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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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奇跡をプログラムに

 イーゼルを立てた多数の画家達がイスに座り、教皇や貴人達から煌めく魔法水を掛けられている2人のスケッチを一斉に始めた。身体から抜け出た女神はもはや床で笑い転げている。大天使セイと大天使ナーニャは呆れた表情を女神に向けながら、2人でアン王女に触ると、アン王女の尻肉の辺りがキュッと締まった。セイはやるせない顔で俺を見ながら

「……こんな話は本当に、本当に、したくないんだが……一時的に、アン王女の……まあ、そういうのが出るいくつかの出口を……近くの農地の肥溜め直上の空間へと繋げた……」

ナーニャがニコッと微笑み

「もう汚さないからねえ。じゃ、私達は予定があるのでー」

そう言った直後、大天使達は消えた。女神は更にグルグル転がって大爆笑しだし

「あははは!!自動リサイクルされてる!環境に優しい!アンちゃんのが未来の野菜の肥料に!あーはっはっ!」

大声で笑い始めた。……もう最低だと思う。何なんだよこの女神……大天使達の優しい気遣いだぞ……何が面白いんだよ……頭おかしいだろ……。


 その後も、貴人達の水かけと画家達のスケッチは延々と続いていく。途中、年老いた貴婦人が疲労で座り込み、すぐにモンク達が担架で奥の部屋ヘ搬送して行った。そして奥から、王冠を被った中年の筋骨隆々とした貴人が出て来て交代する。どうやら貴人達はそれぞれ交代メンバーが居るようで、ウィズ国王は1時間程すると自らの近くに立つシスターと共に奥へと引っ込み、代わりにミャーマが1人でいそいそと出てきた。笑っていた女神がスッとその場に座り

「……ナラン君、あれはウィズ国王の政治的戦略よ。この場で2番目に出てくる者達は、王妃や皇太子、または副首相なの。まだ無冠のミャーマちゃんを2番目に置くってことはそういうことよ」

「……」

いや、今さら真顔で語られても……という感じしかしない。この女神はどうやら自分を信仰する宗教よりも、他国の政治に興味があるらしい。もはや信頼感はゼロなので聞き流していると、シスター達がラベルが古びたワインの大瓶を1人1本ずつ持って出てきた。


 女神は眉を顰め

「あーあ……超高級ワインよ?毎回思うけど飲みなさいなー」

やるせない顔で文句を垂れだす。シスター達が教皇と貴人達へワインを1本ずつ渡すと、女神が

「はいはい」

と言いながら、やる気なさげに立ち上がり、右手を掲げ「パチッ」と指を鳴らす。次の瞬間には全ての大瓶の栓が勢い良く「スポポポポポ……」順々に1本ずつ抜けていき、教皇が嬉しげに

「今!奇跡が起こった!女神様がこの場にいらっしゃる!」

ホールの天井ヘと威厳ある声を上げると、手ぶらになったシスター達が一斉に祈りだした。女神は一旦スズの身体に戻り、立ったまま祈った姿勢で身体を固定すると、またスルッと抜け出てきて、面倒そうな表情で

「まーいかいさー……私の奇跡をプログラムに組み込むの止めて欲しいんだよねー」

黙って聞いていると

「この手のまだあるのよ?信じられる?」

当人は不満げだが、少しだけ俺の女神への信頼感が回復した。つまり、毎回律儀にこの手の儀式を見守っているということだ。もしかすると、それ程邪神でもないのかもしれない。

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