0455 龍と鼠
事態は終わっておらず、実はまだ始まったばかりだ。
盧安が全面撤退した後、太平洋の艦隊から航空機が飛び立ち、戦闘機が低空で上海の国連ビルを掠め飛んだ。この行動は、政府が上海の状況を再び掌握したことを世界に宣言した。
国連ビルの中では、電話を手にした職員たちが窓の外を飛ぶ戦闘機を見上げ、電話で現在の状況を付け加えた。
超能力者交流会は既に中断されていた、というより、始まっていなかった。計画では、今は11時で、開幕式を開催するはずの時間であり、各利益団体の代表が式に登場するはずだった。しかし今では、崇明区の学生でさえ、開幕式が開催できなくなったことを知っている。
次に、この世界の上層部たちは他にも重要なことをしなければならない。例えば、龍部に対する批判会は、必ず開かれる。
北京香山龍部基地。上海での盧安の件が一段落すると、多くの部署から龍部に電話が殺到した。全上海を巻き込んだ精神共鳴の過程で、心の秘密を漏らしたのは盧安だけではなかった——全員が秘密を漏らしたのだ。例えば龍部の一行——潘陽、姬流は、一年前に盧安が五級だと調査していた秘密をうっかり漏らしてしまった。
電話で龍部を問い詰めてきたこれらの部署は実権を持つ部署で、例えば太平洋艦隊司令部や上海の地方行政を主管する司馬仰は、龍部に急いで関連資料を送るよう要求した。
もちろん、虎部と玄鳥部の大物たちからも極めて迅速に電話がかかってきて、しかも名指しで李兵強を電話口に出すよう要求した。
そして各方面は半日のうちに、龍部がここ二年間に行った盧安関連の行動を調査し、整理し終えた。
その中には、五級の姬流を派遣して盧安に接触させ、さらに心霊制御系四級の潘陽と七人の四級を含む超能力者たちが、公然にも秘密裏にも盧安の上海での潜伏工作を支援した――学校の手配、軍の部署の紹介、生活費の送金などである。各派閥は、龍部がかつてこのルー家の「私生児」である謫落者をあまりにも優遇しすぎていたことを発見した。
その日の夜、龍部の香山基地で、各派閥の代表が会議のテーブルに着いた。これらは投影された人体であった。
李兵強は顔色一つ変えずに、これらの大物たちの前で泥鰍に関する檔案を報告した。
「2036年10月、上海の各地で日数に関連するプロジェクトが怪異な力によって破壊された後、我々の特別調査員が実地調査を行い、嫌疑をこのコードネーム『泥鰍』と呼ばれる墜落者に絞り込み、彼の身に神眷者に劣らぬ超能波動があることを確認したが、その心理状態を把握することはできなかった。」
「我々の社会調査を経て、この墜落者が大学受験の失敗と失恋という二重の打撃を受けていることが判明した。この不安定要素を安定させ、社会に予測不能な破壊をもたらさないようにするため、過去2年間、我々は彼を厳重に監視してきた。しかしながら、能力等級の判断を誤り、今日の事態を招いてしまった。今回の事件について、我々に責任がある。」
司馬仰は尋ねた。「大学受験に失敗?私の知る限り、彼は優等生だが、そんなはずがあるのか?」
李兵強は会議ホールの仮想スクリーンを開いた。スクリーンには一年前の上海地区の新聞が映し出された。司馬仰は興味深そうにその新聞を眺めながら、そばのスタッフに連絡し、現地の大学入試問題バンクを取り寄せさせた。
一方、そばにいた盛儒星は皮肉な口調で李兵強に噛み付いた。「李部長、ご謙遜が過ぎますよ。あなたに責任なんてあるわけがないでしょう?我々虎部の大きな面倒を解決してくれたんですから、この一年のあなたの働きぶりを称えて純金のトロフィーを作るべきですよ。」
李兵強は謙虚に首を振りながら言った。「盛局長、そう言われると他人行儀が過ぎますよ。みんな兄弟組織じゃないですか、一蓮托生、一栄俱栄なんですから。」
盛儒星はこの言葉を聞いて、口汚い言葉を吐きそうになった。その時、玄鳥部の責任者盧鼎が直接罵り始めた。「くそったれ、引き抜きをして誇りに思ってるのか。」
「もし私が引き抜きをしているのなら、先にあなたが口にする内通者(盧安)を処理してください。」李兵強の表情は非常に平淡だったが、盧鼎を怒りで喀血させるところだった。
李兵強は容赦なく追い打ちをかけ続けて言った。「そうだ、あなたたちはまた五級白銀を代償にして、神眷を目覚めさせる計画をしているんだって?本当にすごい、ハハハ。」(詳細は0356章を参照)
この計画はもともと単なる計画で、盧安が言うことを聞かないため、内部では犠牲にできる駒と見なされていた。しかしその後、盧安が太平洋艦隊に入ったことで、この計画は頓挫し、結果的にこの計画は天數の戦いの中で全市民のテレパシー共鳴によって漏洩してしまったのだ。
会議全体が混乱に陥った。口論の過程で、虎部と玄鳥部は龍部を批判していた。龍部が泥鰍計画の資料を引き継いだためである(詳細は0324章参照)。この資料について、龍部は一年にわたり一定の研究成果を上げており、皆が龍部にこの成果を公開するよう求めていた。一方で保守派はうやむやにし、龍部をかばって不公平に取り計らっていた。
その中の一つの理由は、盧安が去る際の行動である——盧安は李星霽、湯宏康、盧九重の三人に後始末を任せた。この三人のうち、李星霽は龍部と見なせ、湯宏康は保守派と見なせる。盧九重に関しては、上海での心霊共聯現象に伴い、家族との対立がさらに大きくなった。ルー家にとって今、最も痛い傷跡は、盧安と盧九重の両方を怒らせてしまったことだ。彼らが盧安を犠牲にして盧九重を目覚めさせる計画は、特に盧九重が必要な状況になった場合にのみ発動される。つまり、必要でなければ、彼らは盧九重をずっと眠らせておくだろう。そのため、盧九重は上海事件以降ずっと家に帰っていない。一方、盛儒星が今龍部に苛立っている理由は、現在中国の三つの超能力組織の中で、龍部だけが盧安と信頼できる関係を築いているからだ。盛儒星から見れば、虎部は本来もっと良好な関係を盧安と築けたはずだが、盛怡苒と盧安の関係は非常に気まずいものになっている。
騒がしい会議を眺めながら、盛儒星は立ち上がった。会議の喧騒がしばらく止み、全員が盛儒星を見つめた。
「あちらにまだ処理すべき用事があるので、皆さん、私はこれで失礼します。」盛儒星の投影がこの会議室から消えた。しかし投影が消える前、盛儒星は冷ややかに李兵強を一瞥した。
盛儒星には確かに用事がある、なぜなら上海側の状況が拡大し続けているからだ。第3回超能力交流会は完全に中断されたが、世界各地から来た客たちは交流会が完全に中断されたからといって去ることはなかった。むしろ、人がますます増えている。
白雪に覆われた南極、黒い砕氷船が氷の海に停泊している。
その時、空から一機の飛行円盤がゆっくりと砕氷船のプラットフォームに着陸した。この直径15メートル、高さ4メートルの大きな円盤がプラットフォームに近づき、飛行円盤の底から大量の気流が噴射し、甲板全体を衝撃している。
甲板に近づくと、空飛ぶ円盤の磁力と金属製の甲板が力の均衡を保ち、一定の距離を浮遊していた。円盤から若い男が降り立ち、外で磁力を使って円盤を固定していた史雲裂が歩み寄り、その若者に敬礼をした。
円盤から現れたのは、偷天部の元首、葛天行だった。彼は非常に若く見えるが、実際の年齢は50歳を超えている。彼は鄧大能と並ぶ、第一世代の五級超能力者である。
彼の超能力は「造物」で、物質の形状を再構成することができる。不規則な花崗岩の石も、彼の手にかかれば精巧な石彫に変わる。造物の作用範囲は100立方メートルだが、実際にはその100立方メートルで広範囲の空間を素早く走査でき、その空間に人間がいなければ、その領域の物質を自由に再構成できるのだ。
南極大陸全体に広がる大規模な地下都市プロジェクトは、葛天行の超能力なしでは実現し得なかった。彼の超能力場が大地を走査すると、地表は厚みを増し、地下は空洞化する。これは地表の空間が地下へと転移されるためだ。数秒のうちに、彼は広大な空間を改変することができる。
二人が船室へと足を踏み入れると、史雲裂はあらかじめ用意していたタブレット端末を葛天行に手渡した。葛天行はそこに表示された資料に目を通しながら言った、「鐘鳴の様子はどうなっている?」
史雲裂は答えた、「彼の容態は良好です。上海の事件では、かの御方は彼に手を出されませんでした。」
葛天行が立ち止まると、その瞬間、船室に変化が生じた。もともとまっすぐだった船室の通路に、斜めの通路が出現した。その通路は操縦室へと直接通じている――彼が超能力を発動し、船室の通路配置を直接書き換えたのだ。もちろん、彼が操縦室に到着した後は、元に戻るだろう。
葛天行にできることはこれだけではない。彼には変更できるものがまだたくさんある。他の部署では彼のコードネームは神工であり、偷天部内部でのコードネームは造物主である。
船体の制御室に入ると、壁の出口が瞬時にふさがった。
史雲裂から鐘鳴が無事であることを確認すると、葛天行はうなずいて尋ねた。「それで、この事件をどう見るか?」
史雲裂は少し照れくさそうに首を振った。「去年上海で盧安を見たことはなく、神女降臨の兆しもまったく感じ取れなかった。」
葛天行は眉をひそめて言った。「神女?うん、まあそうだな。だが、時間能力者がこれほど超能力場の強い存在を妨害するのには、理由があるはずだ。神女降臨の現象が福か禍かはひとまず議論しないでおこう。まずはあの……この盧安、コードネームはないのか?」
史雲裂は気まずそうに言った。「います、コードネームは泥鰍、レベル4です。」
「そのコードネームは何だ。」葛天行はせせら笑いながら言った。「大陸の超能力部門はますますいい加減になっているな。代わりにコードネームを付けてやろう。時計と呼ぼう。」葛天行はパソコンを史雲裂に放り投げ、指示した。「彼を見つけ出し、南極大陸に来るよう伝えろ。彼は王になれると。」
史雲裂は一瞬たじろいだ。葛天行は笑いながら言った。「後浪が前浪を押しのける、この日を私はずっと待ち望んでいた。」
史雲裂はうなずいて言った。「すぐに出発します。」
他の超能組織と異なり、南極洲の偷天部内部での権力序列はほぼ完全に超能の強さで決まる。他の部門から見れば、超能が強いからといって必ずしも権力に適しているとは限らない。しかし、まさにこの一見頼りない序列が、信頼できる効果を生み、偷天部をますます強大にしている。なぜなら、この世界では超能の強さと知性の高さが結びついているからだ。
だから、世界最強の超能者を発見した時、彼はその者に権杖を提出した。葛天行が下したこの決定は極めて自然なものだった。




