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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高次元存在の調査開始

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静かな生活

 起きた。隣でリースも寝ている。そうだ、シーツ……昨日、色々汚したから洗濯をしないと……。ボーッとした頭で、床に丸めてあったシーツや下着、各種道具を手に取り、裏庭の水場までいき洗濯用ドラム缶に、最近取り付けられた魔力管理の水道蛇口から伸びた皮ホースを使い、水を出していると

「おー、若さの翌日じゃのう」

ゆっくりと振り向き、大きなため息が出る。

「ボニアス、何しに来たんだよ」

そこには、ランニングシャツにハーフパンツにハチマキを巻いたボニアスが立っていた。勿論割れた眼鏡もかけている。ボニアスが次の言葉を発する前に

「アン王女だろ?聞かれるの5回目とかだ」

ボニアスは苦笑いしながら頷くと

「洗濯が終わるまで中で待たせて貰うぞい」

そう言って勝手口から入っていった。


 洗濯を終え、裏庭に全て干して家に戻ると、シャツとショートパンツを着たリースが、食卓に座ったボニアスにいやらしい視線を送られながら背中を見せて料理を始めた所だった。俺はボニアスの視線を遮る位置に座って相対しながら

「おい、物知り性犯罪者、隣の家の姉妹に変な事を教えるな」

「年配者には敬意を払え、ボニアスさんと呼べ、小僧」

ボニアスはニヤニヤしながらそう答えると

「……アン王女に付いてじゃが」

俺がうんざりした顔を向けると

「……面白いことになっとるぞ」

リースが振り返ってボニアスを見ると、物知り性犯罪者は嬉しそうに

「……無償の愛をばら撒く花という加護スキルはな。本来なら周囲の人間達に幸運を送り、悪意や不運を消すという混沌を包み込む聖母の上位スキルの様なものじゃ」

そう言うとリースが置いた茶を飲み

「しかーし、偽スキルなので、マイナス効果が付いており、リースちゃんの持つ混沌に似たような症状が出ておる」

俺とリースが驚いてボニアスを見つめると、彼は嬉しそうに

「色んなものをぶっ壊しておるな。先日はナランに会いに来ようとして、飛行船が空中で停止して空を半日ほど漂っておった。流石にディスティンのジジイが隠れながら救助してたのう」

俺は割と本気で心配になるが、ボニアスは立ち上がり

「まあ、自業自得じゃ。一度付いた偽スキルを消す方法はほぼ無い。しかも最上級のスキルの偽ものじゃからな。遠くから楽しんで見ておれば良い」

入口から出ていこうとして立ち止まり

「隣に行って来るわ。入門者が2人も増えたからのう」

不穏なことだけ好き放題言い放って去って行った。


 ボニアスの事は一旦忘れ、昼は家の掃除などをして過ごした。洗濯ものも乾いたので取り入れていると

「ただいまーっ!」

ミヤが明るい声と共に帰って来た。


 2人で食卓に座って、大きなカバンを脇に降ろしたシャツとスカート姿のミヤの話を聞くことにする。

「楽しかった!泊まり込みで授業受けてたけど、皆大人で優しかった!」

良かったなあとリースと頷いていると、ミヤはニッコリと笑い

「姉貴がここまで送ってくれたの。たまには姉貴も飛行船代わりに使うことにする!」

黙って頷くとミヤは

「2人共疲れてる?」

「いや、久しぶりの静かな生活を楽しんでるっていうか」

「そうね。私は結婚に向けて色々整理してる感じかも」

ミヤは感心した表情で

「2人ともなんか大人になったねえ……」

そう言って笑っていた。その後は、夜までゆっくり、食べたり飲んだりしながら、お互いの話をして過ごした。夜になるとミヤは

「レポート書かないと!」

と言いながら、やる気満々で2階の自室へ駆けていく。上手くいっているようで本当に良かったなあ……と思う。

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