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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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0284 悪意に満ちた世界

 通りにある路地で、4人の男がナイフを持って、子どもを連れた女性を取り囲んでいる。母親にしがみつく子どもの目は恐怖でいっぱいだ。


 まさにその4人の賊が手を伸ばし、よからぬことをしようとした瞬間、高い空から一筋の冷たい光が落ちてきて、その手首をかすめた。一条の血しぶきが噴き出した。


 手首の動脈から出血しているなら、早めに手当てしなければ命に関わる。4人の賊は慌てて周りを見回し、狂ったようにそこから逃げ出し、恐怖に震える母子を残した。しばらくすると、薄暗い路地にはもう何の動きもなくなり、この母子も急ぎ足で立ち去った。


 六キロ離れた場所で、盧安(ルー・アン)は手元のパソコンの画面を見て、その地域の治安状況を調べ、つぶやいた。「こんなことがこれからもどんどん目の前に現れる。私に手が回るだろうか?」


 すると数十の感情状態の盧安(ルー・アン)が応えた。「でも、やっぱり関わるよ。我慢できないから。」


 盧安(ルー・アン)は今、少し皮肉に感じている。クラスター状態の時、プレビューの中の自分はあんなに理不尽で、プレビューの中で勝手に人を傷つけた。それなのに今、自分は頑なに他人が目の前で悪事を働くのを妨げている。こんな厚かましい自分が、どうして聖母のようになってしまったのか?


 しかし、盧安(ルー・アン)は一度遡行を発動し、あの母親の顔に浮かんだ絶望の表情を見た。盧安(ルー・アン)は再確認する。自分はこれからもこうして阻止するだろう。なぜなら自分の多くの感情は、他人がルールを踏みにじるのをいつも阻止したいからだ。


 七百以上の感情状態が同じ誇りと羞恥心の基準に従ってこそ自己安定を保てる。だが問題は、盧安(ルー・アン)の予演時間が長くなるにつれて周囲環境に対する探知手段が高度化し、目にするものが確実に増え、毎日多くの不快な出来事を見ていることだ。現時点だけでも、盧安(ルー・アン)は毎日街の至る所で起こる数十件の犯罪を目にし、中には非人道的な行為も数件含まれる。盧安(ルー・アン)は見れば見るほど、この世界が気に入らなくなる。


 これらの予演の中の自分はこれらの出来事を見ると我慢できず阻止したくなり、最終的に現実の自己意識に直接フィードバックし、現実の自分に早く決断を下すよう迫る。


「自分さえ救えればそれでいい」と、盧安(ルー・アン)は何度目かわからないほど自分に言い聞かせてきた。しかし、その言い聞かせはほとんど効果がなく、どうしても我慢できず、結局は高空で待機している浮空戦艦を呼び寄せ、艦載機を投入して解決してしまう。


 ここ数ヶ月、盧安(ルー・アン)はこの世界の「濃厚な悪意」を感じ取っていた。世界が自分を狙っているのではなく、自分が世界を狙っているのだ。この世界がますます気に入らなくなっている。今のところ、盧安(ルー・アン)は自分自身を解決してこの問題を解消する方法が見つからず、ただ都市から飛び出して、見なければ心も悩まないようにするしかない。これらのことを目にしなくなってはじめて、思い悩むこともなくなるのだ。


 かつては、盧安(ルー・アン)の自己道徳と羞恥心を結びつけることで、盧安(ルー・アン)は準分裂状態から抜け出すことができた。しかし今ではそれがかえって大きな悩みの種となっている。なぜなら、社会には常に道徳のない人間が存在し、そういう人々をどうしても目にしてしまい、どうしても首を突っ込まずにはいられないからだ。インターネットのコミュニティを閲覧しているとき、あるコンテンツのコメント欄が自分の価値観と合わないと感じ、我慢できずに理屈で争うか、それとも直接閉じて退出するかのようなものだ。盧安(ルー・アン)の場合、山奥に隠遁するわけにもいかないだろう。


 ある予行演習で盧安(ルー・アン)は愚痴をこぼす。「社会主義の調和のとれた社会だったら、こんなに悩まないだろうに……」


 盧安(ルー・アン)は、自分はもっと高度な社会で生きるのに向いているようだと気づく。そこで盧安(ルー・アン)は考え方を変え、外部から着手することにした——犯罪率の引き下げだ。


 盧安(ルー・アン)が最初に思いついたのは、各主要都市に監視カメラを設置し、就業率を高めて社会の不安定要因を減らし、根源から犯罪率を引き下げ、最後に宣伝を強化して全国民に法教育を施すことだった……これだけ考えた結果、盧安(ルー・アン)は再び頭を悩ませ始めた。なぜなら犯罪率の高さは、結局のところ国の経済問題であり——帝然菲斯の軍事費は既にGDPの15%にまで上昇しているからだ。


 軍費の割合がこれほど高いのに、帝然菲斯はまだ戦時経済に移行していない。戦時経済に入ることは、国家の計画経済が各工場の生産・販売を引き継ぎ、企業が利益よりも供給を優先することを意味する。これは帝然菲斯的資本家の利益を損ない、国家の安定を維持するためである。そして、完全に軍国主義に移行し、大規模な軍拡を行い、軍国主義の力を増大させることで、初めて資本家に譲歩を迫ることができるが、資本家の譲歩は無条件ではなく、軍国主義がより多くの原料と市場を奪取する必要がある。


 今、盧安(ルー・アン)は無産階級の政権を非常に懐かしんでいる。なぜなら、無産階級の与党だけが資本利益集団に譲歩を迫ることができるからだ。前者は生産手段を持たないため、経済困難時に最も富裕な層に消費と収入の削減を強いることができる——裸足の者は靴を履く者を恐れない。


 国家の好戦的な勢力の台頭に対して、盧安(ルー・アン)は反感を抱いている。そして今、テイジェンフィスの支配階級は一人ひとりが生産手段を手にしている。盧安(ルー・アン)は各利益集団間の矛盾を利用して経済建設を推進できるが、ブルジョワ階級全体に譲歩を強いることはできない。彼らは利益を放棄しようとせず、それが直接社会に盧安(ルー・アン)が不快に感じる現象をさらに頻繁に引き起こしている。


 軍事費を増やさないわけにもいかない、なぜならテイジェンフィスの周辺の勢力はすでに狂っている。ジンルイにせよベイファンにせよドゥンレンにせよ、これらの国々の現在の軍事費の割合はテイジェンフィスよりも高い。


 地球二十一世紀前半、アメリカが軍事力の半分をアジア地域と太平洋沿岸地域に配置する状況に直面して、中国もまた軍事力を動員して対応するしかない。逆に言えば、中国はこの地域で自らの経済政策を主張し続けることはできない。相手がそこに大量の兵力を配置しているため、経済面でどれほど上手くやっていても、言うことを聞かざるを得ない。なぜなら経済は政治に対して非常に敏感であり、どの地域でも戦争のリスクがあれば、資本は必ず直ちに引き上げられ、そしてリスクを回避するからだ。


 地球の二十一世紀の経済分野では、玩家(プレイヤー)は中国とアメリカの二つだけだ。アメリカは軍事的には強力だが、ロシアが牽制している。一方、能術世界では、現在、世界大戦を引き起こすことができる四つの工業勢力が存在し、いずれも相手の市場と資源を奪おうとしている。これは盧安(ルー・アン)を大いに悩ませている。


 次に、盧安(ルー・アン)をさらに悩ませる事態が起こった。元一(ユエン・イー)がついに任務を手配し始めたのだ。白露(バイルー)のほうですでに輪廻者の降臨を探知していたからである。


 白露(バイルー)は翠弓(スイキュウ)から届いた最新の手紙を読んでいるところだ。


 翠弓(スイキュウ)は数年にわたり軍事任務をこなし、一初級兵から大佐の階級を持つ将校へと昇進した。手紙の文面から、翠弓(スイキュウ)が自身の階級昇進を非常に誇りに思っていることがうかがえる。これは彼の数々の戦功の証である。


 そして数日前の手紙で、白露(バイルー)は翠弓(スイキュウ)が言及した五人組の小隊に気づいた。この五人は不思議な能力を持ち、しかも翠弓(スイキュウ)に対して非常に好意的だ——きっとどこぞの穿越物が投入した穿越者たちであり、翠弓(スイキュウ)の経験は間違いなく、いくつかの次元映画のプロットそのものだろう。


 白露(バイルー)は地図を開き、翠弓(スイキュウ)が最近任務を遂行した地域を確認し、それから自分の権限を使って翠弓(スイキュウ)のそばにいる人々がこの世界のどの勢力から送り込まれてきたのかを調べ上げた。


 これらの勢力がこの5人が異世界からの転移者であることを知っているかどうかにかかわらず、後者の能力はこれらの勢力にとって既に当たり前のものとなっている。つまり、この5人に手を出す際、これらの勢力は絶対的な抵抗勢力になるということだ。元一(ユエン・イー)は関連情報を入手して白露(バイルー)に任務を割り当てる際、白露(バイルー)にこれらの勢力に対して様々な対策を講じさせた。たとえこれらの勢力を打ち砕けなくとも、重要な時にこれらの勢力を手に負えない状態にし、他に気を回す余裕をなくさせ、この5人が勢いを借りられないようにする。


 白露(バイルー)は関連資料を調べながら、二人のチームメイトに状況を報告している。


 白露(バイルー):「お二人とも、近いうちに少し補助していただけませんか。」


 盧安(ルー・アン)。「白露(バイルー)、この5人はどうしても片付けないといけないの?」


 白露(バイルー)。「元一(ユエン・イー)の命令だ、少なくとも一人は残せと。李三祥(リー・サンシャン)、元一(ユエン・イー)から何か指示はあったか?」


 李三祥(リー・サンシャン)。「その場で待機するよう言われている。こちらでも何か動きがある兆候が見られる。」


 白露(バイルー)。「盧安(ルー・アン)、元一(ユエン・イー)はまだお前を許していない……」


 盧安(ルー・アン)。「待て!許していないとはどういうことだ、俺はそもそも奴を怒らせた覚えはない、奴は俺に何の任務も与えていないんだ。」


 白露(バイルー)。「元一(ユエン・イー)がお前に何の指示も出していないということは、今私がお前に助けを求めても構わないということだ。」


 盧安(ルー・アン)。「もちろんだ、それが俺たちがチームを組む意味だからな。」


「ホットスポットを作る必要がある、翠弓(スイキュウ)が必ず侵入しなければならないホットゾーンを。」白露(バイルー)は地図を指さして言った。「ここだ、盧安(ルー・アン)、帝然菲斯 (ディランフィス) の力をここに侵入させてほしい。ディランフィスの力がここに入れば、バカラは翠弓(スイキュウ)を呼び戻して守りにつくはずだ。」


 盧安(ルー・アン)は白露(バイルー)から渡された資料を見て、思わず息を呑んで言った。「本当に狂気の沙汰だな……」


 白露(バイルー)は意味深に言った。「この時代、各国の道徳水準はみな同じだ。思うに、帝然菲斯がまだ安心して傍観者でいられるはずがないだろう。」

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