スズ・ボニアス
シスターの服を着た女神は
「リースちゃん、アンちゃん時間ですよー」
祈っていた2人はサッとやめると振り返り、女神の方を向き光の膜に薄っすら包まれたリースが
「スズちゃん、シスターの格好なんてしてどうしたの?」
陰を背負うアン王女は真面目な顔をしてこちらを見ている。スズと呼ばれた女神は
「いやー宗教なんて金儲けの道具で、時間の無駄の儀式とか、しょーもない教義とか微塵も信じてないんだけど、世界最大の邪教で護衛をするため仕方なくね?」
直後に背後に大天使セイと大天使ナーニャが現れて、折り畳まれた厚紙で
「スパパーンッ!」
女神の頭を小気味良い音をさせて後方から叩くとセイが
「大丈夫だ。女神とナランにしか見えていない。女神、少しはサイコパスっぶりを隠せ」
ナーニャが怒った顔で
「あのさー女神様ー?酷いよー。自分で創った宗教でしょー?」
女神は涙目になりながら何とか、リースに微笑み
「ということで!御聖体沐浴行水がはっじまるよー!」
無理やり元気よくピースサインをしながら言い放った。やべー邪神だと思う。紛うことなき宗教の敵が、最大規模宗教の主神か……どうなってんだこの世界は……。
いや待てよ……女神がおかしすぎて気付くのが遅れたが、女神に小声で
「もしかして、消えたサナーの代役してます?」
女神はニターッと気色悪く笑うと
「うん。あなたのちょー幼なじみでボニアス父さんの娘、スズ・ボニアスですよ?ほら、家が近くの裏山の!」
大きめの声で言って、リースがムッとした顔で近づくと
「スズちゃん、私が修行している間、ナランに手を出したら駄目だからね」
スズと呼ばれた女神は、何でもない顔で
「あのさーリースちゃん、儀式の合間に隠れてナランと好きにやっても良いのよ?女神様も許してくれるって!」
ニカッと笑って言い放った直後
「スパパーンッ!」
とセイとナーニャに折った厚紙で叩かれ涙目になる。セイがウンザリした様子で
「ナラン、この折った厚紙はハリセンという。派手な音はするが、痛くはないんだ。それと女神、ボニアスの業務を無駄に増やすな」
ナーニャが真面目な顔で
「女神様ーじょうしきてきにダメなこと言ったらいつでも来るからねー?」
そう注意すると大天使達は消えた。スズは少ししおらしくなり
「とっ、とりあえず、聖塔一階の大祭場へ行きますよ……」
扉を開けた。
薄布だけを纏った2人をスズが先導、黒装束に黒マスクの俺が後ろで護衛しながら長い通路や階段を通って行く。角には必ず1名ずつシスターや司祭たちが立っていて、俺達に祈りを捧げて来る。緊張しながら表側の大階段を2階へ降り、通り抜け、そして大階段を降りると、一階の大ホールには光が満ちていて、中心部に設置された大きな噴水から六角に囲われた広い水場に煌めく魔法水が絶え間なく流れていき、その周囲に長身の教皇、黄金の鎧を着たウィズ国王、さらには見たことのない豪華な法服や鎧を着た老若男女が二十名程並んでいた。




