0296 絶殺
李三祥が帰還した。
この世界の人々から見れば、李三祥は心脑血管疾患で死亡した——ごく普通の病気である。元一との通信の中で、盧安は李三祥が輪廻者の目の前で無事に空間に戻ったことを知った。
李三祥の体はこの世界で心臓の鼓動を止め、脳の活動も停止した。もし20時間余りの間に輪廻者がこの「遺体」に近づけば、元一がこの体に残したノードから撤退した後、いまだ衰えていない「通路」を依然として見つけることができる。時空傭兵であれ輪廻者であれ、このように世界を渡り歩く者同士の戦闘において、死は安全な帰還を意味しない。死後にこの世界に残留する物質的な体内の、生体電気信号を含むすべての量子痕跡が完全に消え去って初めて、真に成功した脱出と見なされるのだ。
李三祥の遺体は、花輪で埋め尽くされた葬儀場の棺の中に横たわっている。どのような輪廻者でも、能力を使えば簡単に中へ飛び込めるが、飛び込んだ結果はこの世界の社会ルールに挑戦することになる。そのため、誰も中を確認しようとは思わなかった。遺体を冒涜する行為は、たとえ輪廻者の頭に浮かんでも、理性によって捨て去られるだろう。
史塔克と取引している輪廻者のチームはすでに任務状態に入っており、ここ数日であらゆる怪しい点を探さなければならない。彼らが主に注目しているのは帝然菲斯の使節団だ。なぜなら、現在彼らが見つけた唯一の手がかりは、紙飛行機が帝然菲スから来ていることだからだ。しかし、帝然菲スの使節団に対して強硬な手段を取ることもできない。彼らが属する高次元の存在は、この世界に挑むための力を彼らに与えていないのだ。
李三祥が去った後、白露の任務も終盤に入った。
山あいにて、翠弓は先ほど戻ってきたばかりの隊と、白露率いる武装した一団と対峙している。
多くの銃口に囲まれた翠弓は白露に痛ましい笑みを浮かべて言った。「あなたも私を見捨てるのか?」
白露は首を振って言った。「見捨てる?神の器たる君は、まだこの時代を理解していない。この世界にはもう絶対的な敬虔さなど存在しない。人は皆、まず自分のために考え、その後に初めて他人を考える。君の過ちは、世界に対して誤った期待を抱き、自分中心の世界に生きてきたことだ。君も私も、他人の目に映る唯一無二の存在ではない。他人が自ら進んで我々を信頼してくれるなどと期待してはいけない。今の世界では、ほとんどの信頼には代償が伴う。」
翠弓は低い声で言った。「それが諦める理由だと言うのか?」
「いいえ、これは生きるための理由です」と白露は翠弓に悠然と言った。「もし一方的に、この世界の人々が自分に対してどう接するべきかと考え、その思いと現実が大きくかけ離れたときに、愛を感じられなくなるのです。この世界のすべての人が本来利己的であることを正しく認識し、愛の基準を“誰かが利己の枠を飛び越えて他者を思いやり始めること”と定義して初めて、温もりを感じられるのです。そして今、あなたはそれらを当然のものとして受け取っています。周りの人があなたに従うのは当然だと思っているようですが、あなたのそばにいる人々が、本当にそのように世の中の常識を覆し、あなたに無私で接してくれているとは考えたことがないのですか?」
白露は翠弓のそばにいる輪廻者5人組を見渡し、最後に隊伍のリーダーである召月に視線を留めた。「私の言っていることは合っていますよね、隠蔽者さん。」
そのとき翠弓も、白露が単に自分にだけ話しかけているのではないことに気づいた。前者は顔を上げて言った。「蘿拉、私のチームメイトに何をするつもりですか?」
白露の視線は数人の輪廻者から逸れることはなかった。翠弓の問いかけに対して、白露は逆に尋ねた。「成河、彼落も君のチームメイトか?」白露が言及したこの二人は、数日前に「事故」で死亡したこの位面の人間だ。
翠弓は呆然とする。突然、一人の輪廻者が発砲し、弾丸が白露に向かって放たれた。白露は異様な姿勢で素早く身をくねらせ、この弾丸を回避し、遮蔽物の中に身を潜めた。
銃声は号令のように、山々に連続する発砲を引き起こした。一発の弾丸が翠弓に向かって飛び、翠弓が死に瀕するかと思われたその時、白露の低い声が響いた。「塵埃よ、凝縮して盾となれ。」大量の鉄粉が磁力で組み合わさって盾を形成し、翠弓に向かう弾丸を遮った。
翠弓を助けてこの一撃を防いだ後、白露の幽玄な声が響き渡った。この発声方法は広範囲の物質を共振させるもので、ある一点の振動ではないため、銃声がこれほど激しい状況でも、白露の声をかき消すことはなかった。
白露はその方法で言った。「翠弓、先ほどの十数秒を振り返ってみてごらん。もともと私と君は会話していたのに、なぜ突然交戦が始まったのか?」
翠弓は心に雷が落ちたように感じ、すぐに左側の人を見て、そして低い声で言った。「仲間を疑ってはいけない。」
白露は続けて言った。「たとえ仲間がはっきりしない死に方をしても、なぜ考えないのか?」
召月も同じくその言葉を聞いた。彼の顔には表情が全くなかったが、内心は恐れに震えていた。彼が所属する高次元プログラムがこの時警告を送ってきた。「この次元に異常が発生した。君たちは待ち伏せに遭っている。A級ストーリー任務。逃亡。この任務の優先度は最高で、他の任務は全て放棄可能だ。」
この高次元プログラムはこれが計略だと気づいていた。なぜなら、金瑞のところの状況がちょうどここと対応していたからだ。あちらで状況が発生した直後に、こちらでもすぐに問題が起きた――これが偶然でないことは誰の目にも明らかで、高次元ならなおさらだ。
この高次元プログラムには、この世界でも他の力が存在する。キンルイが投入した輪廻者チームの力は強大だが、現在の世界の混乱度では、このチームが大規模な空間跨越を行うことは不可能だ。そして今、召月たちが直面しているのは詰みの状況で、救援の可能性は一切ない。言わば、李三祥が盧安の攻撃を誘導した時点で、召月は既に罠にかかっていたのだ。
翠弓の視線を感じ取り、召月は言った。「今はまだ疑っている時ではないわ……」
召月の言葉を裏付けるように、被弾した輪廻者が一人、苦痛のうめき声を上げた。
その時、周囲の銃声が止んだ。一人の営長が拡声器で言った。「武器を捨て、調査に応じよ。」
翠弓はこの五人の面々を見渡し、冷たく言い放った。「いいだろう、だが包囲を突破した後、私に説明をしてもらわねばな。」
その後、翠弓は小隊の他のメンバーに指示した。「私が投降するふりをするから、合図を見て行動してくれ。」
そして彼らは知らなかったが、白露の他にもう一つの目が彼らを観察していた。盧安は通信光幕を通じて、白露側の行動を観察していた。元一は特に白露に戦闘状況を盧安に生中継するよう要求していた。盧安はこの世界で七分後の出来事を見ることができ、盧安が見ることのできる未来を、元一も同じく見ることができた。
能術器具を通じて、盧安は予行演習でこれらの小隊の陰謀を見抜いていた。だから、盧安が一言も余計なことを言うまでもなく、元一は直接白露に命令を伝え、白露にこれらの袋の鼠に警戒するよう要求した。
二分後、陣地で、猛然と銃を奪おうとしていた翠弓は白露に押さえられた。白露は翠弓の銃口を気にせず、翠弓の背後を見つめた。
翠弓の背後で、明るい閃光がすべてを覆い尽くし、五人の輪廻者はこの援護に乗じて逃げ出そうとした。
しかしその時、白露は目の前の閃光を侵犯と判断し、不可侵を発動した。五人は眼球が一瞬熱くなったように感じ、その後何も見えなくなった。その時、山の上で事前にゴーグルを着用していた狙撃班が銃を構え、飛び出したこの五人に発砲した。
目は最も鋭敏な知覚器官である。二階の頂点に達すると、聴覚、嗅覚、そして精神力、霊識、第六感と呼ばれる脳の電磁波で周囲の状況を察知できるが、それでも目が受け取る情報量には到底及ばない。
数十人の視力の良い兵士たちがアサルトライフルを構え、この5人に一斉射撃を浴びせた。絶体絶命の危機に直面した5人は、ありったけの切り札をさらけ出した。中には輪廻者の仲間さえ知らない切り札もあった。例えば召月は、自身の体を巨霊化させ、別の一人は砂で構成された大蛇へと姿を変えた。
閃光に背を向けていたため、翠弓の目は損傷を受けなかった。彼が振り返ると、これまでの人生で見たことのない光景が広がっていた。かつて寝食を共にし、心から自分を隊長と慕ってくれていた仲間たちが、これほど強大な戦力を秘めながら、まるで子分のように自分に従っていたのだ。
翠弓がもう少し愚かでも状況を理解すべきだった。心の中で「スパイか?なるほど、お前たち(黒弓組織)は一度も私を信用していなかったのか」と思った。翠弓の顔には寂寥の感情が浮かんだ。十数年の人生で、翠弓は初めて心の疲れを感じ、この欺瞞に満ちた世界に嫌気がさした。
その時、白露は翠弓を前へと突然押し出した。「パチッ」という音とともに、散弾が白露に命中し、翠弓も雷に打たれたように目覚めた。彼の頭の中に突然、白露の先ほどの言葉がよぎった。「愛の基準を、誰もが自己中心の枠を超えて他人のために考えることと定義することで、初めて温もりを感じられる。」
自分を致命傷から守ってくれた白露を見て、翠弓——この物語の主人公——は野獣のような叫び声を上げた。
そして白露の顔に微笑みが浮かんだ。この笑顔は、目の前の一人の人格がようやく補完されたことに由来する。この人格はようやく世界の物質性を認識し、この世界で本当に大切にすべき愛を感じ取ったのだ。
この笑顔はまた、目の前の五人組の輪廻者が確実に死ぬからでもある。「不可侵犯」は傷を負うことで相手も傷つける戦い方であり、自分へのダメージに関わった者はすべて白露の殺害対象となる。一人が発砲したのだが、白露の判定では、この五人全員の連携によって自分が重傷を負ったとされる。フィードバックは倍増された痛みを均等にこの五人の輪廻者に分配する。痛みをフィードバックするだけだが、彼らの逃亡の希望を消し去った。
白露をそっと遮蔽物の後ろに置くと、翠弓の目は復讐の炎を宿していた。この瞬間、彼の心は神界の復讐の神と一体化したが、その矛先は彼を欺いた者へと向けられていた。
黒い紋様が翠弓の体に浮かび上がる。彼は銃を構え、付呪の紋様が蔓のように銃の握り手を伝って広がり、発砲する。
漆黒の弾丸が次々と輪廻者たちへと襲いかかる。被弾した輪廻者の傷口は、拡散する墨のように急速に広がっていく。
復讐の神が降臨した。




