0354 天を盗み日を換える
盧安は横にいる李星霽が適当にあしらっているように感じたので、時間を無駄にするのはやめて一つ一つ説明せず、代わりにこれらの試験問題に取り組んだ。
30分かけて、盧安は李星霽の4枚の試験問題をやり終えた。盧安の宿題を書くスピードは通訳の速記の速度に匹敵するほどで、横でデザートを味わっていた李星霽は舌を巻いた。
「私は超能力を研究していたので、これらの問題を処理するのは慣れている」と盧安はそれに答えた。
李星霽は答案用紙全体の整った解答順序をざっと見た。彼は問題を解くのがとても面倒だと思ったが、正解かどうか、完全に答えられているかどうかは、李星霽には見抜くことができた。
「君は超能力がないなんて、本当に惜しいね」と李星霽は言った。「そうだ、推薦は受けた?ひょっとしたら白銀の超能力者になれるかもしれないよ。」
盧安は微笑んで首を振った。「いいえ、以前なら強力な能力を切望していたかもしれないが、超能力は万能ではない。今の状況にはとても満足している。」
盧安は牛肉を一口飲み込むと、ため息をついた。「冷めると味がやっぱり少し落ちるな。」
李星霽はウェイターに新しい一皿を頼もうとした。しかし盧安は笑って李星霽を止め、「温かいステーキの味は知っているから、無駄にしなくていいよ」と言った。
華東理工大学のキャンパス内。
虎部の3級超能力者蘇道然(エネルギー系、マイクロ波)は向かいの4級超能力者を見つめ、低い声で尋ねた。「段昊傑、お前は今、一体龍部の公式行動として来ているのか、それとも個人的な行動か?」
段昊傑は黒一色のスーツ姿の虎部メンバーを見回し、視線をリーダーの蘇道然に集中させ、からかうように言った。「どうやら、虎部の動きはかなり早いみたいだな。もし俺が来なかったら、君たちは当事者の知らないうちに、誰かのために編入手続きを済ませていたんだろうな。」
蘇道然が言った。「ここは上海だ。お前がなぜこの地に滞在しているのかは知らないが、俺の公務の邪魔をするな。彼の件については、後で彼に説明する。」
段昊傑はこの時、心の中で盧安を罵っていた。というのも、今日、段昊傑がほんの少しうたた寝をした隙に、盧安は学校にいなくなっていたのだ。彼は慌てて近くの監視カメラを確認したところ、盧安はどうやらバスで学校を離れたらしい。
盧安の外出が単なる人との面会のためだなんて、段昊傑には到底信じられなかった。段昊傑は盧安を半年間も監視し続けてきた。盧安はこの半年間、眼鏡をかけ本を抱え、いかにも賢そうな大学生といった風貌で、どこにでもいるごく普通の人間にしか見えなかった。もし姬流が盧安を五級トップクラスだと自ら認めず、最強の心霊系能力者・潘陽が盧安を避けているのをこの目で見ていなければ、段昊傑は盧安が神眷の列にいるなど到底信じられなかっただろう。段昊傑の目には、盧安は変わり者としか映っていなかった。
今、独断で盧安の転校を手伝いに来た蘇道然を見て、段昊傑は彼に同情している。段昊傑は蘇道然に真実を話したくてたまらないが、上司の要求により、段昊傑は秘密を守らなければならない。
「泥鰍プロジェクトは当初、三つの部門の共同プロジェクトだった。君たちが勝手に設置したこの…この『龍門』という計画は、あまりにも性急すぎないか?」そう言うと、段昊傑は虎部の公印が押された書類をちらりと見て、ふんと笑い、蘇道然が盧安のために作成した転校書類を遠慮なく破り捨てた。段昊傑は力ずくで相手を格上で押さえつけるつもりだ。
蘇道然はこれを見て、怒りが込み上げ、首筋が真っ赤になった。段昊傑の左手の腕時計から飛び出したバッジサイズの小さな盾と、右手の指輪についた蟻ほどの長さの微型剣を見て、蘇道然は最終的に怒りを抑えた。
段昊傑の超能力は特殊で、剛性力場を作り出すことができる。段昊傑は通常、剛性力場を手にした小型の盾や、指輪の微型剣の模型に重ねて使う。もちろん、剛性力場は彼の足元に付着させることもできる。彼のこの竹馬のような走り方は、軽快に一般のアスリートに追いつくことができる。剛性力場で形成された長剣は、四十メートルまで伸ばすことができ、もちろん縮めることも可能で、さらに断面を犠牲にしてより遠くまで延ばすこともできる。近接戦闘では、この重量ゼロで、アルミ合金のように強靭な伸縮剣の殺傷力が非常に高く、一方、盾は5キロの爆薬の至近距離での爆発を防いだ記録がある。彼の剛性力場は現在、9立方メートルの体積に達することができ、彼が9トンの鋼鉄を常に携帯しているとみなすことができ、そして、この9トンの鋼鉄は彼の意のままに変化できる。
段昊傑の態度は龍部の態度を代表している。蘇道然は直ちに上級に指示を仰ぎ、「先に撤退せよ」との返答を得た。
20分後、西部の玄鳥部の実験室で、盛儒星は東部からのメッセージを受け取った。彼は蘇道然に指示を終えた後、傍らの盧鼎に言った。「上海の召集に少し問題が発生しました。」
盧華明は光スクリーンを制御するレーザーポインターを置いて尋ねた。「繁星部長、そちらではどのような問題が発生していますか?」
盛儒星が口元に微笑みながら言った。「おそらく私の問題だろう。部下が15歳の子どもを迎えに行くために、転校の手続きをしようとしたが、結局できなかったんだ。」
盧華明は笑顔が一瞬こわばり、それから言った。「あの子は本当に分別がない。」
盛儒星は言った。「泥鰍とは関係ない。龍部が手を出したんだ。」
盧華明は手を握りしめたが、何事もなかったように言った。「龍部?彼らは随分遠くまで手を伸ばしているな。」
盛儒星はうなずいて言った。「そうだ、龍部はそういうものだ。南へも西へも手を伸ばす。数ヶ月前、マインドコントロールが我々のところで頻繁に姿を見せていたが、最近は情報部門が彼を見失ってしまった。君は言宇田ろう、龍部のこの情報のエースは最近どこへ行ったのかと?」
盧華明はしばらく考えてから言った。「心灵系が先手を取っている。君たちは彼の動きを察知できるが、気づいた時には彼はもう逃げ出している。人が多ければ多いほど、彼を捕まえるのは難しくなる。そうだ、泥鰍の件については、人を派遣して処理させよう。」
その時、一人の研究員が走り込んできて言った。「龍部からの通信です。繋ぎますか。」
盧華明は盛儒星をちらりと見てから、うなずいて言った。「繋いでくれ。」
光屏がちらつき、椅子に座った李兵強の映像が現れた。二人が話し合っている様子を見て、李兵強は笑いながら言った。「なるほど、君たちはそろっていたんだな。これなら二度も通信する必要はない。」
盧華明はうなずいて言った。「うん、では話してくれ。」
李兵強は盧華明を見ずに、盛儒星に向かって言った。「繁星、星霽は君のところで世話になっているな。」
盛儒星が言った。「あの若者はとても良い。」
「ただ良いだけ?」李兵強は首を振った。「ああ、やはり変わる可能性があるんじゃないか。」
李兵強は盧華明をちらりと見て、淡々と言った。「君の家出した子供は、最近運が向いてきたね。」
盧華明は微笑みを保ちながら言った。「少し誤解があるかもしれません、私はすぐに彼を迎えに行くつもりです。」
李兵強は遮って言った。「いや、誤解なんて一切ないよ、最近彼のことをとても評価している。彼が最近発表した論文が素晴らしいんだ、『磁流動力推進器の発展趨勢』。江南造艦廠は彼のような意欲的な若者を必要としている。」
李兵強は盧安の関連状況を調査し尽くし、当然ながら盧安と盛怡苒の間に一度“孽縁”があったことを知っている。しかし李兵強の目には、これは絶対に起こってはならない孽縁であり、だから今ちょうどこの口実を使って先手を打って難癖をつける。
盛儒星は問い詰める。「こうするのは少し不適切ではないか?泥鰍プロジェクトは当初から巨大な潜在力が検証された……もちろん、私はただそれに潜在力があると考えているだけで、他意はなく、怡然が彼とこれ以上付き合わないことを保証する。」
李兵強は心の中で冷ややかに鼻で笑う。「お前が保証するだって?お前の保証なんて屁の役にも立たねえ。お前たち虎部がもし真実を見つけたら、お前のあの厚かましい親父どもは十中八九孫娘を逆に貢ぎに行くに決まってる。俺にとっては、早く泥鰍の秘密を北方に持ち込むことこそが王道だ。」
傍らにいた盧華明が前に出て言った。「うん、私もあなたに保証します。彼を連れ戻したら厳しく指導し、あなたに迷惑はかけさせません。」
李兵強は微笑みながら盧華明に言った。「あなたが彼を連れ戻す?あなたに彼の親権があるのか?」
この一言に盧華明は怒りと恥ずかしさで激怒した。盛儒星は盧華明を制止し、李兵強に冷たく言った。「お前はどうするつもりだ?」
李兵強は言った。「三年以内に、泥鰍プロジェクトは一切の形で再開してはならない。」
盛儒星は微笑みを浮かべて言った。「では三年後は?もしあの子が、あなたが三年間も邪魔をしたと知ったら、どう収めるつもりだ?」
李兵強は勝ち誇ったように言った。「当然、彼には補償をしてやるつもりだ。最近、北方艦隊で大佐のポストーーが空いていて、高学歴の人材が軍隊で経験を積んで、それに相応しい人材が必要なんだ。彼の心が鍛えられたら、重要な任務を託すつもりだ。その時、彼が超能力に覚醒しても構わないだろう。」
李兵強は今、神業とも言える演技で、虎部と玄鳥部の二人の権力者を口から出任せの言葉でごまかし、子供の縁談に心を砕いている様子を見せている。もちろん、確かに少し心配しているのだが。
「三年?」三年という時間があれば、盛怡苒と李星霽は結婚の法定年齢に達するのに十分だ。盛儒星は冷笑して言った。「三年、随分と正確に計算したものだな!」
李兵強はうなずいて言った。「もちろん、三年の間に、我々李家が手に入れられなければ、それ以上求めることはできまい。」
盛儒星は皮肉なのか賛同なのか分からない口調で李兵強に言った。「お前は意外と達観しているんだな。」
その時、盧華明はこれ以上沈黙を守ってはいられず、言った。「私は反対だ。彼は今すぐ家に帰らなければならない。これは我々一族の問題だ。」
四級の異能を失った十五歳の少年が、かつて装置の補助によって五級の領域に足を踏み入れたことがある。玄鳥部研究所が提供したデータモデルによれば、盧安には驚異的な爆発力が備わっている。このプロジェクトに「龍門」と名付けたことからも、玄鳥部が盧安に寄せる期待のほどが窺える。玄鳥はこの被験体を失いたくはないのだ。
李兵強は謎めいた笑みを浮かべて言った。「そうだ、諦めるしかないもう一つのチャンスがある。彼に一度、自分で選ばせてやろう。さあ、予想してみろ、彼は異能を取り戻すことを選ぶか、それとも俺が提供する職のほうを選ぶか?」
盧華明の瞳孔がわずかに収縮し、激しく問い詰めた。「心霊制御系の心理暗示だろう、そうなのか?!」
李兵強は一瞬止まり、しかし無理やりに首を振った。「そんなはずがない……」一方、李兵強は心の中で大笑いした。「推測しろ、そうやって推測するんだな!ハハハ。」




