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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高次元存在の調査開始

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教育

 目覚めると体に違和感がある。自分の腕を見ると肉の一切無い骨だ。辺りは薄暗く冷え切った石室で、横ではむしろに置かれた小柄な人骨が起き上がり、カチカチと歯を鳴らしながら

「神聖生物の周辺に亡者が居なかったので、中身のないスケルトンに乗移ってみましたー」

軽い調子でそう言うと

「……アンチダークフィールド、全属性吸収、響かぬ心、屁理屈の極意……そんなもんね。今回はナラン君も一緒で」

「戦闘系スキルなさそうですけど……」

「うん。必要ないわ。戦闘意欲もないみたいだし」

スケルトンはそう言うと俺の手を引いて近くの欠けた石階段を上がっていく。


 石階段を上がった先は、薄暗い中、無数の家や城の廃墟や瓦礫が浮いている異常な場所だった。

「なんですか……これ」

「ここに居る神聖生物の物理体のスキル効果ね。広範囲で迷惑だなー……」

スケルトンは事もなげに言いながら、俺の骨だけの手を握り、近くの瓦礫に飛び移り、そして次の瓦礫へ……と繰り返して進みだした。俺も手を繋いだまま、半ば浮き上がって振り回されるように付いて行く。


 しばらく薄暗く浮いている瓦礫に飛び移りながら進むと、遠くに光が見えた。

「神聖生物レベル10のヨッスイメナンよ。一応言っておくけど、攻撃は必要ないからね?」

「は、はい」

この広がる光景を見たらそうは思えないが、とりあえず黙って従うことにする。


 更に進むと屋根や城壁、塔など大型の廃墟が増えてきた。半ばよじ登ったり飛んだり駆け抜けながら光に向けて進むと、体長十メートル程の首の長いグリーンドラゴンが瓦礫に囲まれ発光しながら浮いているのが分かる。スケルトンは躊躇無くその真横に浮かぶ城壁の瓦礫まで俺を引っ張って跳躍し、安々と着地すると

「起きろー!女神ですよー!」

グリーンドラゴンは薄目を開け、なんと

「それで?」

面倒そうに答えてきた。

「ヨッスイちゃんがドラゴンランドでちょー信仰されてて、五十年の封印如きでは存在がビクともしなくて、故にへそを曲げてるのはわかるけども!謝罪アンド即時解放するから受け入れて!」

スケルトンは手を合わせグリーンドラゴンに頭を深く下げたので俺も慌てて横で真似をすると、ドラゴンは不機嫌そうな声で

「……シーネファルトに相応の罰を与えると約束してからだ」

「例えば?」

グリーンドラゴンは目を瞑ると

「……神罰として教国中心部で一糸纏わず鼻フック四つん這い逆さ空中歩行5年だな……マイナススキルてんこ盛りでな……更にその後、何もない無人島で無力な人間として死ぬまで暮らさせ、それを女神教の聖書に永遠に記録しろ。克明にやれ」

なんだこのドラゴン……無茶苦茶シーネを恨んでるぞ……俺が唖然としていると、スケルトンが両腕を振り上げ

「それじゃ娘への虐待になるでしょ!相変わらず性格悪いわね!もうちょっとマイルドな解決策でお願い!」

グリーンドラゴンは目を瞑ったまま

「……シーネファルトを解任したのなら、連れてきた横のが後任だろう。そやつに任せれば良い」

スケルトンは俺を振り向いて

「ナラン君!最高のアイデアちょうだい!」

無茶苦茶な事を言ってきた。


 いや、いきなり振られてもわかんないって!頭を抱えながら考える。自分をこの場所に連れてきて閉じ込めたシーネにこの神聖生物は本気で怒ってて罰を与えたいと思っている。多分、納得するような罰を言わないと女神には従わない……うぐぐぐ……だとしたら……無学で人生経験の少ない俺にはあれしか思いつかない。女神の娘なのできっと大丈夫だろう……。

「あの、こんなのどうですか……」

「どんなの!?」

食いついてきたスケルトンに

「普通の人間の身体で、偽スキルで聖者認定させて、教国で数年間、聖者修行させるっていうのは……」

スケルトンは大げさに両手を開いて驚くと

「それだ!神罰っぽくて良いわ!しかもシーネちゃんとアン王女を並べるのね!偽聖者として!ナラン君鬼畜う!」

鬼畜……そうかも……若干後悔しつつ

「いやってか……アン王女はあれで良いんですか?女神様的に……」

スケルトンは真面目に腕を組み、考え込むと

「あの子はあんなもんでしょ」

そう言った後、俯いて小声早口で

「んー……ヘコムちゃんの真摯な言葉に反省して……勢いで各地の高コストマイナススキルを削除しちゃったからさあ……世界のバランスの為に押し付ける先が必要なのよね……そっか、シーネちゃんなら耐えられるし、アン王女もドMっぽいし大丈夫よね……うん、きっとできる」

「一体何を言ってるんですか……」

スケルトンは意味不明なことを呟くとグリーンドラゴンに向き直り

「この子、新たな管理者のナラン君ですけど、この子提案と私のアレンジで!シーネちゃんには神罰として偽の女神加護スキルと、高コストマイナススキルをギリギリまで付けて教国で聖者修行させます!どう?」

グリーンドラゴンはしばらく沈黙した後

「……虐待はせぬと自分で言ったが」

スケルトンはケラケラ笑って

「教育よ!うちの家は教育が厳しいの!」

また沈黙が続くと

「相変わらず雑だな。良かろう、亜空間層も明け渡した。暗黒地帯解放され次第、この身体と共に元の地へ帰還する」

グリーンドラゴンはそう言って軽く頷いた。

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