↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

176/344

出発の朝

 俺とリースは昨日からしっかりと準備をしていた。2人で王都内の5つの教会は周り祈りは捧げ、檻車の御者も初めてだが、精神世界で皆と話し合い「馬車を御する者」のスキルをリブラーに付けて貰った。まだ自分でのスキル付け替えはできない。2人の格好は、俺は黒装束と黒頭巾で、リースは粗末なローブを一枚被って着ているだけだ。檻車や荷物含め、ほぼアン王女の移送と同じだと思う。


 そして出発の朝が来た。王城の門が開き、王都のメインストリートの左右に集まった大観衆から歓声を上げる。ゆっくり出ていくと、既に外にはアン王女を乗せた檻車が待っていた。アン王女は檻の中で立ったままフラフラしている、もはや正気ではないようだ。馬車を横付けすると、御者席の隣に座った黒装束黒頭巾で口にマスクを付けたサナーが俺達を見てきて

「話は聞いたぞ……ドMプレイおつかれー……あと速攻復縁すんなよお……なんなんだよ金髪女……後で話があるからな……」

ボソボソ愚痴りながら心底呆れた目線を向けてきた。ローウェルは黙って手綱を握り前を向いているが、マスクの下で笑っているのを隠せていない。


 後方の王城の高いバルコニーから拡声魔法のかかった国王の声が

「では!輝かしいこの日を皆で讃えようではないか!聖者リース・ウィズよ!聖者アン王女よ!幸運を!」

そこら中に響き渡った。その言葉を合図に俺とローウェルは同時に檻車をゆっくりと進ませ始める。左右の大観衆からは一斉に泥が檻車に向け投げつけられ出した。


 聞いていた通り、全く当たらない。カスリもしない。泥まみれになっていく広いメインストリートの中を綺麗な檻車2台が悠々と進んでいく。軽く振り返ると檻の中のリースは跪いて両目を閉じ、祈っていた。予定通りだ。本物の聖者であるリースとサナー、大天使の俺が揃っているので、偽スキル持ちのアン王女ですら完璧にガードされるのだ。……って自分で思ってて恥ずかしくなってきた……ダブル聖者に大天使って何なんだよ……女神教の本気の信徒と比べれば不信心な俺たちが、こんなことになっているのは明らかにおかしいが……考えたら頭がおかしくなりそうなので、御者としての仕事に集中することにする。


 王都の広大さを舐めていた。途中でローウェルがスピードを上げたので俺もそれに倣って並走し始めたにも関わらず、何処まで走ってもメインストリートが途切れる気配がない。観衆は次第に増え、左右の高い建物の上からも泥が次々に投げつけられてくるが、相変わらず一切当たらない。当たらないが……いい加減、腹が減ってきた……もう昼間を過ぎて、そろそろ夕方だ。隣の檻車のサナーは明らかに座ったまま寝ている。リースは立ったり座ったりしながら生真面目に祈り続けているが、時折「グーッ」という腹の音が聞こえる。


 夕陽に照らされる頃、ようやく建物が途切れてきて、柵に囲まれた関所の前へと辿り着いた。流石に付いてきた群衆も関所に泥を投げることはなく、更に事前に命令を受けている役人達は、俺たちを黙って通してくれた。その後、しばらく王都外の大きな商用道路を散発的に泥を投げられながら走り、左右をなだらか山々に囲まれた地帯へと差し掛かると、ローウェルが夕陽に照らされた山道へと向きを変え上がり出したので、縦一列で付いていく。


 完全に人けが消え、辺りも暗くなってきた頃、ローウェルは馬車を山道に停めると素早く降り、瞬く間に左側の藪を刈っていき、広いスペースを作り出した。そして檻車をそちらへと入れていく。俺達も続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。