0351 白銀超能者
白宏翼が自分の住居に戻ると、すぐに意地の悪そうな顔をした女大家が目に留まった。
半年前は、別の大家が話しやすい人だったので、白宏翼は数か月の家賃を滞納し、豪快にドアを蹴り壊して出て行った。ところが今、この女大家は仲介組織を盾に部屋を貸しているため、白宏翼は笑顔を作り、組から貰った弔慰金を家賃としてこの女大家に渡すしかなかった。
女大家は金を受け取ると、札を数えながら言った。「白宏翼、来月で契約は更新しないから、引っ越してくれ。」
白宏翼は一瞬呆けた後、ご機嫌を取るように笑って言った。「王阿姨、ご覧の通り、もう年末だっていうのに、どうやってまた部屋を探せばいいんだ……」
この大家は首を振りながら言った。「私は十分あなたのことを考えています。あなたが怪我をした時、傷の治りに影響するのを心配して、あなたに話しかけませんでした。あなたも私の苦労を考えてください。あなたは毎日いろんな人たちと付き合っていて、今回また外で刀傷を負いました。今では近所の人たちは私のことを何と言っているか? 私の家には凶気があって、血の災いを招きやすいと言っているんです。」
白宏翼はあの手この手で説得したが、大家は頑として譲らず、白宏翼に三日以内に引っ越すように言い、さもなければ仲介業者をよこして追い出すと言った。
白宏翼の交渉は長く続かず、廊下から別のおばあさんが孫を連れて出てきた。この家主は微笑みながら小さなキャンディーを取り出し、その子供に手渡し、優しくその子の頭を撫でた。この女性家主はこんなにも慈悲深い態度で、白宏翼に対する態度とはまるで別人のようだ。この家主はすぐにそのおばあさんについて麻雀をしに行き、気まずい顔の白宏翼を残した。
白宏翼は部屋に入ると、数分間ぼんやりと立ち尽くした後、急に足を踏み鳴らして心の鬱憤を晴らした。しかし、彼の視線の先に一筋の火の光が現れ、二週間前に食べ残したインスタントラーメンの容器に火をつけた。
白宏翼は数秒間呆然とした後、慌てふためいてその箱を叩いて火を消そうとしたが、別のインスタントラーメンの箱をひっくり返してしまった。後者には十日間放置されたスープが入っており、今や床一面にこぼれてすえた匂いを放っている。
白宏翼は悔しそうにそのひっくり返ったインスタントラーメンの箱を見ていたが、驚いたことに、そのインスタントラーメンの紙容器にも火がついた。白宏翼が一蹴りすると、再び火を消した。
彼は数秒間困惑した後、目に喜びの色が浮かんだ。彼は煙草を一本取り出し、視線をそこに集中させた。しかし、期待に胸を膨らませて数分間見つめても、煙草はわずかな反応も示さなかった。期待が大きければ失望も大きい。白宏翼は心に苛立ちを覚え、視線をわずかにそらした。ところがその時、煙草から数筋の青い煙が立ち上った。
彼は無意識に首をひねり、時計を見た。壁の電子時計は、今、朝の八時を示していた。
人間と動物の最大の違いは、人間が興味を持ったものに出会ったとき、規則性を見つけて分析しようとすることだ。もちろん、人間は視点や既存の知識量に制限されるため、後世から見れば多くの分析が荒唐無稽に思えることもある。しかし、これらの行動が積極的な意義を持つことは否定できない。
地球上、李鴻章の洋務運動は、後世の完全な工業体系の視点から見ると、多くの突っ込みどころがある。しかし、李鴻章があの時代にそこまで成し遂げたことは、正しさへの試みであった。もし間違いがあるとすれば、李鴻章が主導した洋務運動が愚かだったとは決して言えず、むしろ当時の紳士階級の代表者たちの取り組みがまだ十分ではなかったということだ。
午後五時、白宏翼の部屋には数冊の本が増えていた。『易経詳解』、『生辰八字と金木水火土の五つの対応』、『星座学』。
白宏翼は自分が覚醒した超能力に非常に興味を持っている。しかし、この超能力はネットで流布しているものとは少し違うようだ。彼の超能力には三つの特徴がある。
第一に、変動的で、夜は弱く、昼は強いようだ。
第二に、感情との関連性が極めて高い。感情が焦燥へと高まった時にのみ、視線に焦熱の点火効果が現れる。
第三に、毎日使用回数に制限があるようで、さらに一度使用するとクールダウン時間も存在する。
白宏翼は自分の超能力がどのように発現したのか、なぜネット上で公開されている超能力の資料と異なるのかを知らなかった。しかし、それは白宏翼の情熱に影響を与えることはなかった。彼は今夜、銀行のATMを焼き払い、そしてこの傷心の地を離れ、この世界の他の場所へと旅立とうと決意した。
白宏翼の身に起きた出来事は決して特例ではなく、大勢の人々に超能力覚醒の現象が現れていた。これらの人々は元々覚醒の素質を持っていたが、様々な理由で覚醒には至らなかった。しかし、あるきっかけとなるものが出現したことで、彼らの超能力覚醒が誘発されたのである。
こうした超能力者たちが現れ始めた。そして、社会の枠組みの中で個性をすり減らされてきた彼らは、今、社会の既定路線から逸れ始めている。
白銀と黄金は対をなす。もし最初の超能力者を黄金超能力者と呼ぶなら、現在覚醒しつつあるこれらの超能力者は白銀超能力者と呼ぶことができる。なぜなら、その数は前者よりはるかに多いからだ。
黄金超能力者の特徴は、いつでも好きな時に超能力を発動できることだ。この時代、彼らは多くが少年期に覚醒する。超能力の覚醒と共に、生涯付きまとう性格も形作られる。
一方、白銀超能力者の特徴は、特定の状況下でのみ超能力場を発動できることだ。ほとんどの感情状態では、周囲の物理量は正常だが、ある特定の感情になった時、自身の周囲に超能力場が現れる。
これらの人々は少年時代に黄金超能者になれる可能性が多かったが、生活と時間の経過とともに、思考や考え方が次第に外界の正常な思考に妥協し、その結果性格が摩耗し、同様に超能の成長も摩耗した。白銀超能者は、自分の少年時代に持っていた心構えを実行する時のみ、超能を爆発させることができる。
誰にも少年時代があり、その少年時代に多様な可能性がないわけがない。この自己の標識の一つである変数は、時に早すぎる平凡に妥協し、時に一生心に抱えられる。しかし、再び呼び覚まされた少年の心と大人になってからの思考が結びつくと、いったい何が起こるのだろうか?
この時、この世界は新たな紀元に入り始め、より多くの超能者が現れるだろう。
この世界の超能は人間という構造だけを選んで存在するため、様々な超能と人の性格には不思議な結びつきがある。ますます多くの人が超能を持ち、かつての自分を選ぶようになるが、彼らは過去を取り戻す際に、いくつかの重荷も手放さなかった。それらの重荷こそが、かつて彼らに少年の心を諦めさせたものだ。
少年の心は客観的であり、誰もがかつて少年の心を持っていた。しかし、もし大人の思考に子供の性格が組み合わさると、まるで比利王[1]が目の前でロリのように甘えるのと同じで、絵面が非常に不気味だ。若さゆえのわがままに何もわかっていない思考が加われば、それは無邪気だ。しかし、わがままに何もかもわかっている思考が加われば、それは劣根性の表れとなる。
大人のあまりに複雑な欲望と少年の心が結びつくと、いくつかの悪いことが起こる。白宏翼がATMを焼き払って金を奪い、世の中を渡り歩いた行為はまだ比較的理知的な方だが、一部のシルバー超能力者は非常に劣悪な環境と教育の中で育ってきたため、その行動は過激なものになる。
もちろん、より多くのシルバー超能力者はまだ密かにほくそ笑んでおり、水面下に潜んだままだ。
成都の航空港区で、湯宏康は耳元のレシーバーに触れながら、目の前の三階建ての宿舎を見上げた。
最近この時期、警察署には夜の街角で白い光が走り抜け、人を傷つけるという通報が相次いでいる。しかも非常に狙い撃ちしており、主に若い男女が標的だ。美しい女性はたいてい顔を、男性は大抵股間を傷つけられる。
関係当局はすぐに容疑者を特定した。しかし、これは特殊なケースであり、発生場所も繁華街だったため、大規模な死傷者を出さないために、すぐに専門チームを呼んで対処にあたった。
西部の超能力者事件は主に玄鳥部が担当しているが、西南で最も発展した地域として、西北とは明らかに折り合いが悪い。北方の龍部から派遣される予定の人員もまだ揃っておらず、官僚同士の責任のなすり合いにはほとほと困ったものだ。
上層部の調整を経て、湯宏康がこれらの問題の処理に請われた。
湯宏康の超能力はすでに四級の頂点に達しており、四十メートル範囲内の物質の六十種類以上の特性を変更できる。湯宏康は今回の任務目標の写真をじっくりと見つめた。写真に写っているのは二十七歳の女性で、整形失敗が原因で失恋し自殺した女だ。十六日前、病院で救助された後、彼女の居住区周辺ではこのような悪質な傷害事件が発生し始めた。三日ほど前に起きた事件が最も酷く、ある少女の顔が傷つけられて血肉がぼやけるほどになり、ショック状態に陥った。
「変態だ。」添付資料の悲惨な事件写真を見ながら、湯宏康は任務目標をそう評価した。続けて無線機に向かって言った。「指定地点に到着しました。目標の排除を要請します。」
その時、湯宏康の無線機から将軍の声が聞こえてきた。「宏康、私だ、米振だ。率直に聞くが、目標を生け捕りにできる可能性はどれほどか?」
湯宏康は驚いて聞き返した。「生け捕りですって?!」
米振は説明した。「目標の顔は元に戻せます。彼女を説得できれば、それが最良です。」
整形失敗でも、十分な設備と資源を投入すれば、顔を再建することは可能です。特にこの世界には生命系の超能力があります。次々と現れる白銀超能力者が関係部門の注目を集め、当然何人かを捕まえて研究することになります。
湯宏康はしばらく沈黙してから言った。「これは命令ですか?」
「命令だと思ってもらって構いません。失敗したら、二千字の反省文を書いてもらいます。」
二千字の反省文はごく軽い処罰であり、米振は湯宏康に選択肢があることを婉曲に伝えた。
「彼女を生け捕りにできます。ただし、この気持ち悪い女を収容した後は、私と一緒にしないでください。」そう言って、湯宏康は今回の任務を開始した。
この時、彼はすでにこの寮の建物の前まで歩いてきた。彼の前の寮の建物の三階の東側の二号室がたちまち透明になった——湯宏康は超能力を発動して壁の透光性を変更し、ちょうど野菜を切って料理しているターゲットを現した。
この女はまだ驚いているところ、湯宏康は手を上げて一発発砲した。低い銃声が響くのと同時に、ダーツ型の弾丸がゼリーのような壁を貫通した——湯宏康は超能力を発動して壁の硬度を変更——ターゲットの体に命中した。
湯宏康は身を躍らせて、三階の高さに跳び上がり、壁を貫いて入り、この女を地面に押し倒した。壁を通り抜ける途中、壁は小麦粉のように触れるだけで砕けた。この岩を割り、山を裂くような動作は非常に格好良く見える。
このような至近距離では、レベル4の超能力者は完全にレベル3の超能力者のあらゆる行動を抑え込むことができる。
湯宏康は素早く標的を制圧した後、耳元のインカムを押しながら応答した。「任務完了、二千字の報告書は書きたくない」。
[注1。]比利·海靈頓(Billy Herrington)、男性、アメリカのゲイポルノ俳優、モデル。




