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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
特定監視対象スキルの観察とデータ収集

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スキルの組み合わせ

 リースとベッド脇に座り、モソモソと乾パンや干し肉を食べ、お茶を飲んでいると、扉を開けてサナーが部屋に入って来るなり、ベッドへとうつ伏せに倒れ込んできた。

「疲れた……」

全く動かずサナーは呟く。

「無理し過ぎだろ……偉かったと思うけど、お前、人を率いるのそんなに向いて無いからな?」

俺やローウェルにくっついて好き放題やってる方が本人の性に合っていると思う。サナーは動かないまま

「お前ら……勇者サナー様の身体を揉め……」

偉そうに言ってきた。俺がため息を吐いていると、リースがニッコリと笑い、荷物の中から縄を取り出してくる。うん……もう怖いよね……何か仕掛けるつもりだよね……。


 リースは縄を解きながらサナーに

「ウィズ王家伝統の疲労回復方法があるの」

「……そうか、リースやってくれ。勇者サナー様はもはや動けないし眠い……」

「わかったわ。服を脱がせるからナランも手伝って」

「う、うん……」

リースの一点の曇りもない王族スマイルが怖いです!俺は従うしかない。リースが暗黒地帯の瘴気に当てられいなければ良いが……。


 全く動かないサナーの着ているものをリースは瞬く間に全て脱がせると、慣れた手つきでロープを、寝息を立てているサナーの身体とベッドに縛り付けていき、そして俺と協力してサナーの身体を浮かせ、その下にシーツを何枚か重ねて敷くと、微笑みながら

「ナラン、私がね、ナラン達に会う前に、頭が混乱し過ぎた時によく、お医者の先生たちがしていた方法なの。後は任せて」

嫌な予感しかしないので、窓を閉めて少し離れて見守っていると、リースはサナーの脇や腹の辺り、太ももや足の裏を素手でくすぐり始めた。


 寝ていたサナーはすぐに目を覚まし

「あっあははは!待っ待ってえええ!」

笑い始めるが、リースは真面目な顔で止める気配がない。身体をよじって笑うサナーを見ながら、これ……リースの復讐第二弾ですよね……?まだ許してなかったかー……どうしよ、止めようか。などと本気で迷い始めていると、何とサナーの体中の穴という穴から黒い瘴気が一気に吹き出てきた。


 唖然としていると、いつの間にか横に居たシーネが

「うわあ……美味しそうですねえ」

涎を垂らしそうな表情で、くすぐられているサナーの近くへと吸い寄せられていき、何度も深呼吸しながら黒い瘴気を吸い込み始める。何これ……何なんだよこの状況……!俺が動けないでいると、サナーが

「ゲブホッ!」

大きなゲップをして、口から大きな球状の赤黒い瘴気を吐き出し、それが淀んだ雰囲気を撒き散らしながら宙に浮き上がっていく。シーネが大きく息を吸い込みながら、すぐに引き寄せると口に入れて飲み込んでしまう。


 シーネの行動にも驚いたが、流石にサナーの身体にこんなに瘴気が溜まっているとは思わなかったので、汗やら体液やらでシーツを濡らして気絶するように寝ているサナーの横で、汗を拭っているリースに

「あの……これ」

尋ねようとするとシーネが

「神聖なる覚悟の様な超高位加護スキルと、他の解呪スキルの組み合わせによってはですねえ、呪いの自動吸収効果が出たりするんですよお」

「……ずっと、亡者達やドラゴンの呪いを吸い込んでたってことですか?祓った分とは別に?」

「そういうことになりますねえ。リース姫、よくお気づきになりましたあ」

リースはサナーの縄を解きながら

「次第におかしくなってましたので。サナーちゃんの普段の調子の乗り方とは全く違ってたんですよ」

「ふふうー……流石ですねえ」

シーネはそう言いながらジッと俺を見てくる。

「……いや、気付けず、すいません……」

傭兵会社の大先輩に対して、そうとしか言えない。全く分からなかった。シーネは満足げな表情になると、ツインテールを頭を横に振りながら見せてきて

「どう思いますかあ?」

「いつものことながら、めっちゃ似合ってます……」

正直な感想を述べると、シーネは八重歯を見せて嬉しげに笑い

「誰も入れないようにしておきますねえ。良い休息を」

鼻歌を歌いながら去って行った。


 何か良く分からないが、色々考えても仕方なさそうなので寝ることにする。リースと濡れたシーツを片付けて、3人で並んでいつものように横になると、すぐに意識が落ちた。

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