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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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0361 観光

 二十一世紀において、世界旅行は大多数の中国人にとって、おそらくテレビでしか見られないシーンであり、通常は富裕層だけのものだ。


 盧安(ルー・アン)はこの位面では金持ちではないが、世界旅行を理解できないからといって貧しいわけではない。盧安(ルー・アン)の前世の経験では、世界旅行は孟位(モン・ウェイ)にとって時代遅れの活動である。


 孟位(モン・ウェイ)のいる地球二十二世紀では、世界物流が極めて便利になり、さらにスマートデバイスの発達により、観光地の共有型全スマートドローンを使って観光地を巡ることができる。ドローンが複数のカメラで撮影した映像が、自宅で座っている旅行者のホログラフィックヘルメットにリアルタイムで転送されるため、人々は自宅にいながら旅行ができる。この旅行スタイルを「居家旅行」と呼ぶ。


 ホログラフィックヘルメットの技術は、地球二十一世紀では単に第五世代戦闘機のパイロットのヘルメットに応用されていたが、地球二十二世紀では普及し始め、人々が自宅に座ったまま千里先の景色を巡ることができるようになる。


 孟位(モン・ウェイ)がいる平和な時代では、各観光地の共有ドローンはほぼ無料で世界中の観光客にリモート観光を提供している。なぜなら、各地の観光地はドローンを貸し出して儲けるのではなく、人々を消費に引き付けるからだ。具体的には、ドローンの同期撮影のもとで、各観光地の店が商品を包装し、ドローンがコードをスキャンし、そして世界の反対側でドローンを操作する消費者が封緘情報を押して、そのまま自宅に郵送する。


 そう、二十二世紀の地球人はこれほど便利さを追求するのだ。


 二十世紀の人々は、二十一世紀前半の人々が携帯電話に夢中でうつむき、周囲の美しい景色を楽しまないことを理解できない。そして二十一世紀前半の人々も、家でホログラフィックヘルメットをかぶってリモート観光することを理解できない。一部の人から見れば、どんなに優れたホログラム投影でも、本物の風景が視覚に与える楽しみには敵わないのだ。


 確かに、実際に観光地に足を運んで美しい景色を楽しみ、新鮮な空気を吸うのは、家でお家旅行をするよりも良いものです。実は、お家旅行が流行している理由は、人を遠くへ連れて行って実際に景色を楽しませるコストーーがお家旅行よりもはるかに大きいからです。しかも、人々は面倒くさがります。


 新聞がスマホに取って代わられた理由は、階下に降りて新聞を買うよりスマホの方が便利だからです。紙の新聞は確かにスマホの画面よりも目に優しいのですが。実店舗が仮想店舗に取って代わられた理由は、実店舗の店舗コストーーや消費者が実店舗まで行くまでのコストーーが、ネットで仮想店舗を閲覧するよりも大きいからです。実店舗で実際に自分の好きな商品を選べるにもかかわらず。同様に、21世紀の地球人が旅行に出かけるには、十分に長く連続した休暇を待ってから出かけなければなりません。しかし、お家旅行なら仕事が終わって帰宅後にヘルメットをかぶるだけで済むのです。


 人間が旅行する目的は、新鮮な景色を見て、新鮮な情報を受け取ることだ。しかし、孟位(モン・ウェイ)がいる二十二世紀の地球では情報化の程度が極めて高く、目に見える情報は二十一世紀の人々の想像をはるかに超えている。これは、二十世紀前半の人々が二十一世紀前半の人々が自撮りに熱中することを想像できないのと同じだ。


 地球の二十ニ世紀からこの世界に転生した盧安(ルー・アン)は、李星霽(リー・シンセイ)が世界一周旅行に出かけたと知っても、嫉妬や羨望の感情に駆られることはなかった。むしろ、盧安(ルー・アン)のある感情の部分は「この時代の人々は、生活の消費が本当に大変だなあ、旅行するにもわざわざ外に出なければならないなんて」という同情を抱いた。その後、盧安(ルー・アン)は自分が掘った乾熱井に注意を向けた。「家にこもる毒が骨身にしみている」盧安(ルー・アン)にとって、一人で工業体系全体を研究することこそ、前世で経験したことのない新鮮なことなのだ。


 但し、盧安(ルー・アン)はもう一つのことを見落としているかもしれない。それは李星霽(リー・シンセイ)のそばにまだ女性がいるということだ。


 李星霽(リー・シンセイ)と盛怡苒(イー・ラン)は既に豪華客船に乗り、ハワイを離れてカリフォルニアへ向かっている。熱帯の日差しの中で、二人の顔はブロンズ色に焼けた。


 船の上で、李星霽(リー・シンセイ)は山積みの買い物を見て頭が痛い。盛怡苒(イー・ラン)が買ったものはどれも変で、麦わら帽子から火山岩彫刻の装飾品まで、李星霽(リー・シンセイ)は盛怡苒(イー・ラン)がこれらのものを買った後、もう一度それらを見るかどうかとても疑わしい。


 逆に、李星霽(リー・シンセイ)は自分の買い物が比較的理性的だと感じている。彼は別のプレゼントの山に目を向けた。数から見ると、この山は盛怡苒(イー・ラン)の山よりもずっと少ないわけではない。しかし、李星霽(リー・シンセイ)のこのプレゼントの山はすべて帰国時に誰かに贈るためのもので、中には盧安(ルー・アン)の分も含まれている。


 これらのものは一つ一つ梱包して郵送する必要がある。李星霽(リー・シンセイ)は携帯のリストーーに従って、この二つの山を一つ一つ梱包している。盛怡苒(イー・ラン)の少し甘えた言い方を借りれば、「こういうことは男の子が担当すべきだ」という。


 一方、一艘の船の上で、30歳くらいのやや成熟した男性が自分のグラスを揺らしながら、感慨深げに言った。「若いっていいね。」


 この男性は劉仲康(リュウ・チュウカン)といい、龍部(リュウブ)に所属し、五級の超能力者で、属性は変化系、超能力はエネルギー固化である。彼は龍部(リュウブ)で海外開拓を担当している。


 この世界は非常に危険で、龍部(リュウブ)は若者がこんな風に気軽に外に出歩くことを決して許さない。この船には、まだ十数名の超能力者がいる。


 劉仲康(リュウ・チュウカン)の向かいには、見た目は二十歳だが実際には四十代のアジア系アメリカ人の混血の巻き毛の女性が座っている。安蒂克絲(アンディクス)という名前で、檮杌(タオウー)組に所属し、今回の龍部(リュウブ)メンバーの接待を担当する責任者だ。


 安蒂克絲(アンディクス)は劉仲康(リュウ・チュウカン)の言葉を聞くと、少しアメリカ訛りの中国語で答えた。「誰もがこんなに美しい青春を送れるわけではない。東アジアのあなたたちは、私たちよりずっと幸運だ。」


 安蒂克絲(アンディクス)は自分の鎖骨の傷跡を撫でた。これは彼女が二年前のある作戦で負った傷跡だ。


 檮杌(タオウー)組の本部はアメリカ大陸にあります。この世界では、第二次世界大戦後、アメリカ合衆国が解体され、アメリカ大陸全体の大部分の地域は平和ではありません。沿岸地域の経済状況は良好ですが、中西部地域ではかなり悪いです。


 カリフォルニア共和国はアメリカ西海岸にある楽園の一つですが、このような楽園はアメリカの他の地域ではほとんどありません。カウボーイ(匪賊)たちは200年前と同じように馬に乗り銃を持ち、恩讐に生きる生活を送っています。ただし200年前は、彼らは家畜を巡って回転式拳銃で撃ち合っていましたが、今では民国19を使って麻薬取引を巡って撃ち合っています。ちなみに、民国19は中国で生まれた銃器で、地球の時空のAK47とまったく同じものです。この銃器は現在、多くの国で模倣生産されており、混乱のある場所ならどこでも民国19の姿を見ることができます。


 アメリカ大陸中部は世界最大の麻薬基地であり、この世界の黄金三角地帯やアフガニスタン地域では、むしろ大規模な麻薬植物の栽培は行われていない。なぜなら、混乱こそが人々に薬物による短期的な快楽を求めさせ、麻薬の巨大な消費市場を生み出すからだ。一方、安定した地域では、ほとんどの人々が自らの生涯設計に取り組んでおり、このようなものに手を出すことはない。安定した地域の統治者たちが追求するのは、麻薬のような短期的な暴利ではなく、そのため麻薬産業を厳しく抑制するのだ。


 アメリカ大陸中部地域では、低強度の戦争が継続している。檮杌(タオウー)組はアメリカ大陸の各政府と密接に連携し、秘密警察部門としての役割を果たしている。


 政府の直轄下にある超能組織「龍部(リュウブ)」とは異なり、また自ら南極へ赴き統治を築く超能組織「偷天部」とも異なり、「檮杌(タオウー)組」はむしろアメリカ大陸全体に跨る国際組織であり、活動範囲はアメリカ大陸全体にわたり、様々な政府と協力している。この組織は時に現地政府を凌駕するような行動をとることがあり、例えば行動後に初めて現地政府に説明するなどだ。


 実は、檮杌(タオウー)組自体が各政府の一部なのだ。檮杌(タオウー)組は独自の軍事組織を有しており、各政府は毎年予算の一部を檮杌(タオウー)組に拠出している。ここで言う「各政府」とは、資金力のある政府のことだ。カリフォルニア共和国は檮杌(タオウー)組の主要スポンサーの一つであり、カリフォルニアの上院議員の一部は檮杌(タオウー)組の意思決定層も兼ねている。


 すべては利益のためだ。共和国は自らの安全を確保するため、周辺の混乱地域に対応するために武力介入の戦力を常に維持してきた。これらの近隣地域に介入するには、戦車や航空機、大砲を動かすコストーーが大きすぎ、標的の逃亡も容易なため、特殊作戦チームが派遣される。


 檮杌(タオウー)(とうこつ)組はまさにそれを行う組織であり、後ろ盾を持たずに熾烈に利益を奪い合う大物麻薬王を処理し、また国内に深く浸透して沿岸富裕層の政治闘争を引き起こそうと図る一部の軍閥を懲罰する役割を担っている。


 しかし、アメリカ地域の混乱のため、超能者は東アジア大陸のように制御され、上流社会の教育を注入されることはなかった。アメリカ大陸の超能者たちの生育環境は非常に野蛮であった。混戦地域では、一部の麻薬王や軍閥が自ら超能者であり、超能者を武装部隊として組織していた。


 世界の十二の超能部門の管轄区域から見ると、本部を南米サンパウロに置き、南米と北米を管轄する檮杌(タオウー)組の支配地域は世界最大であるが、超能者の数は玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》と大差ない。これは、同地域で覚醒した超能者が、地方勢力のもとへ行って人上人となり、美女と美酒を楽しむ土皇帝のような生活を送るか、あるいは南下して偷天部の縄張りへ行くかのいずれかであるためだ。要するに、檮杌(タオウー)組が統合できた超能者の割合は非常に低い。


 しかし、世界の他の超能力組織も檮杌(タオウー)組を軽視しているわけではない。超能力組織の第一集団として、龍部(リュウブ)は長年檮杌(タオウー)組と対等な協力関係を保っている。なぜなら、檮杌(タオウー)組では生死をかけた超能力戦闘が非常に頻繁に行われているからだ。これは虎部(フー・ブー)や龍部(リュウブ)のようなままごとのような超能力の競い合いとは異なり、アメリカ地域の超能力者は超能力を使って命がけの戦いを繰り広げている。檮杌(タオウー)組の超能力者は他の地域の超能力者よりもはるかに戦闘に熟練している。


 もちろん、檮杌(タオウー)組の超能力者たち自身はこのような生活を好んでいない。平和な時代の人は刺激的な生活に憧れるものだが、長期間ハラハラする環境に生きる人々は、平和な日々を強く望むものだ。


 数日前、安蒂克絲(アンディクス)は盛怡苒(イー・ラン)が何の憂いもなく愛される生活を送っているのを見て、嫉妬心が爆発寸前だった。同じ四級超能力者でありながら、両者の運命はこれほどまでに異なる。盛怡苒(イー・ラン)は名家の娘で、安蒂克絲(アンディクス)はただの中国商人の娘に過ぎない。五級超能力者の劉仲康(リュウ・チュウカン)がここにいなければ、安蒂克絲(アンディクス)は我慢できずに盛怡苒(イー・ラン)という小娘を教育し、目の前のすべてを大切にさせていただろう。

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