0347 乱の壤
人間の思考様式が、人類文明の物質的発展の方向性を決定づける。
人類は皆、戦争を強く否定し、紋切型に戦争は人間の悪の花が咲いたものだと痛烈に非難するが、自らの怠惰や貪欲を自ら積極的に非難することはめったにない。しかし、まさにその最初はごく軽微で、無害に見える怠惰と貪欲こそが、人類文明の矛盾を引き起こし、現行の道徳基準を揺さぶり、やがて自らの欲求を満たすための略奪と殺戮が黙認されるに至って、戦争が始まるのである。
戦争が終わるたびに、人類の理性が戻り、人類の過剰な怠惰と権利と責任の不均衡による貪欲が大きく後退する。そして、まさに思考の中の怠惰と貪欲が大きく後退することで、再び人類の物質文明の発展傾向が決定される。
これは、盧安が高階位の生命体の戦闘における表現を見たのと同じだ。高階生命の戦闘には複数の可能性が含まれており、複数の可能性へと発展していく。そして文明の発展にも複数の可能性がある。なぜなら戦争が人間の思考を変えるからだ。人類の物質文明の発展には高度な不確実性が存在する。
そのため、歴史的な尺度から見ると、善意から歴史の戦争を一つ減らすことが、本当に一つの悲劇を減らしたことになるのだろうか?
五級超能力者鄧大能は指でつまんだ試験管を見つめた。試験管の中は最近新しく作られた血清で、鄧大能は微笑みながら血清を実験台の棚に戻した。
この実験台の周りには、大量の医療機器、ビーカーや試験管、電子顕微鏡がある。隣の通路の扉には、放射能と生物化学的危険を示す警告マークも印刷されている。
ここは医学研究所だ。最新の設備、最高の能力を持つ研究チーム、そして優れたインセンティブ措置が結集している。このような研究所は全国的に見ても数少ない。
玄鳥部で現在最強の五級超能力者として、鄧大能は超能力の応用において大きな発言権を持っている。共有プロジェクトが上層部で公開された後、意外にも鄧大能は非常に積極的にこの共有プロジェクトに参加し、自分の超能力を盧穹に共有した。その後、鄧大能の共有プロジェクトにおける発言権は第一梯隊となった。そして今、機械力が共有超能力の大規模開発を提案している。
共有超能の応用により、玄鳥部は過去には想像もできなかった速度でこの世界の生命科学の難題を攻略しつつある。
肉体再生や代謝制御といった超能は、戦闘力に優れた超能ではない。しかし、これらの超能が生み出す超能場の重ね合わせにより、細胞分裂は驚異的な速度で進行する。その超能場では、生命活動に関与するタンパク質分子の化学的活性が信じられないほど増加する。
ある三級生命再生の超能者の体内では、食物が体内に入ると驚くべき速度で分解・消化され、消化されにくい繊維質までもが、シェルラーゼとセロビアーゼの作用で急速に分解される。しかも、その分解速度は超能によって急激に加速されている。この分解速度は、氷が熱湯の中で溶ける速さに匹敵する。
シェルラーゼおよびセロビアーゼはシロアリの体内の鞭毛虫にのみ存在し、第三級生命再生の超能力者の体内には通常、このようなタンパク質酵素は存在しない。しかし、繊維質が彼の消化管に入ると、彼の体は対応する物質を分泌してそれを消化する。
関連実験で、この第三級超能力者は繊維質だけでなく反応を示すことが発見された。鉄釘を飲み込むと、食道の胃酸濃度が通常の4倍に上昇し、超能力の作用で急速に溶ける。27分後、体内の骨と毛包に磁性現象が現れた。これは、消化された鉄元素が骨と毛包の一部で何らかの磁性構造を構築したことを意味する。
盧安の共有超能力が現れる前は、この生命再生超能力はその三級生命系の超能者だけのものだった。しかし、共有能力が出現すると、玄鳥部の高齢の幹部たちは喜んでこの能力を使い、自分たちの老いた体を健康な状態に調整した。
しかし、高齢の幹部たちは単にこの超能力を消費するだけで、その能力をより深く開発することはなかった。
生命再生能力とは、いったいどこまで可能なのか?自然現象に対する人類の探求と研究、それがいわゆる科学研究である。あらゆる科学研究には大量の実験が必要であり、そして大量の実験は大量の失敗を意味する。
まず、生命系超能力者はこれらの実験をやりたがらない。なぜなら、この世界の超能力と性格は密接に関係しているからだ。生命系超能力者の心理は例外なく生命を大切にすることを主とし、ほとんどが純粋な善の性格である。だから、自分の生命が強靭であっても、彼らは失敗の代償を負うことや、自分の生命を無駄にすることを決してしないのだ。
超能力の共有を通じて生命系超能力を享受し、それによって健康を回復したこの連中の老いぼれたちは、体が健康を取り戻すと、もう人を苦しめる実験には参加しなくなる。そのため、関係する研究者たちは一度しか実験データを収集できない。しかし、これほど大規模な医学研究は、何度も何度も繰り返し大量の実験データを収集しなければならない。この非貴即富の老いぼれたちが、自分の体を健康と不健康の状態の間で行き来させるような真似を許すはずがないのだ。
こうなると、これらの老いぼれどもや生命系超能力者は実験素材にできないため、各方面の利益に駆り立てられ、数十万人もの患者を対象にした実験が始まった。
今や、盧穹は数十人の生命再生超能力者と下線関係を結んでいる。これら数十人の下線の血液が大量の患者の体内に注入され、その後患者たちを特殊な物理環境に送り込んで、血液中の超能力現象が短期間かつ激しく爆発するように誘発する。
ある物理場の刺激下で、血液中に宿る生命再生超能は光波のように迅速に生命体の体内を駆け巡った。これら患者の体内で生命再生超能は数分間にわたり作用し続けた。しかし、患者の体内に巣食う厄介なウイルスや癌細胞は、生命再生超能に完全に無視されたようで、その作用はもっぱら患者の体内でなお正常に機能する器官細胞に向けられた。これらの器官細胞の生命活動は加速され、大量の栄養液とビタミンを消耗した。そして患者たちの呼吸はますます速くなり、医療スタッフは酸素ボンベで彼らに酸素供給せざるを得なかった。
これらのウイルスに満ちた細胞や従順でない癌細胞はこの段階で十分な栄養を得られず、免疫細胞を主とする正常細胞が細胞間貪食現象を起こし、大量の酵素で癌細胞や不健康な細胞の大半を分解し尽くした。
癌末期の患者であっても、正常細胞は依然として大多数を占めている。そして生命再生超能の作用により、これらの正常細胞は超能の作用で特異な生化学反応を引き起こし、癌細胞のような異常細胞を主とする多数の細胞を貪食する。こうして、患者の元々危うかった恒常性が突然助力を得たかのように、驚異的な生命力を爆発させ、逆に病巣を飲み込んでしまうのだ。
玄鳥部の上層部はこの研究を非常に支持している。彼らは技術の享受者であり、技術の提供者ではないからだ。彼らの考えでは、口先で技術の進歩を支持すれば、科学の進歩がもたらす利益を享受できるのだ。
最新の研究によると、生命再生超能力の作用対象は生命体系、すなわち最大で最も複雑な生命体系である。超能力の影響範囲内では、その他の小さな生命体系は抑制される。ある深刻な「実験ミス」では、二人の患者が実験装置内で互いの血液循環を接続した結果、生命再生超能力の現象が二人の患者の体内を行き交った。そして生命再生超能力はシーソーのように、素早く「再生」を一方に傾け、「死」を他方に傾けた。後者の生命機能は加速的に低下し、その体内では大規模な細胞自食現象が発生し、大量の栄養素が分解された。
このような「実験ミス」は16回発生し、実験全体に貴重なデータを提供した。現在の研究では、この生命超能力は「再生」を最も大きく、最も強く、最も複雑な生命体系に偏らせ、その他より小さく、弱く、単純な生命体系を抑制、さらには破壊することが判明している。これが生命再生超能力がウイルス、細菌、癌細胞の破壊を加速させるメカニズムである。
研究チームが生命再生超能力がどのようにウイルスの破壊を加速するかを研究する実験では、付随的に抗ウイルス血清など、ウイルス性感染症を治療するための関連薬剤が多数開発され、臨床試験を経て大規模に生産が開始された。そして、彼らが生命再生超能力がどのように細菌や真菌の破壊を加速するかを研究する実験では、微生物感染を治療する関連薬剤が雨後の筍のように次々と開発され、まもなく臨床試験に入る予定だ。玄鳥部の研究メンバーは自分たちの発見と研究に興奮し、さらに大規模な実験研究を行った。
鄧大能は実験者のリストーーをコピーし、実験室を出て、長い通路を通り抜け、実験室の地上にあるビルに到着した。
鄧大能がビルを出たとき、彼はちょうど盧穹を見かけた。盧穹は上海から戻ったばかりだった。上海で数多くの強力な超能力者を目にした盧穹は、心の中に競争心が芽生えていた。そしてその感情が高まるにつれて、ここ数日で自分の超能力が向上していることに気づいた。
非常に興奮していたものの、盧穹は自身を重要視していたため、戻るとすぐに実験室へ急行し、自分の身体と超能力の状態を検査しようとした。そこで、盧穹はちょうど機械力と出くわした。
盧穹は鄧大能に丁寧に挨拶をした。玄鳥部最強の超能力者であり、また自身が参加しているこのプロジェクトに携わっている鄧大能の決定は、盧穹の超能力を左右するため、盧穹は礼儀正しく振る舞わなければならなかった。
鄧大能は盧穹に微笑みかけて言った。「上海への旅、どうだった?」
盧穹は言った。「私にとって、視野が広がり、見識が深まった。」
その時、傍らのスタッフがリュックサックを鄧大能に手渡した。鄧大能がリュックサックを開けると、様々な形のチタン合金カードがずらりと彼の周りに浮かんだ。鄧大能はカードのパーツを操作し、足から頭へと繋ぎ合わせながら言った。「君の弟は最近いくつかの反応を見せていて、上層部では彼を目覚めさせる可能性について議論している。」
言い終わるが早いか、鄧大能の上半身もチタン合金カードで繋ぎ合わされた。鄧大能は「シュッ」と空へ飛び上がり、数秒後、高度六百メートルの上空で煙の輪のように急速に広がるマッハリングを穿ち、その後すぐに空の彼方へ消えていった。
盧穹は視線を戻し、穏やかな微笑を浮かべて実験ビルに入った。しかし、エレベーターに乗り込んだ途端、顔の微笑は陰鬱なものに変わった。




