0088 不穏なセカイ
光線が天から降り注ぎ、盧安の姿が降臨台に現れた。そして、もう一つの降臨台へと向かっていった。
盧安が歩いて来ると、北頜たち五人も降臨を完了した。
盧安は北頜をじっと見つめ、前に言った方法で早く人情を返すように促した。北頜は元一の公共チャンネルで二つの発言を投稿し、盧安も公共チャンネルで穿山甲のコードネームで発言した。「北頜は私の提案を受け入れた。私と彼の間の人情はこれで清算された。」
これらをすべて終えると、盧安は司軒を見て言った。「司軒兄さん、先に行くよ。」
盧安は元一の光幕を操作し、五百万の功勲ポイントを司軒の口座に移した。盧安は北頜に笑いかけて言った。「俺たちの友情は清算されたわけじゃないからな。」
司軒は自分の口座にポップアップした数字を見て、何か言おうとしたが、盧安は振り返り去り際に「縁があればまた会おう」と一言残した。
平凡な盧安はすぐに人混みの中に紛れ込み、同時に陸成の探索を避けた。
元一空間内には、上方に向かう光柱だけが遠く手の届かない場所へと続いている。この空間で感じるのは、何よりも自己の小ささだ。盧安がいるこの巨大な区域は、一辺が数百キロメートルの正六角形で、ほぼ無限の大平原と言えるが、六角形の周囲は無限に上へと伸びる暗色の帳に囲まれており、見えるのはただの井戸の口だけだ。
戎星の旅は、盧安を失望させて終わった。盧安は顔を上げてぼんやりとこの広大な元一空間を見つめ、取りとめのない思いに耽り始めた。
盧安は何かを思い出し、うつむいて光幕を表示させ、李三祥に通信を繋いだ。
李三祥は賑やかな光柱のそばで待っていた。盧安からの連絡を見て、彼は笑いながら尋ねた。「出てきたか?」
「出てきたよ。」
「収穫はどうだった?」
「やられたよ。」
「どういうことだ?」
「私はあの任務の主要強化を取れなかった。身体能力は以前のままだ。」
「でも、君の顔には失望の色は見えない。」
「私は追加任務を一つ達成し、この任務全体で、元一が私に罠を仕掛けていたことに気付いた。今、彼は規則に従い、私に二つの選択可能な任務の機会を与えた。」
「罠を?」李三祥は驚いて言った、「ちょっと待って、詳しく話してくれ。」
李三祥は白露を通信に引き入れた。この二人に向かって、盧安は今回の任務には非常に腕の立つタイムトラベラーがいると説明し始めた。最後に自分は司軒や北頜ら数人の共同努力で相手を打ち負かした。盧安は打ち負かす過程を一言で済ませ、重点的に元一が罠を仕掛けていたのを見破ったこと、元一がある種の法に基づいて自分に賠償したことを述べた。
白露は李三祥に説明した、「これが元一の流儀だ。」
李三祥は白露を見て、それから盧安を見た。白露が盧安を見る目つきはスパイを審査するようなものだったからだ。李三祥も同様に盧安を少し審査するように見た。
「盧安、今回の任務が終わって、君は何だか少し変わった気がする。」
「この任務で、いろいろなことに遭遇したんだ。」
「君みたいに強化を受けなかったのは何人いる?」
「俺一人だけだ。」
「わかった。」李三祥はうなずいて言った。「でも、損はしてないだろ、任意選択任務の権限が二つもあるし。」
李三祥は首をひねって隣の任務の光柱を見て、盧安に言った。「俺の任務が始まる、次の任務で会おう。」
李三祥が通信を切った後も、白露は通信を切らなかった。彼女は言った。「元一任務で触れた追加任務は、どれも簡単じゃない。純支援のチームじゃ対応できないと思う。」
盧安は白露を見てうなずきながら言った。「みんなで成し遂げたんだ。一人ひとりが欠かせない役割を果たしたんだ。」
白露は盧安が戻った後の元一公共チャンネルの発言記録を呼び出し、盧安がさっき北頜に送った発言記録を指さし、そしてこう言った、「では問題です。穿山甲は一体何と言ったのか、それによって穿山甲と北頜の間の借りが帳消しになったのか?」
白露は黙り込んだ盧安を見て、突然光幕の中の盧安の額をはじいて言った。「まあ、少し警戒心があるのは、成長した証拠だ。成熟も大切なんだ。」
白露が通信を切り、盧安はため息をついて目を閉じた。
盧安が目を開けると、自分はまだ学校の寮に横たわっているのに気づいた。寮のゴミ箱には食べ残しの煮肉の骨があった。
メインワールドに戻った後、盧安は窓を開け、新鮮な空気を深呼吸し、同行異思の予演を毎秒二十数回に発動させた。
今回の帰還で、世界は変わっていないが、盧安の目に映るこの世界は大きく異なって感じられた。
今、盧安にはある程度の透視能力がある。毎秒二十数回の同行異思の盧安が壁の向こうの世界を見たいと思った時、これらの予演が終了するとその目的を現実の盧安に伝える。現実の盧安はやはり強制的に予演を発動させられるが、これらの予演の中で同行も異思もしない盧安はその目的を持って壁を打ち破り、それから視覚を注視し重点的に記憶し、その視覚を現実の盧安に伝える。
第二種の予演が伝える視覚、聴覚などの感覚の重ね合わせの中で、盧安は夜の臨淵学院が格別に静かであることに気づいた。
盧安は屋上に来て、満天の星を見ながら、思わず一つ一つ数え始めた。
一つ一つの星の相対位置が素早く心に刻まれ、心の中の星図とスマホに記録された星図が徐々に重なり一致していく。そしてこの記憶の過程で、同行不同思の盧安は毎秒103回の発動に増えた。
(第0054章に続く)
上海市で最も有名なビルは五つ星ホテルである。ここは玄鳥部が今回スーパーパワー大会に参加するために一時的に宿泊する場所だ。
孫柏は今、ベッドに横たわり、虚ろな目で天井を見つめている。
孫柏は一日中ゲームをし、ついに「金の力」で玩家を買収し、キル数で一位を獲得した。
孫柏がぼんやりしていると、電話が鳴り、彼は条件反射で跳び起きた。彼は盧九重からかと思ったが、携帯を取り上げてみると、玄鳥部からの暗号化番号だった。
孫柏は眉をひそめ、別の電話カードを取り出して携帯に差し込み、電話をかけた。
電話からは陳非蒼虬の声が聞こえてきた。
陳非。「孫柏、そちらはどうなった?」
孫柏は息を吸い込み、もう隠し通せないと感じて言った。「陳所長、坤(盧九重)は現在虎部と協議中です...」
こちら、玄鳥部の全世界原子時計検測所で、陳非の白いひげが話すにつれて動きながら言った。「盧九重が協議に行くのか、一人で?!」
孫柏は強気で言った。「はい、彼はエントロピーと戦っています。」
陳非がしばらく沈黙し、孫柏が注意深く付け加えた。「双方の戦いは引き分けがつかないほど激しくなっている。」
「彼をすぐに戻らせろ!」
「ええと……坤の状況は君も知っての通り、私には少し判断が難しい。」
「彼の叔父の名義で彼を呼び戻せ。今は説明している時間がない、天數(てんすう)はこれまでにない大きな変化を起こしており、その変化の中心は上海にある。虎部は時間系の五級能力をできる限り検証したがっていて、坤はまさに最高のサンプルだ……」
孫柏は遅ればせながら尋ねた。「天數?今は具体的にどうなっているんだ。」
陳非が暗記している一連の空間座標の数値とフェムト秒レーザーの擾乱数値を報告すると、孫柏の顔が「サッ」と一瞬で青ざめた。
彼ら研究者たちから見れば、天數のこのような急激な変化は、ただ一つの可能性しかない。天數がどこかの研究部に取得・解析され、大幅に向上されたというものだ。そして天數は常に虎部の勢力範囲にあり、最近では東部に移され、今は上海に確定している。虎部が天數を獲得したことはもはや確実だ。
もちろん、上記はすべて彼らの推測だ。彼らがいい加減な推測をしている間、盧安は星を数え終え、自分の同行不同思が毎秒二十回以下の発動に急速に低下するに任せ、風呂に入って寝た。
ちょうどその時、坤と熵の海戦が熾烈を極めて行われていた。
紅衣の女性の髪が風になびき、海面の冷たい風をまったく恐れていない。
熵、本名は楚滄霞。単一の氷霜や炎の能力に比べ、彼女の能力ははるかに高級だ。
彼女の能力は、鄧大能の能力とやや似ている。彼女は地球上の任意の地域の六百万トンの物質を自身の能力の基底状態として選択し、次に目の前の物質をそれと連通させる。両部分の物質は急速に熱交換を行う。
彼女が基底状態として選んだ物質地域は、それぞれ千度を超える高温の火山地帯と、氷点下数十度のヒマラヤ地域であり、自分の目の前の物質はこれら両方と熱交換を行えるため、彼女のコードネームはエントロピーである。
海面上で、盧九重が引力で操る巨大な波と海底の泥が混ざり合った巨大な波に立ち向かう中、彼女は一葉の氷の小舟に乗り、まるでサーフィンのように波の先端に立っていた。その鋭い視線は常に盧九重の位置を捉えている。彼女の視線の先では、その海域が沸騰したかのように大量の気泡が湧き上がる。気泡が海面で弾け、大量の水蒸気が凝結し、海面には大量の白い霧が立ち込めた。
盧九重は終始近づくことができず、引力で楚滄霞を捕捉することもできなかった。両者の戦いは海面上で激しい波しぶきと氷と炎が交錯する中、終始膠着状態が続いた。
その時、遠くの海面に強い光がほとばしった。一筋の粒子ビームが遠方から勢いよく射してきた。粒子ビームは発射当初は小さな柱に過ぎなかったが、経路上でエネルギーを補充されたかのように、ますます強くなっていった。たちまち、この粒子ビームは水峰に命中した。
この粒子ビームは水峰で数十トンのTNT火薬相当のエネルギーを放出し、水峰を白いきのこ雲に吹き飛ばした。盧九重は海中に落ちたが、一波に溶け込み、再び高くそびえる水峰を形成した。
盧九重は遠方にいるもう一人の五級超能力者を見た。空中に静かに立つこの五級は三十代半ばに見え、動力装甲を着ていた。一対の金属製ブーツがイオンビームを噴射し、彼の空中浮遊を維持していた。
新たに来た超能力者は虎部に属し、彼の声が海面に悠揚と響き渡った。「坤、ただ遊びに来ただけなら、ほどほどにしてください。」
盧九重は震える波を制御しながら、巨大な叫び声を上げた。「エネルギー障壁よ、私がお前を恐れるとでも?まとめてかかってこい!」
エネルギー障壁、本名は崔驀然。彼の超能力の形態はその名に恥じない——エネルギー障壁を操る。
物質の反応にはすべてエネルギー障壁があり、まず一定のエネルギーを与えなければ物質は反応を起こせない。エネルギー障壁が低いもの、例えばガソリンはちょっとしたことで爆発し、高いもの、例えば一般炭は露天に積み上げても自然発火の心配がない。
崔驀然の超能力は、物質反応を制御するエネルギー障壁を操作できる。エネルギー障壁を低下させれば、石炭を空気中で自然発火させることができ、逆にエネルギー障壁を高めれば、黄燐のような可燃物でも六百度まで加熱しなければ発火しなくなる。彼の超能力は、化学反応のエネルギー障壁を広範囲に変えるだけでなく、核反応のエネルギー障壁も小範囲で変えることができる。
彼が着ているこの装備は、虎部が彼のために特別に作り上げたものだ。物質反応のエネルギー障壁が低下することで、超小型の核融合炉はSFではなく現実のものとなる。
死んでも負けを認めない盧九重に対し、崔驀然は軽蔑したように笑った。彼は右手を持ち上げ、莫大なエネルギーが掌に集まっていく。
彼が発射しようとした瞬間、崔驀然の目が突然ピクッと動き、すぐにもう一方に狙いを定め、手のひらからのビームを即座に放った。一方、巨大な水流が巨剣のように崔驀然にまっすぐ突き刺さる。水流と粒子ビームが衝突し、大爆発が起こった。
1秒後、崔驀然の視線はイオンビームで爆破された水霧を通して、遠くの海面に、また新たな招かれざる客が現れたのを見た。彼は目を細めた。
龍部の姬流が来た。




