



 目を開けると、何やら見たこともない文字が大量に真っ暗な視界に表示され、動いている円グラフのようなものまである。隣から妙なくぐもったトーンで

「ナラン君、ちょっと待ってて、倉庫の鍵開けるから」

という女神の声がすると、金属の扉がゆっくり上へと上がっていくの同時に、目の前が明るくなり、周囲の状況が分かってくる。


 視線を横に向けると、俺の左右には真っ黒な金属で造られた凹凸の無い人形たちが全身を無数の管に繋がれて座っていた。左隣の人形が管を引き抜きながら、駆動音をさせながら立ち上がると

「マリオンヌが古代に造った地上殲滅兵器メタルナックノックオーよ。せっかくだから使わせて貰ったの」

よくわからないがとりあえず真似るように管を抜いて立ち上がる。先に立ち上がった人形に手を繋がれて、両足からウインウインと駆動音をさせながら歩いていき、閑散とした金属の壁で覆われた倉庫の端まで行くと、四角い金属の扉が自動で横に開いていく。開いた中には、長い滑り台のような金属の通路が下まで続いていた。


 俺と手を繋いだ金属人形はくぐもった女神の声で

「ナランくーん!行くぞー!古代兵器で教都を殲滅だー!」

中を見ていた俺の背中を思いっきり蹴って、滑り台状の通路へと叩き込んだ。

「あの……」

抗議する間も無く、勢い良く下へと滑り落ちていく。後方からは女神らしき金属人形も続いて滑って来た。痛みも含めて感覚は無い。瞬く間に通路を通り過ぎた俺は、気付くと青空の中に居た。頭上のジン・スカイストリート下部の半透明な下水道が瞬く間に遠ざかっていく。


 両手を広げて滑空姿勢になった黒い金属人形が慣れた様子で横まで降下してくると

「よっしゃー!教都のアホ共、待ってろー!真の恐怖を教えてあげるわー!」

勇ましく叫びながら、凄まじい勢いで落ちて行った。下を見ると、確かに大トラアス島らしき大きな陸地が見える。いや、邪神から何をやらされてるんだ俺は……と思いながら、もはや豆粒大にしか見えないほど、降下していった金属人形を見下ろしていると


 ボーンッ!ズーンッ!


という嫌な大音響を轟かせながら空中で大爆発した。虹色の粒子が四方八方にまき散らされ、下からの激しい爆風で俺は少し上昇する。


 あの邪神やりたがった……とうとう堪えきれずに教国を爆破したのか……うわー……。空中で頭を抱えながら再び降下しただした直後、怖怖と下を見つめると、うっすらと緑色のバリアが空全体に張られていて、大トラアス島は完全に無事だった。何だこれ、何が起きてるんだ……と混乱していると、視界全体が急に真っ赤になり、視界の文字やグラフが激しく動き出し、その直後に意識が落ちた。



 ……



 宿屋の宿泊室のベッド端で座ったまま目覚める。スズが立って眺めている窓の外からは人々の喜びの大歓声が響きわたり、慌てて窓際へと行くと、スズが落ち込んだ様子で

「教都の信徒共……怯えるどころか、喜んじゃった」

俺が空を見上げると、緑色のバリアの上で、虹色のハレーションが美しく広がっていた。

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