0301 まったく痕跡がない
広大な北方平原の上では、何百何千機もの航空機が渡り鳥の群れのように空を覆い隠して飛び交っている。多種多様な無人機が低空、中空、高空の各空域を占めており、低空ではプロペラ機主体の低速機、中空では前進翼機、高空では全翼機と鋭く細長い高速機が展開している。
数百機の有人機がこれらの無人機を指揮し、洪流のように盾刃帝国の国境にある一連の軍事拠点と大都市へと押し寄せた。大量のグラファイト爆弾が炸裂し、グラファイトの繊維は陽春三月の柳絮のように風に舞い散る。むき出しの高圧線や鉄塔上の変圧器はショートにより火花を散らし、やがて機能を停止し、都市はちらほらと暗くなっていった。帝然菲スの戦車部隊は轟音を響かせながら盾刃帝国の街路へ進入し、行く手を遮る車はビニール袋のように履帯に踏み潰され、ぺしゃんこの破片と化した。
盾刃の都市では、抵抗組織が銃器で帝然菲斯(ディ藍菲ス)の戦車に向けて攻撃する場面は珍しくない。戦車周囲の装甲車から、数人の歩兵が武器を抱えて飛び出してきた。一人の歩兵が砲筒を前方に向けて構え、もう一人が前腕ほどの大きさの砲弾を砲筒に装填した。
「ドン」という音とともに、弾頭は抵抗者が立てこもるビルに飛び込んだ。直後、恐ろしい轟音が響いた。まるでガスボンベが爆発したかのように、ビル全体の窓から大量の気流が噴き出した。炎と衝撃波が窓から噴出した後、大量の粉塵が白煙のように窓から立ち上った。
この砲弾は単兵携行型燃料気化爆弾であり、家屋内の抵抗者に対して、155mm口径榴弾砲に匹敵する殺傷力を持つ。
賑やかで秩序ある都市は驚くべき速さで危険な建物群へと変わった。もともと高層ビルに整然と貼られていた美しいタイルは急速に色あせ、ひび割れだらけのコンクリートの骨組みへと変わっていく。数日前まで整った服装で笑顔を浮かべていた人々は、土埃にまみれた顔つきになり、慌てふためいてこの都市から逃げ出していった。
しかし、凛々しく整った軍服を着て司令部に座る将軍たちは、こうした悲劇には目もくれない。彼らは意気揚々と軍を前進させ、電子地図上で敵国の都市が次々と煙を上げるアニメーションが終わると、楽しげに自分たちの軍旗を立てていくのだ。
戦争のことについては、盧安はもう関与できなくなった。この時の盧安は、すでにディランフィスの政治界からほぼ離脱しており、フィックに自分を形骸化させていた。統計局の中の人々はほぼ全員が入れ替わり、業務を執り行っていた。フィックは音もなく盧安を重要な立場から外し、盧安を名ばかりの議員にした。そして盧安もその身分に非常に満足しており、基本的には誰とも国家問題で再び議論を交わすことなく、ただ各工場を奔走して、工場がどのように生産を行っているかを学び、さらに自分の超能力をどうさらに開発すべきかを模索していた。
盧安の境遇は、「人走れば茶冷める」という言葉を体現していた。多くの人が盧安を忘れてしまったが、ただ因羅卡だけは盧安との繋がりを保ち続け、よく物を贈ったり、世間話をしたりしていた。
帝然菲斯的上層部で、一日の会議を終えたフィックは少し疲れた表情で食堂にやって来た。食卓の両側には王室のメンバーと、重要な客人である英洛卡が座っていた。
家宴はすぐに始まった。東南利益グループの代表として、英洛卡はこの時、高い地位と権力を持っていた。彼はフィックと芸術に関する話題をいくつか話した後、話題を突然変えた。
フィックは尋ねた。「彼はどうしているのか?」
英洛卡は言った。「陛下、私は言わざるを得ませんが、彼は本当に興味を失ってしまったのかもしれません。」
「私がこんなに急に彼を冷たくあしらったのに、彼は一言も文句を言わなかったのか?まさか、君は私の代わりに聞いてくれなかったのではないだろうね。」
「私は聞きました。彼は死にたくないと言っていました。」
フィックはナイフとフォークを置き、興味深そうに尋ねた。「彼はどうしてそんなことを言うんだ。」
「彼は、今の自分の立場をよくわかっているし、自分の立場にそぐわないことは言わないと言っていた。」
盧安は危機に非常に敏感で、フィックが何を嫌がっているか、そしてフィックがいつためらわずに自分に手を出すかも知っていた。自分が他の人や集団にとって無価値で、その人や集団が自分を死に至らしめる力を持っている場合には、言動に細心の注意を払う。因羅卡が探りを入れに来ても、盧安は意見をしっかり心の中に秘めておくのだ。
盧安のある感情状態は現在の状況をこう総括した。「天下争いのつまらないことは俺に関係ない、まるで暇を持て余しているかのように思われる。今、めちゃくちゃ忙しいんだ。」
フィックはナプキンで手を拭きながら言った。「実は、彼のことをとても評価しているんだ。」フィックは息子の方を向いて言った。「実は、希瑞科には君が学ぶべきものがたくさんある。だが、君が彼を使いこなせないのではないかと心配している。」
英洛卡は平静を装ってこの光景を見つめ、心の中で思った。「使いこなせるかどうかの問題ではなく、あなたの息子にはこのような人材は全く向いていないのだ。」
部外者として、英洛卡はフィックの後継者の様々な欠点をよく知っていた――戦争で問題を解決することを好むが、力ずくで解決した後の一連の後始末を処理する忍耐力がなく、誰かが後始末をしてくれても、その者をくどいと疎ましく思うのだ。
東南財団の代表として、英洛卡は今の王太子を非常に悲観視している。フィックの結婚は老王の下賜によるもので、王太子の母はディランフィスのかつての旧貴族の出身である。一方、東南財団や漢克斯といった地方財団は、いずれも新興貴族勢力の集団である。盧安の経済政策の実行に伴い、新興貴族集団は国の貨幣発行権を完全に掌握し、勢力を絶えず拡大させている。そのため、王太子の母方の家系は基盤が非常に浅く、王太子は軍部に頼らざるを得ない。もしフィックが重篤な病気で亡くなれば、これらの利益集団は王位継承者を別の者に替えることも考えなかったわけではない。そのため、フィックは息子が生まれた後、かなり不安を感じている。
帝国のすべての財閥を結束させる力を持つ盧安は、将来の政局において皇帝の権力を脅かす存在となる運命にある。この可能性を未然に防ぐため、フィックは盧安を戒めようと計画した。少なくとも、どのようなことには関与してはいけないかを盧安に明確に覚えさせる必要があった。しかし、この時、盧安はそのまま逃げ出し、政界から身を引く決意を固めた。
しかし、多くの政界の古参たちの目には、盧安のこの退却に見せかけた巧妙な一手が非常に鮮やかに映った。盧安はフィックよりもはるかに若く、いずれフィックが崩御すれば、皇族フィースの上層部の矛盾が深刻化するにつれて、多くの利益集団が調整役のリーダーを必要とする時が来る。もし盧安が政界に復帰すれば、それは皇室の権力に深刻な脅威をもたらすことになるだろう。
盧安自身に皇室を脅かす意図はないかもしれないが、これらの財閥たちには明らかにその意図がある。盧安はディエンフェイスの利益の渦からすでに去ったが、上層部では依然として彼の未来の可能性を気にかける者がいる。
皇室の家宴で交わされたこの会話の広まり方は極めて小さく、フィックが誰かに話すこともなければ、英洛卡が誰かに話すこともない。そして、この世界で早急に任務を完遂したい輪廻者たちにとって、彼らの任務は依然として全く手がかりがない。
盾刃帝国の神降実験室では、スタッフが慌ただしく各種資料やデータを梱包している。暖炉の炎が勢いよく燃え上がり、大量のファイルが暖炉の中で焼却されている。
これらの白衣を着たメンバーが忙しくしている間、手榴弾が投げ込まれ、床で「カチャカチャ」と数回転がり、それから「シュー」という音を立てた。麻酔ガスが弾体から噴出すると、すぐにホール全体の全員が倒れた。
十秒後、一群のガスマスクをつけた者たちが入ってきた。
これらの者は輪廻者であり、彼らは天使之隊という名のチームを結成していた。この輪廻者小隊は帝然菲斯某突撃隊として、盾刃のこの研究基地を急襲した。この地下基地への突入に成功した後、彼らはまずこの実験室内の全員を検査し、この実験プロジェクトに他の穿越システムが投入した穿越者がいないかどうかを確認した。
初代穿越システムはこの世界で二度も待ち伏せに遭い、バカラ、シールドブレード、ディランフィスすべてに時空傭兵の活動の痕跡が現れた。初代は自分が再び陥れられるのを防ぐため、シールドブレードに輪廻者を送り込み、ベイファンの輪廻者たちは常に襲撃の可能性に備えている。
これらの輪廻者たちは一通り検査した後、穿越者を発見しなかった。二十七歳くらいに見える輪廻者がタバコに火をつけ、隊長に言った。「異常なしです。」意識不明の研究員の検査を担当していた隊員たちも次々と報告した。「全く異常はありません。」
天使隊の隊長はほっと息をついて言った。「主神(初代)は間違えたのではないか?この世界にはもともと他の穿越者が入っていないのではないか?」
隊の知者が言った。「おそらく存在するだろう。我々の力や道具が次々と効果を失い、主神も今回の任務を終了させる気配を全く見せていない。主神は標的がまだこの世界にいると確信しているに違いない。」
隊長が言った。「他の隊も標的を見つけられていない。標的はあまりにも深く隠れすぎだ。」
知者は提案した。「我々は戦争の進行を推し進め、世界の混乱度を高め、帝然菲斯内部の資料を入手する可能性を高めなければならない。今の我々の帝然菲斯における権限はまだ足りない。」
今回の任務を達成すれば、帝然菲ス上層部への理解がまた一歩進むことになる。彼らから見れば、ますます真相に近づいているのだ。




