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魔獣たちのお姫様~闇属性に極適性のある貴族令嬢のモフモフ?ファンタジー~  作者: ミジンコ


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第2話 三歳のクラリスは動物がお好き

お待たせいたしました!

更新します!

 ブランティーグル公爵家に仕えるメイドの『マリー』。

 彼女はクラリス付きのお世話係として、最近はもっぱらクラリスと行動を共にしていた。

 歩くことを覚えたクラリスは部屋にいるよりも外に出ることを好み、しょっちゅう屋敷の広い庭を探索しては新しい発見に目を輝かせる。その日の発見を一生懸命に話そうとするクラリスの姿は、マリーだけでなく屋敷の者たち全員の癒しとなっていた。


「んー!」


 そんなクラリスの姿は今、屋敷の広い庭にあった。

 マリーが見守る中、一本の木に向かって懸命に手を伸ばしている。その手の先には木の枝に座る一匹の栗鼠がいた。


「りすしゃん! りすしゃん!」

「クラリス様。さすがにクラリス様ではあそこまで手が届きませんよ。下からみるだけにしておきましょう」

「まりー! りすしゃん、みたい!」


 どうやらクラリスはもっと近くで栗鼠を見たいらしい。しかし当然、年相応の身長しかないクラリスがどれだけ手を伸ばそうが飛び跳ねようが今と大して変わらない。


 マリーは仕方ないとばかりに苦笑すると、地面からひょいとクラリスを抱き上げる。


「じっとしていてくださいね――」


 そう言うとマリーは一息にジャンプして、栗鼠が座っている枝の根元近くに降り立つ。ほぼ振動もなく枝に座ったことで、先端の方にいる栗鼠は逃げることなくそのままだ。


「とんだ……! まりーしゅごい!」

「ありがとうございます。ここからなら先程よりは近くで観察できるでしょう。ただし、あまり近づいては栗鼠を驚かしてしまいます。ここから見るだけにしましょう」

「うん! ふぁー……! りすしゃん……!」


 それから暫くマリーに抱っこされたまま栗鼠の観察を続けていたが、気まぐれな野生の栗鼠はふとした瞬間にとととっと何処かへ走り去ってしまった。


「いっちゃった……」

「もしかしたら庭に巣があるのかもしれませんね。きっとまた会えますよ――さて。そろそろお屋敷に戻りましょうか」

「もうちょっと?」

「今日はこの辺りにしましょう。また明日、です」

「は~い……」


 渋々といった様子で聞き分けたクラリスは、少し名残惜しそうに栗鼠が去っていったあとを見ている。そんな姿も可愛らしくマリーは口元を綻ばせた。

 

 それからお屋敷に戻ったクラリスは、母親であるジョゼフィーヌの元へ向かった。


「おかあしゃま! ただいま!」

「はい、お帰りなさいクラリス。マリーもご苦労様」

「いえ。それでは私はお茶の準備をして参ります」

「ええ、ありがとう」

「ねえおかあしゃま! さっきね、りすしゃんがいたの! そしたらね、まりーがね!」

「はいはい」


 楽しそうに先ほどあたことを報告するクラリスと、それを嬉しそうに聞くジョゼフィーヌ。

 もう少しこの場を見ていたかったマリーだが、鋼の精神力で自分の仕事をすべく部屋を後にする。そうしてお茶の準備を終えたマリーが戻って来ると、昼下がりのお茶会が始まった。

 といっても紅茶を飲むのはジョゼフィーヌだけで、まだお茶を美味しいと感じないクラリスには果実水が用意された。


 それからジョゼフィーヌとクラリスによる、いわゆる女子会は和やかに進んでいった。


「――そういえば領都には今、旅芸人の一団が来ているんじゃなかったかしら? たしか獣を使った芸を披露しているとか。マリーは知ってる?」

「ええ、それなら聞いたことがあります。ただの動物だけでなく、使役した魔獣もいるらしいですね。それもあってそれなりに評判なようですよ」

「まあ、魔獣も!? それは確かに珍しいわね」


 ふとジョゼフィーヌがそんな話題を出すと、それに食いついたのは最近お庭の小動物にご執心のお子様だった。


「まじゅーさん? みたい!」

「あらあら。クラリスは本当に動物が好きなのね。でもクラリスが想像してるような可愛い魔獣じゃないかもしれないわよ?」

「いきたいっ!」

「もう……マリー、お願いできるかしら。明日にはいけそう?」

「畏まりました。手配いたします」


 ジョゼフィーヌの命を受けたマリーはすぐ諸々の手配をすべく部屋を後にする。


「まじゅーさん、みにいける?」

「そうよ。明日一緒に行きましょう。実は私も気になってたの。おそろいね?」

「おそろいー!」


 そうしてクラリスの人生初となる、領都へのお出かけが決定したのであった。


 なお、それを聞いた父親であるゴルドリンは「街に行くぅぅ!? そ、そんなのクラリスにはまだ早いんじゃないか!!?」と凄まじく動揺した。

 しかしジョゼフィーヌによる説得と、何より明日を楽しみに目を輝かせるクラリスを前にしてはそれも長く続かず。結局、護衛に加えてゴルドリンもついて行くというところで落ち着いた。


 そして迎えた翌日。


「どーぶつさん♪ まじゅーさん♪」


 領都を走る馬車の中には、そんな楽しそうな歌声が響いていた。

 

 ブランティーグル公爵領の主都たるこの街はかなりの規模を誇っている。それはブランティーグル家に限った話ではなく、四公爵家の領都はそれぞれが中央の王都に準ずる規模がある。

 

 そんなこの領都の名前はブラン。

 この土地を収めるブランティーグル家からとった分かりやすくシンプルな名前だ。


 賑わう領都を馬車が進んで行けば、そこに住まう人々はその馬車に描かれた虎を模した家紋を見て自然と頭を下げる。それは決して強制されたものではなく、領民たちが心からその家紋とそれを掲げる公爵家に行為を払っているからこその光景だった。


 そうして馬車はクラリスの呑気な歌と外の賑わいを背景に、あっという間に旅芸人の一座のいる街の一角までやってきた。


「あれがそうか」

「そのようですわね」

「ついたー!?」


 馬車が辿り着いた先にあったのは広々とした空き地。

 そんな広場のような場所に所狭しと広がって様々な芸を繰り広げる旅芸人の一座だった。大小様々なテントでは多種多様な芸が披露され、それを見る為にやってきた人々が集まり大賑わいの様相を呈していた。


 すると広場の入り口にやってきた馬車に気付いたのか、責任者らしき者たち数人が馬車の元へやって来る。


「ようこそお越しくださいました、ブランティーグル公爵家の皆さま」

「歓迎感謝する。私はブランティーグル公爵家当主、ゴルドリン・ブランティーグルだ。こっちは妻のジョゼフィーヌ、そして娘のクラリスだ」

「これはこれはッ! ワタクシ、当サーカス団の団長を務めていますサークラと申します。本日はワタクシ共のサーカスを見に来てくださり光栄の至りでございます!」


 サーカス団の団長を名乗りブランティーグル家に挨拶をした人物は……なんというか小さかった。それこそ子どもと見間違うほどに。

 その姿を見て僅かに目を見開いたゴルドリンは思った事をそのまま口に出した。


「サークラといったな。お前もしや『ハーフリング族』か?」

「ご存知でしたか。いや、この姿を見れば一目瞭然でしょう。閣下の仰る通りワタクシはハーフリング族でございます。こんな形ではございますが、これでも四十代の立派な成人なのですよ」


 特に気にした様子もなく何でもないように自分のことを話すサークラ。その姿からはこの手の質問に慣れているような雰囲気を感じさせた。

 サークラの肯定にゴルドリンだけでなく、他の面々も驚いたような反応を見せる。そんな二人の会話に疑問を挟んだのはクラリスだった。


「はーふりんぐ?」

「――お嬢様ぐらいですと知らないのも無理はありませんな。お嬢様、ハーフリングというのはワタクシのような小さき者、小人の種族のことなのです」

「こびとさん……えほんの?」

「あー、あそこまで小さくはありませんが似たようなものですな。もっとも向こうは妖精で、ワタクシは人という違いはありますが」

「ほぇ―……くらりす、こびとしゃんしゅき!」

「はっはは! それは大変光栄なことでございます!」


 サークラが説明するも、どうやらクラリスにはまだ難しかったらしい。


 ただ絵本で小人という存在を知ったクラリスにとって、小人は不思議な力で物語の人物を助けてくれる存在の象徴のような存在だった。そんな小人に会えたクラリスは目を輝かせる。


 サークラはそんなクラリスの素直な言葉と態度に嬉しそうに顔を綻ばせた。


「さて。公爵家の皆さまは獣を使った芸を見にいらっしゃったとか。ぜひワタクシにご案内させてください! 当サーカス団自慢の芸をご披露いたしましょう!」


 それから二言三言話してからサークラによる案内が始まった、とその前に何か気になった様子のジョゼフィーヌが疑問を口にする。


「ところでさっきから気になっていたのですが、サーカスとはなんです?」

「ああ! 我々のような雑技団、曲技団のような一団を指す言葉です。我々がやって来た遥か東方の地ではそれらをサーカス、というのです」

「まあ異国の言葉でしたのね。面白いですわ」


 そうして団長サークラに先導されつつ公爵一家(長男次男を除く)は、使用人としてマリーと他護衛の騎士を数人連れたってサーカス団の敷地を進んでいく。


 一行がやってきたのは敷地内でも一際背が高く大きなテントだった。


 テントに近づいていくと獣の鳴き声や唸り声のようなものが聞こえ始める。また西方守護として日々魔獣との戦いを繰り広げるゴルドリンや騎士達は敏感に魔獣の気配を感じ取っていた。


「ほぅ。確かに魔獣がいるようだな」

「さようでございます。ですがご安心ください。優秀なテイマーによって管理されておりますので、お客様に襲い掛かるようなことは決してございません」

「ふむ。どんな魔獣がいるんだ?」

「そうですね。ワタクシ共が保有している魔獣は五匹になります。ホーンラビット、フォレストモンキー、レイクサーペント、サーベルベア。そして炎獅子ですね」


 それらの魔獣の名前を聞いた瞬間、護衛の騎士達がざわめき始める。それもそのはずで名前の挙がった魔獣、特に炎獅子などはそう易々と使役できるような魔獣ではないからだ。


 それを聞いたゴルドリンも思わず眉に皺を寄せる。


「ホーンラビットやフォレストモンキーはともかく。レイクサーペント、サーベルベア、その上炎獅子か。なるほど、相当優秀なテイマーが仲間にいるのだな」

「テイマーとしての腕は一流だと思っております。こんなサーカス団にいるのが勿体ないほどに。あ、しかし引き抜きはだけはご勘弁ください。彼はワタクシ共に必要不可欠な人材ですので」

「ははは、それは残念だな。優秀なテイマーなら是非欲しいと思ったんだが。それならその者の腕前を見るだけで我慢するとしよう」

「ありがとうございます」


 そうして一行はテントの前に辿り着いた。

いかがでしたでしょうか?

前回から少し間が空いてしまいすみません(;´・ω・)

今回はまた登場人物が増えました。書いてて思ったのは小人族ってハーフリングとかホビットとか色々といますけど、正直あんまり区別ってついてないんですよねぇ。てわけで今回(この作品では?)は小人=ハーフリングってことにしました!


さて次回はいよいよクラリスと魔獣との邂逅になります! 両者の出会いがどのような影響を齎すのか、ぜひともお楽しみに!


また読んでみて面白い、続きが読みたいと思ってくださったらブックマークや評価をしてくれると嬉しいです! 感想もどしどし募集中ですー!

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