0279 金瑞党争
未来には第二の神降、第三の神降がある……神の躯は徐々に神から授けられた知識と能力を受け入れていく。しかし、これほどの知識と能力を授かった人間の代行者は、結局、神の望み通りに凡界のもう一人の神に手を出すことはなかった。
神界の高みに座す神は、神降の儀式において凡界の神躯にさまざまな導きを与えることができるが、白露が神躯の成長期に、まるで春雨が万物を潤すかのように形成した価値観にはどうしても手を焼く。復讐の神は、白露に対する憎しみを直接凡躯に投げ込むことさえ恐れている。なぜなら、その憎しみが白露に気づかれれば、それは白露が再び神界に降臨して復讐の神を再び叩きのめす時だからだ。
神戦の主戦場は神界であり、神戦ではまず神格同士の競い合いが優先され、次いで凡界の神を支持する信仰の力(予備情報流)の競い合いとなる。そしてこの時代の人々はもはや神を固く信仰しなくなったため、神界と凡界は情報面で隔てられ、かつて高みにあった神界は情報の煩雑な凡界から切り離された。
高次元存在がこの能術世界の凡界を「準廃墟」と見なすのに対して、神界は完全な「廃墟」に属し、ここに生存する命は元一に重視されていない。まさに、元一はこの位面の二つの世界を明らかに区別して扱っている。元一は白露に凡界では規則に従って行動するよう求めるだけで、凡界でいかなる宗教をも転覆させることを禁じているが、神界での白露の好き勝手な振る舞いには何の制限も設けていない。
戦後十余年、経済発展に伴い、戦争の面で蠢き動こうとする勢力は帝然菲ス一国だけではない。なぜなら、前回の世界大戦がもたらした不況がすでに世界中に広がっているからだ。金瑞合衆国は前回の大戦で全世界の金貨を収穫し、これらの金貨はすべて金瑞合衆国の銀行に眠っている。そして今、金瑞合衆国は自国の銀行にある金貨を投資に回すのが難しくなっていることに気づいた。
元々の筋書き通りなら、ディランフィスは完全に分裂し、資本家たちは安価にディランフィスの生産手段を買い占めるはずだった。なぜなら戦敗後のディランフィスは、戦争賠償金を支払うために国を売り渡すしかなかったからだ。ところが今、ディランフィスの経済は活発化して発展し、「借金を踏み倒す常習犯」となり果てた。かなりの軍事力を背景に、礼儀正しく債権者たちに両手を広げて「本当に金貨が一枚もありません。賠償金の支払いをもう少し待ってもらえませんか」と言う。ディランフィスの国内財政には確かに金貨が不足しており、多くの貴族たちの手元にも金貨はほとんどない。しかしディランフィスの誰もが、とりあえず生活はなんとか成り立つと感じており、国際通貨としての金貨への切迫した需要もなく、資産の投げ売りもしたがらない。そのため、これらの銀行が抱え込んだ金貨は、ずっと金庫の中に積み上げられたままだ。
もちろん、資本主義勢力はそう簡単に話が通じるわけではない。帝然菲斯が領土の完全性を保ち、相当な軍事力を維持していなければ、彼らはとっくに仮面を剥がして直接強制執行に来て、帝然菲斯の全資産を安値で買い叩いていただろう。資本主義世界の本質は依然として力の世界であり、地球でも同様である。二十一世紀の地球のアメリカが世界最強の軍隊を握っていなければ、他の国々は何の理由で米ドルを国際通貨と認めるのか?何をもってアメリカに米ドル覇権を維持させるのか?
そして今、帝然菲斯の外交勢力は連日国際社会でこれらの債権者たちと言い争いを続け、債務は不合理であるとし、「お前たちがそうするなら、俺は一切返済しない」という意味合いを強く示している。要するに、帝然菲斯の賠償金は依然として滞納されており、国際社会では既に帝然菲斯の賠償に関わる債務を不良債権と見なしている。
そのため戦後、大量の金貨はすぐには帝然菲斯経済の活性化地域には流入しなかった。現在の金貨は帝然菲ス内で産業を購入できるものの、購入したこれらの産業は帝然菲斯内で金貨に換えることはできず、証券にしか換えられず、証券では帝然菲スのものしか購入できない。もちろん、これらの投資も最終的には盧安の経済計画部門の監督下に置かれ、国際市場のように思いのままに価格をつり上げたり、供給経路を独占したり、強制的に買収したりすることはできない。しかも、帝然菲スの地元の大貴族や大資本家も金融のプレーヤーであり、資本同士が互いに心を通わせることは決してなく、むしろ自らの利益のために他者を損なうのだ。この世界の資本勢力は今に至るまで、金貨を大量に用いてディエンフェイスの信用通貨に両替し、ディエンフェイス市場に参入することを敢えて行わず、ごく一部の国際的大企業のみが、ディエンフェイスへの供給ルートの安定を確保するために、やむを得ず金貨で信用通貨に両替し、ディエンフェイスの川上の工場に投資し、ディエンフェイス供給会社の株式を取得することで、その産業における発言権を安定させている。
金貨については?最終的にはすべてディランフィスの中央銀行に集約され、外貨準備となり、その後は分割、分割、さらに分割して、まるで歯磨き粉を絞り出すように返済されていく。盧安が主導する財政は確かにまだ債務を返済している。盧安は今後数十年以内に賠償金を全額各国に返済する準備をしている。なぜなら購買力の面から見れば、返済を先延ばしにすればするほど、金貨で購入できる生産財の割合は少なくなるため、盧安がこのように少しずつ返済するのは決して損ではないからだ。そしてまさにこの少しずつ返済する方法が最も人を引きつけ、わずかな国際的信頼を維持しつつ、利益を最大化できるのだ。もしディランフィスが全く返済しなければ、国際社会は確実にディランフィスを厳しく制裁するだろう。しかしディランフィスは実際に債務を返済しているため、国際社会はディランフィスが完済することを期待しており、それゆえ過度にディランフィスを困らせることはできないのだ。
そのような債権者には、叩くことも罵ることもできず、一気に決別すれば皆に不利益だからだ。盧安はこの国際債務を返済するつもりだが、その前提として、国際社会がディランフィスの返済段階で貿易リ索斯を妨害してはいけない。ディランフィスの工場が生産停止になれば、返済は停止せざるを得なくなるからだ。だから、国際的な債務は、国内財政による分割返済に影響を与えない限り、あなたがよほど無茶をしなければ、国際社会はむしろあなたのビジネスを支援してくれる。なぜなら、あなたが返済を拒否すると宣言すれば、国際金融は瞬時に大半が崩壊してしまうからだ。
要するに、前回の世界大戦で負った赤字は、ディランフィスが負担していたのが、今や全世界が負担するようになった。これは資本主義の弱さも示しており、戦争による債権回収が割に合わないと感じると、段階的に融和策を取るようになる。
金瑞合衆国の議会で、李三祥は体をまっすぐにし、国会内部の議員たちの騒ぎや将軍たちのますます過激な言論の衝突を見つめていた。李三祥の口元に微笑みが浮かび、淡々とこう言った。「この世界はもう持ちこたえられないよ。」
はい、この世界は盧安にめちゃくちゃにされた。帝然菲斯という場所では収穫できないため、資本は他の場所で「羊毛刈り」をするしかない。そして「羊毛刈り」をやり過ぎると、必ずどこかの地域で深刻な社会問題を引き起こす。地球を例にとると、第二次世界大戦前、列強の戦前の犠牲者は二つあった。一つは西方のスペイン、もう一つは東方の中華民国で、それぞれスペイン内戦と九・一八事変である。強国は内部で問題が起きると、常にまず周辺の弱国に影響を与え、この世界の強国も同様に矛盾を緩和するためにそうしている。
ビセン共和国とケンズン連邦という二つの国は、いち早く軍国主義へと進み、大国の介入もあって戦争を始めた。キンズイ合衆国の貴族たちが今議論しているのは、まさにこの戦争のことだ。ジュンレン帝国はケンズン連邦を支持し、ベイファン国はビセン王国側についた。ベイファンの忠実な子分として、バカラの自らを高原エルフの末裔と称する者たちは、義勇兵まで派遣してビセンを支援した。
では、キンズイ合衆国は今、どちらに付こうとしているのか? 李三祥から見れば、この戦争はキンズイには全く関係のないことだが、不況のなか一部の産業が苦境に陥り、一部の独占グループが最近投資に失敗したことで、国家政策を左右して同地域に投資しようとする動きを抑えきれないでいる。これはちょうど、地球の第二次世界大戦前、アメリカの一部資本家が戦略物資を日本に大量に輸出し、日本の中国侵略戦場での欲求をますますエスーーカレートさせたのと似ている。
李三祥は議会の決議を見ながら、昨日の通信で盧安が与えた助言を考えていた。盧安の助言は世界大戦を起こすことだが、戦争をできるだけ遅らせ、規模をできるだけ大きくするというものだった。盧安の言い分は、地球の第二次世界大戦のようなことにはするな、世界の三分の二だけが戦火に巻き込まれ、最後にアメリカが残りの三分の一を収穫するようなやり方はダメだというものだ。第二次世界大戦は激しく戦われたが、アメリカはヨーロッパの人材を吸収しながら戦争で儲け、大戦末期に参戦すると、工業と科学技術の絶対的な優位でほぼ押し切った。
李三祥は地図上の史塔克家の勢力範囲を見ながら、悪趣味な考えを巡らせた。「この世界の今の展開は、きっとある者たちの予想の内にあるのだろう。もしあの者たちが再びこの世界に降り立ったなら、自分たちが残した史塔克家が世界の発展にもたらした奇妙な変化にきっと驚くに違いない。」
盧安と李三祥という二人の地球人がこの世界に介入したことにより、世界全体の歴史の展開は今や地球と驚くべき類似性を持つに至っている。
劇変は主に盧安によって捻じ曲げられたものの、いったい誰がその劇変と盧安を結びつけることができるだろうか?盧安はただの真面目な帳簿係に過ぎず、盧安よりも目立つ主役はいくらでもいる。次々と戦勝を収める軍事的天才、次々と大ニュースを巻き起こす科学狂人、次々と権力を振るう政治家……まさに次から次へと登場しては消えていく。史塔克家でさえ、帝然菲斯の経済の急速な発展よりも目立っている。前者は次々にブラックテクノロジーを打ち出しているからだ。この世界の歴史と政治を注意深く読み解かなければ、いったい何の力が歴史を捻じ曲げたのか、本当にはわからないだろう。たとえ世界を捻じ曲げた力が何かを解明できたとしても、それが本当にタイムスリップ勢力の介入によるものなのかどうかは判断できない。なぜなら時空傭兵は始めから終わりまで、自身の戦闘力にほとんど頼らずにこの世界を動かしてきたからだ。
「未来世界の衝突をもっと激しく……」李三祥は盧安のこの提案に賛成した。
演壇では、積極的な介入政策を宣伝する政治家たちが立て板に水の演説を続けていたが、李三祥は苛立ちながら反対ボタンを押した。彼の机の前で赤い大きなランプが点滅している。そう、これほど直接的だ。彼らがまだ発言を終えないうちに、李三祥は孤立主義の看板を高々と掲げたのだ。
会場全体の雰囲気がしばし静まり返り、誰もが李三祥が何か騒動を起こすことを悟った。しかし、干渉を主張してきた政治の大物たちは一様に渋い顔をしている。数年前の李三祥暗殺未遂事件の後遺症が、今この議会で爆発しようとしていた。
李三祥代表の利益集団と帝然菲斯との貿易は現在の国際情勢の下で利益を得ており、孤立主義を堅持すれば全く問題はないが、もう一方の政治勢力は国際的な突破口を積極的に求めている。




