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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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352/546

0350 下降を開始

 高次元の基準で判断すると、盧安(ルー・アン)が現在いる主位面は、百年前まで沃土区に属していた。しかし、沃土区が永遠に沃土であるわけではなく、亜廃墟へと発展する可能性がある。この状況は、沃土区防御陣営に属する穿越システムたちの専門用語で表現すると「世界が下行している」ということだ。


 シ貝利亞(ベリヤ)の荒野で、チタン合金のカードを断熱材として自分の体の周りに巻きつけた鄧大能(ドン・ダーノウ)が空からゆっくりと降下する。楕円球状のチタン合金の断熱層が鄧大能(ドン・ダーノウ)の周りで揺らめいている。無数の暗黒色の金属片が潮のように上から下へと引き上げられ、その後次々と積み重なり、一つの立方体を構成した。


 5級超能力者はこの世界では非常に自由で、具体的には今の鄧大能(ドン・ダーノウ)の行動がその証拠だ。玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の誰も、鄧大能(ドン・ダーノウ)が今シ貝利亞(ベリヤ)に来ていることを知らない。レーダーでは捕捉できず、携帯電話も圏外だからだ。機械力でできることは、盧安(ルー・アン)にも当然できるが、ただ天數(ティエン・シュー)プロジェクトが依然として盧安(ルー・アン)の位置を特定しようとしており、盧安(ルー・アン)はそれを警戒している。


 着陸後、機械力は一歩一歩、地面の上を滑るように浮遊しながら進んだ。まるでスケートのようだったが、雪面には一切の痕跡を残さなかった。


 数十分後、彼は松林の中へと飛び込んだ。


 中央シ貝利亞(ベリヤ)高原では、松林はごくありふれたものだ。そしてこの松林の中に、廃墟となった建物が一つある。年代から見ると、80年前に北方の赤い陣営の国が建設した戦争捕虜収容所であるはずだ。ここは、この次元の世界大戦終結後に放棄され、少なくとも表面的には廃墟のように見える。


 しかし、ここ2年でここが再び使用されるようになったことは、誰も知らない。注目すべきは、7ヶ月前に盧九重(ルー・ジウチョン)を待ち伏せした超能力者チームが、まさにここで盧九重(ルー・ジウチョン)の飛行機の離陸を待っていたことだ。


 多数の設備が数名の超能力者の協力によって、この建物の地下空間へと転送された。鄧大能(ドン・ダーノウ)は当然この基地の建設に関与しており、当初基地の場所をここに決めたのも彼だった。そしてこの地下空間は、とっくに巨大な基地へと拡張されていた。


 この基地は原子力潜水艦専用の発電機6基で電力を供給しており、原子力発電機に使われる冷却水は6キロ先の湖からパイプラインで引き込まれ、その後再び湖へと戻されている。その6キロ先の湖では、魚たちが非常に活発に活動しているのが見て取れる。


 基地内では、大勢の研究者が働いている。基地の中央には、巨大な培養槽がそびえ立っている。


 この培養皿には、公式記録上で死亡した女性が保管されています。この女性は鄧雯(ドン・ウェン)といい、三十六年前に亡くなり、ある遺体冷凍保存庫に保管されていました。四ヶ月前、一年前から存在するこの基地で、この遺体がすり替えられ、ここに現れました。この女性は鄧大能(ドン・ダーノウ)と父娘の関係にあります。


 鄧大能(ドン・ダーノウ)は培養皿の前に立っています。培養皿の中の少女は父の到着を感じたかのように、一メートルにも及ぶ黒髪を培養槽の中で微かに揺らしています。


 機械の手が培養皿の透明なガラスの上に置かれ、ゆっくりと語りかけます。「雯雯(ウェンウェン)、焦ってはいけない。君は必ず目覚める。神は賢明で、この世には多くの罪人が生きながらえている。君はこれほど善良なのに、まだ若い美しい時を享受せずにこの世を去る理由などない。あと少し待てば、君は灼熱の剣を手にこの世界を罰し、光を称えることになるだろう。」


 少女は目を固く閉じ、まつげが微かに動き、それから微かにうなずいた。


 鄧大能(ドン・ダーノウ)は優しく言った。「では、今はいい子で、医者の言うことを聞くんだ。」


 十六分後、鄧大能(ドン・ダーノウ)は名残惜しそうに培養皿のある実験エリアを退出し、基地の別の大ホールに来た。


 会議ホールでは、出席者は既に着席しており、ほとんどが投影の形態だった。鄧大能(ドン・ダーノウ)も着席したのを見て、一人のメンバーがすぐに会議の開始を宣言した。


 会議が始まるとすぐに、このメンバーは鄧大能(ドン・ダーノウ)に尋ねた。「血清の転送は完了しましたか?」


 鄧大能(ドン・ダーノウ)はうなずいた。「すでに46の血液銀行で種子注入が行われました。」


 鄧大能(ドン・ダーノウ)はクリックのジェスチャーをして、投影地図を開いた。地図には四十六の赤い点があり、中国全土に点在している。鄧大能(ドン・ダーノウ)は東アジア大陸西部の大部分を指して言った。「世の人々への福音がまもなく訪れる。」


 三十歳の女性メンバーが尋ねた。「進捗はどうですか?」


 鄧大能(ドン・ダーノウ)は言った。「彼は全く気づいていない。私が彼に玄鳥部《シュエン・ニアオ・ブー》の一部が坤(コン)(盧九重(ルー・ジウチョン))を目覚めさせることを検討していると伝えたとき、彼(盧穹(ルー・チョン))の目の奥に野心がちらつくのを感じた。」


 会議は白熱して進行中である。


 この神秘的な組織は金羊社(ジン・ヤン・シャー)の命を受けている。前回このレベルの会議では、盧九重(ルー・ジウチョン)を狙撃する方法を協議していたが、今回再びこのレベルの会議が開かれたということは、明らかにまた大きな出来事が起ころうとしている。


 七日後、西安はいつもと変わらず夕日を迎えている。


 一人の男が憂鬱そうに日没を見ている。


 この男の名は白宏翼(バイ・ホンイー)、現在は無職だが、最近ある兄貴分に世話になっている。しかしだ、彼は最近ついていない。兄貴分のために敵地に殴り込みをかけた際、農民にナイフで刺され、病院に入院し、一週間寝込んだ。その農民の方は刑務所行きで、故意傷害罪で7、8年は出所できまいが、白宏翼(バイ・ホンイー)はまったく嬉しくない——刺されたのだ、誰だって喜べるわけがない。


 一方、白宏翼(バイ・ホンイー)のその兄貴分は野菜商売を営んでいた。この兄貴分は町の実力者たちとつながりを持ち、長安城周辺のいくつかの町の野菜商売を独占し、農民が自ら野菜を城内に運んで売ることをできなくした。なぜなら、この兄貴分の地元の友人は徹底した土地の顔役であり、城内の友人の一部は都市管理局や衛生部門の職員だったからだ。それで彼はこれらの友人を結びつけ、利益を得ていたのだ。


 この次元と、盧安(ルー・アン)が前世でいた次元の同時期の状況は少し異なる。これらの都市の管理局や衛生部の人間は自ら出向く必要がなく、この大物が手下に露店を壊させるのを見届けた後、「これは道路占拠営業だ」「縄張り争いだ」、あるいは「個人間の喧嘩だ」といった釈明で責任を逃れ、最終的に大事を小さく、小事をもみ消すことができる。喧嘩の双方は法律に従って処罰され、露店を出していた農民は出所後、元手をすべて失い故郷へ帰る。しかし、その大物は手下が刑務所に入るや否や、コネを使ってすぐに引き出すことができるのだ。


 世論?この時代の世論は、田舎者と地元の街のチンピラの喧嘩など気にも留めないし、トラック一台分の野菜が完全に潰されたところで関心を持たない。公務員のような、世間から見て強い立場の集団が、農民のような弱い立場の集団に手を出して初めて、大衆の溢れかえる同情心を引き寄せるのだ。そしてこの時代、公務員はまさにそんな下らない事に頭を悩ませる必要がないのである。


 表裏社会で顔の利くこの兄貴分は、今や一声で何百人もの「兄弟」を呼び集められ、まるで『古惑仔』のボスのような威厳がある。しかし、これだけの「兄弟」を集められるのは義理人情ではなく、金の力だ。野菜の買い付けビジネスを甘く見てはいけない。田舎では1斤数銭の野菜が、都市に運べば1斤数元で売れる。運送費や人件費を差し引いても、その利益は小さくない。だから、この兄貴分は時に競合他社ともめ事を起こすこともある。


 中学中退の白宏翼(バイ・ホンイー)の生活は楽ではなく、今は低所得者向け住宅に住むしかない。家主の家賃請求にどう対処すればいいのか、白宏翼(バイ・ホンイー)の舎弟たちはまったく役に立たない。暴力団があっても何でも思い通りになるわけではない。政府の規則や執行力が及ばない領域では、当然ながらその利益分配のために独自のルールを作る者が現れるのだ。


 無銭飲食や無賃宿泊はルールを破る行為だ。部屋を借りるのは仲介を通して行われ、家賃は大家の収入になるだけでなく、仲介組織がその一部を徴収する。そしてこれらの仲介組織は、社会の無頼漢を用心棒として雇っている。そうでなければ、これらの仲介組織は貸し部屋業を成り立たせることができない。だから、白宏翼(バイ・ホンイー)が家賃を払わなければ、これらの闇社会が決めたルールに従い、仲介組織は彼に思い知らせることになり、彼の兄貴分もルールに従って動くしかない。


 ここ数日、白宏翼(バイ・ホンイー)は病床に伏して身動きが取れなかった。白宏翼(バイ・ホンイー)の介護を担当する男は、ずっと軽蔑の目で彼を見ていた。東部では多くの綺麗な女性が看護を学び看護師になるが、西部のこのコストーー削減に走る民営病院はそれほど気前がよくない。白宏翼(バイ・ホンイー)の介護をしていた男は、たった今、失禁した老人のズボンを履き替えたばかりなのに、すぐに白宏翼(バイ・ホンイー)に湯気の立つ饅頭と漬物を差し出した。とにかく、白宏翼(バイ・ホンイー)にとってここ数日はまさに拷問のようなものだった。


 今日、彼はついに退院した。彼はむず痒い傷口を撫でながら、吐き気を催させるこの病院を振り返りもせず去った。松葉杖をつき、車に乗り込んだ。


 しかしすぐに、彼は自分が変わったことに気づくだろう。

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