71話:騒動の後日談
とにかく、頭が完全にクリアになった時には、すでに龍王祭が終わって二日が経過していた。その間、彼は途切れ途切れに高熱を出し、まるで食べ物に当たった子供のように苦しんでいたらしい。
体温がようやく安定したのは、龍王祭の三日後のことだった。
黒髪で狼の耳を持つ少女が、顔にガーゼを貼った姿でベッドの傍らの木の椅子に座っていた。手には分厚いファイルを持ち、今回の事件の報告をする準備を整えている。
ロルとしては別に聞かなくても構わないと思っていたのだが、ライラの話によれば、彼が高熱を出して寝込んでいた数日間、祭は毎日お見舞いの品を持って通ってきてくれていたらしい。おそらく、それが彼女なりの心配の表現なのだろう。
あの夜、暴走状態のロルに打ち倒された後、オーランドは遅れて到着した連邦警察に引き渡され、祭のその手で連邦の刑務所へと送り込まれた。
連邦警察の到着が遅れた理由について祭から説明を受け、ロルはようやく事情を知った。どうやら地下での戦闘による激しい振動が、地上の住民たちにパニックを引き起こし、将棋倒しなどの二次災害を防ぐために、全警察力が秩序の維持に駆り出されていたらしい。
(だから支援が来なかったのか。だが、大勢のパニックに陥った観光客や住民を相手に、声を枯らして冷静になるよう呼びかけ、避難誘導しなければならなかったと考えると……どう考えても死ぬほど疲れるだろうな)
「なんだか彼らには申し訳ないことをしましたね」
祭は首を横に振り、いつも通りのきっぱりとした口調で言った。
「謝る必要はないわ。これらは本来、私たちの仕事なのだから、あなたが申し訳なく思う必要なんてどこにもない」
逮捕されたオーランドは、ロルよりも早く意識を回復していた。看護師の話によれば、彼は目覚めた後も意識がはっきりしており、感情も非常に平穏で、呪いを使用した痕跡など全く見られなかったという。
これについては、オーランドが呪いを行使する上で、確かに極めて高い天賦の才を持っていたと称賛するしかない。もし彼がこの方面の研究に打ち込んでいれば、決して小さくない成果を上げていたはずだ。
その後のオーランドは自身の立場をよく理解しているようで、チョコの尋問に対しても非常に協力的だった。自身の計画、目的、犯行の手口に至るまで、一切隠すことなく供述したそうだ。
計画については、ほぼロルの推測通りだった。唯一予想できなかったのは、アオウミウシの毒の入手ルートだ。
確かに、あの時ライラが疑問に思った通り、アオウミウシの毒は入手が難しく、運搬も困難を極める。一介の神父が、一体どうやってそれを手に入れたのか?
この問題の答えは、予想よりも遥かに単純なものだった。実は、アオウミウシの毒液は、最高級の『インク』として扱われているのだ。なんでも、この液体で書かれた文字は、どれほど時間が経っても決して色褪せることがないらしい。
そのため、聖教帝国の聖書はすべてこの毒液を使って書写されている。となれば、神父であるオーランドにとって、この毒薬を手に入れることなど造作もないことだったのだ。
(そんなこと、誰が分かるって言うんだ。金持ちの世界は本当に想像がつかない。一体誰が、毒薬をインク代わりに使おうなんて思うんだよ)
ロルが内心でそのデタラメな設定に辟易している間にも、祭はオーランドの目的について説明を続けていた。その内容のほとんどはロルもすでに知っていたことだったが、それでも本人の口からその真相を聞くのは、極度の苦痛を伴う経験だった。
だが、祭がある一節を読み上げた時、ロルは思わず声を上げてしまった。
「はあ? ライラが慈愛の巨竜? いったいどんな状況でそんな結論に至ったんですか?」
「罪人オーランドの供述によると、彼は以前、ライラに成人致死量に至る毒を注射したそうです……。しかし彼女は死ぬことなく、しばらく虚弱状態に陥っただけでした。そのため、彼はライラこそが『慈愛の巨竜』であると断定したとのことです」
(だから、子供たちに毒薬を打ち込むことで、慈愛の巨竜を無理やり呼び出し、願いを叶えさせようとしたのか)
まずはあのクソ野郎がライラにした仕打ちについてだが……いや、いずれ必ず目にモノを見せてやる。
話をライラに戻そう。もしオーランドの言っていることが真実だとするなら、確かにライラが無事だったのは極めて奇妙なことだ。
ライラ本人はというと、実に元気そのものだった。つい先ほども、嬉しそうに自分で作ったお粥を運んできてくれたほどだ。
その味については……まあ、ここでは深く語らないでおこう。
ロルは心に決めた。次に料理をする時は、必ずライラと一緒に作ろうと。今日残ってしまったお粥は、「これは妹の愛情料理だ」と自分に自己暗示をかけ、後で全て胃に収めるつもりだ。
現在ライラが不在なのは、マリーナのところへ物を取りに行っているからだ。出かける前、彼女は中町区の方向へ向かって元気いっぱいに走り出し、その背中には迷いなど微塵もなかった。
どこからどう見ても何の問題もない。いや、むしろもし彼女の体に問題があるのなら、マリーナが高熱を出しているロルの看病をライラに任せるはずがないのだ。




