0030 人類十万年
盧安はバイクを駆って街を出た。
エンジンが轟音を立て、バイクは既に時速百八十キロに達していた。舞い上がる砂埃が車体の前方を叩き、時折ビシビシと激しい衝突音が響いてくる。
風の抵抗を少しでも減らすため、盧安はバイクに伏せるように乗るしかなかった。この速度でバイクを運転するのは非常に危険だ。予演の中で、盧安は転倒しただけでも七回に及んだ。そのうち三回はカーブでガードレールに衝突し全身骨折、二回は道路脇の藪に突っ込み、そして一度は乗用車と正面衝突し、自身はバイクもろとも大破して死亡すると同時に、相手の車の前方を大きくへこませてしまった。もし予演がなければ、盧安はこの速度での暴走でとっくに命を落としていただろう。
40分後、盧安は予定の地点に到着した。彼は急ブレーキをかけ、タイヤがセメントの地面に黒い痕を残した。バイクは無理やり道端に停められた。
盧安はまるで馬から降りるかのようにバイクから飛び降りると、トランクから双眼鏡を取り出し、何度も予行演習をしながら遠くの空を観察した。
盧安の60メートル先には、軍事区域の警告標識があった。もし盧安がさらに4キロ進めば、鉄条網で囲まれた区域が見え、その中にはこの平原で異様にそびえ立つ高さ30メートルの観測塔がある。そして、空のあの不気味な渦巻き雲は、この軍事基地の真上に位置している。
盧安が目測したところ、ここはメンフィスから約60キロ離れていることがわかった。さらに、スモッグがない場合、普通の人が100メートルの高層ビルから30キロ先の物体を見ることができ、500メートルの香山山頂からは100キロ以上離れた標高2000メートル超の海坨山を見ることができるといった一般知識を思い出した。盧安は、李三祥がドローンの視点で観察しているため、遠くの地平線上に形成された渦巻き雲しか見えず、地上の軍事基地の識別は難しいことに気づいた。そこで盧安は急いで李三祥に連絡を取った。
自宅の前でドローンを操作していた李三祥は眉をひそめて言った。「これ以上近づくな、軍事禁区に無断で侵入するのは危険だ。近くを散策するだけにして、何かあればすぐに戻れ。」
受話器から李三祥の声を聞いた盧安も眉をひそめて言った。「今、君との通話にザーザーというノイズが入っている。」
李三祥はぼんやりと言った、「そちらでは聞こえないのか?」
盧安は答えた、「今は聞こえますが、今後の通信に問題が出るかもしれません。」
予言を通じて、盧安は李三祥が自分の言葉を理解していないようだと知り、続けて説明した。「電波塔やレーダー基地のような高出力無線機器の近くでは、通信に影響が出るんだ。」
李三祥は事の重大さを知りつつも、なおも慰めるように言った。「あそこは軍事基地だから、多かれ少なかれ影響はあるさ。」
盧安は空の暗雲を見上げ、うなずきながら言った。「わかりました。」
別の予行演習で、盧安は李三祥に説明した。「空の雲は正常ではありません。私の知る限り、人間にはマイクロ波で局所的な気候に干渉する手段があります。」
この事前演習で、盧安は事実上身分を自ら明かしたことになる。なぜなら第三次世界大戦では天候を操作する手段が存在していたからだ。そして彼は、李三祥が奇妙な雲の塊が地上の軍事基地から発せられる電磁波の影響で発生することを実際に考慮していた点に気づいた。李三祥が事態の深刻性をすでに理解していることを確認した以上、盧安はそれ以上深入りせず、話を止めた。
盧安が電話を切ろうとしたところ、李三祥が言った。「君には、できる範囲で行動してほしい。」
盧安は笑った。「私は死にたくないんでね。」
正午、容赦なく照りつける太陽の光が大地に降り注ぐ。熱く立ち昇る空気が光を歪ませ、地上の草木は一面枯れ黄色だ。遠方のあの黒い螺旋状の雲塊はますます大きくなり、まるで空が巨大な黒い柱に突き破られようとしているかのようであり、また地獄が現世に開いた門のようにも見える。
軍事基地の司令部で、ミラは両手を後ろに組み、胸を張って画面を一つひとつ見下ろしている。
軍属の研究者たちが各画面の前でデータを見つめ、時折トランシーバーで関連データを報告している。
基地の中央では、数十台のマイクロ波放射器が人間の文明の産物には見えない金属の尖塔に向けてエネルギーを放射している。そして金属の塔の先端では、強力な電磁場が形成されつつある。
司令部で、ソミがミラに言った。「将軍、準備はすべて整いました。」
ミラは顔を輝かせて言った。「博士、私たちはこの時代のコロンブスです。」
ソミは不安そうに言った。「門が開かれた後、私たちが直面するのは機会だけではなく、おそらく……」
ミラが遮って言った。「博士、何をするにもリスクはつきものです。しかし、アメリカにはあらゆるリスクを最小限に抑える力があると信じてください。前回の原始生物の侵入は、単なる小さな事故でした。ここには州兵の強力な戦力と、最も完備された防疫部門が集結しており、前回のような事故は絶対に起こり得ません。」
ミラはマイクを手に取り、軍隊に命令を下した。「諸君、準備はいいか、芝麻開門だ。」アメリカ兵たちは機関銃の安全装置を外し、火炎放射器の安全弁を開けた。兵営の空気は突如として緊迫感に満ち溢れた。
それと同時に、尖塔の頂上に凝縮された磁力も限界に達した。塔の頂上から突然一本の光線が放たれ、高空の渦巻く雲の塊を直撃した。すると突然、一本の光柱が地上と天空を結び、その巨大な柱はゆっくりと太くなり、大量の雲霧がそこから立ち込めて広がっていった。
一方、別の次元では、巨大なピラミッドの頂上にあるプラットフォームが輝きを放っている。このピラミッドは非常に大きく、高さは六百メートル、底辺は一平方キロメートルに達し、一つの小山に匹敵する。
このピラミッドは独立した建築物ではない。ピラミッドの周囲には、六基のエッフェル塔のような鉄塔が電磁力を放ち、ピラミッド上に現れた光柱にエネルギーを蓄えている。
地球から見ると、異界空間との交差地点は円柱形の空間であり、異界からこの交差空間を見ても同じように円柱状である。この円柱状の空間に足を踏み入れれば、異世界に到着する。このとき背後を振り返ると、時空の門もまた円柱状に見える。
二つの世界の湿度が異なるため、次元の扉が開かれると、大量の水蒸気が絶えず拡大する円柱状の空間から散逸し、これが巨大な雲域が形成される原因である。
濃い霧が地上の戦車の群れを覆い、兵士たちは茫然自失の状態にあった。一人のアメリカ軍兵士が戦車のハッチから這い出て、霧の中に何かを見つけ出そうと好奇心に駆られた。やがて、雲霧の中から震えるような音が聞こえ、鋼鉄がぶつかる音も混じっていた。彼はぶつぶつと言った。「ファック、誰かが衝突したのか?」
しかし、その直後、一発の鉄管爆発のような砲声が彼の全身をツボを押されたかのように硬直させた。空からは鋭い悲鳴が降り注ぎ、彼はそれが砲弾の音だと悟った。
ところが、落ちてきたのは航空機用爆弾のごとき迫撃砲弾で、鋼鉄が歪む耳障りな音を立てた。この重さ二百キロの砲弾は戦車をまともに突き破った!
200キロの砲弾とはどのような概念だろうか?200mmはまさに艦砲だ!口径こそ正義、この口径レベルの弾薬は徹甲性能を全く考慮する必要がなく、内蔵された炸薬だけで戦車をスクラップにするのに十分だ。
「轟音」とともに、この戦車の砲塔はそのまま吹き飛び、空中で衝撃波により分解され、履帯は衝撃波で数本に引き裂かれた。
司令部は静まり返った。赤外線探知装置の中で、ミラはまたも信じられないことが起こるのを目撃した――今回の探索でも彼はまたやりすぎてしまったのだ。
一方、メンフィスのホテルでは、盾刃小隊のメンバー全員が腕時計に目をやった。
ビーモントは全員に言った。「『霧の人類十万年』のストーリーが始まった。」
『霧の三』、正式名称は『霧の人類十万年』、ストーリーは『霧の二』を引き継いでいる可能性がある。何せ異次元に取り残された十数人の地球人は『霧の二』では結末が描かれなかったのだから。
そして『霧の三』では、科学者たちは再び霧の次元門を起動し、意気揚々と鉱物の採掘や植民を計画していたが、向こうの世界が様変わりしていることを発見する。そこは巨人たちに占拠されていた。異界生物への対策で厳戒態勢を敷いていたアメリカ軍は、この巨人文明の攻撃を受けた。
さらに悪いことに、この巨人の社会組織は明らかに原始時代を脱しており、身長4メートル、体格はずんぐりとしたドワーフのようで、体重はおおむね6トン、長さ4メートル、口径30ミリの火縄銃を手にしている。これらの巨人は大型飛竜を手懐けており、飛竜はなんとミサイルとレーザー照準器を搭載している。
物語がさらに進展するにつれて、科学者たちは巨人から驚くべき事実を発見した。すべての謎が完全に解き明かされた。実は、次元定位はその次元をうまく特定したものの、時間の下流に位置を特定してしまったのだ。
人類が一つの世界を開いたとき、すでにその世界に変化をもたらしている。しかし、人類はいつも古い目で今の世界を見たがる。




