0006 超能力
図書館で、盧安は本をめくりながら、自分が求める資料を読んでいる。
この本は、この世界の人間の超能力現象について述べている。
超能力とは何か?盧安がこの世界で最初にこの言葉を聞いたとき、自然と二十一世紀の笑い話を思い浮かべた。二十一世紀初頭、コンピューター占い、ナノ米、超能力、気功といった、流行の科学技術用語で包装された封建迷信が登場し、広範な大衆の最先端科学技術への無知と伝統的な神秘性を利用して、詐欺を働いていた。
知識が増えるにつれて、盧安はこの世界の状況が前世の地球とは異なることに気づいた。盧安は次第に、自分の今の状況が一種の超能力かもしれないと認識するようになった。
この次元の地球は非常に特殊だ。大量の特異粒子が地核から噴出し、地球全体が宇宙でも珍しい、すべての粒子を観測できる領域となっている。これにより科学者たちは統一場理論を構築し、宇宙の構造を完璧に説明することができた。
構造が機能を決定し、暗黒物質の構造が異なると、その属性が通常の粒子の属性と異なることになり、また暗黒物質粒子の濃縮ルールも通常の粒子とは異なる。通常の化学プロセスが継続すると、通常の粒子は代謝を形成するが、暗黒物質粒子は徐々にこの化学プロセスに沈着する。もし化学プロセスが十分に長く続き、長い時間の中でその化学プロセスが積み重ねた変化が十分に多ければ、一部の暗黒物質はそのような化学プロセスの上で濃縮される。
この化学プロセスは、遺伝子の複製であり得る。その持続時間は長く、生命が誕生した古代から現在まで続き、その変化は多く、無数の変異と進化がある。そして人類の遺伝子は地球上で最も複雑であり、また長い時間の中で変化の回数が最も多いため、暗黒物質を最も良く濃縮できる。だから、人類は超能力を持つようになった。
世界各国の超能力組織は、人間の超能力を世界への総合的な影響力に応じて、5つのレベルに分類している。
レベル1、初醒者;
レベル2、卓然者;
レベル3、超然者;
レベル4、大能力者;
レベル5、神眷者。
各組織は5つのレベルの名称が異なるものの、評価基準はほぼ同じである。具体的な超能力については、さらに詳細な分類がなされている。
全世界で超能力を持つ幸運な者たち、登録されているのは合計523万人で、世界各地の超能力組織が建設した特別な都市に集まっている。これらの都市は中国本土に三つあり、それぞれ龍部の紫薇区、虎部の崇明区、玄鳥部の未央区である。これらの都市には共通の称号がある。黄金区。そう、超能力者はまさに黄金のような存在であり、希少で、普通の人よりも多くの社会的価値を生み出せるのだ。
ここまで読んで、盧安は世界各地が比較的平穏である理由を知ったが、同時に一つの疑問が湧いた。この世界はどのようにして超能力者を見つけ出し、統一したのだろうか?
盧安は前世で古典的なハリウッド映画『X-MEN』を見たことがある。映画の中で、特殊な能力を持つ人間たちを、政府はまったく一元的に保護することができず、そのため、能力者と普通の人々との間に矛盾が蓄積し、能力者と人間政府との戦争が引き起こされた。
盧安はページをめくり、すぐに答えを見つけた——超能力者は周囲の暗黒物質場の変動を引き起こすことができ、人間政府はその場の変動に基づいて超能力者を見つけ出すことができる。
「まさか、私も変動を誘発したのか?」盧安は思わず声を潜めて自問した。「それではなぜ、私は発見されなかったのか?」
盧安は推測した。一つ目の可能性は、自分が引き起こした変動が小さすぎること、そして二つ目の可能性は、自分が目立たないことだ。
盧安の推測はほぼ当たっている。彼が引き起こした波動の振幅は小さいが、範囲は非常に広い。未来を一秒先に見ることは、一光秒以内の情報をシミュレートしトポロジー化できることを意味する。場の伝播が光速であるため、この世界への影響は微弱な原子時計の遅延現象として現れる。今のところ、この世界の玄鳥部は原子時計の遅延現象の発生源が華東にあるとしか特定できず、具体的にどの省かさえ確定できず、ましてやどの都市かを特定することもできない。盧安自身も超能力を過剰に使うことなく、自分の街でおとなしく普通の人間として過ごしている。そのため、玄鳥部は大勢の人々の中から有効に識別することができないのだ。
盧安は本を閉じ、今の自分の超能力の最大の用途は、利益を追い危険を避けることだと確認した。誰も自分を狙わなければ、自分の頭上には常に通行人のオーラが漂い、たとえ事故に遭っても、事故で傷つかないことが保証される。
安慶から長江を数百キロ下ると、上海市である。
長江の河口にある崇明島には、特別な都市がある。この都市は崇明区で、ここに住む六百二十万人のうち、十パーセントが超能力者であり、七十パーセントが超能力を発現する潜在力を持つ人である。
上海市全体は中国で最も経済が発展した地域であり、様々な新技術にあふれている。前世紀、東西の融合文化と現代技術の結合が、この都市に目を奪う光彩を放たせた。
崇明区、劉宇は格好良い高校の制服を着て、ストーーローをくわえ、のんびりと紅茶を飲んでいる。天井をじっと見つめ、何かを見ているようだ。
その時、誰かの手が冷たい水の入ったグラスを掴み、劉宇の顔にかけた。刺激を受けた劉宇は勢いよく座り直し、水をかけた相手に怒りを込めて言った。「お前、頭おかしいんじゃないのか!」
冷たい水をかけたのは美少女で、彼女は腕を組んで言った。「頭がおかしいのはあんたの方よ、劉宇!」
劉宇は、そばにいたのが誰かをはっきり見ると、少し驚いて、媚びるような笑みを浮かべて言った。「なんだ、夏星瑞か。さっきのは……ちょっと目を閉じて休んでただけなんだ。」
夏星瑞は「ふん」と鼻を鳴らし、それから首を振って言った。「目を閉じて精神を養うなら、きちんと目を閉じるべきで、目玉をいやらしくキョロキョロ動かすものではない。」
この17、8歳の美しい少年少女は二人とも四级の超能力者で、その能力も似ている。劉宇の能力は光線屈折で、夏星瑞の能力は光線一時保存である。そのため、劉宇の超能力は攻撃面では五級に匹敵するが、夏星瑞の超能力に克制される。二人の超能力が三级の時、いずれも透明化能力を発現した。劉宇は自分に射し込む光を完璧に体の側面から屈折させて自分を透明化し、一方夏星瑞は自分が反射する光を一時保存し、その場の光を一時保存してから放出することで、透明化の効果を得る。
レベル4に達した劉宇は、晴れた日に半径400メートル以内の太陽光を手のひらサイズの輝点に集め、コインを溶かすことができる。「日光之子」という劉宇のコードネームはここから来ている。
レベル4に達した夏星瑞は、自身の周囲数百メートル以内、総体積5立方メートル分の光を最長15秒間一時保存し、その後放出できる。攻撃力は弱いが、大勢の人の目を惑わせることができる。そのため、夏星瑞のコードネームは「幻像操作者」だ。
要するに、劉宇は戦闘力が高いが、天敵に出会うと大きく損をする。もちろん、夏星瑞と劉宇は喧嘩をしているのではなく、じゃれ合っているのだ。
先ほど劉宇がやったことは、確かにいやらしかった。彼は自分が見るものの光線を曲げ、クネクネと何度か回り道させてから自分の目に入るようにしていた——劉宇はスカートの中を覗き見していたのだ。これが劉宇の自分の超能力に対する特別な使い方である。
劉宇にはもう一つの使い方がある。試験のとき、彼はいくつかの教室の解答状況を覗き見することができる。普通の人が後ろを振り返らなければ他人の答案用紙を見られないのに、彼は光線を曲げて自分の目に入るようにするだけで見ることができるのだ。
現行犯で捕まった劉宇は、夏星瑞の叱責に遭い、口答えできなかった。しかし、今回夏星瑞は劉宇の私徳の問題をさらに追及して批判することはなかった。
二人は周りの学生たちの羨望の眼差しの中、個室へとやって来た。傍観者が羨むのは、男性の方は格好良く洒脱で、女性の方は冬梅のように美しいからだ。
個室の中で、夏星瑞は自分のバッグから資料を取り出し、劉宇の目の前の机に差し出した。劉宇は資料にざっと目を通し、驚いた様子で言った。「そこは虎部の勢力範囲ではないのに、上の老将たちはいったい何をしようとしているんだ?」
夏星瑞は長い髪をかき上げて言った。「崇明城の4人の五級超能者には、潜入行動に適した者が誰もいない。そして四級の中では、私たちの能力が最も適しているのだ。」
これを聞いて、劉宇は得意げな表情を浮かべた。しかし、劉宇が夏星瑞の目つきを見たとき、自分の得意を押し殺した。
「北方の龍、南方の虎、玄鳥は西の長安城に宿る。玄鳥はそんなに甘くない、虎部が動いたなら、龍部も止まらないだろう」と言い終えると、夏星瑞は資料の写真を見た、そこには廃れた倉庫が写っていた。
「活動期間中は、私の言う通りにしてくれれば、何も問題ない。この手の任務は、私は何度も完遂している。我々が協力すれば、成功率は九割に達する」と劉宇は笑いながら言った、「では、報酬はいくらだ?」
夏星瑞は一枚の銀行カードを取り出し、劉宇の目の前で振って見せながら言った、「この中には行動資金が入っている。成功したら、報酬はカードの中の十倍だ」。
劉宇は手首の装置でカードをスキャンすると、数字が装置の枠に表示された。劉宇は目を輝かせて、「それじゃあ出発しよう」と言った。
上海市の高層ビルの最上階で、唐装を着た白髪の老人が、崇明城の二人の大能力者が任務を受託したという知らせを受け取った。
この白髪の老人はうなずき、パソコン画面の映像に向かって独り言を言った。“華明よ華明、時間超能力を探求するために、お前たちはまさか聖地を使わずにはいられなくなるとは!”
老人はしばらくパソコン上の古びた倉庫の写真をじっと見つめ、それから続けた。“1915年、聖人降臨の地、一体どんな秘密が隠されているのか?玄鳥部、お前たちも結局は秘密を隠しおおせることはできまい。”
白髪の老人は背後にある壁の写真を見やった。写真には聖人總理が中山服を着て、口元にかすかな笑みを浮かべているように見える。




