0444 炎炎の錠
「遏制者」を研究する実験室。この全世界的な超能力者にとって目の上のたん瘤であるドーム建築に、今や巨大な穴が開けられた。この球形ドームの建築物から、一つの太陽が昇りつつある。
|鮮血之壁小隊の隊長蘇傑は、出血の止まらない胸を押さえ、ぼんやりと上方の強い光を放つ光暈を見つめている。
今の『宇宙の影』のストリーは、彼にとって非常にでたらめに感じられる。いまこの世界で爆発したストリーの奇抜さは彼の想像を超えており、思わず狂ったように問いかける。「これはどこの三流作家が考えたストリーだ!?こんなストリーが現れたら、この先の展開はどうやって書けばいいんだ!?」
ストリーが先か世界が先か、輪廻者たちの間ではまだ結論が出ていないが、しかし蘇傑は今、一方的に、ストリーが世界を決定すると考えている。
10時45分、すべてが始まったとき、もし輪迴者の注目を最も集めたのが盧安の分体が「傲慢」に真っ向から挑む姿だとしたら、この世界の注目を最も集めたのは、六体の同じ盧安が直接「抑制者」のいる実験室に到達したことだ。ここは盧安が最も多くの武装を投入した場所であり、高空の戦艦がレーザー砲で地上に六百の点を焼き付け、それらの点が半径四百メートルの大きな円を描いたほどだ。
その武力は世界を震え上がらせた。その研究所や関連部門がいかに絶大な権力を持っていようと、武装を要請しようとしても、天にも地にも助けを求められなくなった。近くの空軍基地は攻撃こそ受けなかったが、すべての滑走路に並ぶ全機が火器管制レーダーの照射を受けた。つまり、それらの機体に人が乗り込めば、すぐに火器管制レーダー警報がシステムから鳴り響くのだ。これはパイロットにとってどんな気分だろうか? 例えるなら、『史塔克ラフト』の玩家がログインするや否や「核攻撃の軌道上接近を確認」と聞くようなものだ。この時、パイロットは誰一人として機を起動しようとはしなかった。このご時世はまずパイロットを守るのが最優先で、全パイロットが掩体壕へ退避してしまい、空軍基地はこの研究所の厄介事などまるで無視した。
海軍の方では、盧安の分身が今、彼らの司令と談笑している。一方、海軍は「我々は戦争の抑制に努めており、貴方方の自制と、衝突を激化させるいかなる行動も取らぬよう求める」と述べている。そう、もし海上艦隊が封じ込められていなければ、暇を持て余した水兵たちは、宇宙人を相手に何かやらかしていただろう。しかし今や、彼らは緊迫した激しい火器対峙に引きずり込まれ、他部署の厄介事に構っている暇はない。
盧安は都市を爆撃しているわけではない。判断を誤らせる可能性のある行動は全て、艦隊上の分身が直ちに司馬同に通報し、同時に映像を中継している。
盧安の分身は言った。「あの抑制者の実験基地には、少々手を入れさせてもらう。誤解を招かねば良いが。」
司馬同は地図上の目標を見て、大義名分を掲げて盧安に「警告」した。「我々の一線を過度に挑発してはならぬ。」
この時、傍らで撮影を担当していた女性将校が司馬同にクローズアップを送った。これらの映像資料は、将来的に上級に提出し、太平洋艦隊司令官が「この神秘的な存在」の暴走を阻止する能力があることを示す証拠となる。
もちろん、司馬同のきわめて標準的な官僚的発言——「過度に挑発してはならない」——は、つまり盧安の行為を黙認したことになる。これは一種の、死道友不死貧道の精神だ。
抑止者の所属する部門と海軍は結局のところ二つの部門である。もしより上位の部門から命令が下されなければ、海軍はわざわざ面倒を起こして責任を引き受けたりはしない。もし海軍部門が独断で主張すれば、完全に骨折り損のくたびれ儲けだ。ましてや、戦端が開かれた後、海軍がもし前例のない火力攻撃を受けた場合、上級が責任を負って名乗り出るかどうかは言うまでもなく——現在の上級から伝わってくる意思から見れば、上層部は到底責任を引き受けに来るつもりはないのだ。
もし戦闘機が爆弾を投下して、万が一どこの部署の些細なものにでも当たれば、その抑止者を研究している部署が被害報告の際に責任の押し付け合いに来るのは間違いない。それも面倒なことだ。上の連中の性分からすると、おそらく喧嘩両成敗になるだろう。だから、海軍ももう構わないことにしたのだ。
総合的に考えると、この世界で現在最大の武装勢力はこんなことに構っている暇はない。制度上、責任の所在が不明確なため、官僚主義が横行しているのだ。
だから、軍が放置していると、周辺の警察署はレーザー砲が地面に焼きつけた洗面器ほどの大きさの黒い斑点を目にした。しかし、彼らは現場に到着して写真を撮り、自らが来て責任を果たしたことを示しただけで、実際には明らかに自分たちの能力を超えており、手の打ちようがなかった。
虎部の超能者武装部門については?虎部の超能者が関与しなかったわけではない。四キロメートル先で、二人の五級超能者が盧安の分体に遭遇し、盧安に直接阻まれ、しかも武装阻止された。この時間帯、盧安は出場する可能性のある五級に対しては、可能な限り説得しようとした。例えば湯宏康や盧九重などだ。説得できない者は直接戦って、ねじ伏せ、不服な所を叩きのめした。
六つの分体が「抑止者」実験室の上空に漂い、まるで神霊のように深海の悪魔(奇形イルカ)に神聖な制裁を加えている。
空に浮かぶドローンを除けば、今“怠惰”を取り囲むエネルギーコアは六千八百五十四個ある。レーザーが重水素・三重水素核融合を引き起こし、その核融合がさらに様々なエネルギーをレーザーと強磁力に変換する。一つ一つの眩い光点は、太陽のように目映く、巨大な光の網を作り、“怠惰”を捕らえた。“怠惰”はこのような脅威の下で、じっとしているわけにはいかない。強力な光が次々と焼き尽くし、光の網の内部の温度は炭素ベースの生命が到底生存できないほどに達した。
知識は人類が物質を扱う水準を決定する。盧安の超エネルギー場は、核反応を持続させる条件を提供したに過ぎず、一つの物理的条件でこの正常な物理世界の激しいエネルギー変換を引き起こしたのだ。
すべてのエネルギーコアは「怠惰」の十メートル外にある。これは「怠惰」が超能力を絶対的に制圧できる範囲外だが、光放射はこの十メートルを容易に越えられる——「怠惰」が制圧できるのは超能力の本質だけだからだ。したがって、「怠惰」がこの灼熱を完全に防ぐには、十メートル先にある光点の超能力現象を消し去り、光点を消滅させなければならない。
“怠惰”を取り巻くこれらの明るい光点は、波のように“怠惰”のあがきに合わせて揺れ動く。“怠惰”があがいて逃げ惑う場所では、多くの光点が赤色に変わる。これはエネルギーコアの出力が低下した状態で、全出力時は白熱灯のような状態となる。十メートル範囲が、この奇形イルカの完全な超能力抑制範囲の限界だ。十メートル範囲を突破するには、動かなければならないが、動くことでしか一方のエネルギーコアを消し去ることができない。一つの超能力場を消した後、盧安は“抑止者”の抑制場が退くのを待ち、再び超能力場を補完し、他のエネルギーコアにエネルギーを供給させれば、再点火できる。“怠惰”の体にはまるでガソリンをかけたかのようだ——たとえ大部分の炎を消しても、一つの火点が存在すれば、後に再び一大片に燃え上がる。
この奇形のイルカがすべてのエネルギーコアを同時に消せないのなら、盧安は予行でそのイルカの反応をすべて試した後、現実ではガイドに従って操作するだけだ。
この怪物がもっと激しくもがけば、すべてのエネルギーコア内の超エネルギー場を消し去ることができるだろう。しかし、もし“怠惰”が必死にもがけるなら、それは怠惰とは言えないだろう?そしてもがくたびに、“怠惰”の絶対制圧領域は縮小している。
もがくたびに、元々赤く暗くなっていたエネルギーコアが再び明るい白色に戻る。びっしりと並んだエネルギーコアのネットワークはますます密集し、まるで大きな手が握りしめているかのようだ。中央に拘束された“怠惰”は絶え間ない灼熱の炙り焼きでジュージューと脂がしたたっている。
盧安は予行でこの怪物の死に様を見て取っていたので、苦し紛れの抵抗さえしなければ、多くとも十分で焼き殺せる。たかが十分では、自分の超能が三千立方メートルを下回るわけがない。かりにこの水準まで落ちたとしても、盧安には上海を制御する力が残っている。
この六つの分体のうち、四つは光網の制御を担っている。残り二つのうちの一つは球体から六百メートル外の半空中に立ち、奇形イルカの十二の影響を完全無欠に記録し、十二の巨大な投影を描き出した。この十二の平面投影には、奇形イルカの静的画像で、淡黄色から深紅色までのスペクトルで各部位の温度を示したものもあれば、その時の奇形イルカのもがきを映した動的画像もある。どうやらこの分体は、「怠惰」が攻撃を受けた際の反応を収集しているようだ。
実は、盧安はこの世界の人々に投影する必要はなく、戦闘を満たすだけであれば、自分の視界に投影するだけで十分だ。盧安がこれらの投影をするのは、周りで見物する人々に見せるためであり、見物する大衆に写真を撮らせるためだ。この方法以上に、この都市の各方面に効果的に警告を与える方法はない。
もう一つの分身は横でドローンの群れを制御し、周囲を監視している。この分身は何もしていないように見えるが、非常に必要だ。もしこの分身が静かに横に立っていなければ、一部の者は騒ぎ始めるだろう。効果は明らかだ。見物人は盧安の超能力の総量が減少しているのを全く見ておらず、むしろ盧安が「抑止者」の弱体化効果に耐えながら、原子核融合を制御する超能力が戦えば戦うほど強くなっていく様子を見ていた。
傍観者の中には、安蒂克絲がいた。檮杌組の代表である安蒂克絲は、名目上は虎部主催の超能交流会に参加しているが、実際には「怠惰」が上海に現れた原因を調査している(原作のストリーでは、彼女は第二部の後に「怠惰」の主錨を継承する)。彼女の側にいる輪廻者は、一昨日までは蘇傑たちと知恵比べをしていたが、今は蘇傑と共に身動き一つ取れず地面に横たわっている。
盧安が「抑止者」実験室を強襲した際、殺戮は行わなかったため、ほとんどの実験スタッフは実験室から脱出することができた。
これらの実験スタッフの大部分は全国各地から来ているが、地元の者もおり、さらにはかつて泥鰍プロジェクトが解散された後の人員も含まれている。
二年前、泥鰍プロジェクトが解散した後、多くの研究員が新しいプロジェクトに加入したため、今日彼らは見慣れた実験対象が現れたのを見て、思わず言葉を失った。
その時、緑地帯にへたり込んでいたある研究者は、光の中の姿(分体)を見上げ、自分の頭をかきむしりながらつぶやいた。「……あの人だ……あの人は、追放されたんじゃなかったのか?!いや、銀じゃない、これは絶対に銀のレベルじゃない……クローン?いや……そんな計画は存在しない、なぜ俺がこの計画を知らないんだ?!」
そして今、現場に駆けつけた安蒂克絲は耳がよく、すぐにその研究室の研究者をつかまえ、情報を尋ねようとした。
安蒂克絲はすぐにこの研究者の混乱した言葉に乗って尋ねた。「彼は誰だ?龍部の者か?それとも虎部か?」
空の浮遊戦艦を見て、安蒂克絲は盧安を何らかの暗黒勢力と勘違いした。そのため安蒂克絲にとって、“怠惰”はもはや重要ではなく、この“怠惰”との戦いがバーベキューパーティーに変わった存在と勢力が最も重要である。
この研究員はようやく正気に戻ったようで、安蒂克絲を見てから、逆に尋ねた。「あなたは誰?」
その言葉が終わるとすぐに、一筋の光線が安蒂克絲のそばに落ち、安蒂克絲が拷問しようとする意図を遮った——安蒂克絲は決して善人ではなく、盧安は未来十分の状況を見て、直接彼女を妨害した。
安蒂克絲はすぐに反対側へと瞬時に移動し、無意識に反撃の構えを取った。しかし彼女は何かに気づき、すぐに防御の構えを解いて手を広げ、自分に害意がないことを示した。今安蒂克絲が対峙している存在は、あまりにも畏怖すべきものだった。
光の暈の中、六つの分体の中で最も暇そうだった一体が安蒂克絲のもとに降り立ち、言った。「あなたはトウコツ組の方ですね? 一つ提案があるのですが、お聞きいただけますか?」




