↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無窮重阻  作者: 核动力战列舰
PR
378/546

0376 七主錨

 鄧雯(ドン・ウェン)は廃墟から立ち去り、遠くで観察している一団に気づかなかった。このグループはこの次元の地元勢力「獨角社《ドゥー・ジャオ・シェー》」に所属している。


 鄧雯(ドン・ウェン)が引き起こした陥没現場からそう遠くない場所で、獨角社《ドゥー・ジャオ・シェー》の観察を担当する班長が衛星電話を手に取り、西ヨーロッパに位置する本部に向かって言った。「捕獲失敗、『傲慢(アオ・マン)』は依然として制御不能。彼女は西塞(シーサイ)(風と化して逃げたあのロシア人)に大怪我を負わせた。」


 鄧雯(ドン・ウェン)が実験室を脱出して以来、獨角社《ドゥー・ジャオ・シェー》の者たちは遠隔心理暗示の手段を用いて彼女に影響を与え続けていた。そのためここ数日、鄧雯(ドン・ウェン)は頭の中に現れる映像の導きに従ってここに来たのだ。


 イタリアにある一角獣社の某別邸――もちろん、某実験室と言ってもいいが、そこでは非の打ち所のない欧州人の男が、巨大なドミノ倒しのシステムを組み立てている。彼はこの部屋の中のものに集中しているように見えるが、その注意力は基地全体に行き渡っており、すべての状況を把握している。この世界での彼のコードネームは「ポ晟(シェン)ドン」である。


 観察チームからの報告を聞くと、彼は顔を上げ、もう一つの存在に向けて思念を送った。「赫拉(ヘラ)、これらはもともと制御不能なものだ。たとえ君が彼女を導こうとしても、望む効果は得られない。それに、『強欲(チャンユー)』は今弱体化している。」


 数百キロ離れたスペインで、鏡のような装置の前に座り、地球全体を観察していた赫拉(ヘラ)は、イタリアからの超長距離通信を聞き、笑いながら言った。「『強欲(チャンユー)』が弱まったのは問題ない。彼を南に行かせよう、彼は南に行くだろう。断続的なアンカー(白銀の超能力者)が現れ、初めて力を得た者は多くの考えを抱く。『強欲(チャンユー)』にとって、そこは彼が回復するのに良い場所だ。」


「しかし、『嫉妬』があそこにいる。」


「ならば、『嫉妬』と『強欲(チャンユー)』を衝突させてみよう。『嫉妬』もそろそろいいだろう。我々がまいた七つのアンカーは、今なら衝突に耐えられるはずだ。」と赫拉(ヘラ)は言った。


「わかった、君の言う通りだ。次の議論に進もう。今、七つのアンカーのうち、『怒り』と『怠惰(ダイ・ドゥオ)』のアンカーは人間ではない。動物をアンカーに使うと効果が低い。」


「ここは比較的高度に発展した社会と言える。知的生命体において、怒りや怠惰(ダイ・ドゥオ)は社会制度によって抑制され、大規模に発生することは確かに難しい。」


 ポ晟(シェン)ドンは強調する。「この二つのアンカーは必ずこの世界の主流である知性種の個体が保持しなければならない。あの二匹の動物はこの世界の主流の知性種ではない。たとえあの二匹の動物が崩壊状態にあっても、その崩壊の特徴はアンカーとして使えない。知的生命体の崩壊だけがアンカーとして機能する。」


 赫拉(ヘラ)は言う。「それなら大都市で災害を起こし、この二種類の崩壊形態の知性体が集まる場所で発生させよう。まずは『怠惰(ダイ・ドゥオ)』から始めよう。私の情報によると、サンフランシスコ地区では新たな戦乱が勃発している。」


 まさにこの世界の人間に神霊と呼ばれる存在が、世界のどの都市を二つの智慧崩壊態に適合させるかを話し合っていた時、別の時間線から来た別の輪廻者たちも、自分たちの知っているストーリーに基づいて行動していた。彼らの目的はストーリーを改変することだ。


 サンフランシスコ(San Francisco)に、一つの輪廻者小隊が降臨した。この小隊の投入は魂の憑依形式で行われ、身体の持ち主は全員がアメリカ大陸地域の出身である。この小隊の隊長はスペイン系アメリカ人の傑森(ジェイソン)の身体に投入された。この小隊は|鮮血之壁(チノカベ)小隊《センケツノカベ・ショウタイ》と接触し、その後一連の協定を結んだ。


 あるホテルの部屋で、傑森(ジェイソン)は葉巻を手に取り、ソファーの向かいに座っている蘇傑(スー・ジェイ)に言った。「蘇傑(スー・ジェイ)、聞くところによると、君たちは大胆な計画を持っているらしいな。」


 傑森(ジェイソン)と蘇傑(スー・ジェイ)の背後にはそれぞれのチームメンバーが控えており、両者の話し合いの雰囲気はまるで二つのヤクザ組織が商談をしているかのようだった。


 蘇傑(スー・ジェイ)は灰を弾いて言った。「この後のストーリーによると、カリフォルニア地区の政治家たちの間で争いが起こる。そのうち、民主党は西のバークリー軍閥と結託する。カリフォルニア地区全域で軍事クーデターが勃発する」


 傑森(ジェイソン)は唾を吐き捨てて言った。「クソみたいなストーリーだ、気に入らねえ」


 蘇傑(スー・ジェイ)は傑森(ジェイソン)の口出しを無視して続けた。「元のプロットでは、現地に駐屯していた檮杌(タオウー)部隊が伯克利將軍(バークリー将軍)配下の超能力者に攻撃され、そのイルカ(「怠惰(ダイ・ドゥオ)」)をやむなく処刑した。そして安蒂克絲(アンディクス)がイルカの中の神秘の結晶を手に入れ、第二部(『宇宙の影2』)の敵役として、麻薬が蔓延するカリフォルニア地域で地盤を固め始めたんだ。」


 傑森(ジェイソン)が尋ねた。「どうした、もうこの麻薬王を殺すつもりか?」


 蘇傑(スー・ジェイ)は首を振って言った。「いや、混乱が起こる前にあのイルカを救い出し、第一部(『宇宙の影1』)のプロットに導入するつもりだ。」蘇傑(スー・ジェイ)はホログラムマップを開き、地図上の中国上海エリアを指さした。


「お前たちは、この超能を鈍化させる存在を東方に引き込むことで、檮杌(タオウー)組も第一部のシナリオに引きずり込もうとしているんだな。」傑森(ジェイソン)は考えを巡らせ、檮杌(タオウー)組が自身の発見を虎部(フー・ブー)の手に渡るのを黙って見過ごすはずがないと気づき、うなずくと自信ありげに推測した。「わかったぞ、お前たちは『傲慢(アオ・マン)』(鄧雯(ドン・ウェン))を狙って、彼女のコアを奪おうとしているんだ。」


 蘇傑(スー・ジェイ)は黙したまま、肯定も否定もしなかった。


『宇宙の影』シリーズに登場する七体のBOSSには、それぞれコアクリスタルが存在する。その七体のBOSSとは以下の通りである。


 傲慢(アオ・マン)——鄧雯(ドン・ウェン)


 嫉妬——盧穹(ルー・チョン)


 憤怒(フェン・ヌー)——犼部が発見した巨猿


 怠惰(ダイ・ドゥオ)——檮杌(タオウー)組が発見したイルカ


 強欲(チャンユー)——西塞(シーサイ)


 暴食——薩迦(サーガ)


 二重の欲望——青い目のあの変態


 ボスを倒すと、それに対応する超能力コアクリスタルを入手できる。コアクリスタルは所有者に強力な超能力を与えるが、多かれ少なかれ副作用がある。


 例えば「貪欲」。西塞(シーサイ)は与える過程で、受け取る者に際限なく求めさせ、受け取る者が貪欲に溺れて抜け出せなくなると、西塞(シーサイ)の持つ超能力はますます強くなる。彼はいわゆる「運」をある者に与え、カジノで操られながら何十回も連勝させることができる。受け取る者が勝ちに目がくらみ、西塞(シーサイ)から運を授かるために他の代償を気にしなくなる。また西塞(シーサイ)はある者に金銭を与え、きらびやかな生活への憧れが強まった者を、用心棒として身売りさせることもできる。もしこれらの者が超能力者なら、その超能力は徐々に低下する。彼はまた権利や美女を与える……要するに、与えるごとに相手をしっかりと縛りつける。彼の超能力は精神干渉と念動力の組み合わせだ。特筆すべきは、盧九重(ルー・ジウチョン)を植物状態にしたのがこの男である。そして様々な人間を支配する過程で、彼はこの上なく楽しみ、他人を支配することに没頭していった。ゆえに、貪欲のコアを手に入れた副作用は、抑えがたい支配欲を生じさせることだ。


 例えば『傲慢(アオ・マン)』だ。他のコアに比べ、傲慢(アオ・マン)のコアを獲得できるということは、最も直接的な戦闘力を得られることを意味する。鄧雯(ドン・ウェン)はもともとそれら四級の強者に劣らぬ超能力を持つだけでなく、戦闘時には身体に相手と同じ種類の超能力が現れ、戦闘の過程で一定の速度で増加し、最低でも相手の二倍に達する。


 増加の速度は鄧雯(ドン・ウェン)の主観で決められる。もし鄧雯(ドン・ウェン)がシ晟(シェン)と戦えば、鄧雯(ドン・ウェン)は五分以内に自身に現れる超能力を二倍に増加させ、同時に強力な精神干渉力を発動して、シ晟(シェン)を戦慄させる。これがシ晟(シェン)が鄧雯(ドン・ウェン)との一戦で直接逃走した理由だ。そして五分後、鄧雯(ドン・ウェン)のこの急増したエネルギーは消え、もし十分間以内に別の戦闘に遭遇した場合、急増させることはできない。


 そして間隔時間や戦闘時間は、戦闘中に増加する倍数と関連している。例えば、もし鄧雯(ドン・ウェン)が五秒以内に超能力をシ晟(シェン)の二倍に増加させることを選べば、戦闘終了十秒後に、彼女は再びシ晟(シェン)の超能力を発動できるようになる。


 さらに、この超能力は相手が逆襲してくる心配がないという状況だ。鄧雯(ドン・ウェン)の相手が敗走した後、相手の超能力は惨敗の度合いに応じて三割から八割まで低下し、それに応じてこれらの超能力が鄧雯(ドン・ウェン)の身に現れる。物語後半では、鄧雯(ドン・ウェン)の超能力は五級の壁を越えられず、そのため鄧雯(ドン・ウェン)は自分が無価値と判断した超能力を大量に放棄する。つまり、鄧雯(ドン・ウェン)は超能力破砕機のような存在である。


 鄧雯(ドン・ウェン)の超能力は「強敵にはより強く、戦いの中で力を養う」という八字にまとめられる。傲慢(アオ・マン)結晶の副作用は、他人の生命に対する冷淡さである。これはほとんどの輪廻者にとっては副作用とは言えないほどだ。そのため、鄧雯(ドン・ウェン)の超能力核心は多くの超能力者に狙われている。


 輪廻者にとって最も争う価値があるのは傲慢(アオ・マン)核心で、次いで貪欲核心だ。雙欲(シュアン・ユー)核心については、男女問わず通吃するのを気にしない変態たちが狙宇田(ウダ)ろう。


 残りの超能核心は、副作用が多かれ少なかれ大きすぎるため、輪廻者たちはあまり争おうとしない。


 嫉妬晶体は他人と超能を共有できるが、他人の能力が自分のものより優れているのを見ると、心が非常に辛くなる。最も厄介なのは、相手が生きていなければ能力を取得できないことだ。そのため、輪廻者の中で盧穹(ルー・チョン)の超能を狙う者はいない。


 怠惰(ダイ・ドゥオ)と憤怒(フェン・ヌー)、この二つの核心は副作用が大きすぎるため、欲しがる輪廻者はいない。


 一方、貪食(タン・シー)核心の効果は他人の超能を吞噬できることだが、薩迦(サーガ)の超能はストーリー上深刻な結果を招くため、最終的に貪食(タン・シー)核心を争う輪廻者はいなかった。


 血之壁小隊(チノカベチーム)とこの輪廻者小隊は協力チームを結成し、彼らの目にはこの世界でもうすぐプロットが発生すると映っている。そして活発に動いているのは、この二つの小隊だけではない。


 シ貝利亞(ベリヤ)の鉄道線路で、青い目の青年「雙欲(シュアン・ユー)」は一団の人間にそそのかされて自分の村を離れ、東方の大都市に見聞を広めに行きたいと思った。実のところ、雙欲(シュアン・ユー)は以前から見聞を広めたかったが、小さな村には金がなかった。しかし、別の時間線から来た輪廻者たちが十分な資金を提供し、雙欲(シュアン・ユー)を預言者と崇めて、本来プロット後半で活躍するはずのこの人物を早期に活動させたのだ。


 一方、中東では、4つのチームがとある宮殿に到着し、事前に会う約束をしていた人物と対面した。そのうちの一人は卓越した人皮マスク製作技術を披露し、別の一人は容姿を変える能力を披露した。これらの技に宮殿の主は大笑いした。主は椅子から立ち上がると、その体の脂肪が波のように揺れたが、器用に客人たちのそばに歩み寄り、自分も体験したいと申し出た。


 上海東方明珠塔の影の中で、天雲(ティエン・ユン)がこの任務で投入した最後のチームがついにここに姿を現した。


 三女六男が昏睡状態から目覚めると、手首の時計(シー・ジー)を見た。学生らしき男の青年がぶつぶつとつぶやく。「七か月後、第三回超能大会が始まる、そしてこの時期、まさに起ころうとしているのは……」青年は現在の時刻を確認し、やはりそうかという表情を浮かべた。


 彼は一呼吸置いて言った。「我々が入って来た途端に、重要なストーリーにぶち当たったんだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。