0097 光陰
盧安はふと、自分の平和がどれほど得難いものか気づいた。
しかし、もし盧安にこの平和を最も破壊できる者を評価させるとすれば、自分が二位だと言ったら、誰も一位にはなれないだろう。この「自分以外に敵なし」状態に、盧安は泣くに泣けず、笑うに笑えなかった。
資料を調べ終えた後、盧安は元一空間を散策した。
今の元一空間はとても賑やかだ。消費エリアでは、全ての時空傭兵たちは装備や物資を買い終えた後、まだ大量の功績ポイントを使い切れずにいる。
これは、元一空間での消費は非常に単一的で、才能の交換も安いが、空間内では修行ができず;大量の科学技術武器や装備は安いが、自分の時代の技術を超える武器は購入制限があり;高い殺傷力を持つ魔法物品は売買できるが、ほとんどの任務世界では持ち込みが禁止されており;元一空間では高等な魔法装具が売られているが、空間収納類のアイテムは非常に珍しいからだ。
元一空間内で大規模に金がかかる場面は任務の購入だが、今回の任務は元一による割り当てのため、誰も任務を購入する必要がなくなった。そのため皆の功勲ポイントの使い道がなくなり、あたかも突如として万人平等の共産主義社会に突入したかのようだった。多くの平民が功勲ポイントを消費、特に娯楽に費やしたため、元一空間の消費エリアは異常な盛況を見せた。
もちろん、功勲ポイントにはもう一つの使い道があり、それはおそらく全ての新人が見落としているもの、すなわち医療だ。しかし、元一の医療を多用するということは、頻繁に怪我や苦痛を伴うことを意味する。盧安が見知った者の中では、白露だけがそうしていた。
白露の話が出たついでに言えば、盧安は知人たちが誰もオンライン中でないことに気づいた。それは彼らが多忙中であることを意味している。盧安はすでに彼らの多忙さから、帰零任務本来の雰囲気を感じ取っていた。
「私は何をすべきか? そしてどこへ向かうべきか?」盧安は思わず自問した。
今の盧安は本当に何一つ不足しておらず、ただ自己規律だけが欠けている。自分の理性が衝動に反旗を翻された後、盧安は制御不能な熱血が爆発することに恐慌を感じている。
第一類の同行異思の予演は理性を明晰化し、第二類の予演は目的達成後に感情的な行動が残る。第二類の予演が現実の盧安に投げかける感覚には、盧安の感情が含まれている。
一つの予演が現実に投げかける感覚を容易に無視できるが、これが毎秒数百回の予演であり、投げかけられる感覚が一秒間に数百回重なると、それは洪水猛獣となる。そこで今、盧安が最も恐れている現象は、同じ基準に対して二つの感情が生まれることであり、それは善悪を問わない。たとえば、本来なら慎重で警戒すべき感情が、内心でそそのかされる喜悦に爆発してしまうことだ。盧安自身の言葉を借りれば、これは狂っているということだ。
盧安が自分を深く分析している時、日本本土では、蛇部が管理する地下実験基地で、戦闘が行われている。
一つの武装小隊が暗い地下基地の入り口に到着し、銃を構えて順番に侵入している。
最初の兵士が侵入すると、手に持った照明棒を掲げた。彼は敵を発見せず、上に向かって叫んだ。「安全。」
仲間の指示を聞いて、兵士たちは次々に飛び降りた。蛍光灯の光の下で、彼らはこの地下基地が弾痕や弾の跡だらけで、床には多くの血痕があるが、奇妙なことに、一つの死体もないことに気づいた。
一人の兵士が隊長に尋ねた。「隊長、ここで一体何が起こったのですか?もしかして宇宙人か怪獣が逃げ出したのでは?」
隊長は言った。「S級任務だ、勝手に質問するな。」
「ここは、黄泉路だ。」
しかしこの時、全員の背後から落ち着いた女性の声がしたが、その平凡な声に全員が戦慄した。というのも、声のした位置は、後方にいた殿の仲間がいるはずの場所で、その殿の仲間は音もなく消えていたのだ。振り返ると、壁に凭れた死体だけがあった。彼の首には一筋の切り傷が走り、血がどくどくと流れている。
彼らが振り返る際、背後でまたドサッと倒れる音がした。全員が大いに驚き、隊長が叫んだ。「ばか! 全員みだりに動くな、目標は空間を超越する能力を持っていて、彼女はずっと我々の視界の外にいる。誰も死角を作ってはなら…」隊長の声は突然途絶えた。
「本当に賢いね」という声が上方から聞こえ、兵士たちはまるで神経質になったかのように上に向かって発砲した。彼らが顔を上げた瞬間、少女の姿が一瞬よぎった。続いて、空間の周囲で消音ピストーールの発砲音が何度か響き、顔を上げて射撃していた者たちがまた一斉に倒れた。
今度は彼らも反応し、手にした銃を抱えて周囲に向かって無差別に乱射した。しかし、彼らはまた一つの空間を見落としていた——彼らは背中合わせだったのだ。顔色の青白いセーラー服の少女がナイフを手に、彼らの死角から突然現れ、素早く背後から兵士たちの首の側面を一振りした。
3人の兵士が倒れ、他の兵士が反応した後、少女はすぐに消え、振り返ったばかりの兵士の背後に現れ、同時にそれを見た他の兵士に冷たい笑みを見せた。他の兵士たちが「やめろ」と叫ぶ中、背後から刀でこの兵士を殺した。
果てしない闇の中で、兵士たちは崩壊した。亡霊のような相手を前にして、いかなる戦術も無意味だった。相手はまるでおもちゃを弄ぶように最後の数人を苦しめ、左の暗がりから一発撃ったり、背後から突然現れて刺したりする。仲間の死体も、兵士が振り返る瞬間に音もなく消えていった。
最後の発狂した兵士がトンネルから這い出てきた。周囲にヘリが急行し、その兵士を連れ去った。
半時間後、蛇部本部の広いホールは研究者でいっぱいだった。各人の前には電子画面が一つある。
そして、ホールの正面には、巨大な光画面に、先ほど作戦小隊が出動した状況や、その狂った兵士の瞳孔に埋め込まれたマイクロカメラで大まかに撮影された戦闘シーンが映し出されている。
丹仁ひげを生やした禿げ頭の研究者がホールの前に来て言った。「全体的に見て、我々の実験は成功だが、最後に回収の問題が残った。」その後、この研究者は「光陰計画」について説明した。
光陰計画、つまり時間系超能力者を製造する計画です。当初は男女が共に実験に参加していましたが、後に女性のみの参加となりました。男性は性格が衝動的で怒りやすく、体内の関連ホルモンによる感情の変化が、実験者を早期に無秩序状態へと陥らせやすかったためです。また、時間と空間にはある程度同じ性質があることから、その後、彼らは空間系の資質を持つ超能力者を実験対象に選びました。
このような残酷な実験は超能力者の超能力のみを追求し、超能力者の実情を顧みることはありませんでした。大量の実験を経て、六千人もの若者の死、その中には八百人の初級超能力者も含まれるという代償を払った後、彼らは光陰制御者——コードネーム「光陰」を生み出したのです。
淺空明子は、もともと一級の超能力者であり、持っている空間能力は一匹のハエを五センチ動かす程度のものだった。しかしその実験で、彼女と六人の仲間の思考は時間ループの空間に閉じ込められ、互いに何度も終わらせ合うことになった。このような経験は実験者の人間性を狂気のように歪ませていく。
ただ彼女だけが耐え抜き、空間超能力は四級にまで成長すると同時に、周囲の物質の軌道の流れに対してもある程度の予知能力を持ち、十六秒後の状況を予知できるようになった。これこそが蛇部の研究者たちが夢にまで見た時間系超能力者である。
そして淺空明子の現在の心理は間違いなく異常である。実験者がおとなしそうに見える彼女を解放すると、彼女はすぐに表情を変え、実験室全体を虐殺した。
実験室の下水道では、死体の一部が次々と暗渠に積み重なり、基地の排水システムから排出される廃水は暗赤色になっていた。ゴミを捨てるかのように、殺した後、淺空明子は空間の力で解体し、下水道へと捨てる。これはある少女の潔癖症からくるものだろうか。
蛇部の大会議で、この研究員の言葉が終わらないうちに、ある主任研究員が立ち上がって言った。「川和、今の回収案は何か?もし制御できないなら破壊すべきだ。現在の状況は火遊びをしているようなものだ。」いわゆる破壊とは、温圧爆弾で基地全体を壊滅的に攻撃することを指す。
川和と呼ばれる研究員は言った。「いやいや、破壊はできない。彼女は我々の傑作であり、まだ使っていない切り札がある。」大画面には一枚の写真が映し出され、そこには三人の家族が写っており、中央で微笑んでいるのが淺空明子だった。
川和は少し得意げに言った。「人間には弱点がある。しかも彼女の未来予知能力は使い続けると同時に衰え続けている。最新の資料によると、彼女の現在の予知能力は最初に比べて少なくとも三分の一弱まっている。」
川和のチームは非常に細かく観察し、戦闘リズムを分析して、淺空明子の戦闘中の予測がますます短くなっていることを発見した。そしてこのデータ収集は、攻撃チームの一団が命を落とすことで得られた資料である。
川和はまとめて言った。「彼女は我々と協力しなければならない。時間の性質を維持するには、ロードするしかない。取締役会に権限を与えるよう要請する。」
次に、蛇部の大会は投票段階に入った。車座に座る権力者たちは、前に置かれた光の画面で相互にコミュニケーションし、投票する。
川和の側で、島田という中年男が川和に尋ねた。「たとえ彼女の時間能力の補給を掌握できても、どうもこれは危険すぎると思う。」
川和は神秘的な笑みを浮かべて言った。「科学探求にはリスクがある。西の大陸の同業者たちに比べて、我々は彼らより少し大胆になることでしか彼らを凌駕できないのだ。」
「なるほど、西大陸のあの古臭い連中は頑迷固陋だ。彼らが最強の地位に耽っている間に、すでにひっそりと遅れを取っているのだが——」島田は川和をじっと見つめて言った。「たとえ遅れを取っていても、その実力は依然としてこの星全体で最強だ。まだ彼らに挑発する時ではない。」
川和は笑って言った。「その日は、そう遠くない。」




