0390 二つの線
カリフォルニアの軍事クーデターは翌日、世界中のメディアの注目を集めた。人々はこの公然たる権力争いを興味深く分析し始めた。
ほとんどの人は知らないが、北米の超能界では「檮杌組のある基地で、ある実験がクーデター軍に中断され、実験が失敗し、恐ろしい何かが実験室から川へ逃げ出し、道中で難なく一個師団を壊滅させた」という小耳に挟んだ情報が流れ始めていた。
檮杌組は全力で情報を封鎖したが、それでも世界中の超能組織、例えば虎部のような組織はこの状況を察知していた。
新しい一日の太陽が昇るにつれ、盧安は身支度を整え窓を開けた。海鳥たちは東から昇る日差しの中、海面から小魚を次々と捉えている。その動きの軽やかさ、狩りの俊敏さ。関数と曲線で描写しようとすれば、これらの鳥たちの動作は完璧そのものだ。
予演中、盧安はただそれらの鳥たちの技を鑑賞しただけで、それを演算しなかった。人力は有限で、たとえ予演があっても、盧安は自らの限界をはっきりと感じている。すでに定めたいくつかの目標のために、その他のことを諦めなければならないのだ。
盧安が諦めたのは鳥の観察だけではなかった。埠頭に停泊する虎部の記号を掲げた科学調査船も同様だった。この調査船は素早く港を離れ、海面を掠めて多くの海鳥を驚かせた。鳥の群れは船の後を追い、プロペラが波しぶきとともに打ち出す小魚を捕まえている。
盧安はこれら全てを見ていたが、虎部が慌ただしく太平洋に船団を派遣したのは、カリフォルニアから衛星が撮影した画面のためだとは知らなかった。
盧安が虎部のことに気を散らすのを嫌がり、興味もなかったのは、盧安がひとつのいいものを作り出したからである。
盧安の真下にある二酸化炭素に満ちた地下世界で、ある生産区の実験プラットフォーム上に、大量の細かい部品が組み立てられ、アヒルの卵サイズの小さな装置ができあがった。
この「アヒルの卵」はロボットハンドによってテストーー台に置かれた。予行演習で提供された視点で、自宅にいる盧安が超能力を発動し、広範囲の高空をスキャンし、内部のいくつかの構造を絶対零度に処理した。帯電した針がこの「アヒルの卵」に刺さり、初期起動電流を注入した。すると、アヒルの卵サイズの物体は瞬時にリンゴサイズに膨張した。
無阻膜が付着したこの金属構造体は今回の変形を完璧に遂げ、数条のレーザーが該当構造の中心に集束した。溶融した重水素化リチウムは無阻場の重ね合わせのもと、眩い青白色の光芒を放った。これは極めて高い温度だが、無阻場が機械エネルギーと内部エネルギー間の変換を阻止しているため、無阻場が許容できる上限を超えた部分のエネルギーが、魔法のような光芒を散乱させている。
これは小型のエネルギー発生器である。物理場が平滑であれば、このような小型のエネルギー発生器は存在し得ないが、盧安の超能力がこの世界の物理現象の一つに影響を与え、その後、水波が拡散するように他の物理現象にも影響を及ぼしたのである。
無阻の超能力の覆いの下で、機械は衝突してもエネルギーをほとんど損失せず、流体は運動エネルギーがほとんど失われない超流体となった。内部エネルギーと機械エネルギーは互いに干渉しない。本来であれば直径20メートルの硝煙マク型反応炉でなければ達成できなかった反応が、今や超能の選択的な影響のもと、盧安の掌に掲げられた造物の中で恒星のエネルギーを放っている。
これは盧安がいつ始まるかわからない次の任務のために準備した携行品だ。これは盧安がこの世界で作ったものだが、盧安はこう考えている。「私がこれを取り出さない限り、これはこの世界とは無関係だ。私が場に降りない限り、私の超能はこの世界の超能界とは無関係で、私はこの世界とは二本の線だ。」
否定できないのは、今のところ、盧安のいる線はまだこの世界の制御不能なストーリーラインと交差していないが、徐々に近づいていることだ。
北部では、鄧大能ら5人がシ貝利亞高原のその基地の調査を完了した。基地には大量の資料があったが、重要な部分は削除されており、一枚の少女の写真と基地の激しい破壊痕跡だけが残されていた。
責任感が非常に強い鄧大能は大義のために、引き続きチームを率いて調査を進めることに決めた。鄧大能に説得された湯宏康は同意した。謝彤は鄧雯の写真を見て、何も言わなかったが、その態度が明らかだった。劉宇は親切な人で、同じく同意した。一方、夏星瑞は破壊された基地をくまなく捜索し、データを丹念に調べた。彼女は何か違和感を覚えたが、口には出さなかった。
これらの人々が北海軍事基地に戻った後、全体会議で、方陣に並んだ白銀の超能者たちに鄧雯の写真が配られ、さらなる任務の割り当てが始まった。
その時、隊伍に混じっていた輪廻者たちは新たな駆け引きを始めた。
鄧大能は手元の三つの報告書を見て、それから目の前の三人の輪廻者を見た。
本来の筋書きでは、この隊伍の調査員の大半はこの期間、無駄足を踏むことになる。物語の展開を知り尽くす輪廻者たちは、鄧雯がこの時期に何をしているかを知っているため、示し合わせたようにほぼ同じ申請書を提出していた。それはいずれも南方の特定の省の警察データの照会申請だった。こうして、服装がかぶるよりも気まずい出来事が、滑稽にも起こってしまったのだ。
今、彼らは鄧大能に説明をしなければならなかった。これらの演技派たちは、鄧大能の前で巧言令色のパフォーマンスを始めた。
しかし、とりあえず鄧雯が何をしているか見てみよう。
鄧雯は河北省から一路南下し、長江流域に入り、南京に到着した。六朝古都は極めて重要な経済的地位を持ち、重要な水利拠点であると同時に、鉄道網の中枢でもある。鄧雯はこの繁華な大都市に来ても、横暴にこの街に破滅をもたらすことはなかった。
この世で、神霊が定めた七大主錨は未来においては皆正常ではなく、七つの明確な特性を持つことになる。しかし今のところ、依然として交流は可能だ。
例えば西塞は異常なほど貪欲だが、損をする事態に遭うと、彼は回避を選ぶ。
盧穹の嫉妬心は極めて強いが、幼い頃から彼に刷り込まれた家の名誉が、やはり彼の行動のいくつかに影響を与えている。
鄧雯は傲慢で我が道を行くタイプで、ふとした気まぐれで周囲の無礼な者を破滅させるかもしれない。しかし、自分を弱者だと思っている者が彼女にちょっかいを出さなければ、あるいは無意識に彼女の機嫌を損ねなければ、彼女はわざわざ懲らしめようとはしない。鄧雯は、常人と比べて異常な傲慢さを持っていることを除けば、他の点では普通人とそれほど変わらない。
南京に到着すると、鄧雯はまず虚無転移の超能力を発動し、道沿いのATMから大金を移動させた。それからデパートに入り、多くの少女が無限のお金を手にしたらやりたがることを始めた。
超能力を除けば、整った顔立ちやほっそりとした体型を別にしても、この国際的大都市に入ったばかりの鄧雯は、まるで都会に出てきたばかりの田舎娘と何ら変わらず、むしろ田舎娘よりも見苦しいくらいだった。
これは、鄧雯が四十年間眠っていたため、この世界と大きくずれが生じているからである。四十年の間に、電子決済はとっくに普及し、出前も宅配便もとっくに普及している。ホテルに宿泊する際は、身分証をスキャンしたり、スキャナーでQRコードを読み取って本人確認をするのが直接のやり方で、二十年前のようにノートにサインするのではない。それでホテルのフロントで部屋を予約する際、鄧雯は考え込んでしまったのだ。
そして彼女の向かいでは、そのかわいそうなホテルの管理人が、未知の力に支配され、ぼんやりとした表情で鄧雯の質問に応じ、彼女が知りたがっていることを教えた。
例えば、街にある白黒のQRコードが一体何なのか、なぜ多くの人がそれに向かって写真を撮っているのか。
例えば、広場にある立体投影された青緑色の長い髪の漫画の少女を、なぜある人々が「公主殿下」と尊称するのか。
スマートフォンのWIFIとモバイルデータ通信の違いとは一体何か。
尋問が終わると、鄧雯は手をプラスチックと金属の上に置いた。そのプラスチックと金属は風化したかのように一部が粉々になり、その後それらの粉末が身分証明書を形成し、この身分証明書チップ内のコードは物理レベルで目の前のホテル管理人である自身の身分証コードを完全に複製した。
鄧雯はこの小さなホテルを離れ、別のホテルに移り、この偽造身分証でVIPスイートを予約した。
世界を超越した力は、まさに何でも思いのままにできる。ただ、欲望を抑えられる唯一のものは、過去に自分自身の行動のために定めた善悪の基準である。
鄧雯は淺空明子とは異なる。淺空は残酷な実験の中で、かつて純真な学生だった頃の道徳を否定したことで、命に対して冷淡になった。一方、鄧雯の思考は十歳のままで、まだ安定していない善悪の観念と、ますます高まる傲慢さだけが残り、それゆえ命に対して冷淡になった。鄧雯の善悪の観念はまだ固まっていないものの、ある程度の善悪の観念は持っているが、今彼女を教育するコストーーは非常に高い。
鄧雯が新しい身分証明書でホテルにチェックインすると、彼女はすぐに自分の思考がまだ子供である特徴を露わにした。
VIPスイートで、彼女は超能力を発動し、デパートで購入した衣類をあけ放った。服、靴、ストーーッキングなどの衣類が床一面に散らばった。
まず、彼女は新しく買った服を開封し、鏡の前で一枚一枚コーディネートを試着した——十歳の彼女はまだバービー人形で遊んでいる。培養カプシェルの中で、女は十八で大きく変わるという体の成長を終え、今や自分自身がバービー人形のテンプレートとなっている。
彼女は服を着替えて化粧台の前に座り、高価な化粧品を開封し、不器用なメイクで蛇足のように自分の顔を台無しにしながらも、飽くことなく自分の着飾りに熱中している。
傲慢には多くの派生があり、自己陶酔もその一つである。
もちろん、最後には彼女はベッドの端に座って体を丸め、超能力を使ってスマートフォンの画面を素早く操作していた。その画面に映っているゲームは、かつて盧九重が夢中になっていたものに他ならなかった。
鄧雯が今の世界の姿を感じ始めたその頃、玄鳥部の療養所では、盧九重の医療を担当する6人の医学教授が廬華明の前に立っていた。
このとき、廬華明は厳しい表情をしており、重大な決断を考えているかのようだった。




