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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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0461 西安事件

 西安では、よそから来たばかりの盧安(ルー・アン)がまず直面したのは身分証の問題だった。


 この問題を解決するには、自分の情報を派出所に届け出て、各種手続きを経て紙の書類を準備した上で、全国データベースに入力する必要がある。


 これははっきりとした手続きの流れであり、この歴史の流れの中で、その手続き制度は初期においては非常に効果的に社会秩序を維持していた。しかし、人間社会は制度の更新を怠れば、どんな制度も穴だらけになり始める。そして今、この身分登録の手続きには大きな抜け道が存在していた。


 西部のこの地域は社会に生きる者が多く、盧安(ルー・アン)は来たばかりの頃から地元の顔の利く兄貴分たちと連絡を取っていた。5万元を支払うと、彼らは盧安(ルー・アン)を連れてこれらの証明書の手続きに回り始めた。


 派出所で、「盧安(ルー・アン)」という名前がシステムに入力され、その後署名し、記録として檔案に残し、二十日後に身分証明書を受け取りに来ればいいことになった。派出所にいる警察官たちは盧安(ルー・アン)をちらりと見て、「若いの、これからは衝動的なことはするなよ」と言った。


 盧安(ルー・アン)はただ礼儀正しく笑って、「しませんよ」と言った。


 その警察官は手を振って、「帰りなさい」と言った。


 次に、地元の大物も盧安(ルー・アン)に念を押した。「ここでトラブルを起こすな、さもなければ警察が捕まえなくても、筋の者がお前を始末するからな。」


 盧安(ルー・アン)はひよこが米をついばむようにこくこくと頷いた。


 整形手術のようなことは、西部地方ではすでに一つの利益連鎖を形成している。闇社会は単に無法者がナイフを持って街でみかじめ料を徴収するだけのものではなく、地方の隅々をひそかに管理している。彼らの権力は政府とシームレスに結びついている。警察とこれらの地方の「名望ある人士」との間には暗黙の了解ができあがっている。


 盧安(ルー・アン)のようなことは、ここではよくあることだ。今時、若者が外で何か事件を起こした場合、それは衝動的な喧嘩で過失致死を犯したとか、あるいは他の何かであれ、刑務所に行きたくないために、別の場所へ逃げ、地元に連絡して新たに身分証を作り直し、その地でおとなしく別の身分で生活するのだ。


 これが派出所の警察が盧安(ルー・アン)を説得した理由だ。この警察の目には、盧安(ルー・アン)のようなきめ細やかな肌の若者は決して密入国者ではなく、取り返しのつかない過ちを犯したのだろうと映っていた。こうした問題は、西部の省では金さえあれば解決できる。


 しかし、盧安(ルー・アン)はある種の感情を抱きつつも、この奇妙な過程を驚きの目で見つめていた。それはまるで21世紀のオタクがアメリカ西部劇のカウボーイ映画で無法に銃を撃つ場面を見るかのようだった。ところが22世紀になると、遺伝子配列解析のコストが極めて低くなったため、このような身分の再発行は不可能となった。なぜなら、誰もが生まれたときに遺伝子配列が解析され、いくつかの遺伝病の遺伝子とともにデータベースに記録されるからだ。身分証を再発行するにしても、体の遺伝子配列を変えることなどできはしない。


 身分を再発行した後は、仕事を探し始めることになる。


 外地人にできる仕事はいくつもない。正確に言えば、健康で頭の回転が速い労働力は、この社会ではまだ不足しているが、苦労に耐え、安い賃金で安心して働き、正式な契約を結ばない(労災費用を払い戻さなくて済む)労働者は、この社会では非常に不足している。


 資本家はまさにこのような労働者を好む。これが資本主義時代において、一部の国が不法移民に対して見て見ぬふりをする理由である。このような移民は社会にとっては不安定要素だが、資本家にとっては良い労働者なのだ。


 いくつかの場所を回った後、盧安(ルー・アン)はついに一つ、味わい深い仕事を見つけた——都市下水道の管理作業、つまりマンホールの蓋を開け、ヘッドライトとヘルメットを着用して中に入り、下水道の流れを確保し、ワイヤーなどの器具を使って配管内の汚泥を取り除く仕事である。


 その通り、盧安(ルー・アン)は西安——玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の本拠地で、都市配管清掃の仕事を手に入れたのだ。


 ある感情体が愚痴る。「一ヶ月前、私は上海で大勢の人の上に立ち四方を威圧していたのに、一ヶ月後、私は西安で下水道に潜っている……」


 盧安(ルー・アン)のこの感情体は、自分自身の境遇をこんなふうに冗談めかして語った。汚水処理パイプの件は、もし超能力を使えば、何の難しさもない。特殊な這い回る機械人形を折り畳み、刃物とスチールウールを装備して、綿状の詰まりを切断しながら管壁の汚れをこすり落とせば、だいたいそれで十分だ。


 実は、盧安(ルー・アン)は上海で地下体系(現在は浦東結界と呼ばれている)を構築したときも、地ネズミの仕事をしていた。しかしその時は、現実では常に地表にいた。だが今、盧安(ルー・アン)は堂々と地下を歩き回れるようになり、そして……西安は良い場所だ。都市計画は正方形なので、都市の地下構造は非常に規則的である。盧安(ルー・アン)はこの整然とした古い地区の計画をとても気に入っていて、それは自分の目的のために何かをするのに役立つ。


 すべての手続きを終えた後、盧安(ルー・アン)は西安の古城壁に登った。日差しを浴びて、千年の古都の城壁の斑点模様のレンガ壁はひときわ壮麗に見えた。


 盧安(ルー・アン)は超能力を展開し、六百の基準点を設置し、機械波で城壁全体を走査した。すると機械波が跳ね返って盧安(ルー・アン)の手の中に戻った。彼の手のひらに、氷晶でできた微型の城壁模型が現れた。


 盧安(ルー・アン)は掌の中の氷晶で構成された白い古城を見つめ、趣深く言った。「古い歴史と鋭く前進する展望、本当にロマンチックだな。」


 盧安(ルー・アン)の身から五キロメートル離れたところに、塔のような形をしたビルの上に、上向きに羽ばたく玄鳥の銅徽が立っている。現実では、盧安(ルー・アン)は一度もそこに目を向けたことがない。


 玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》は絶対に思いもよらないだろう、盧安(ルー・アン)が今この都市にいることを。そして盧安(ルー・アン)も彼らと一切の関わりを持たない。このような基地を他人の顔面に押し付ける行為を、盧安(ルー・アン)は玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》が自分を許すとは思っていない。


 上海事件はすでに一月が経過したが、何千キロも離れた上海で起きたにもかかわらず、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》内で引き起こされた嵐は、各部門の中で最も強いものだった。


 理由は単純で、最強の力がかつては手の届くところにあったからだ。少なくとも玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》内部の人々は手が届くと考え、盧安(ルー・アン)を買収するのに十分な時間があると思っていた。たとえ盧安(ルー・アン)が一度も戻るという概念を考えたことも表現したこともなかったとしても。彼らの大家族主義的な考え方には、宗族の概念が盧安(ルー・アン)に当てはまるという頑固な思い込みがある。


 これはまるで21世紀において、一部の現代人が、もし近代に戻って元首のような強権的な独裁制度を実施すれば、国が強くなり、農業経済から工業経済への移行に伴う一連の複雑な社会問題が解決できると考えたり、さらには四大家族を追い出さず国民党を打倒しなくても、中国は21世紀にこれほど発展できたと考えるのと同じだ。つまり彼らの思考には根深い固定観念があり、一方的にそう思い込んでいるのだ。


 そこで、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の好事家たちは分析を始めた。もしもあの時こうしていれば、今日はこうはならなかっただろうと、操作した者たちが自ら考える攻略法に従わなかったことをひたすら批判した。


 盧九重(ルー・ジウチョン)が龍部(リュウブ)に「仮住まい」し始め、鄧大能(ドン・ダーノウ)が娘を連れて北へ逃げたことで、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の力はかつてないほど弱まり、部内からは様々な声が上がった。しかし、それらの声は最終的に何らかの力の支配のもと、一つの方向へと導かれた——


「なぜ一族からは強者が輩出されているのに、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》はここ数年、いつも好機を掴めないのか?」


 上海事件が終結すると、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の清流派たちが次々と自説を発表し、操作者の無能を痛烈に批判する中、盧穹(ルー・チョン)が帰ってきた。


 しかし、盧穹(ルー・チョン)と一緒に帰還したのは、盛儒星(シェン・ルーシン)の率いる白銀の超能力者で構成された軍隊もいた。


 街の道路を、いかにも横暴そうな軍用ジープが次々と疾走し、目標エリアに直行した。それらの黒いカニのような車は宝塔大廈の前に停車した。


 玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》で、クーデターが始まった。


 これは虎部(フー・ブー)に続いて、中国で二番目に変革を起こした超能力組織である。


 虎部(フー・ブー)の変革は当初、非常に理不尽に見えた。多くの株主が強制的に追い出され、株式を手放すよう迫られた。しかし、虎部(フー・ブー)の変革は今の玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の変革に比べればまだ穏やかな方だ。西安で起きているこれらは、ほとんど小規模な戦争に近い。


 玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の一部の旧勢力は権力を手放したがらず、これらの大物たちはビデオ会議を開き、盧穹(ルー・チョン)への資金援助を制限し、玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》内での盧穹(ルー・チョン)の各権限を制限し、盧穹(ルー・チョン)が玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》内に新設した個人組織の解散を命令しようとしている。


 大量の命令はすでに紙の書類として印刷され、現在は最終段階の議論が行われており、どの人員を派遣して命令を執行するか、命令執行時にどの戦力を動員するかを協議している。


 ここでいう戦力とは、戦闘要員のことである。これらの元老たちはそれなりに知恵があり、盧穹(ルー・チョン)が追い詰められて手段を選ばず、命令に従わないことを恐れている。そのため、元老たちは微笑みながら盧華明(ホワミン)父子をなだめつつ、水面下で準備を進めている。手順が整い次第、最短時間で一斉に各部門へ命令を下し、盧穹(ルー・チョン)の周辺勢力を一気に排除しようとしている。


 しかし、彼らはやはり間違っていた。盧穹(ルー・チョン)は宥められる相手ではなかった。彼らが盧穹(ルー・チョン)に手を出そうとした時、盧穹(ルー・チョン)はすでに彼らに手を出していた。しかも堂々と公然とやっていたのだ。


 西安の北五キロ地点で、一機のヘリコプターが別荘の上に開いた天蓋からわずか三十メートル上昇した瞬間、機体の腹部から炎が噴き上がった。それと対応するように、二百メートル離れた場所で、黒いセラミック装甲服を着た赤髪の女性が両手を掲げていた。戦術バ伊莎(イーシャ)ーの補助を受け、この白銀の超能者は自らの超能力を正確に投射した。


 燃え上がるヘリコプターはそのまま屋根に墜落し、別荘内で依然として銃を手に抵抗を続けていた武装勢力は瞬く間に炎に包まれた。そして、近くにいた他の数名の超能者たちが状況を確認すると、すぐに残敵掃討を開始した。


 60キロ離れたある研究所で、多くの人々がもがいている。彼らは空気中の酸素がオゾンに変わったため、窒息しそうになっている。


 ガラス越しに、一人の男がタバコを一口吸い、ガラスドアを激しく叩いている。もがいている人々は、煙の輪を吐いた。


 400キロ離れたあるリゾート地で、元は青々とした芝生が血まみれになっていた。4人が無造作に地面に倒れており、彼らのもがき方から見て、苦しんで死んだようで、死因は動物による噛みつきである。


 そして、これらの凶獣となった動物も今は地面に横たわっている。これはどうやら黒背犬という犬種で、大型犬で、とても忠実で、通常は狂暴にならないが、ただし精神操作がある場合は別だ。


 ……


 このクーデターでは、大小さまざまな衝突が全部で二十数件発生した。


 これらの旧勢力の戦力集結に比べ、白銀の超能力者の出撃ははるかに便利で、少なくとも特殊部隊のように大型の目立つ銃器を持ち歩く必要はない。この一団が接近するのを待っているうちに、すべてが手遅れになる。


 そして今、西安の玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》本部ビルで、サングラスをかけた盧穹(ルー・チョン)は宝塔大廈を見上げ、手を上げた。指先から波紋が一つ、ビルにある巨大な玄鳥の銅徽に触れ、澄んだ音がビルに響き渡った。


 盧穹(ルー・チョン)は五十名以上の白銀の超能力者に囲まれながら、この玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の最高権力を象徴する建物に登った。

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