0324 大波浪の中のさざ波
「李叔、白姨、ただいま」降臨区から出てきた後、盧安はまずこの二人のチームメイトに無事を知らせた。
元一の「友情アドバイス」のもと、盧安は彼らが去った後の危険な状況を彼らに伝えなかったため、李三祥と白露は盧安がその後何を経験したか知らない。盧安の限られた情報開示の中で、彼らは「盧安は一定時間ノードを守り、無事に撤退して戻ってきた」という限られた情報だけを知っている。
ある感情態が我慢できずに愚痴った。「元一空間内で、任務が難しくないという大衆の評判は、あのひどい任務を経験した時空傭兵たちが、元一に大量の報酬で口止めされたからではないか?」
元一空間では、盧安は相変わらず二人のチームメイトの従順な弟分だ。盧安は白露の予演能力に対して依然として非常に慎重で、決して白露を怒らせようとはしない。なぜなら、予演で白露を挑発した記憶の中で、白露は毒のあるクラゲのようで、用事がなければ刺激しないほうがいいからだ。
盧安は今、白露に対して階位の優位性を持っているが、この優位性は平時では見分けがつかず、瀕死の争いの時に初めて見分けがつく。脳のあるタコと脳のないクラゲはどちらも触手の怪物に見えるが、一緒に置いても違いは見分けがつかず、危機的な瞬間だけ、脳のあるものとないものの違いが分かる。でも、盧安はなぜ今、用事もなく白露を怒らせようとするのか?人間はクラゲよりも高級だが、一度刺されたバカが二度目にまた積極的にクラゲの触手を触りに行くのを見たことがあるか?
盧安は現在、一部の予行演習を現実として生きている。この部分の予行演習は、死に瀕した時にのみ様々な可能性が爆発するが、普段はあまり役に立たない。普段の慎重さが、この部分の予行演習においてもそのまま慎重さとなる。今、盧安は自分がある基準の中で階級が上がったことにすら気づいていない。これは少年が失敗や挫折を経験した時に、自分が成長したことに気づかないのと同じで、逆に体がたくましくなり背が高くなって初めて強くなったと感じるのだ。
李三祥は何か考え込んでいる。彼は、あの任務の後期が決して盧安の言うほど簡単ではなかったことを知っていて、それで李三祥は言った。「生きて帰ってきてくれればそれでいい」
一方、白露は「次に協力する時にまた会おう」と言い残し、振り向き去っていった。
李三祥は笑顔を浮かべて、白露が去るのを見送った。李三祥は盧安に言った。「苦労をかけたね、今回の報酬はとても大きいんだ」
チーム任務で報酬が均等に分担されたが、今回の報酬は極めて大きく、それは裏を返せば任務の難易度が非常に高いことを示している。李三祥は自分の任務を把握しており、白露の任務についても理解していた。今回これほど多くの報酬が支給された以上、彼の知力をもってすれば推測できないはずがない。ただ、盧安が何らかの理由で口にしたくないのであれば、李三祥もあえて尋ねなかったまでだ。しかし、李三祥が今この点を持ち出したのは、「我々は承知している。君に損をさせたりはしない」と盧安に伝えているのである。
李三祥はさすがリーダーだ。多くの社員の目には、リーダーは威張り散らして人を虐げる存在と映るが、感情を抜きにして見れば、こうした人ほど人の心を掴むのが実に上手い。
主世界で、盧安は目を覚まし、カーテンを開け、窓を押し開けた。やや濁った空気を通して陽の光が差し込んできたとき、盧安は生まれ変わったような感覚を覚えた。
盧安は能術世界でほぼ20年間過ごした。この20年は現実で経過した時間に過ぎず、予行演習で過ごした時間は含まれていない。長い時間は盧安に深い痕跡を残し、例えば盧安が冷蔵庫から牛乳、パン、キュウリを取り出すと、それらをディランフィス貴族風の盛り付けで皿に並べる。盧安はディランフィスの多くの貴族の礼儀作法が無意味だと自覚しているが、これらの習慣はやはり無意識のうちに身についてしまった。
そして、あの世界が自分に与えた影響はこれだけではない。盧安が玄関を出ると、ふと周囲がずいぶん広く感じられた。通りは人通りが多く、皆自分勝手に盧安のそばを通り過ぎていく。ディランフィスの公共エリアでは、常にボディーガードが配置されて周囲の人々を隔てていたのとは違う。
盧安は多くのものを振り切ったように感じた。「人が他人を管理する権利を持つと、どんなに否定しても、社会の大部分が自分を中心に回っていることを否定できない。」
盧安は人の流れの中に歩み入り、群衆に紛れた盧安の口元には軽やかな微笑みが浮かんだ。
「今、この世界、ここの歴史に対して、私には何の責任もない!」
(0234章に続く)
主世界、中国北部、軍用輸送機が首都の空港に着陸した。
機体尾部のハッチが開き、固定用ロープがかけられたコンテナが次々とスライドレールから押し出された。濃緑色の軍用車両が素早くこれらを積み込んで運び去った。五級超能者として、姬流は上海からこれらが運ばれてくるのに同行してきた。
天數プロジェクトが引き起こした大事(詳しくは0228章を参照)は、最終的に虎部が責任を負うことになった。なぜなら虎部がいくつかの実験で超能力者への処置を誤ったからだ。当時、湯宏康事件(詳しくは0106章を参照)が引き起こした問題(詳しくは0118章を参照)は抑え込まれはしたものの、盧安が起こした大事の責任者を見つけられず、それならば虎部に責任を負わせるしかなかったのである。
特別調査組が虎部の各プロジェクトを隅々まで徹底的に調査し、その後、龍部がついでに虎部の多くの疑わしいプロジェクトを北方へ運び封印した。虎部は、このような口実を設けて火事場泥棒をする龍部の行為に非常に困惑したが、いくつかの中核的なプロジェクトだけは必死に守り抜き、龍部の干渉を許さなかった。
北方へ「封存」手続きのために運ばれる機材や資料の中には、泥鰍プロジェクトの機材や、天數プロジェクトの一部資料が含まれている。しかし、盛鑫はまったく気づいていなかった、北方の連中の目的がまさにこれだということを。そのため、車列の中で、6台の軍用大型トラックが離脱した。これらの6台のトラックの目的地は、山の中にあるコンクリートと鉄筋でできた封存倉庫ではなく、龍部の本部だった。
巨大なリフトプラットフォームの上で、大きなコンテナ用リフトがまもなくこれらのコンテナを第十六層の実験室へ送り届ける。姬流は、作業員が乗り降りするための反対側のエレベーターには乗らず、このコンテナの上に座っていた。姬流は貨物用パイプを通って吹きつける湿気を真正面から受け、金属オイルの匂いが充満する空気を吸いながら、これらの物資を目的地まで護送した。
実験室の扉の前で、姬流は暗証番号を入力し、コンテナを開けた。大量に封印保管されている装置を見て、姬流は手提げ箱を一つ手に取ると、廊下を通り抜け、大きな実験室へと向かった。
多くの研究者がこの大きな実験室で待機していた。彼らは自分たちが何を研究するのかは知らず、今日、ある超能結晶体のテストーーを行うことだけを知っていた。そしてテストーーの結果がどうであれ、秘密保持規則に従って守秘義務を負わなければならなかった。
これらの超能結晶体は、盧安の体内に由来する。十ヶ月前、泥鰍プロジェクトが盛んに進められていた。その中のかなりの割合を占めていた操作は、微小管を一本一本盧安の体内から血液を採取し、その中の特殊なタンパク質を抽出し、超能力場の中で超能力をこれらの結晶体に固定することだった。
泥鰍プロジェクトに現存する超能結晶は、わずか二十六個である。この二十六個の超能結晶はすべて消費期限を過ぎている。超能結晶はヘリウム冷却環境にあっても、内部の超能効果は絶えず減衰する。そして消費期限を過ぎた超能結晶は、不安定な現象もあり、稼働時間が長くなると、無秩序に爆発する可能性がある。高価な実験器材を保護するため、期限切れの超能結晶は通常使用されず、廃棄手続きを経る必要があるが、まさにこれらの期限切れ超能結晶が、厳重な保護を受けている。
これらの研究員が実験を展開した後、姬流は別の部屋に来て、通信システムを起動した。いくつもの投影スクリーンが現れ、姬流の側に別のデータ研究室の様子を投影した。その研究室は膨大な原子時計検出データを記録している。
四十分後、姬流は超能結晶のテストーーデータと時間を龍部原子時計検測所に送信した。後者はすぐにデータに基づいて、多くの波動の中からそれに対応する小さな波のピークを見つけ出した。
これらの波のピークは非常に目立たない。こちらの超能結晶テストーーが提供する時間点に沿って追跡しなければ、多くの大きな波のピークの中に隠れてしまい、発見が難しいだろう。
これらの巨大な波のピークを見ながら、姬流はつぶやいた。「天數よ、お前は一体どれほど強いのか?」
小さくて目立たない波のピークは泥鰍プロジェクトのテストーーによるもので、大きな波のピークは明らかに天數によるものだ。問題は、泥鰍プロジェクトの五級超能結晶上の天數現象がこれほど小さな波のピークしかないなら、天數現象は他にどのような媒体に現れるのか?大きな波のピークを引き起こす存在は一体どれほど強いのか?




