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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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0005 身分契約の時間

 また眠りから覚めた。


 盧安(ルー・アン)は精力を回復した後、再び自身の人格における無数の欠点と向き合わねばならなかった。


 先に歯を磨くか、それとも顔を洗うか?もし自分の中に統一した理由がなければ、未来の1秒間のシナリオシミュレーションにおける10人の自分が、それぞれ異なる順序で行うことになるだろう。朝は思考が最も鈍い時間帯であり、盧安(ルー・アン)の頭には1秒間に10の考えが浮かぶが、昼の思考が活発な時であれば、1秒に20以上も浮かぶことがある。


 現実ではまず歯を磨いて口腔を清潔にし、上の歯を左から右へ磨き、次に下の歯を磨き、布団をたたみ、ゴミを持ち出し、朝の運動を始める。朝の30分間、盧安(ルー・アン)のすべての動作は秒単位で正確に行われ、機械仕掛けの時計(シー・ジー)のようだ。しかし前世では、孟位(モン・ウェイ)はそうではなく、思いついたままに行動するタイプだった。よほどの急ぎでなければ、すべて先延ばしにできたのだ。


 その時は怠けていたからで、今は楽をするためだ。今こうなったのは、習慣が身についてしまい、悩むことが少なくなったからだ。ある期間内に、最も効率的な動作を確認したら、非効率な面で無駄に考える必要はなくなる。


 簡単な朝の運動の後、盧安(ルー・アン)は服を脱ぎ、シャワーを浴び、清潔な服に着替えた。盧安(ルー・アン)は服装を整え、服のきつさを感じながら心の中で思った。「また背が伸びた、放課後に服を買わなきゃ。」盧安(ルー・アン)はペンで手のひらサイズの小さな手帳にメモした。


 盧安(ルー・アン)はドアを開け、一日の生活を始めた。


 生活はとてもシンプルで、学校に行って、それから放課後になって、最後に寝る、すべてがごく普通だった。盧安(ルー・アン)はまるで最も普通の通行人のように街を歩いていた。


 盧安(ルー・アン)にとって、平凡なことは何も悪くない。戦争時代の明日をも知れぬ生活を経験してこそ、平和がいかに素晴らしいかが分かる。そして盧安(ルー・アン)が今選んでいる生活は、最も平凡なものだ。


 大通りを行き交う車を眺めながら、盧安(ルー・アン)はため息をついた。何台もの車が通り過ぎるのを見ていると、数秒先を見通すシミュレーションには、自分がわざと車にぶつかる場面が何度も浮かんでくる。現実では、盧安(ルー・アン)は歩道で慎重に車を避けながら、頭の中に湧き上がる狂気じみた考えを一つひとつ抑え込み、自殺行為のレッテルを貼っていた。


 盧安(ルー・アン)は赤青信号を見て、すぐに手を背中に回した。なぜなら、シミュレーションシーンで、自分はコインで信号を壊したからだ。そして、どうやら悪趣味が身についてしまい、横断歩道を渡るたびに、ポケットからコインを取り出し、大勢の見ている前で信号を叩き壊すシーンを脳内で予行演習するようになっていた。


 もちろん、すべての予行演習がこんなに退屈なわけではない。この歴史線の中国社会は、孟位(モン・ウェイ)の前世の中国ほど安全ではなく、白昼の路上ではよく強盗が起き、夜には暴力団の集団喧嘩が頻発する。自分の力が足りない以上、未来の一秒で起こり得るすべての可能性を予行演習し、利に適い害を避けねばならない。もし盧安(ルー・アン)が一瞬で数百人を殺せる力を持っていたら、絶対に未来の一秒でさらに狂った考えが芽生えるだろう。だから、盧安(ルー・アン)はある事柄をずっと避けてきている。


 外から見れば、盧安(ルー・アン)の軌跡は非常に平坦だが、実際には、盧安(ルー・アン)は常に目立たない自分であろうと努力してきた。


 学校に着くと、普通人にとっては退屈な一日が始まった。なぜならこの日は試験があるからだ。


 授業中、ある者はうつむいて懸命に書いているが、ある者は注意深く問題を読んでいる。そして試験監督の先生が盧安(ルー・アン)のすぐそばに立っている。盧安(ルー・アン)の周りの生徒たちはつらそうな顔をして、時々盧安(ルー・アン)の方をちらちら見ている。


 普通人にとって、2コマ続く試験は非常に緊張するものだが、盧安(ルー・アン)はとても気楽に感じている。なぜなら盧安(ルー・アン)は事前に演習を行っており、時間は盧安(ルー・アン)にとって完全に十分だからだ。彼は落ち着いて問題を読み、解答することができる。


 試験は、未来の一秒間に二十数人の自分が珍しく思考を一致させるときだ。二十数人の自分が見る場所は違うが、全員問題を読んでいる。数字を先に足すか掛けるかなどのアルゴリズムの違いはあるが、全員一心不乱に計算に集中している。


 問題を正確かつ迅速に解答したあと、盧安(ルー・アン)の予演の目的性は消えた。暇になった盧安(ルー・アン)は、抑えきれずに騒ぎを起こし始める。


 自分が満点の成績を取った後、盧安(ルー・アン)は多くの六十分のクラスメートに加勢しようとした。前期、盧安(ルー・アン)はそうしたが、仲間があまりに馬鹿で、後に失敗した。前回の試験では、外で巡回していた試験監督の先生が静かに窓の外に立ち、ちょうど教室の中の状況を見て、それから入ってきて盧安(ルー・アン)の周りの数人を捜索し、同じ筆跡の小さなメモを見つけた。


 教頭先生のオフィスで、盧安(ルー・アン)は「殺されても言わない」のパフォーマンスを生き生きと演じ、結局のところ特に罰則はなく、ただ席を前列に移動させられただけだった。すべての試験監督の先生が盧安(ルー・アン)のそばに立っていた。


 盧安(ルー・アン)は心の中でため息をつき、周囲の複雑な視線を無視して、感慨深げに言った。「ただの傍観者でいる分には問題ないけれど、いったん標的にされると、もうコソコソした小さな動きはできなくなるんだよな。」


 五分間かけて、最初から最後まで一通り見直した後、盧安(ルー・アン)は隣にいる先生の見守る中、解答用紙を提出した。教壇の前で、盧安(ルー・アン)は自分のスマホを取り出し、戻る時間のアラームをセットしてから、教室を離れ、図書館へと向かった。この一年半以上にわたり、こうした盧安(ルー・アン)の行動に学生たちはすっかり慣れてしまっている。


 羨む人もいるかもしれないが、しかし彼らは知らない、盧安(ルー・アン)が実は彼らを羨んでいることを。必要な目的が消えると、盧安(ルー・アン)には感じられた、自分が未来の一秒後にまた新たなでたらめを始めるのだと。自分が取るに足らない考えを生み出して予演の中ででたらめをしないようにするために、盧安(ルー・アン)は自分に一貫してやり遂げさせる何かを必要としていた。


 これが盧安(ルー・アン)の日常である。


 この世界の第二次世界大戦の歴史は、孟位(モン・ウェイ)がいる歴史ラインのそれとは全く異なる。打倒されたのはファシストーー勢力だけでなく、社会主義勢力も含まれていた。ソ連と日本は、この位面の第二次大戦において、社会主義勢力だったのだ。


 赤化した日本は、第二次大戦において、七分は元の日本の様子を帯びており、残りの三分は二十一世紀初期の北朝鮮によく似ていた。太陽の指導者を叫ぶこのような国は、第二次大戦初期にハワイ大虐殺を引き起こした。


 どんなスローガンを叫ぼうと、野蛮な行為と傲慢(アオ・マン)な文化は理想と文明を支えることはできない。中国製の水素爆弾が東京上空で爆発し、この時代の日本の野心家偉大なる指導者の夢を打ち砕いた。今や日本全体はアジア太平洋経済圏の重要な一部となっている。


 数十年前、中国の聖人首相(セイジン・シュショウ)は日本の武士道精神と極端な赤色精神を共に去勢した。今この国は桜の国であり、それは孟位(モン・ウェイ)がいる歴史線の二十一世紀の北東アジアの島国と何ら変わらない。ただ、二つの歴史線で日本に駐留する国が異なり、背後で支配する国も異なる。


 世界で超能力の存在が確認されてから、世界各国は合わせて12の超能組織を設立し、そのうちいくつかは改名された。改名されていない組織は虎部(フー・ブー)、龍部(リュウブ)、蛇部(シェー・ブ)のみである。偷天部、龍部(リュウブ)、虎部(フー・ブー)、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》、蛇部(シェー・ブ)、独角獣社、金羊社(ジン・ヤン・シャー)、天狼組(テンロウ組)、檮杌(タオウー)組、夔部、犼部、猿部、これらが現在の超能組織の名称である。これらの組織の根幹勢力はそれぞれ各大陸と各大洋に分布している。その中で、偷天部は南極に、龍部(リュウブ)、虎部(フー・ブー)、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》は中国本土に、独角獣社と金羊社(ジン・ヤン・シャー)はヨーロッパに、天狼組(テンロウ組)はシ貝利亞(ベリヤ)に、檮杌(タオウー)組は南米に、夔部は南アフリカに、犼部は南洋に、猿部は南アジアに位置している。勢力が最も強いのはそれぞれ龍部(リュウブ)と偷天部であり、第二勢力は虎部(フー・ブー)と獨角社《ドゥー・ジャオ・シェー》で、蛇部(シェー・ブ)は第三勢力に属する。


 岡城の地下三百メートルに基地があり、そこが蛇部(シェー・ブ)の本部である。


 日本にとって、現在の時代は歴史上の平安時代のようであり、見かけは繁華だが、百鬼夜行のごとくである。


 岡城のとある通りでは、救急車のサイレンが次々と鳴り響いていた。現場では、高校の校門前にパ硝煙(トカ)ーが停車し、警戒線が張られて高校が封鎖されていた。生徒たちが校舎から次々と運び出され、白いマスクを着けた特殊な医療スタッフが救助に当たっていた。生徒たちは救急車に運ばれると、すぐに半球形の器具を装着された。


 三日后、六十七人の生徒を脳死に至らしめたこの事件の死因は、対外的にガス中毒と発表された。


 岡城の地下基地では、一人の博士が収集したデータと映像を見つめていた。


 映像の中では、脳死状態の学生たちが教室で椅子や机の角、ペンなどを使って殺し合っていた。


 これは実験である。南雲材(ナン・ユンツァイ)という学生の自己申告による体験を通じて、この実験を紹介しよう。


「2月15日、私はいつも通り学校に来たが、今日の先生は別人だった。」


「教室に来て、とてもがっかりした。男の先生だったし、授業は退屈で無味乾燥だった。」


「この退屈で無味乾燥な授業は二十分も続き、眠気を誘ったが、突然教室が騒がしくなり、男の先生は消え、水銀色の球に変わった。」


 それだけでなく、窓の外400メートルの範囲内のすべてが、まるで世界全体から独立しているかのようだ。壊れない結界が内外を隔てている。私たちはすぐに、外界が実際にどうなっているのかを知った。外界のすべては、一日前の3時間のループを繰り返している。巨大な時計(シー・ジー)台の針が3目盛り回転し、その後、再び元の目盛りに戻るのだ。空では旅客機が何度も何度も飛び、その飛行軌跡は毎回同じで、雲の変化さえも同じだ。私たちはこの3時間のループに閉じ込められている。


 他のクラスはがらんとしている。それだけでなく、学校全体に誰もいない。誰かが突破を試みて外界へ行こうとしたが、跳ね返されてしまった。この結界は、まるで弾力のある壁のように、すべてを跳ね返してしまう。


 私たちは四つの輪廻を過ごして、ようやく秘密を発見した。教室にあるあの銀の球には文字が刻まれており、銀の球に示されているのは修羅場のルールだ。


 全員を殺し、その後自殺する。それで一つの輪廻が終わり、最後に自殺した者が一回の勝利を得る。四百回の勝利を手にした者はここから脱出できる。


 みんな顔を見合わせたが、時間が経つにつれて空腹になり、高樹君(タカギくん)が実行に移した。他の生徒たちが高樹を止めようとしたとき、高樹を階下に突き落としてしまった。


 さらに三時間ごとの輪廻が三回繰り返された後、ついにみんな耐えられなくなり、集団で飛び降り始めた。最後に飛び降りる機会を、ある一人の女生に譲ったのだ。


 私が目を開けたとき、すべてが元通りだった。みんなは再び教室に座っていて、銀の球を見ていた。飢えは消え去り、みんなは原点に戻っていた。


「しばらく静かにしていると、みんな次第にそれを信じ始め、すぐに武器を探し始めた。」


「そして次に起こったのは、殺戮だった。」


 南雲材(ナン・ユンツァイ)の記憶はここまでだ。


 実際には、実験全体を通じて、彼らは大量の休眠ガスを吸入し、休眠状態に入り、静かに教室でうつ伏せになっていた。そして、あの異動してきた教師は、実は蛇部(シェー・ブ)のメンバーだった。この蛇部(シェー・ブ)のメンバーは、机の上に砂時計(シー・ジー)のようなものを置いた。その砂時計(シー・ジー)の中央部分には、ボールペンの先ほどの大きさの小さな球があった。


 この微小な球体は、日曜日の午後2時から5時までの外界をトポロジー的に包含すると同時に、授業中の600メートル範囲内のすべて、人も含めてをトポロジー的に包含していた。


 南雲材(ナン・ユンツァイ)と彼の同級生がいる奇妙な空間がこのトポロジーポイントだ。正確に言えば、彼らの本体は休眠状態にあり、思考意識はトポロジー世界の身体の中にある。もしこのトポロジーポイントが突然破壊されたら、彼らが経験したすべてはこの世界に何の記録も残さず、すべての殺戮の記憶はトポロジーポイントの消滅とともに消え去る。そして彼らは眠りから覚める、まるで一眠りしたかのように。


 しかし、蛇部(シェー・ブ)はそこまで善良ではない。大型の先進科学設備を使って時空クリスタルボールを製造するのは、決して容易なことではない。そのため、彼らは実験者のすべての記憶を、現実世界で対応する実験者の身体にそれぞれ注入するのだ。


 これらの学生は教室にたった20分しかいなかったが、時空晶球の中では数千時間もの殺戮の記憶を持っていた。大量の記憶が突然現実世界の脳に流れ込み、大量の情報が注入された結果、脳が死んだ。これがこれらの学生の死因だ。


 この博士はまるで一群のモルモットを見るかのように、すでに植物状態の実験者一人一人を見ている。彼はそばの助手に言った。「第六次時空超能覚醒実験失敗、上級に次の実験を要請する。」

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