混沌の蓋
観閲注意のページをめくると、そこにはページ一杯に
私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が町長です私は市長です私は村長ではありません私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です私が村長です……
そう延々と書かれていた。大天使セイがウンザリした様子で
「侵食部分の1ページ目からこれかあ?」
モノラースが腕を組み、深刻な表情で
「……相当にやられてるな。ナラン次をめくってみろ」
頷いて次のページを見てみると血のりのような赤黒いページのド真ん中に
私が村長です
綺麗な字でそう書かれていた。ナーニャが胡座を組んだまま宙をグルグル回りながら
「うーむ……これは深刻ですねえ……ナラン君ー次めくってみてー」
頷いてめくろうとするが、腕が動かない。女神が背後から、俺の手に触れると動くようになった。次のページをめくる。そこには
言葉では表現出来ない悍ましい何か、目では見られないが全身に鳥肌が立つような何かが確かに記してあった。俺は全身から脂汗が噴き出して、涙が目から大漁に流れ出す。
女神は俺の前に回り、自らパタンとページを閉じると
「宜しい。ナラン君の再構成の目処は立った」
直後に発汗が止まる。モノラースが鋭い目つきで女神を見つめ
「……おい、ナラン自体が混沌の蓋になっているとは聞いていないぞ。お前の計画か?」
女神は苦笑いしながら
「そんなわけないけど、トーキングソウルの侵食を受け、混沌粒子の流出ルートが集約したんでしょ。我々としては管理が楽で助かるけど」
セイとナーニャは小声で話し合うと同時に消えた。俺はどうにか声を絞り出し
「……い、今のページなんなんですか?見えないのに、すごい怖いものが確かに描かれてて……」
女神はニッコリ微笑み
「元村長からの魔力侵食を触媒に、この世界の外へ通じる水路みたいなものが、ナラン君の心の本の中に移植されたのよ」
次の瞬間、女神の後ろ頭が「スパーンッ!」「スパーンッ!」と小気味良い音と共に叩かれ、長い厚紙を折ったものを持ったセイと、更にナーニャが立っていた。
「すまん女神、嬉しそうなのがダダ漏れで、セイ様、またハリセンでのツッコミを堪えきれなかった」
「あのさー女神様ーナラン君どんどん壊していってひどいよー?」
女神はそのまま霧になって消えた。また逃げたらしい。
もはや意味不明過ぎて、呆然としているとセイが俺の手元の黒い本そ指差し
「もう瘴気は発していない。棚の一番上に戻しとけ」
確かに瘴気は消えている。言われた通り、上の棚の端に置くと、黙っていたモノラースが
「亜空間層の開拓が済んだ。ナラン、お前は気づいていないだろうが、現実時間で121時間経過している」
「えっ……」
思わず振り向くと、セイが頷き
「お前のダメージを減らすために、この部屋の時間を緩めたんだ。もう現実と同じ時間の流れに戻した」
「ナラン君行くよー」
ナーニャが俺の手を取って、俺を地下室から連れ出していく。




