0061 富を奪う
夜の帳が下り、通りはひっそりと静まり返り、風が葉を転がすささやきがはっきりと聞こえる。
北頜の一行が行動を開始し、盧安は少し興奮していた。これほど多くの人とこそこそした真似をするのは、盧安にとって初めてのことだ。禁令を破ることには、いつでも一種の放縦な快感が伴う。
すぐそばを通り過ぎながら、まるで大の大人がいることに気づかない夜番を見て、盧安の頭に「法の網をくぐり抜ける」という言葉が浮かんだ。
夜番が銅鑼を提げて遠ざかると、言藝夜隠の加護範囲内にいる時空の傭兵たちは、再び目的地へと歩を進めた。
間もなく、六人は高さ三メートルの壁の前に到着した。壁の上部には鋭いガラスの破片がびっしりと並んでいる。
風無畏はロープを手に軽々と壁に飛び乗った。彼のスキルは空気を操るように見えるが、実際は流体の粘り気を操るものだ。足元の空気が餅のように粘り、壁のガラス破片の上にしっかりと立ち、ロープを下ろした。その後、盧安がロープを伝って登ってきた。
盧安はハンマーを持って高い壁に登ったが、すぐには壁のガラス片を叩き潰さなかった。なぜなら、シミュレーションでガラス片を処理している時に三匹の番犬が吠えているのを見たからだ。そこで現実では、盧安は三枚の割れたガラス片を摘み取り、ぱちんこでそれぞれ発射した。抵抗のない膜で覆われたガラス片はそれぞれ非常にまっすぐに犬の頭に命中し、三匹の犬の頭蓋骨を貫通した。その後、盧安は一瞬で抵抗のない膜を解除した。この時、ガラスの破片が番犬の脳組織内で転がり、三匹の凶暴な番犬はこうして死んだ。
盧安の戦績を見て、風無畏は盧安に親指を立て、そして壁の下で待つ人々にOKサインを示した。
今では、盧安はチームのメンバーの能力をはっきりと理解している。彼らは全員がサポート役で、攻撃力はほとんど無い。
北頜のスキルは震波を制御することだ。理論上は、才能が成長した後期には、火薬の震波を制御できる。例えば、火薬が掌中で爆発し、指向性の衝撃波を放出する。だが今は、北頜は震波を使って偵察を行うことしかできない。
風無畏のスキルは粘度の制御だ。この才能が成長した後期には、人の呼吸を困難にして窒息死させることができる。しかし今は、彼は空気と壁に吸盤効果を生じさせ、梁上の飛賊になることしかできない。
周韻のスキルは物質探索だ。十分な物質が彼女の手にあれば、数十メートル範囲内で同じ物質を容易に感じ取ることができる。大金持ちの家に忍び込み、金銀や細かい貴重品を効率的に探し出すには、周韻の才能が頼りだ。
盧安がいなければ、このチームには主戦力となる者が全くいない。なぜ誰も戦闘の才能を選ばなかったのか?予行演習で盧安が理由を確認した。彼らの背後にある組織が大量の補助型時空傭兵を必要としているからだ。
補助型の才能は、基本的に誰も交換しない。元一空間に入る傭兵は、絶対に戦闘力の基準に従って才能を選ぶ。元一空間に入る大半の人は、お嬢様の心を持ちながら召使の運命で、常に自分を中心にして、他人を自分の周りで動かそうとする。だから、それらの時空傭兵の大組織は、専門的に補助型能力者を育成する。そして、この任務に入る三つの小隊のメンバーは、すべて大組織が特別に選抜し育成した補助時空傭兵である。
なぜチームに戦闘メンバーがいないのか?この任務の危険性が極めて低いため、戦闘の才能を交換した時空傭兵を行かせる必要がないからだ。
巨大な屋敷に入ると、金塊と銀塊をしっかり握った周韻が北を指さして言った。「あそこです、量は多いですが、地下にあるようです。」
サブマシンガンを構えた北頜は言った。「成金は金を地下に埋めるのが好きだ。防毒マスクをつけて、エーテル噴射器を出せ。まず宝の隠し場所を見つけ、それから質屋の主人を捕まえて、開け方を吐かせる。」
北頜は眠り薬でこの人たちを眠らせて強奪しようとした。しかし、ある書斎で金庫への扉を見ると、盧安は鉄槌と鋼鑿を手に取り、破壊を始めた。これなら人を捕まえたり鍵を探す必要もない。
盧安は鉄槌を手に取り、一槌ずつ鋼のたがねを厚い銅の鍵穴に打ち込み、乱暴に大錠をこじ開けた。無阻膜に包まれた鋼のたがねは、まったく詰まることがない。鉄槌の衝撃力の加勢により、絶えず前へ押し進む。
北頜のチームはみな、盧安の能力のデモンストーーレーションをじっくりと観察している。司軒が尋ねる。「盧安、君の天賦はどの程度まで成長したんだ?」
盧安は振り返って手を広げて言う。「だいたいこの手のひらの面積で、完全な無阻を実現できる。普段は弾頭に使うことが多い。」
盧安は自身の無阻超能を隠す必要はない。いずれ他人に気づかれる力なら、堂々とさらけ出すべきで、隠して人に見せずにいては自分も不便になる。真に隠すべきは、予演のような発見不可能な天賦なのだ。
錠前が壊され、倉庫が大きく開かれている。目に飛び込んできたのは、三つの大きな銀の箱で、どれも机くらいの大きさだった。一方、67キログラムの金塊は、パソコン本体ほどの箱に入れられていた。
倉庫内で金銀が占める場所はさほど多くなく、むしろ多数の大きな棚に並べられた様々な希少品——例えば玉器、神像、書画、絹織物など——が目立っていた。価値の密度から言えば、これらの品々の方が上だが、他で現金化するとなると、余計な手間がかかってしまう。
盧安は倉庫の中を歩き回り、短剣を手に取った。刃渡りは60センチ、冷たく光り輝き、錆ひとつない。これは科学技術の時代でなければ生産できない匕首型の軍用ナイフだ。光にかざすと、刀身の模様が非常に規則的であるのが見える。刃の両側には極めて細かい鋸歯があり、まるでカマキリの前肢の鋸歯のようだ。これは、刃が優れた切断性を持っていることを示している。
盧安はこの短剣をじっくりと眺め、心の底から気に入った。実のところ、刀剣の実用性は盧安にとってどれも同じようなもので、無阻膜で包みさえすれば、チート級の物理特性で、何を切っても石鹸を切るのと同じように簡単だ。
盧安がこの剣を何度も見返しているのを見て、北頜は盧安に言った。「気に入ったのなら持っていきなよ。出かけるときに柄と鞘は取り換えておけ。」盧安はすぐに礼を言った。
盧安がお礼を言ったのは、倉庫に入る前に、北頜のチームは金銀以外の物品を持ち出すのを厳禁していたからだ。金銀は換金しやすい。他の物品は価値が高いが、換金が難しい。北頜は盧安のために例外を設けた。
北頜は周囲の壁を叩いた後、別の壁を指して盧安に言った。「ここを掘り開けてくれ。」
盧安はうなずき、手に入れたばかりの剣で北頜が指した壁を掘り開けた。
通常であれば、剣と壁のレンガが衝突すると、刃に大きなダメージを与えるが、無阻膜で包まれた物体は力の受け方が均一である。そのため、刀剣で壁を掘削する際には、剣全体が力を受け止め、壁は一点に全ての力が集中する。
壁のレンガは素早く砕け、中から小さな匣が現れた。
この小さな物体は非常に深く隠されていたが、北頜は微弱な震波によって壁の中に何があるかを察知できるため、それでも見つけ出された。
匣を開けると、一枚の金牌が現れた。金牌には切れ目があり、開けてみると中に一枚のカードが差し込まれていることがわかった。金牌の銘文には「聖者の令」と書かれ、金牌の中に埋め込まれた二酸化ケイ素のカードに書かれた漢字は非常に簡潔で、「工作証」の三文字だった。
これを見て、北頜の顔に笑みが浮かび、「カードの外側を包む金の素材は、歴代の王朝がこの身分証を保管するために使われたものだ」と言った。
盧安が尋ねた。「吉王朝が付け加えたのか?」
北頜は首を振った。「いいえ、おそらく吉王朝より前の王朝でしょう。今、吉王朝もこれらのものを集めています。これらの作業員の身分証は彼らが神殿の運営を把握するのに役立ちます。どの王朝も、これらの作業員の身分証を集めて神殿の操作権限を掌握してきました。王朝が滅亡するとき、それらのカードは行方不明になりやすく、後の王朝はそれらのカードを懸賞で手に入れ、神殿を掌握しようとします。」
盧安はリハーサルで尋ねた。「神殿はどのように制御されるのですか?」
リハーサルで、北頜は答えた。「神殿は高度に自動化された研究所で、自ら人体データを収集し、補給を受ければ持続的に稼働できます。そして、この研究所の人員は空輸で送られてくるモジュールを定期的に設置すればいいのです。」
「自動化設備は常に完璧だったが、人間の問題が生じた。メンテナンス要員はおそらく最初は星空にいた人類だったが、後にその仕事が退屈すぎると感じて、現地人に任せるようになった。何千年も経ち、かつての研究所の電子プログラムは今も忠実に規則を守り続けている。しかし、この特殊な身分のため、これらの現地人は惑星の勢力に買収された。やがて王朝が彼らのカードを手に入れた。その後王朝は滅び、一部の身分カードが流出した。新王朝は神殿の出入り口を掌握し、懸賞をかけ、カードを提出する褒賞として強化の枠を与えた。古い王朝が滅び、新たな王朝も同じことをしたのだ。」
現実では、北頜はその金のプレートを放り投げながら言った。「これは予想外の幸運だ、皆、荷物をまとめて早く移動しよう。」
四十分後、盧安は壁を掘り開けた。入ってきたときに掘らなかったのは、掘った穴が夜回りに見られるのを恐れたからだ。彼らは金の小箱と宝石・玉器の入った箱一つを運び出した。銀は重すぎるので、北頜は持っていかないことにした。
そして質屋の中庭には、十数人の男たちが折り重なるように倒れていた。地面には紙が散乱しており、紙の内容はすべて城内の太守が謀反を企て、この質屋を軍資金の調達に利用しているといった類の言葉だった。
この時代の役人は謀反の話題を恐れており、それは地球の二十一世紀の役人がスキャンダルに巻き込まれたり、規律検査が自宅に来ることを恐れるのと同じだ。そのため、北頜がこうしたのは、この質屋が訴訟の面倒に巻き込まれ、しばらく自分たちに構う余裕をなくさせるためだった。




