0336 ただ場には出ない
無阻超能が一体どこまで成長するのか、盧安は全く分からなかった。元一から引き換えた天賦はこの世界の環境に適合しているが、それでいてこの世界で誕生可能な超能の上限を超えている。
盧安はこれまで亜廃墟区で自身の無阻超能を全て発揮して全力で戦ったことがない。もし高魔位面であれば、盧安が現在の無阻超能で、それらの世界の最高戦力の強者と正面から何度か対抗すれば、今の自身の超能レベルが一体どれほどの破壊を生み出せるのか、絶対的な力においてどこまで進歩したのかが概ね分かるだろう。
五級超能力は、地球の現在の暗黒物質環境下で知的生命体が制御できる限界である。盧安のいる主世界の超能力現象は誕生してから百年も経っておらず、関連する知識体系もまだ模索段階であるため、殆ど全ての五級超能力者は超能力の成長において絶対的な円満に達することはない。しかし今、盧安の無阻超能力はこの円満に向かって進んでいる。言い換えれば、盧安はこの世界の誰よりも超能力が達し得る最高の階層に近づいている。
超能力は暗黒物質に基づいており、暗黒物質で構成された構造は意識によって制御され得る。これは、暗黒物質を感知できる身体に相当する。ただ、現在の超能力者の多くは超能力を一種のエネルギーとみなし、身体とはみなしていない。エネルギーは打ち出されるもので、投げ出された塊のようであり、身体は情報を感知するために用いられる。
暗黒物質場がこの世界と接触する時、超能力者には一体どのような感覚があるのか?もし顕物質の身体が超能力を発散させる快感だけを気にするなら、暗黒物質の身体から伝わる感覚を見落としてしまう。
今、盧安の暗黒物質の身体はこの感覚をはっきりと伝えることができる。他の超能力者も時折このような感覚がちらつくことがあるが、非常に薄く、まるで幻覚のようだ。この感覚は言葉では言い表せず、当然他人に話すことはできない。
盧安は今のところ、この知覚の出現が盧安にどのような影響を与えるかはわからないが、盧安はこの知覚が幻覚ではなく、自分自身の視点であることを確信している。
人間の目は物体を直接見ることができず、光を媒介とする必要があり、それは赤色光でも青色光でも、要するに可視周波数帯域内の様々な周波数の電磁波です。電磁波は暗黒物質と引力作用以外の相互作用を起こさないため、電磁波を媒介として暗黒物質を容易に観測することはできません。
そして超能場の本質は、暗黒物質場です。超能者がいわゆる「超能を発動する」とは、現在未知のメカニズムを通じて、一部の暗黒物質場に何らかの変化を起こさせ、それが顕物質と明らかな相互作用を引き起こす——超能現象を指します。超能場に対する「布置」、「展開」、「放置」……例えば「盧安が無阻場を布置する」、例えば「姬流が一面を引き出す」、例えば「鄧大能が一点を寄託する」というのが、そういう理屈です。
要するに、超能場は暗黒物質の一形態として、顕物質に影響を与えるだけでなく、暗黒物質そのものとして暗黒物質に影響を与えることができる。そして超能者の炭素ベースの身体と、彼らの超能の本質である暗黒物質の身体にはある種の関連性がある。この関連性は具体的には、五級の超能者たちが自分たちの暗黒物質の身体の存在に気づいていなくても、ぼんやりとした感覚を生じることにある。
盧安は元一で新しい無阻天賦を交換してから、超能が驚異的な速度で上昇し、暗黒物質から見ると、それは盧安の暗黒物質部分が胚から秩序ある構造へと急速に成長し、これらの構造がいわゆる「暗黒物質の身体」を構成したのである。そこで盧安は暗黒物質における感知を、ぼんやりとしたものから奇々怪々で幻想的なものへと発展させた。
暗黒物質の身体の成長には、「背が伸びる」ことも含まれ、超能の総量においてはますます大きくなることとして現れる。
盧安の蛙視は、予演中に超能力を全面的に発動させ、導力の経絡が放射状に周囲環境を覆うことで生じる動的感知である。そして超能力総量の持続的な向上は、盧安の蛙視能力を高めると同時に、盧安が可視物質に対して感じる光怪陸離の規模をますます大きくさせる。これが、盧安が過去に感知した光怪陸離が比較的小さな範囲内に留まり、百メートル先の壁、木々、ガラス、および超能力を持たない人々は完全にこの感知の範囲外だった理由である。
可視物質と超能力場の重畳が生むあの光怪陸離とは異なり、暗黒物質場と超能力場は距離を問わず感知できる。もちろん、あまりに遠いとはっきり見えず、近視に似ている。
自分の暗黒物質場、または他人の暗黒物質場が、この世界の顕在物質と一定の相互作用を生じるとき、暗黒物質場の波動を通じてそこに物体があると判断できる。暗黒物質場も含めて。
超能者が超能力を発動するとき、彼らの暗黒物質場は必ずこの世界の顕在物質と相互作用する。そこで、盧安のこの暗黒物質視点では、この超能者の周囲の一部の暗黒物質が関連する顕在物質を「照らし」、現実のシーンに対応する光怪陸離な領域を形成するのが見える。
他の超能力者が盧安のようにはっきりと暗黒物質の身体から伝わる感覚を感じ取れないのはなぜか?それは、彼らの超能力が十分に強くない、つまり彼らの暗黒物質の身体がまだ完全に成長していないからだ。一方、盧安が遠くの暗黒物質をはっきりと見通せないのは、盧安の無阻超能がまだ頂点に達していない、つまり盧安の暗黒物質の身体がまだ成熟していないからだ。
要するに、盧安は基本的な生理感覚と蛙視に加えて、もう一つの視点を獲得したのだ。
盧安は、この超能力の本質を直接観察できる視点が自分にとても合っていると感じた。この視点なら、この世界のどの機器でも今のところ観察できない、あるいははっきりとは観察できない暗黒物質や超能場を比較的クリアに観察することができる。
例えば、盧安のこの視点では、潘陽の左側60メートルにいる超能力者は、その超能力は全く発動していないが、その超能力者の頭部の位置にある輝点の明るさは潘陽とほぼ同じであり、その超能力者もレベル4であることを示している。そして盧安は、食堂の他の場所に散らばるさらに16個のより暗い輝点を発見した。明らかに、これら16人の超能力者はすべてレベル3で、潘陽に同行してきたものである。
これほど多くの超能力者が一堂に会したことで、盧安は初めて、自分が幻覚だと思っていたその知覚が、実はこの世界の暗黒物質環境を知覚するための基点であることに気づいた。そして自身の暗黒物質の身体そのものが、超能力現象を生み出す基点なのだ。
この知覚の価値は非常に大きい。いかなる超能力者も、超能力を発動させる際、盧安の前で隠すことはできない。
潘陽が今率いている超能力者たちは、隠れているつもりでも既に露見している。予行演習をしなくても、この視点で見ることができ、さらにはこの知覚を介して、狙って超能力場を設置し、他の超能力者が超能力現象を起こすのを妨害できる。暗黒物質の視点から見ると、これらの超能力者は「盲人」であり、盧安には「近視眼」があって、彼らの暗黒物質場を観察・妨害し、超能力の発動を邪魔できるのだ。
盧安は食事をとって戻ると、よそった料理を潘陽の前に置き、自分はさっさと食べ始めた。
潘陽が数口食べて箸を置いた。盧安はそれを見て言った。「食べ物を無駄にしちゃだめだよ。無駄にしたら、食堂のおばさんに白い目で見られるからね。そうなったら、もう君と同じテーブルに座れなくなるよ。」
潘陽は苦笑いして言った。「君はここの生活をすごく気にしているんだね。」
盧安は牛肉を一切れ寄せ集めて、低い声で言った。「くそっ、牛肉の量がまた減ってる…潘陽、ここに来たのは、あの流体を操る五級から聞いたんだろう?彼に伝言を頼む、あの軽い口のせいでとても腹が立っている、このことは覚えておくからな。」
潘陽は応じず、話をそらして言った。「君が去ってから、超能力の世界は今、とても面白いことになっている。どうしても理解できないんだ、なぜ君はここで満足しているのか、天命に強制されているのか?」
「天命のことなら、申し訳ないが何も答えられない。私は口が堅いんだ。君たちが天命を見つけて、彼自らに私に誓いを解くよう求めさせない限り。」盧安は言った。
「実は、私たちは天命を見つけられない。天命は人ではなく、一種の現象なんだ。天命現象の一部が君の身に現れている。」
潘陽はこの言葉を言いながら盧安を見つめ、同時に超能で盧安を強襲しようと準備した。彼の超能場が体外に出た瞬間に盧安の無阻場に撃破され、潘陽の本体に戻った。しかし、潘陽は盧安の顔に何の表情も見つけられなかった。
潘陽がわずかな失望を見せたのを見て、ある感情態が自慢げに言った。「人生は芝居のようなもの、全て演技次第だ。」
現実では、盧安が興味を持って言った。「とても独創的なアイデアだ。」
潘陽が脅すように言った。「もしお前が露見したら、それは他の者も露見することを意味する。天數現象がますます激しくなるにつれて、天數現象を引き起こす人間は確実に増えていくだろう。お前は、自分の秘密をいつまで守り通せると思うんだ?」
盧安が平然と言った。「他人のことは、俺に何の関係がある?俺は自分のことだけをちゃんとしていればいい。」
潘陽は突然笑顔を見せ、嫌味ったらしく言った。「お前がいなきゃ、この輝かしい時代は色あせるとでも思ってるのか?盛怡苒に振られて、自閉しちまったのか?」
潘陽からのそんな言葉に、盧安はひどくあきれ返った。各予演はこの言葉の各部分に対して、さまざまな返答を生み出していた。
潘陽の前半の言葉に対し、ある感情態がこう応じる。「俺が本気を出したら、超能界で群英がトップを争う光景など、もはや成立し得るまい?」
別の感情態が、その感情態にこう応じる。「俺が本気を出せば、誰が俺に出演料を払うのか? 俺にとって、そこに何の利益がある?」
さらに別の感情態がこう言う。「今、超能界という舞台には、実に多彩な天才たちが揃宇田ろう。世人の目は、目も眩むような才人の輩出するこの時代を確と記憶する。ならば、俺があえて人々の興を削ぎ、『天才』の定義付けをしてやる必要など、どこにある?」
その予行演習で、盧安のこの返答に潘陽は沈黙した。盧安の言う通りだ。一つの池の中で、一群の蛟龍が最強を争う光景は、世間の目には群龍が集う精彩な時代と映る。しかし、もし真龍が参入すれば、それまでの蛟龍たちはただの小蛇に過ぎなくなる。最強が存在すれば、超能界は一般の人々の目には、ずっと味気なく映るのだ。
もちろん、別の感情態が潘陽の後半の言葉にこう答えた。「蚊が牛を刺し殺すことなどあるか?」
この予行演習において、潘陽はこの言葉の意味を理解できない。盛怡苒との別れは、確かに盧安に少しの寂しさを覚えさせたが、それが盧安を落ち込ませるかと言えば、笑い話にもならない。盧安は能術の世界で十七年近くを過ごし、帝然菲斯で数多の貴族の令嬢を見てきた。盛怡苒との別れが盧安に影響を与えるなど、全くもって途方もない笑い話だ。
いずれの感情態も、潘陽の前半と後半の言葉への回答には自負が表れている。前者の自負は、無阻超能が元一から授かった天賦によるものであり、後者の自負は、千に及ぶ自己の集積である強靭な人格と、この世界から独立した世界観への誇りに根差している。
しかし、自分は強いという自負は、マインドコントロール能力で覗き見る潘陽には全く理解できなかった。両者の世界観と価値観は完全に食い違っており、盧安の潘陽への返答はまるで鶏に鴨が話しかけるようなものだった。盧安が明らかに強気な態度を示しても、人からは弱気だと誤解される。かといって、盧安がこれ以上ないほど控えめに表現すれば、外からは敬意を勝ち取ることができる。これは何という皮肉だろうか。
盧安は思わず興ざめし、だから現実では潘陽に何も答えず、ただ冷淡な目でちらりと見ただけだった。一方、潘陽は勝手に盧安の痛いところを突いたと思い込んでいた。
盧安は自分の数学の教科書を机の上に叩きつけ、潘陽に言った。「私にはある種不思議な能力がある。それは否定できない。でも今は、君が見ている私の持っているものに一生の注意を向けさせたくないんだ。わかるか?!簡単に言うと—君の視線のために生きたくないんだ!今、私の視線はここにあるんだ…」
盧安は教科書を指さし、次に指を教科書の編纂者に向けて言った。「今、彼らが私に自分がとても無知だと感じさせる。まだ学ぶべきことがたくさんあるんだ。私の時間を無駄にするな!盛怡苒については、もう別れたんだ。彼女を口説きたければご自由に、李星霽のそばから奪い取る力があるならな。」
盧安が逆に一矢を報いる。盧安はとうに李星霽のことなど忘れていたが、姬流の態度から察するに、盧安は李星霽の身分はただ者ではないと考えた。一方、潘陽は李星霽の名を聞くと、たちまち静かになり、もうこの話題を続けようとしなくなった。
龍部の上層部にとって、盧安を刺激するには限度がある。盧安がこうして怒り出した以上、潘陽にはこれ以上刺激し続ける度胸はない。何か不測の事態でも起こせば、潘陽は龍部でただでは済まなくなる。




