0335 ルーアンの環境
淺空と夏星瑞、劉宇の二人は、一人が前、二人が後ろになって、あるホテルの廊下を歩いている。廊下の周囲には監視カメラがあるが、盗聴器はない。
前を歩く淺空はゆっくりと口を開いた。「今回私が来たのは、ある人を探すためだ。君たちは緊張しなくていい。」
淺空の後ろにいる夏星瑞は冷たく言った。「仲間を探しているのか?」
淺空は足を止め、淡々と頷いた。「まあ同類だろうね。彼の気配は感じ取れるが、もしかすると彼は私に会いたくないのかもしれない。」
淺空は振り返って夏星瑞を見て、口元をわずかに曲げて言った。「あの夜、もし彼がいなければ、私の暴走を誰も止められなかった。そして今、君は絶対にここに立っていないはずだ。」
夏星瑞の心には、稲妻のようにその夜の場面がよぎった——最後の瞬間、何かがコンテナの鋼板に打ち付けられたようで、その後淺空は撤退した。
これは夏星瑞にとって当時非常に異常に映り、後になって彼女は他の超能力者がこの件に関与していたと推測した。そして今、彼女は淺空が自らその情報を口にしたのを聞いたので、夏星瑞は黙ることにし、より多くの情報を引き出そうとした。
劉宇が尋ねた。「なぜあなたは私たちにこれらのことを話すのですか?まさか虎部を通じてあなたが探している人を見つけたいのではないですか?」
淺空は首を振って言った。「私は虎部を信じていません。今蛇部の老人たちを全く信じていないのと同じです。これは私自身のことで、他の人とは関係ありません。」
劉宇は再び尋ねた。「それなら、なぜ私たちを探すのですか?」
淺空は微笑んで言った。「私はあなたたちを信じてもいいと思う、親切で助けてくれるお兄さん。」
劉宇の目には、淺空の笑顔はとても優しく、断りがたい優しさがあった。しかし、夏星瑞の瞳孔はわずかに収縮した。夏星瑞はすでに理解していた、淺空がなぜ自分たち二人を訪ね、なぜ自分と劉宇にこのような一見すると弱みに見えることを打ち明けたのかを。
淺空は二人が守るべき秘密を漏らした。もし二人がこの秘密を守らなければ、どのような結果になるのか?今や誰の目にも明らかに、劉宇と夏星瑞は恋人同士だ。たとえ自分のためでなくとも、自分の恋人のために考えなければならない。
淺空は今や二人の弱みを握っていた。それはそれぞれの恋人だ。淺空の空間超能力は奇襲能力が極めて高い。夏星瑞にせよ劉宇にせよ、自分自身は相手の脅威に耐えられるかもしれないが、愛する人が常に脅威にさらされることは絶対に許せない。これが愛だ。
同じ女である夏星瑞は鋭くそれを見抜いた。しかし、淺空の凶悪な素顔を見たことがないため、劉宇は淺空の要求を断りづらい。
そして劉宇はただひたすらに譲歩しているわけではなかった。彼は尋ねた。「あなたはその人を探して、何をするつもりですか?」
劉宇はさらに情報を引き出そうとした。もちろん、劉宇は淺空が探している人物が男なのか女なのか、もっと知りたかった。
淺空は幽かに言った。「遠くから一目見るだけでいいの。両手は血に染まり、身は闇に浸かった私が彼の前に立ったら、きっと嫌われるでしょうね。でももし一目会えて、二言三言でも言葉を交わせるなら、それが何よりも嬉しいわ。」淺空の目には憧れの色が浮かぶ。
淺空と盧安は違う。蛇部の中心に身を置く淺空は、多くの者たちの虎視眈々とした視線の中で成長してきた。そして未来を見通す眼こそが、彼女にそれら人々の醜悪な内面をはっきりと見せていた。彼女が力の頂点へと歩みを進めるにつれ、もはや彼女に逆らおうとする者はほとんどいなくなった。それが淺空には少し退屈だった。彼女には友が必要で、同類が必要だった。たとえその同類が時間の領域で彼女を圧倒していたとしても。
ここ数年、淺空は比較を通じて、醜悪さには限りがないことを発見した。淺空は、自分に取り入ろうとする者、利用しようとする者、支配しようとする者をあまりにも多く見てきた。ただ自分に一線を引いてくれたあの人は、かえってずっと親しみやすくなった。今、その人が定めた規則の数々を思い返すと、あの人はとても優しく他者のために考えていたのだとわかる。それは、見下したり、権力を笠に着て人を辱めたりしない気概だ。人心の険しさの中心にいることで、淺空は今、より純粋な友人を得たいと切望している。
盧安の予演はより強力で、発動頻度も高い。道理から言えば、盧安のほうが淺空よりもひどく狂ってしまうはずだが、盧安が自ら選んだ環境は、淺空のそれよりもずっと純粋なものだった。
今、盧安の周りにいる大学の同級生たちは、盧安の特異なところをまったく知らず、皆盧安を自分たちと同じような人間だと思い、一緒に食事をし、一緒に勉強している。盧安の周りにいる人たちから見れば、盧安には今、特に求めるところはない。盧安には、取り入るような高い権力もなければ、物乞いをさせるような金ピカの成金的な輝きもない。彼らが見る盧安は非常に勤勉で、勉強にとても才能があり、少し教えればすぐに理解する。そして、これこそ誰にも奪えないものなのだ。要するに、盧安には一見して特別な価値があるようには見えないため、彼らと盧安の友情は非常に純粋なものになっている。純粋に、盧安の性格が温和で付き合いやすいから、彼らは盧安と友達になれるのだ。
これが盧安の置かれている環境だ。盧安が求めているのは象牙の塔のような環境であり、孤高の山の頂ではない。盧安は自分自身をしっかり管理していればそれでいいのだ。
こんな環境は盧安が選んだもので、淺空の環境も彼女自身が選んだものだ。この世界にもちろん非はあるが、もし天があなたに慧眼を与えたのに、あなたがわざわざ自分から引き寄せ、人間の悪に目を凝らし、自分をうんざりさせて崩壊に至らせるなら、それは自分のほうにも非がある。
このとき、盧安もまた人間性について嘆いていた。
学校の食堂に座って、盧安は心の中でつぶやいた。「誰の心にも悪はある。俺だって同じで、何かの感情の状態では小人の心を持ってしまうことがある。
「他人も同じだ。どうしても自分を愛してくれる親や親のような人以外は、他人は常に自分を優先して利益を得るために、他人を損なっても構わないという心が芽生えやすい。」
「これは元から存在していて、しかも無くならないものだ。わざわざ事を構えて人間の悪を引き起こし、人間の醜さを証明して、それから声高に自分は人間性を理解したと叫ぶ。これが一番くだらない行為だ。」
「このような事態が生じる余地を与えないことこそ、人間性を知り尽くしている証拠だ。」
盧安は心の中でこうつぶやきながら笑顔で、テーブルの向かいの潘陽に尋ねた。「うちの食堂の食事を試してみる?もし選べないなら…」
盧安は口をゆがめて笑った。「じゃあ、自分で三十元の赤い封筒を一つ私に送ってくれれば、代わりに選んであげるよ。」
潘陽は黙って盧安の向かいに座っていた。その時、彼の目は驚きと疑いに満ちていた。なぜなら盧安はもはや隠し立てもしなかったからだ。盧安の暗黒物質フィールドは降り注ぐ鉄のカーテンのように、潘陽のあらゆる覗き見を遮断していた。
思考制御系の四級超能力者として、全力を発揮すれば他の四級超能力者の思考に影響を与え、例えば短時間のうちに何かを忘れさせることもできる。ここで言う短時間とは数秒かもしれないし、数分かもしれない。
そして一時的な記憶喪失が最も致命的で、もし四級超能力者が戦闘中に、突然左側にいる銃を持った人物が敵か味方か分からなくなり、数秒かけてじっくり思い出さなければならなくなったら、それは戦闘において極めて危険だ。例えば、潘陽が手に銃を持っていて、最初に取り出して発砲し相手にダメージを与えられる。普通なら二度目は相手が警戒するが、戦闘中にその記憶を消し去り、一時的な記憶喪失にさせれば、二度目のミスを犯すことになる。潘陽は四級超能力者に、足元の階段が何段目か突然忘れさせ、階段から転げ落ちさせることさえできるのだ。
もちろん、もし盧安にこの時完全に無阻超能がなければ、この能力は盧安に対しても無効だ——クラスター状態の盧安に対しても無効であり、今の盧安にはなおさら役に立たない。潘陽が盧安の記憶の一部を消去しても、他の予演中の盧安がほぼ瞬時に情報を再び脳裏に投射する。
潘陽は四級超能者で、あの華やかな超能に比べると、潘陽の超能はあまり魅力的に見えないが、ほぼ全ての四級超能者は潘陽を非常に警戒している。なぜなら、五級だけが四級控心術の探りや干渉を完全に遮断できるからだ。潘陽は今、盧安に侵入できないだけでなく、周囲の人にも侵入できないことに気づいた。この食堂で、潘陽がほんの少しテレパシーを伸ばすと、すぐに盧安に切断されてしまう。
潘陽が他の五級超能力者と対峙したとき、それらの五級は自身への探りを遮断するだけだったが、盧安は今や潘陽の探りを押さえつけている。これが潘陽が今、針のむしろに座るような思いをしている理由だ。
「彼はどうやってやったんだ?!」潘陽は盧安を見つめた。人心を洞察する最大の頼みを失い、潘陽は取り乱し、あれこれと憶測し始めた。
潘陽の視線は盧安を上から下までじっくりと眺め、前回会った時との違いを探そうとした。その視線は盧安の黒縁メガネに止まり、心臓がドキッと跳ねて、思わずこう考えた。「まさか、これは俺が知らなかった科学技術の産物なのか?俺の超能力を妨害できるなんて?!」
盧安が潘陽の超能力を断ち切ることができる理由は、ある感覚、奇妙で幻想的な感覚にかかっている。この感覚は、まるで夢の中で突然足を強く蹴ると自分の体が宙に浮き、突然跳躍して腕を羽ばたかせると空を飛べるような、非常に非現実的なものだ。
この感覚は、盧安が元一からこの世界の超能力と適合する才能を交換し、レベル5に昇進して以来、影のように常につきまとうようになった。
この世界の超能力者にはある特性がある。それは、性格が覚醒する超能力と一致するというものだ。ほぼすべての空間系超能力者に共通する性格は、束縛を嫌い、自由を求めることである。ほぼすべての内エネルギー系超能力者では、炎制御系は情熱的で、氷制御系は冷酷で高慢だ……盧安の無阻超能力は、事なかれ主義で、何か事があるとすぐにその場を巧みに離れたくなる。
性格と超能力には相関性があり、超能力の本質は暗黒物質である。超能力が一定の段階まで発展すると、暗黒物質が凝集してある種の構造を形成する。この構造は、実体物質の肉体と有機的に結びついた暗黒物質の肉体と言える。この物質環境下では、後者が前者にかすかな感覚を伝達する。ほぼすべての5級超能力者が、このようなぼんやりとした、非現実的な感覚を持っている。
しかし、盧安のその感覚は、事前投入された情報の重ね合わせの下で、異常にクリアである。
盧安のこの奇妙で幻想的に見える感覚の中では、すべての顕在物質からなる物体が周期的に凝縮と虚ろさを変化させ、ネオンサインのように点滅している。盧安の隣の皿が割れたと仮定すると、この感覚の下では、割れる過程全体も数周期にわたってゆっくりと変化する。
そして今、盧安は潘陽の脳内に点滅する光と影を見ている。光と影からは、点滅する点が分裂し、これらの点滅する点が他の人の頭に落ちると、潘陽の体の光と影の点滅と同じリズムで点滅する。
それを見て、盧安はまぶしさを感じた。それはまるで、揺れるろうそくの炎を間近で見つめたときのまぶしさに似ている。潘陽の光と影が凝縮されるとき、それは他の暗黒物質フィールドに対して排斥性を持っているようだった。もし盧安が展開する超能力フィールドが十分に強くなければ、例えばわずか数本の導力回路だけを配置した場合、潘陽の脳内から伸びるこれらの光と影によって押しのけられてしまう。そして、もし盧安がこれらの光と影と意図的に衝突しようと決意したなら、それが潘陽の感じる抑圧感となるのだ。
だから、盧安は隙をついて入り込むことを選んだ。他の人の頭上に盧安の目には幻の光影が現れた時、盧安はすぐに薄い無阻場をその人のいる位置に張り付けた。そしてこれらの他の人の頭上にくっついてちらちらと明滅する光影は潘陽からかなり離れているため比較的弱く、盧安が仕掛けたこれらの無阻場によって簡単に凝縮状態を回復されやすくなり、それからこれらの人の頭部から弾き出されて、潘陽の体にある光影の中へと戻っていった。
もちろん、現実では盧安にできるのはここまでだ。同じ手段で潘陽のいる光影を切断しようとしても、盧安が事前演習で試した限りでは、光影が虚ろな瞬間に無阻場を強引に差し込んでも、他人の光影を取り除くようには潘陽の展開した超能場を取り除くことは不可能であり、すなわち潘陽の暗黒物質の身体を取り除くことはできず、心灵制御の超能場を表す光影は潘陽から弾き飛ばされることはなく、むしろ猛然と盧安の無阻場を押しのけてしまう。それはまるで、手で太った人間の腹を強く押したとき、手が中にめり込んだ後に彼の脂肪によって押し返されるかのようだ。もちろん、効果が全くないわけではない。この事前演習の中で、潘陽は極度の刺激を受けたようで、恐怖に満ちた目で盧安を見つめていた。まるで、手で太った人間の腹を強く押したら、その太った人間が苦痛を感じるに違いないのと同じことだ。
だが現実では、盧安は潘陽をそこまで刺激しなかった。潘陽はこの時すでにとても緊張しており、自分の前で彼がふざける可能性を断った後、盧安は彼をいじめない方がいいと思った。
スマートフォンに潘陽のスマートフォンから送られてきた紅包を受け取ったと表示されるのを見て、盧安は笑いながら言った。「酸辣麺一杯でどうだ、それとも鶏の手羽先を四つ追加するか?」
潘陽はややぎこちなくうなずき、一方盧安は横にあった二つの皿を手に取り、列に並びに行った。
列に紛れ込んで全く特別さのない盧安を見ながら、潘陽は低くため息をついた。「資料にある通り、まさに泥鰍(どじょう)みたいだな。」




