0317 罪深い
盧安は列車に乗り、明科駅に到着した。
明科城は、盧安が選定した重要な都市である。数本の河川が貫き、周辺には広大な平野があり、しかも山々に囲まれている。全体の地形は地球の湖北エリアに似ている。広大な平野は、一定の食糧生産能力があり、人口も多いことを意味する。数本の河川が貫いていることは、水路交通網が発達しており、外部から十分な原材料を輸送でき、生産された物資も速やかに運び出せことを意味する。たとえ大規模な爆撃を受け、鉄道路線が破壊されても、河道は破壊できない。都市の交通網が完全に寸断されなければ、大規模爆撃の意義は薄れる。
生物化学戦略兵器で都市の人口を殺傷するのは? それは実行不可能だ。たとえ地球が戦争状態にあっても、都市の人口は大規模に疎開され工業人口だけが残り、残った者もみな三防服を持ち、さらに各工場区には防空壕がある。
このような防御手段の下では、核爆弾の殺傷効果は非常に低い。地球の冷戦時代、アメリカのモスクワへの核攻撃計画は、決して1発の核爆弾を使うのではなく、100発以上の核爆弾を使って、発電所、水力発電所、製鉄所、鉄道駅、飛行場などの重要目標を一つ一つ破壊するものであり、平和な時代の人々が考えるような、数発の核爆弾で街を壊滅させるような使い方では決してなかった。
盧安が選んだこの都市は、帝然菲斯の後方基地となり得る都市だ。敵の長駆直入を阻止でき、かつ戦略的な出力を維持することができる。
現在、この都市では大量の自動化生産ラインが設立され、今後数か月後には徐々に新たな戦略拠点へと変貌する。なぜなら、ディレンフィス軍の現在の戦力では、全国の財閥たちの力をまったく抑え込めず、この小さな場所でしかルールを徹底的に維持できないからだ。この地域ではすでに厳格な戸籍管理制度が実施され、あらゆる外来勢力の浸透を防ぎ、軍隊によって民衆を管理している。
この管理方式は盧安が提案したもので、軍部は皆良いと言った。ただ、軍の上層部は一つのことを忘れ、ずっと無視し続けているようだ。それは、残酷な戦争の中で、兵隊たちは人生について考え、軍心が不安定になるということだ。もし時間の試練に耐えうる思想がなく、兵士たちを支え続けることができなければ、その時は戦わずして潰走することになる。ただ、盧安はそれを指摘したくないだけだ。
列車を降りた盧安は、遠くの「狙撃に適した」数カ所の場所をちらりと見た。盧安は、試練がすでに始まっていることを知っていた。
盧安のある感情状態がふと思った、「もし今、自分が引き返したら、どうなるだろうか?」と。
しかし、そのはっきりとした危機感が、盧安に立場を変えて考えさせた。たとえ今すぐ列車に乗って元の道を戻ったとしても、おそらく逃げ切ることはできない。相手は間違いなく帰路に待ち伏せを仕掛けているはずだ。
地元役人の付き添いのもと、盧安は工業地区の視察を始めた。
全部で二百四十六の工場棟がある。盧安はどの棟で輪廻者の攻撃に遭遇するか分からなかったが、神経を張り詰めていた。
自動化工場の生産効率は非常に高い。同行の役人たちは満面の笑みを浮かべ、帝然菲斯が必ず勝利を収めると大いに称賛した。しかし、盧安はある事実に気づいた。それは労働者たちの状況だ。盧安は、これらの労働者たちが非常に無感情で、まるで機械の人形のようであるのを明らかに感じ取った。
盧安は遡行能力を使って、サボりができるある休憩室に歩いていき、30分前のここでの人々の会話を見ることができた。見てみると、30分前、彼らは世間話をしながら、現在の時局や盧安が帝国で起用された行為を、もっともらしく評価していた。
庶民でありながら、帝国の政局を論じる際には雄弁に語る。彼らは帝然菲斯上層部の政治家たちの確執を詳細に分析している。つまり「誰が誰を恨んでいるか、だから誰と誰が仲が悪い」といった類のことで、例えば「希瑞科は官職復帰のためにあらゆる代償を払って将軍たちに取り入ったからこそ、皇帝に再び重用され、ここまで軍部のために尽力している」といった具合だ。
このような話は非常に偏っているが、盧安はよく理解している。これらの一般の人々がこう考えるのは、人に管理されているからこそ、人を管理する権力に強く憧れているからだ。この手の届かない権力の中枢で、彼らは権力があればすべてだと思い込んでいる。まるでかつて地球上で、外国人が中国人は皆カンフーができると考えていたのと同じだ。
これら以外にも、盧安はいくつかの有用な情報を集めていた。例えばこの都市の自殺率だ。この都市の自殺率は非常に高い。厳格に管理され、理想も空も見えず、人間の気分は落ち込む。この工場区だけでも、今月すでに3件の自殺死亡事件が起きている。首吊りが1件、飛び降りが1件、そして4人が一緒に線路に飛び込んだ。
もし単に大臣の視点で見れば、盧安はこの工場がどれだけの製品を生産したか、合格率はどれくらいか、製造額はいくらかしか見ることができない。しかし遡ってこれらの平民たちの言葉を聞くと、この工場区にさまざまな鋭い矛盾がどの程度蓄積しているかがわかる。これはまさに帝然菲斯の上層部が調査できないものだ。管理を担当する上層部と生産を担当する下層部の間には、富と貧しさの巨大な溝が横たわっている。貧しい者の生活がまだどうにかやっていけるうちは、貴族に対して常に変わらぬ譲歩と妥協を続け、不満を口に出す勇気もなく、絶望に陥った時に初めて、驚くべき反抗の力を露わにする。主世界の盧安も同じで、暮らしが成り立つ間は、主世界でにこにこと世界に接し、絶えず妥協し、考え、まとめ続ける。いざ生活が立ち行かなくなりそうだと感じたら、いきなりマップ攻撃を展開して打撃を与えるのだ。
現在のところ、労働者たちはまだ安定を保っている。食料配給制度がまだ機能しており、水道や電気の供給も安定していて、労働者を巻き込む団体も存在しないからだ。そのため、今のところ盧安の周囲にいる将校や行政官たちは何の問題も感じていない。しかし、もしどこかの工場宿舎で水道や電気、食料の供給が不足し始めたら、そこの労働者は間違いなく道具を置き、生産のために存在する工場内の組織構造に従って一つの集団を形成し、集団として声を大にして発言するだろう。これは他の工場区域の労働者たちの共感を呼び、同調によって反抗の勇気が爆発的に広がる。
そんな時、もし上層部が帝然菲斯の主要な生産活動を担うこれらの人々を強硬に弾圧すれば、事態は悪化する。なぜなら、これほど多くの人々が長期間にわたる厳しい生活の中で未来に絶望しており、弾圧は絶望線上をさまようこの群衆を腹をくくって一発大きなことを起こさせるだけだからだ。
数字で基層の価値を判断する上層は、このような絶望を理解することは不可能だ。なぜなら、これまで彼らが直面してきた基層は常に変わらぬ妥協と懦弱だったからだ。ある意味、これは基層が上層に行っている意識の催眠だ。もし良好な民主制度がなく、基層が自らの生活圧力を上層に伝えることができなければ、上層は必ず基層を反抗の瀬戸際まで圧迫するだろう。そうなれば、次はこの二つの階級のどちらがより先進的で、どちらの力がより大きいかを見ることになる。
現実では、盧安の隣で付き添いの者がくどくどと説明していたが、盧安に遮られた。盧安は紹介者の手にある紙の資料を手に取り、自分で歩きながら目を通すので、隣の付き添い者は非常に気まずい思いをした。
生産ラインで、バイクのロボットアームを操作していた女性労働者が突然振り返り、盧安に向かって不気味な笑みを浮かべた。彼女は一語一語はっきりと言った。「希瑞科、これほどの災難を前に、お前は悔い改めるべきではないのか?」
神術・怨念衝撃——これはこの輪廻者がこの次元で持つ力だが、それは十万年前の奥術文明時代に由来する力だ。ある者が世界の殺戮に重大な関わりを持つとき、この世で死んだ魂はこの神術の導きによって、その者に怨恨を向けることになる。
呪いの攻撃を受けた盧安は、突然、最近監獄に収監され酷い扱いを受けている学界の人々の大量のネガティブな感情を受け取った。これらの人々は本来盧安に会うことはなかったが、両者がこの神聖魔法によって突然つながると、前者はたちまち溜まった怨みを刃のような言葉に変えて盧安にぶつけた。
「希瑞科、この国の罪人め!」
「希瑞科、権力に貪欲な奸臣め!」
「お前は皇帝を欺き、暴力を濫用した、必ず報いを受けるぞ!」
“……”
千夫所指、それはまさに盧安が感じていることだった。その神術の攻撃を受けて、盧安の目が突然虚ろになったのを見て、女は鬼のような足取りで盧安に駆け寄り、峨眉刺のような武器を振りかざして盧安の首に突き刺そうとした。そして、盧安の耳元で低くささやいた。「この世界にとって、お前は罪深き存在だ。」
もうすぐ成功すると思ったからこそ、彼女は得意げにこの言葉を口にしたのだ。これは彼女の慣性思考であり、盧安の予行演習で判明したことだが、多くの予行演習の分岐線において、彼女の変数は多かったものの、この台詞だけは必ず口にした。盧安の視点からすれば、こここそが彼女の思考における定数だった。他のタイミングで反撃すれば、彼女はすぐに反応できる。しかし、この瞬間だけは、慣性思考が快感を吐露するときであり、その快感が潮のように彼女の警戒心を押し流してしまうのだ。
現実では、盧安はわずかに身をかわし、峨眉刺は盧安の首に刺さらなかった。盧安の手にした紙の書類の縁は、無阻膜で覆われ、まるで刃物のように彼女の喉を切り裂いた。
襲撃から反撃まで、周りの役人たちはまだ反応していない。一方、もう一人の輪廻者は、この女性の仲間が襲撃を開始すると同時に動き出し、長槍を手に、盧安の頭を狙って、三本の生産ラインの距離を隔てて大跳びしてきた。
しかし、彼は、女性の仲間が全身ぐったりと盧安の前に倒れ伏すのを見て、仲間が失敗したことを急に悟り、そして標的が最初から備えていたことに気づいた。




