0280 先延ばしにされた戦争
金瑞合衆国の政治家は間違いなくこの世界で最も典型的な資本政治家だ。孤立主義の政治派閥であれ、積極的に世界に影響を与えるのであれ、その背後には常に多くの利益集団が競り合っている。
このような競り合いの中で、暗殺は間違いなく最も下策な方法だ。数年前、李三祥が暗殺された時、李三祥はまだこれほど巨大な利益集団を集めていなかったため、あの暗殺はうやむやに終わったのである。
盧安経済の指揮棒が振られるに伴い、ディランフィスとジンルイ合衆国は大規模な貿易連携を開始し、李三祥側の利益集団はますます巨大化した。そんな中、李三祥が頑なに立ち上がり、別の政治団体を妨害したことは、最も完璧な報復であった。若者はすぐに仕返しを好む、その方が確かに爽快だからだ。しかし、仇敵を真に畏怖させるのは、彼らが最も望まない事態が、最も起きてほしくない時に起きることである。
李三祥の発言後、孤立主義〔1〕を奉じる政治家たちが次々と同調し、同時に干渉主義〔2〕を奉じる政治団体に対しては、過激な行動を取らぬよう、それとなく警告を発した。そして、もし後者が本当に事を構えようものなら、李三祥の背後にいる数多の利益集団による報復も、すでに用意されていたのである。
そして今、こちら側の干渉主義を奉じる政治家たちは頭を痛めている。彼らは今、数年前にあの殺し屋組織が李三祥を始末できるというたわごとをなぜ聞いたのか、非常に後悔している。今や報いが来て、孤立主義の派閥全体が極めて警戒心を強めている。数年前のあの無法な暗殺のせいで、今や孤立派は密接に団結している。
今、干渉を支持するこの政治グループは、李三祥側の利益集団に譲歩しなければ、金瑞の政策を対外志向に転換することは到底不可能だ。
李三祥が金瑞を落ち着かせたと知って、盧安は今、騒ぎ立てる帝然菲斯をなだめている。
この戦意に燃える兵士たちを前に、ある感情状態にある盧安がレンガを手に軍の座席を一掃した。盧安からすれば、碧森王国と堅盾連邦のこの戦争は明らかにひどい無駄な争いで、両方に武器や物資を売って小銭を稼ぐ程度で十分であり、帝然菲斯をそこに巻き込むのは全くもって愚かな行為だ。これらの将軍たちは指揮棒を手に地図上で、いつどのように敵軍を壊滅させるかを語り、部隊が大都市に進駐して残存部隊を掃討し、これらの地域を制圧すればどれだけの戦略的緩衝地帯を形成できるかと胸を張って断言する…一見、国と民のためを思っているようだが、実際には将軍たちがあまりにも暇で武功を上げたがっているに過ぎない。ちょうど隣に二つの小国がちょろちょろしているので、彼らはこの戦争に難しさはなく、簡単に片付けられると考えているのだ。しかし、盧安は将軍ではなく一兵卒であり、戦争がどれほど厄介で、戦争の任務を遂行することがどれほど大変かは兵卒こそが知っている。
将軍たちの説明を聞き終えたフィックは、少しためらいを見せたものの、それでも視線を盧安へと向けた。
盧安は軍部の視線を無視して言った。「介入に反対です。」
フィックは予想していたかのようにうなずき、「理由を述べてくれ」と言った。
「第一に、この戦争に介入するよりも、対岸の火事を眺める方が利益が大きい。戦争に介入する場合、戦争に奉仕する大量の工場が必要となり、財政支出が大きすぎる。それに対し、対岸の火事を眺めれば、大量の外貨を稼ぎ、各国との貿易チェーンを拡大することができる。」
盧安が第一条を述べただけで、軍の代表が憤然と立ち上がり、盧安を指さして国賊とののしろうとした。しかし、軍代表が口を開いた途端、盧安は机の上から拾い上げた消しゴムを投げつけ、彼の口に入った。その代表は激しく咳き込む中、すべての軍代表が立ち上がり、一斉に襲いかかろうとした。
盧安はフィックを見て言った。「陛下、誰かが私と喧嘩をしようとしています。」
この状況に対して、フィックは淡々と言った。「続けて話しなさい。話し終わってから、喧嘩の件を話し合おう。」
盧安は続けて言った。「第二に、この戦争は結末を迎えないかもしれない。なぜなら、我々が十数年前にこの二国を併合したことを、世界各国はまだ忘れていないからだ。彼らが我々にこの戦争の勝利を収めさせる可能性は低い。仮に我々が無理やり勝利して各大都市を占領したとしても、地方の村落はどうする?占領区内で我々に問題を起こそうとする国が銃一丁を密かに送り込めば、我々はそれを掃討するために銃百丁分の力を使い、防ぐために二百丁分の力を使わねばならない。これは損な商売だ。」
盧安は傍らで怒りをあらわにする将軍たちを一瞥し、淡々と言った。「もし私が他国にいるなら、自ら罠に飛び込む愚かな牛を絶対に見逃したりはしない。そして、その愚かな牛の血を流させながら、なおも私の太ももにしがみついて支援を求めさせるように仕向けるだろう。」
盧安は自らの頭を指差し、極めて挑発的な口調で言った。「これが知能の格差だ。」
軍部の人々が再び暴動を起こしそうになるのを見て、フィックは手を下に押さえながら言った。「よし、希瑞科、まだ何か言いたいことはあるか?」
盧安はうなずいて言った。「兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道、察せざるべからず。戦争の勝利は単に一つの勝利だけを見るべきではなく、戦後二十年の国への影響を見なければならない。もし今、我々がこの戦争に介入し、戦争が早期に終結できない場合、今後二十年の国家政策はこの賭けに左右されることになる。しかし、戦争がいつ終わるとも知れない長期戦に陥った場合、私は軍を一切妨害しないどころか、軍側に立って、この賭けの勝算をできるだけ高めるつもりだ。」
ここで、盧安はフィックを見つめ、それは「国家政策が軍に乗っ取られた場合、全面軍寄りに倒れる可能性がある」という意味だった。フィックの目が微かに動いたが、依然として威厳を保ち、盧安に続きを促した。
「我々が事態から距離を置けば、各国はすぐに使節団を派遣して我々の支援を求め、大量の物資を注文してくるだろう。国際環境のあらゆる面が好転する。」と盧安は言った。「最も明らかな例を挙げると、バカラはここ数年、水資源問題の交渉で非常に厳しい状況にあった。これからは、彼らは必ず我々と真剣に話し合宇田ろう。なぜなら彼らは我々を必要としているからだ。もちろん、我々の外貨準備高も増加するだろう。」
その時、傍らの将軍がつぶやいた。「外貨って、借金返済じゃないのか?他に何の役割が?結局のところ、外国人にお金を返すことしか考えていないのか。」
フィックは眉をひそめ、傍らの将軍に言った。「人が話しているときは静かにしてもらおう。それから、経済に詳しくないなら、軽々しく評価するものではない。毎年外貨が百元入ってくるとしたら、希瑞科はその百元を一年で百五十元に増やし、ついでに一元を借金の返済に充てられるのだ。」
フィックはディランフィスの現在の経済状況を非常によく理解しており、今回盧安を弁護したことは、ほぼ態度を明確に示したに等しい。
フィックが言い終えると、盧安は総括して言った。「陛下、もしあなたの戦略計画がこの二国で止まるのであれば、今回の戦争に介入し、前回の大戦後の国際秩序におけるいずれかの強国の、この地域での利益の代弁者、つまり地域的な強権となることをお勧めします。もし二十年以内に世界的大国の影響力を回復させたいとお考えなら、もう少し待たれることをお勧めします。」
会議の結果は明らかだ。しかし、このような結果は立憲君主制の国ではなかなか達成しにくい。これまで、どの資本家陣営の財政管理者も、軍部の圧力に逆らって君主にこれほど長期的な戦略計画を提起できた者は一人もいなかった。資本陣営の経済管理者は自分の家族の産業利益を優先し、その家族産業の利益は他の利益集団に極めて簡単に牽制され左右される。皇帝は最終的に大勢に従って妥協するしかなく、政策を策定する際に軍部に縛られ、最後には軍国主義体制にならざるを得なくなる。
盧安は東の方で地方経済集団をやり込めた後、西の方で軍部の愚かな衝動を抑えつけたが、それでも一人だけ、盧安がやり返せない人物がいる。それは最高権力の座に就いているフィックだ。
議会が終わると、李三祥と白露は通信を始めた。双方がこの世界の探索状況について話し合った後、話題は盧安に移った。
白露は盧安を評価して言った。「彼は戦争に対して心が痛むようだ。」
李三祥は笑って言った。「結局は子供の心性だな。しかし、彼が最初の一歩を踏み出してから、矛盾はすでに蓄積し始めている。彼は賢い人間だ。この世界でこれから起きることを阻止できないとわかっている。」
「それで、彼は受け入れる準備はできているのか?それとも、戦争前にこの任務が終わるのを期待しているのか?彼が醸成しているこの大戦争は非常に魅力的だ。この賑やかな時点で、元一が私たちに見逃させるはずがない。」白露は言った。
戦争が勃発すると、時空の混乱度が高まり、高次元の次元渡り怪物がプレーンに引き寄せられる。この時、高次元の元一は、このプレーンで将来起こる戦争を待っている。なぜなら、戦争が激しくなるほど混乱度が高くなり、時空傭兵が他の次元渡り怪物と遭遇する確率が高くなるからで、元一が時空傭兵を引き揚げる可能性はますます低くなる。
白露の疑問に対して、李三祥は笑って応じた。「これは彼にとって、とても有意義な経験になるだろう。」
「確かに。」白露は言った。「こちらでは、神降ろしは既に制御できている。神躯は戦区に入り、実戦に参加する。」
「実戦に参加?!」李三祥は少し考えて言った。「それもそうだ、こんな貴重な戦争環境だ。能術組織が手を出さないわけがない。」
[注1]。ある種の外交政策で、通常は防衛と経済の二つの面からなる政策です。防衛面では、孤立主義は不干渉原則を採用し、自衛戦争を除き一切の外部の軍事衝突に自ら巻き込まれません。経済文化面では、立法によって国外との貿易と文化交流を最大限に制限します。
[注2]。ある国が他国の内部事務や二国間関係に対して行う専横的な干渉を指します。この干渉は狭義では暴力的な軍事干渉を特に指し、広義では他国の主権に干渉するあらゆる行為を含みます。




