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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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単純な駆け引き

 大天使クラーゴンは瞬時に俺の背後に回ると首筋に息を吹掛けて

「はい死んだ」

そう言った直後には元の位置に戻っていた。俺はその場で膝を突く。レベル一万くらいあるんじゃないか……。実力差がありすぎる。いつの間にか俺の横に立っていた、顔のぼやけた緑髪の女性がクラーゴンに向け

「大天使クラーゴンさん、要するに我々リブラーがスキルの付け替えでナランさんの補助をしろと?」

クラーゴンは黙って頷く。女性は

「……我々が無断で使用できないスキルは、女神の加護スキル二種類のみです。つまりナランさんは相手に応じて自由にスキル付け替えが可能です」

「……う、うん……」

女性は俺の手を取り立たせると

「では、この場合、何が必要か、まずはイメージしてみてください」

いやそんなこと言われても分かんないって……いや分からないが、考えてみよう。


 クラーゴンは速かったので速度アップと、あと攻撃予測能力……それから一撃で仕留める力が欲しいよな……そう思うと、女性は

「韋駄天、神算、渾身の一命のスキルを追加しました。マイナススキルの効果は短時間のセットなので問題ありません」

そう言った直後、視界がガラッと変わる。クラーゴンがどう動くか、どう対応すれば良いかが頭に水が流れるように浮かび、俺はその上を行くべく、気付くとクラーゴンへと駆け出していた。


 クラーゴンは右アッパーで俺の顎を狙うために、左斜めに一度沈んでから殴ってくるので、それをバックステップで一度避けてから右足で床を踏みしめ腰を落とし、右脇腹へ右ストレートを叩き込めば終わるはずだ。そしてその通りやるとクラーゴンの脇腹へと強烈な一撃が命中した。……はずだった。何と逆に俺が右肩を回し蹴りされ、吹き飛ばされる。


 クラーゴンは腰に手を当て頷くと

「想像力は悪くないわ。レッスンツーよ。相手のスキルを見破りなさい」

そう言った直後にニヤリと笑い、自らの周囲の空間を青黒く歪ませ始めた。俺の横に立っていた緑髪の女性が

「亜空間の創設者、黒きヴェール、アンチウォーターフィールド、七属性の使い手です。恐らくナランさんのゼロ距離から極小キロノヴァを撃ってきます」

「俺の頭の方の予知が効かないんですが……」

次にクラーゴンが何をしてくるか、見ただけでは分からない。それにゼロ距離から極小キロノヴァって……何か俺がモノラースに撃ったやべー呪文だった様な……。


 クラーゴンはニヤリと笑うとユラユラと立つ自らの周囲に虹色のスパークを煌めか出しながら

「時空を歪ませて予知を無効にしたわ。更にここのフィールド効果は、女神とあなた含め大天使3名が居るから、混成魔法を使う場合、最大化されるわ。さあ、あなたの精神体が、消滅しないかしら?」

その言葉を効いた瞬間、俺は大天使セイから教えられた一つのスキルを思い出し

「気配の消失」

と呟いていた。同時にクラーゴンの周囲の空間が元に戻り、スパークが消え失せていた。


 彼はパチパチと拍手をすると

「正解ね。結局、単純な駆け引きなのよ。相手が普通では回避困難な大技を使ってくるなら、普通ではない状態になって逃げればいい。スキルの付け替えが自由に可能なあなたにはそれができるわ」

俺の横の緑髪の女性がホッとした様子で

「気配の消失を削除しました。大天使クラーゴンの戦闘意欲の消失を確認しました」

クラーゴンは拍手をしたまま薄れていき、消えた。


 女神がいそいそと近づいてくると

「早く行かない?」

エプロンを着た少女の顔でそう言ってくる。大天使ナーニャも近づいて来て

「良いようですねー次の階に行くよー」

俺にニッコリと微笑んできた。

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