0288 賭けの幕が切って落とされた
今回の任務で、盧安は時折自問していた。この任務に自分は何をしに来たのか、自分は何をしているのかと。そして今、盧安はぼんやりと自分の役割を理解した。
どんな任務にも時代背景があり、一つの時代背景は多くの物語を内包できる。例えば、中国の抗日戦争、日本の真珠湾攻撃、ヨーロッパのダンケルク撤退、ソ連の斯大林グラード攻防戦……様々な素晴らしい物語はすべて一つの地球の第二次世界大戦時代という大きな背景の下にある。そしてその中のあらゆる物語は、輪廻者によって侵略される。時空傭兵がこれらの侵略に対して行動することは重要だが、この時代の大きな背景に付け加える一大筆も、同様に重要であるようだ。
それで、元一が自分に対して十数年も沈黙し続けていることに直面して、盧安は自分が任務の中で役割を持っていると理解し、初めての旭起星のように慌てふためいて不安になることはなかった。「私は間違っていない」と盧安は自分自身に答えた。「もし私が間違っていたら、元一が指摘して、もっと早く他の方向で努力させていたはずだ。」
高次元のルールに従い、高次元の存在は対応する低次元領域で低次元タスクを設定し、時空傭兵は低次元領域に進入してタスクを遂行する責務を負う。元一は明確なタスクを設定しなかったため、盧安は探索タスクをしっかり遂行し、同時にチームメイトをしっかり補助すればよいだけとなった。しかし、現在盧安が探索タスクを遂行する際、それを怠けているとは決して言えない。なぜなら、チームメイトに前例のない補助——時代背景を提供したのだから。ただ、盧安自身はこの事実を見落としているようだった。
帝然菲斯軍の効率は非常に高く、軍部は迅速に戦略展開を調整した。戦争に対する軍部の積極性に盧安は大いに感心したが、ただ、このような独自行動の傾向がある軍隊は、一体吉と出るのか、それとも凶と出るのか?
盧安は葛藤していた。もし平和な時代なら、盧安は帝然菲斯に外交と経済手段を使ってバカラに化学兵器を廃棄させようと仕向けただろう。だが今や、バカラはすでに軍事費がGDPの50%を占める国であり、さらにバカラの背後で密かに支援する大国も戦争を扇動的な態度を取っている。このような状況下では、何を言っても無駄で、経済制裁はこの武力全開の国を危険に走らせるだけだ。だから盧安は軍事的手段による迅速な解決に賛成している。
盧安が戦争に同意する見解を述べると、帝然菲スの上層部は合意に達し、半年後にバカラへの戦争を開始する予定となった。
ある国が他の国に戦争を仕掛けるのは、リアルタイムストーーラテジーゲームのようにマウスでクリックして枠を囲み、部隊を進撃させるだけでは済まず、前段階で多くの準備作業が必要となる。
まず、軍は鉄道を点検整備し、事前に前線都市に戦略物資や弾薬を備蓄し、各倉庫の戦略備蓄を確認する。水利部門は各ダムに貯水し、河川に多数の探知ポイントを設置し、化学兵器の薬剤を検知したら直ちに一部水路を閉鎖して汚染拡散を防ぎ、同時に中和性の化学薬剤を迅速に散布する。これらの手段は損失を可能な限り減らすためであり、軍事浸透作戦が失敗して最悪の結果になった場合でも、損失を低減するための代替案を用意できる。
会議が終盤に差し掛かり、フィックは「では、宣戦布告書の起草を始めます」と提案した。
盧安は反論した。「理由は不要です。宣戦布告なしに戦うべきです。この戦争の根源は利益のためではなく、生死存亡のためです。宣戦布告は相手に我々が何を望んでいるかを知らせ、戦後にどのように妥協し交渉するかを話し合うためのものです。陛下、あなたは戦争開始後に声明を発表するだけで十分です。もちろん、我々は通告するだけで、この件について各国といかなる交渉も行いません。軍隊は国家の利益のために奉仕すべきであり、個人の栄誉は二の次です。」
すると軍部は反対した。「宣戦布告なしの戦争は、戦争交戦の基本原則に反する。軍隊が勝利できるのに、なぜこのような卑怯な行為をするのか?」
バカラの行動によってディランフィスは国家の立場から道義を守ったが、軍部にとっては今回の戦争における彼らの栄誉を損なうものであった。そのため、盧安と軍部の間で再び意見の相違が生じたが、盧安は予行演習を通じて軍部の考えを察知し、先手を打って自分の意見を述べた。一方、軍部の言い分はやや名声を惜しむように見えた。
この世界には貴族精神が存在する。この貴族精神は宋襄公の泓水の戦いと同様で、勝利を得ると同時に名声も欲するものである。そして今のディランフィスの軍部は、様々な物資や補給、弾薬の備蓄を見て、勝利に絶対の自信を持っている。この必勝の戦いにおいて、彼らは既定の勝利に奇襲という汚名を残したくないのだ。もちろん、弱者の立場で強者に挑む場合であれば、奇襲の汚名など気にしないだろう。
軍部の意図は、この確実に勝てる戦争で栄光を手に入れ、その声望で国家を左右することにあり、これは戦後の利益分配にも関わってくる。これは基本的に軍国主義の通弊であり、軍隊はしばしば国家の長期的利益を無視して、自らがより大きな権力を握る目的を達成しようとする。
フィックはもったいぶってしばらく考えた後、最終的に盧安の意見に賛成した。そして軍部の大物たちの目には、盧安はすでに帝然菲斯(ディ藍菲ス)百年以来第一の奸臣の地位にまでのし上がっていた。
実のところ、フィックが宣戦布告なき戦争に同意した理由はただ一つ、それはあらゆる君主が最も憂慮する現象——功績が主君を上回ることである。それが指摘された今、フィックは当然のように盧安に憎悪を負わせた。
最終的に、戦争全体は六か月後に開始されることになった。
盧安がこの軍事攻撃のタイムテーブルを白露に伝えると、白露は言った。「私の読みが甘かったわ。ディランフィスの戦術思想はバカラ側をはるかに超えているわ。」
白露はバカラ側で長年バカラの戦略思想に触れてきたため、慣習的に戦争には戦線が存在すると考えていた。そして戦線さえあれば、翠弓をその戦線区域に投下できると。しかし今、盧安は計画を白露に渡し、これから起こる戦争には戦線がないと告げた――バカラはミサイルの絨毯爆撃や精密破壊などの攻撃に直面するのだ。
「今回の戦争の原因は水資源の安全保障であり、戦争はバカラ地域を引き裂くだろう。」盧安は地図に線を引きながら言った。「ディランフィスの大部分の河川の安全に関わる地域の南部が、ディランフィスが占領しなければならない目標だ。」
「他の地域、例えばバカラの穀物大量生産地域ですが、」盧安はそのうち四つの穀物生産地を指さした。「ここの川はすべて北に向かって流れていて、東側の河道を通らないので、帝然菲スには影響しません。計画では、帝然菲スはここに傀儡政府を樹立させ、ベイファンなどの国との戦略的交換に用いるつもりです。」
白露が尋ねた。「北方には港があるのに、帝然菲スは我慢できますか?」
「もし帝然菲スの軍隊に国策を決めさせたら、我慢できるはずがありません。装甲部隊を直接北へ押し進めて、河口を奪い取るでしょう。しかし、私は今でも帝然菲スに対して一定の発言権を持っています。」盧安は、帝然菲スの意思決定に対する自分の影響力について、比較的確信を持って述べた。
盧安の見解では、ディランフィスの現在の戦略は、東ではキムリと海洋権益で衝突し、北ではシールドブレードと地上権益で衝突している。もし完全に高原を制圧すれば、ベイファンも西大陸の憲兵権をめぐって必ずディランフィスと対決するだろう。
もしディランフィスの国力的があまりにも強大で行き場を失い、必ず大規模な建設によって影響力を発揮しなければならないなら、バカラの海口を攻略することは百害あって一利なしだ。実際のところ、今のディランフィスはそこまで強力ではない。
盧安はフィックに軍隊を甘やかすことの結果を一通り説明した。もしディランフィスの軍隊がバカラの全ての穀物生産地域と北の河口を占領したなら、国家建設の力を西部に傾けなければならない。さもなければ、西部ではベイファン勢力の終わりなき軍事挑発と、軍隊の終わりなき軍費需要を待つだけだ。そして経済を西部に傾けるなら、盧安はフィックに東部の財閥を何とかしてもらおうと頼む。
もしバカラの半分を残し、バカラの大量の経済地帯をバカラ統治に委ね、海への出口を掌握せず、ベイファンを脅かさなければ、ベイファンはもちろん帝然菲スが該当地域に進出することを歓迎するだろう。地球の第二次世界大戦前、イギリスの対ドイツ宥和政策は、ドイツが積極的に東欧に進出し、ソ連を牽制することを望んでいた。この世界で誰が宥和政策の犠牲者になるかは、明らかにバカラである。そして弱体化したバカラは、完全にベイファンの緩衝地帯となるだろう。バカラが狭間で生き残るためには、自国の港をベイファンの艦隊に貸与し、盾刃勢力の圧力に対抗しなければならない。そしてこの農業国は、帝然菲スの工業輸出とベイファンの軍事的支援により一層依存することになる。
盧安の説明を聞き終えた白露は言った。「なるほど、バカラはとても良くない結末を迎えるようね。盧安、もし私が将来バカラでもっと高い権力を得たいとしたら、どうすればいいのかしら?」
白露は質問しているようでいて、実はすでに計画があり、盧安に自分の計画を支持してほしいと思っているだけだった。白露の意図を理解した盧安は言った。「君の行動を補佐するよ。帝然菲斯軍が東部山岳地帯へ突入する補給線は、時間通りに知らせる。」
こうして白露に承諾したものの、盧安の心の中は少し複雑で、一部の感情は、自分の行動が帝然菲スを裏切っているのではないかと感じていた。何しろこの世界に留まっている時間が長すぎたからだ。一方、白露は非常に泰然自若としており、最初から最後までバカラを自分の国とは見なしていなかった。これが神と人間の違いである。
盧安はある感情の様子を予演するかのようにため息をつきながら言った。「もし私の人格を形成した国家の文明ならば、私は決して裏切るような行為はしない。私はただ自分を救うことしかできない、あまり芝居にのめり込むな……」
盧安の約束を聞いて、白露はうなずいた。盧安の口約束について、白露は直感的に信用している。
白露の直感は正しかった。盧安の現実でのいくつかの行動は、大量の予演を経て最終的に行われた表現であり、白露の感知力はちょうど直感的に盧安の感情を感じ取ることができる。白露が敵ではなく、盧安が白露を欺く理由がなければ、盧安の口約束は白露にとって紙面上の契約に相当する。




