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70話:自身の呪いの秘密

ハイム道具屋の二階は、すべてが魔道具の保管庫として使われているわけではなく、実は客室が存在している。


空間は広くなく、家具も古びているが、少し片付ければ二人が寝るには全く問題ない。ただ、一つだけ問題があった。


それは、この客室の家賃がバカ高いということだ。


ハイム道具屋そのものがマリーナの私有財産であるため、彼女は店に様々な面倒なルールを設けていた。


例えば、従業員が客室で寝泊まりしたければ家賃を納めなければならず、その額は飛び上がるほど高い。店内の魔道具を使用する際にはレシートが必要で、なければ買い取りと見なされる、といった具合だ。


最初は確かに面倒だと感じたが、少し考えてみれば、これらのルールはそれほど理不尽なものではなく、極めて全うな決まり事でもある。


しかし、私がキャンピングカーを購入した後、「従業員が営業時間外に駐車場に自分の車を停める場合、時間単位で駐車料金を徴収する」という新たなルールが追加されたことには、彼女の悪意しか感じられなかった。


おまけに、長年修繕されていないせいで、シングルベッドの真上の天井には元々ぽっかりと穴が開いており、一年前、ハイム道具屋に来たばかりの頃に私が木の板で塞いだものだった。


素人の作業ゆえに、修繕の跡は不格好でちぐはぐだ。本来なら業者を呼んでちゃんと直してもらうつもりだったが、ライラがなぜか気に入っているようだったので、まあいいかと思いそのままにしている。


今、ロルはベッドに横たわりながら、その不格好な修繕の跡を見上げていた。その光景は、自然と一年前の記憶を呼び起こす。


(よくもまあ、こんなボロ部屋にあの高い家賃を設定できるものだ。それにこの天井も、やっぱり業者に頼んで直してもらおう。自分が施した拙い修繕の跡を見ていると、なんだか無性に恥ずかしくなってきた)


この古びた天井こそが、龍王祭が終わって三日後、ロルが意識を取り戻した時に一番最初に目にした光景だった。


妹と一緒に花火を見るという約束は、結果的に破る形になってしまった。


下水道でオーランドというあの狂人に殺されてから、ロルの記憶は途切れ途切れになっている。おそらく、胸に刻まれたあの「呪い」が再び発動したのだろう。


胸の呪いについて、ロルはなんとなく理解しているようで、完全に理解できていない。


発動条件は、「自分自身の死」だ。


自身の心臓が停止した瞬間に呪いが発動し、自分を極めてデタラメな状態へと押し上げる。


その状態では刃物も銃弾も通さず、魔法のダメージも無効化し、破壊力は凄まじく、戦闘能力は極限まで高まる。同時に、呪いが解除された後には全身の傷が完全に治癒する。


端的に言えば、小説の中にしか存在しないような「チート」設定だ。


なにせ自分が死んだ時にしか発動しない状態なので、ロル自身もその姿を一度も見たことがない。しかも、その姿を撮影しようとするカメラなどの機器は、撮影した瞬間に壊れてしまうか、画面が完全にぼやけてしまうのだ。


しかし、ライラが彼女のいつもの精巧な画力を駆使して「その時の自分」を描き出してくれた。その結果は――生理的な嫌悪感を催すほどに異形な生物だった。


そもそも発動条件からして奇妙だ。呪いにこんな条件が存在した例はない。死んだ瞬間に発動し、無敵の戦闘状態に突入し、解除された後にはHPが全回復して復活するなんて、ゲームでさえここまでバグみたいな設定はないだろう。


その上、ライラの観察によれば、その状態の自分は、敵を「捕食」しようとするらしい……。


これまでマリーナが二度ほど実験を行った結果、ライラの声だけが、私を強制的に呪いの状態から引き戻せることが証明されている。


もしライラがいない状況で呪いが発動したら、どうなるかは火を見るより明らかだ。ロル自身でさえ、それを想像するだけで胃腸の調子が悪くなり、数食は肉を口にする気が失せるほどだった。


だからこそ、そう簡単に使えるような代物ではないのだ。

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