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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高次元存在の調査開始

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隠者

 やる気満々のリースに驚いていると、セイとナーニャは満足げに頷き、次の瞬間には殺風景な一室に2人で立っていた。

「……なんだったんだろうか……幻?」

リースは興奮した様子で

「ナラン!大天使様達のご加護を頂いたの!」

「う、うん……というかシーネさんが企んでるろくでもないことって……」

何が何だか分からないが、とにかく部屋から出ると、応接室では和やかな談笑が続いていて、上機嫌のアンジェラが振り返り

「ゴウダイゴウさんと話が付いたわ。今度、王都のウィズ公のお屋敷にお招きしても?」

リースが威勢よく

「もちろんです!お父様も喜ぶと思います!」

小柄な老人は嬉しげに立ち上がると

「そちらも終わったようじゃな。では、ヘコムの場所へとご案内しよう」

と言った。


 ゴウダイゴウとアンジェラ先頭で、4階ホール近くの広い階段から5階へと上がっていく。ミヤが携帯端末を周囲に向けながら

「変な構造だよね、このお城」

呟いた。確かに、何ともよく分からない部屋の配置だ。防衛を意識しているとも思えないし、便利な感じでもない。


 5階へと上がると、奥へと通路が1本伸びていた。ゴウダイゴウとアンジェラ先頭で歩いていく。特に戦う準備は要らない様なので最後尾で力を抜いていると後ろから

「あーセイ様だ」

「ナーニャもいますよー」

声が聞こえてきて振り返るが誰もいない。リースにも聞こえたようで驚いて背後を見つめている。

「ちょっと気を付けて進め」

「そうだねー。シーネちゃんもう見てるよー」

身構えたが、シーネの気配は感じない。すぐに傭兵会社の先輩と張り合おうとしても無駄だなと力を抜いて

「リース行こう」

手を繋いで進んでいく。


 錆びた鉄扉をゴウダイゴウが念力で開けると、玉座の間になっている室内の中央には、四つん這いになった際どい下着姿の桃髪のヒト女性の背中に座り、画用紙に何かを描いている、痩せた継ぎ接ぎだらけの緑のローブ姿の男が居た。大きな頭の髪の毛は疎らで、眉毛は無く、ギョロ目の下には大きな隈があり、唇は薄い。年齢は若いのか年寄りなのかすら不明だ。


 あれが隠者ヘコムか……俺は愕然と入口近くで立ち止まるが、アンジェラとゴウダイゴウは近づいて行き

「ヘコムさん、それとサカモトナルさんですね?」

女性はアンジェラを見ず、異様な男は何かを描きながら

「……ここは囮だよ」

掠れた声でひと言だけ言った。アンジェラが何か気付いた顔でミヤの手から携帯端末を取り、高速で指を動かし

「……マズい……ここの真下に高エネルギー反応が……」

俺の背後で、笑い声が聞こえ

「引っかかったな」

「若いですなー」

セイとナーニャの声がすると、気配が消えた。


 ヘコムらしき男は大きく息を吐き

「もう私は、大天使達と取り引きをしている。誰にも迷惑をかけぬ次の移住先も決まっている」

女性の背中から降りると、自らの靴を興奮した表情で舐め始めた女性を見下ろし

「しかしサカモトナルは、簡単には私の魅了から解けることはない。ナルよ。戦ってあげなさい」

「はあい……ヘコム様あ……」

ナルと言われた女性が立ち上がると、俺の全身にゾッとする感覚が走る。

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