0290 悲惨な世界
「この世界は本当に悲惨だな。」李三祥からの状況を聞いた後、盧安は感慨深げに言った。
盧安が言う「惨めさ」とは、この世界が一団の部外者に干渉されているにもかかわらず、その部外者たちがこの世界に生きる者たちの立場に一度も立って考えたことがないからだ。
この「惨めさ」の基準に従えば、盧安は、自分がこの世界に介入することも、この世界の生命に対して申し訳ないと考えている。なぜなら、自分はこの世界のある集団の利益に全身全霊で寄り添うことができず、時には元一の任務のために、自分が属する陣営の利益を放棄せざるを得ないからだ。
盧安はやはりこの世界の人間ではなく、この世界の外(元一空間の人間社会、主世界の人間社会)に利益がある。盧安が口では自分と帝然菲斯の感情がどんなに深いと言っても、最終的には元一空間に戻らなければならず、最終的には主世界で快適な日々を過ごすのだ。盧安はこの世界の通り過ぎる者であり、この世界で終点を迎えることはできないので、この世界で全力を尽くすことも、帰還後の利益をこの世界のために捨てることも不可能だ。
理想が指針ならば、利益が最大の原動力である。輪廻者の行動は利益で説明可能であり、彼らが所属する穿越システムが利益を伴う任務を配置すれば、大多数の輪廻者が任務世界での自分の感情を二の次にすることになる。
元一はこの世界で、盧安に対して指示的な任務をほとんど与えなかった。長年にわたり、自分の行動の大部分は空間の命令に悩まされることはなかったが、白露と李三祥は高次元の命令に振り回されていた。
実のところ、元一が盧安に任務を与えるのは規則に縛られているからだ。しかし、一部の高次元の存在には規則の拘束がなく、自らの思いのままに行動し、彼らが送り込んだ輪廻者がこの世界に与える影響はより大きく、より直接的である。
李三祥の伝令を通じて、盧安は核爆発の映像を目にした。核弾頭がこの世界で爆発するなど、決してこの世界で起こるべき現象ではない。なぜなら、この世界では過去20年間、一切の核実験が行われておらず、ジンルイ合衆国でも核弾頭研究プロジェクトは一度も開始されていなかったからだ。それに、これらの輪廻者たちはこの世界で核弾頭を爆破させたことで、おそらく、この世界で真面目に生きる知恵ある者たちの努力をどれほど踏みにじるか、考えもしなかっただろう。半分だけこの世界に腰を据える盧安でさえ、濃厚な屈辱感を覚えたのだ。これは、十数年にわたる苦学の末、結局はコネを持つ者が事前に様々な優遇加点制度の適用を受けて、大学入試で一気に40点も加算されてしまう状況に似た、悔しさと憤りの感情である。
盧安はディランフィスに経済面での「チート」を与えたようなものだが、核兵器を直接与えるのに比べれば、大したことはない。盧安は今、もしタイムスリップ者の影響が全くなければ、この世界はもっと良くなるだろうと、ぼんやり感じている。
感慨に加えて、盧安のもう一つの感情は、元一が自分をこの世界に送り込んだ意味について考え始めたことだ。
二十年前、ディランフィスが敗れたのは、この世界のどこかの勢力が「チート」を手に入れ、それを元一が疑い、自分をバランス調整のために送り込んだからではないだろうか。
「前回、絶対的な工業優位を持つ帝然菲斯が世界を席巻するのを阻止したのは貝帆だった。貝帆は突然、帝然菲スより一世代も先の技術を投入し、工業的に劣勢だった貝帆を逆転に導いた。そして今、白露は巴卡拉に、李三祥は金瑞にいる。それならなぜ元一は貝帆に転生者を送り込まないのか? まさか、最も怪しい場所こそ探索するべきなのに、なぜその地域を見逃しているのか?」
ある、深く考えるほど恐ろしくなる感情の存在が付け加えた。「もし元一がこの世界に他のチームを送り込んでいないのなら、元一が見落とした探索地域は貝帆だけではない。北方の盾刃も元一に無視されているように見える。その無視はいったいなぜなのか?」
ある楽観的な感情状態が付け加えた。「もしかしたら、元一は前に人を派遣して探索したかもしれない、あるいは前回の任務のように、今回の任務は同じ陣営の系穿越系統と一緒にこの任務を探索するもので、元一はその二つの区域を担当していない。」
考慮が全面的であることは、多連合状態の長所だ。盧安の複数の感情状態はあらゆる側面の状況を想定してみて、推演の時に多くの死角を残さない。もし境界が盧安より低い存在に対しては、盧安はその人の性格特性に基づいて、この人の思考の傾向を把握することさえできる。
残念ながら、盧安が推測しているのは元一で、この十数年、元一は盧安に多くの情報を漏らしたことがない。盧安はこの任務に対して非常に茫然としている。
「元一はいったい何をしているのだ?」盧安の心の中の疑問が芽生え始める。
デスクの前の書類を見て、盧安は思わず深く息を吸い込んだ。
盧安の机の上には、今年の重工業のデータがあった。いくつかの情緒態が元一が一体何をしているのか考えているうちに、盧安はすでに今年の産業調整案をまとめ上げ、それをフィックのメールボックスに送信していた。
今、この皇帝陛下は意気軒昂で、戦況は非常に順調であり、バカラの半分がディランフィスに併呑された。フィックはここ数日、毎日執務室で地図を眺めるのを楽しみにしており、視線が地図上でディランフィスが西部高原に向かって大きく伸びている部分に落ちるたびに、口元に笑みを浮かべていた。盧安から見れば、この皇帝は今、鏡の前で新調した服を何度も見ている女性と何ら変わらない。領土拡張がもたらすのは、いかなる帝王も俗っぽさを免れない快感なのだ。
盧安はその快感を理解していた。それはまるでリアルタイムストーーラテジーゲームをプレイしている時のようで、一区画ごとの領土の拡大に非常にこだわり、たとえゲーム内でそれほど多くの資源を必要としなくても、マップ上のすべての資源ポイントを占拠したくなる。それは一種の所有欲だ。盧安から見れば、ディランフィスがこの星に持つ領土は既に十分で、豊かな地域は星の半分の経済に影響を与えられるほどだが、今の盧安にはこの陛下にその雄心を捨てるよう勧める術はなかった。それは、二十一世紀の中国人が古代にタイムスリップした後、勝利した農民反乱軍の指導者に帝政を放棄するよう説得できないのと同じことだ。このような思想の転換には、流血と犠牲による確認が必要なのだ。
盧は今、任務が早く終わることを非常に期待している。なぜなら、盧安にはこの世界の人々を血を流すよう唆すことに全く興味がないからだ。しかも、血を流しても必ずしも正しい選択ができるとは限らない。例えば、地球では希特勒がドイツに血の犠牲を払う試みをさせたが、その結果は万年の汚名を残した。異なる次元から来た人間として、盧安は自分も周りも平和であればそれでいいと考えており、血を流すことはこの世界の人々に任せておけばいいと思っている。
現実の盧安はフィックのオフィスのドアをノックし、この皇帝が地図を鑑賞する興をそがせた。フィックは机の前に座り直し、衣服を整え、それから机の上のボタンを押した。自動ドアが開き、盧安が入ってきた。
フィックは微笑んで言った。「ええと、希瑞科、何か良い知らせを持ってきてくれたのかい?」
“良い知らせは普通、直接あなたにメールで送り、あなた自身でじっくり味わってもらいます。でも、眠くなってしまうのに重要なことは、直接お話しします。”
フィックは開いた口を手で覆い、あくびをする仕草をして言った。「じゃあ早く言ってください。私が眠くなる前に、要点を簡潔に教えてください。」
“陛下、今、ベイファンもデンインも私たちにとても丁寧にしていますが……”
フィックの目が一瞬輝き、それから笑顔を見せてうなずきながら言った。「そうですね、最近彼らの使者はずっと私の大使館に滞在しています。デンインは最近、カラト・ユキヒョウ(大型のネコ科動物)のつがいを一組贈ってくれましたし、ベイファンからはたくさんの宝石珊瑚をいただきました。」
再び興奮状態に入ったフィックを見て、盧安は彼の話をさえぎって言った。「最新の国境貿易状況によると、ベイファンとドゥンレンはすでに我々への関連戦略物資の輸出を停止している。また、これらの戦略物資は現地の地域でのみ不足しており、例えば我々が新たに占領した高原行省では肥料や石炭などの物資が比較的不足している。これらの物資は内陸から輸送することもできるが、国境の港から購入するほうがはるかに割安だ。」
予行演習でフィックがあと16秒でイライラした表情を見せることに気づいた盧安は、素早く要点を述べた。「どうか覚えておいてください。彼らはあなたにとても友好的に振る舞っていますが、実際には、すでに我々に対して警戒しています。将校たちがどのようにあなたに報告しているかは知りませんが、我々がこれからどの方向を選ぶにせよ、非常に困難だと思います。」
フィックは頷き、それから盧安を見て言った。「希瑞科、君は軍隊に偏見があるんじゃないか。」
盧安は弁解せず、立ち上がって言った。「陛下、まだやらねばならない仕事がありますので、失礼させていただきます。」
オフィスを去った後、盧安は心の中で思った。「やるべきことはやった。あとはもう変えられない。」
バカラ。高い丘の上で、白露は能術器具を通して四キロメートル先の戦場を観察していた。
バカラが崩壊すると同時に、白露は曦日級の驚くべき実力を発揮した。
半径二十キロメートルの範囲で、白露は六千七百個の能術飛行器を制御し、全方位から戦場を偵察した。これらの能術飛行器はディランフィス軍の補給線を探知しただけでなく、空にいる他の能術師の能術器具を一掃した。
白露は山の上に座り、素早くキーボードを叩き、情報を編集している。左の山頂には、枝で偽装した信号発信器が一連のデータを電磁波で前線の各部隊に送信した。
白露の今の状態こそ、神霊が凡界に降臨した後の真の実力と言える。黒弓組織が神降ろしによって超戦士を作り出そうと試みた計画は、翠弓という曦日級を生み出したものの、翠弓は明らかに自分の強大な実力を発揮する方法を見つけられなかった。




