0408 悪化
何孔が盛鑫を恨むのには理由があった。なぜなら、この規則違反の学生たちをどのように処理するかが厄介な問題だったからだ。
学生という集団は非常に特殊で、彼らは象牙の塔の中にいて、利益について考えることが非常に少ない。もし一つの集団が利益について多く考えるようになれば、その利益に関わる政策でその集団をなだめることができる。しかし、学生という集団は性格や感情に基づいて行動し、しかも人それぞれ性格や感情が異なる。学生集団に問題が生じたとき、彼らにどう対処するかは極めて厄介な難題となる。
現在、放火した学生たちは、ああいった興奮しやすい学生たちであり、自分たちが迫害されていると感じている。確かに、今のこの世論環境の中では、迫害されていると感じるのは普通のことだ。
ご存知だろうか、地球の二十一世紀、外国メディアが少し挑発すれば、国旗掲揚の敬礼で微動だにせず注目礼をすることが洗脳の儀式だと考える人がいる。しかし、こうした人々は気づいていない。アメリカ人も国旗掲揚の際には胸に手を当て、必ず注目礼をしなければならないのだ。大人でさえそうなのだから、判断力のさらに弱い学生ならなおさらだ。
放火した学生たちをひとたび拘束すれば、必ずやこの一部の学生たちの反応を刺激し、爆発することになる。しかし、もし拘束しなければ、もともと臆病な別の一部の学生たちが扇動され、機に乗じて立ち上がり、やはり同様に爆発することになるだろう。
左右どちらも間違っている。特に崇明区の学生たちは超能力を持っていて、深刻な衝突が起きれば、結果は想像を絶する。その時は、崇明区だけでなく、上海全体が災難に見舞われる。
今、何孔は絶望的に考えている。自分は虎部に捨てられたのではないか、車を捨てて帥を守るための捨て駒として。
実は、盛鑫は何孔を害そうと考えたことはなかった。彼は今、何孔のことを構っている余裕はない。
虎部の首脳として、彼は今、上海地方政府に一日に何度もネットワーク規制の要請を送っている。しかし、これほど大きな問題は衆議院で止められている。衆議院の政治家たちは誰一人としてその提案を支持していない。
管制ネットワーク?!冗談じゃない、これは専制政府の行為だ。衆議院の議員たちは参議院の大物たちとは違い、彼らはコミュニティの有権者によって選ばれ、数年ごとに入れ替わる(中国にこの制度を設計したあの聖人首相は、まさに標準的な精神的アメリカ人だ)。彼らは自分の政治的生命を懸けて冗談を言うことはないだろう。別の時間軸では、アメリカ衆議院出身の大統領は一人だけで、それはウォーターゲート事件[1]後に後任を務めた副大統領です。衆議院は、民衆主義を代表している。
しかし、元老院の連中は依然として事態の深刻さを理解しておらず、相変わらず南京事件を利用して政敵を攻撃し、虎部が捕まえたという「超能力を弱体化させる」ものの真偽を調査し始め、利益を得ようと企てている。最新の資料によれば、その超能力を弱体化させるものは本物であり、これが彼らに誤った判断をさせた原因でもある。手元にある切り札が根拠のない自信を生むことこそ、平和な時代の人間の常態である(この時代の基準で見れば、盧安のような行動は戦後の心的外傷の現れにすぎない)。
北京で、盛鑫は大統領府を出ると、足取りは非常に重かった。彼は昨日、夜を徹して北京に駆けつけたが、得たのは口先だけの実の伴わない命令だけだった。
この時、盛鑫の手元にある一通の書類は、虎部に対して崇明区の安定を急ぎ維持することだけを求めていた。しかし盛鑫の心は今、まさに咆哮している。盛鑫の今の感覚は、まるで油管から油が漏れているのに、皆が逃げ出し、自分にはスプーン一杯と水を張った洗面器を押し付けられ、「ここからはお前の仕事だ、火を消せなかったら全てお前の責任だ」と命じられたかのようだった(帝然菲斯で皇帝や財閥のために学閥を処理した盧安が、後にすっかり悪名を轟かせたのも、まさにこの感覚だ)。
この時間線上で、誰に会っても褒められ、つまり金も稼げ、人々から聖人の地位にまで祭り上げられたのは、建国のあの首相だけが独り舞台を謳歌したまでで、その後は誰一人として上手く立ち回れた者はいなかった。
これもまた、盧安がこの世界であまり多くを捧げたくない理由の一つだ。盧安はディランフィスで最も過酷で辛い仕事をこなし、最も理不尽な汚名を着せられ、最も厄介な後始末をしてきたのに、独裁の悪魔と罵られた。そんな悲惨な人生を、盧安はこの世界で二度と繰り返したくはなかったのだ。
盧安はこの世界に対して、常に怨みにも似た感情を抱いている――「他の転移者たちは英雄を気取って、面倒を残してさっさと去っていくのに、なぜ俺だけがこの問題だらけの世界で面倒に向き合わなきゃならないんだ?面倒を解決しても、結局は罵られるだけじゃないか?!」
盧安のこの感情的な不満は、ある事実を浮き彫りにしていた――時空傭兵の仕事の本質は、そもそも亜廃墟歴史線の掃除人としての属性そのものなのだ。
この位面は既に清掃する価値のない位面であり、釣りの価値しかない。高次元存在は時空傭兵に一切の強制要求をせず、いかなる|演変《演変》士官も降りてこない。時空傭兵も力を出す必要がない。そのため、固有の矛盾は誰にも解消されず、矛盾はやがて悲劇へと発展する。
盛鑫が飛行機で怒りながら北京を去ったまさにその時、崇明区には真に重量級のストーリーキャラクターたちがやって来た。
崇明区、夏星瑞と劉宇は速足で街を歩いている。かつては清潔だった通りには、今は大量の紙くずやゴミが散乱している。
夏星瑞は地面に落ちている一枚の紙を拾い上げた。そこには「我々は自由を求める、この檻から出たい、ここに我々を閉じ込め続ける資格はない」という宣伝スローガンが書かれていた。「クシャッ」という音と共に、そのスローガンは夏星瑞に丸められ、傍らのゴミ箱に捨てられた。
夏星瑞の後ろには、制服を着て特殊装備を携えた大勢の別動隊が控えていた。これらの人々は皆、レベル2の黄金超能力者だった。過去にはレベル2など大したことはなかったが、今では白銀超能力者が増えるにつれ、レベル2の黄金超能力者の価値がますます際立つようになった。特に遷移薬剤の開発が成功し、多くの白銀超能力者を実験材料として使えるようになったため、黄金超能力者向けの遷移薬剤の開発もすぐに突破された。
そのため、夏星瑞の背後にいるこの反応小隊は、虎部の文書で元の「やや稀な価値あり」から「貴重な価値あり」に格上げされた。
「君たち二人はビルの頂上に行って展望台を構築してくれ。趙娜、観察の任務は君に任せる。」
前の二人はレベル2の超能力者で、一人は液体を保持できるモジュールを構築でき、もう一人はあらゆる物質を溶融状態にできる。この二人の協力は、『史塔克ラフト』の中の人間族の農民のように、一つの位置に留まって建物全体を修復できる。モジュールを構築した後、ガラスやセメントのような低温溶融物質をモジュールに投入すると、厚い防御層を構築できる。この二人の超能力は時々衝突することがある。同じ空間内では一つの超能力場しか現れないためだ。しかし、何度も訓練を重ねた後、上手く協力できるようになった。一方、趙娜の超能力は透視と遠視ができる。透視の限界深度は20センチメートルだ。この能力は劉宇と夏星瑞の能力と同じタイプで、チームの中で最も保護されている存在でもある。虎部は彼女に対し、狙撃手としての方向で訓練を行っている。
趙娜は劉宇に片思いしているが、自身の親友でありながら姉貴分でもある夏星瑞の存在があるため、趙娜はこの秘めた恋心を胸の内に隠すしかなかった。とある輪廻者が、この趙娜という物語の登場人物に興味を持ったため、いくつかの時間軸では何らかの手を加えることもあった。
「はい」、この三人はすぐさま夏星瑞の命令に応答した。
その後、夏星瑞はさらに他の者たちへも次々と命令を下していった。
一人、また一人と命令を受けてその場を離れ、最後に夏星瑞のそばに残ったのは劉宇だけだった。
劉宇は夏星瑞の肩を軽く叩きながら言った。「本気でやるつもりか? そんなことをすれば、崇明区で公敵になるぞ。」
夏星瑞は首を振って言った。「私はここがとても愛している、誰一人も傷つけたくない。でも今、みんなが間違っている、虎部はみんなの敵じゃない、虎部が崇明区を設置したのはみんなを守るためだ。」
この時、傲慢な声が突然聞こえてきた。
「よく言った、でも虎部は今、あなたたちを守る力がない、あなたたちは今、危機が大きい。」
「誰だ」、もともと心配そうな顔をしていた劉宇は表情が厳しくなった。彼の周り半径40メートルの範囲で、光が大規模に歪み、40メートル以内の死角はすべて、この光の歪みの超能力場の下で明らかになった。
一方、夏星瑞は自分の無線機をいじりながら、趙娜に尋ねた。「近くに敵がいる、見つけたか?」
無線機の向こうで、趙娜は少し戸惑いながら答えた。「探している。」
「探す必要はない。」この耳元でささやくような声は、殴りたくなるような口調だった。その後、八十メートル先の通りの真ん中に、一群の人物が姿を現した。
「彼だ」夏星瑞は心の中でつぶやき、同時に劉宇に言った。「偷天部の鐘鳴、能力は音波、黄金四級で、実力は非常に高い。」
その時、鐘鳴はやや皮肉を込めて軽く笑った。彼が指を鳴らすと、通り全体のガラスが「ガラガラ」という音とともに一斉にひび割れ、その後一面に散らばり、地面はまるで水晶を敷き詰めたかのようになった。そして夏星瑞と劉宇は震動の中で、先ほど何かの力が自分の五臓六腑を強く握りしめたかのように感じた。
鐘鳴の背後で、犬のように従順そうな輪廻者が、夏星瑞と劉宇の両方に聞こえる声で付け加えた。「回響様、今は神眷者です。」
劉宇は夏星瑞の手を握り、二人の周りの光が夢のように変わった。すると、周囲の街並みは青々とした草原に変わった。これは光の制御によって構成された環境だ。そして、この能力の範囲外では、同時に夏星瑞に属する各戦闘チームが今や準備を整えている。五級の超能力者に直面しても、二人の四級は屈することなく、すぐに抵抗の準備を整えた。
劉宇は世をすねたように尋ねた。「つまり、南京事件は偷天部と関係があるということか。」
鐘鳴は大笑いし、人差し指を立てて揺らしながら言った。「それは誣告だ、まあ君が今言ったことは結構気に入っているけどね。」その後、鐘鳴は歯を食いしばって言った。「家のあの老いぼれどもはとっくにそうすべきだったんだ。超能者は超能者だ、自分がこの世界で特別な存在だと自覚し、自分の言葉が誰よりも響くことを知り、手段を選ばずにこの世界で牛耳を執るべきで、真面目に『チャンスを待つ』なんて言ってちゃいけないんだ…本当に残念だ、もっと早く自ら行動に移せなかったことが。」
鐘鳴の目は熱く燃えている。これは挑発ではなく、目の前の二人に自分の考えを強調しているのだ。
その環境下で、劉宇と夏星瑞は表情が変わらないように見えた——光線制御が表情を隠していたが、二人は互いに目を合わせ、相手の目に奇妙なものに気づいた。目の前のこの人物は、どうやら世の中が乱れるのを恐れないタイプだ。
[注1]。ウォーターゲート事件(Watergate scandal)、またはウォーターゲートスキャンダルは、アメリカ史上最も不名誉な政治スキャンダルの一つである。




