0271 降臨
白露は、黒弓組織が作り出したこの神の体は良くないと思っている。
この神の体が持つ血脈は最も純粋で、標準的なエルフの血脈だが、古代の書物に記されている神降ろしを受けた英雄たちの血脈は、90%以上がエルフ王族の血脈だった。古代と比べると、この遺伝子工学で調整された純血脈はやはり不純に感じられる。
確かに、今ではみんな人間の血脈が主で、わずかに古代の血脈を含んでいるだけなのに、末裔を自称する。だが、彼らが言う血脈の純粋さの基準は完全に自分たちで決めたものだ。今、実験室にあるこの神の体は、古代に置いたら完全に中程度の血脈に過ぎない。
白露には、この世界の神がいかなる物理的機構で凡人の肉体に降臨するのかはわからない。しかし白露から見れば、この世界で神の降臨を司る凡人たちは根本的に幻想に過ぎない。彼らは神の降臨に対して過剰に求め、過剰に準備をしているが、神が応えるかどうかすら未知数だ。
旭起星の最後の神として、白露はかつてこの世界の神々と同じく、神だった。いや、ずっと神であり続けている。白露が旭起星に残した残滓は、たとえすべての希望が消滅した状態にあろうとも、その思考はいまだ自らの理念を貫き、偶然訪れた者たちに自ら恥じ入らせ、冒涜的な心を抱かせない。
旭起星の育人女神から生まれた白露は、もちろん神降の経験があり、神が神降を行う際に注意すべき点を知っている。身体の高い知力や敏捷性などの指標に加え、より重要なのは、身体が自身の神格の降臨に耐えられる能力である。
ここでいう神格とは、人格に似たものを指す。神と人の最大の違いは、思考量の差である。神の本体は膨大な思考量を持ち、一つの理念を貫くが、凡人の身体はハードウェアの制限により、脳が収容できる情報量が少なすぎる。この少量の情報によって神格が表現しようとする思想や理念をいかに解釈させるかが、神が神降時に考慮すべき問題である。
もしも神が光明神であれば、自分の降ろした力を私利私欲に目がくらんだ者に操られることを決して許さない。だから白露からすれば、神の器に宿る意思は神の理念と一致しなければならない。この世界の長い歴史も白露の推測を裏付けており、多くの神々の牧師が神を信仰するのは見せかけに過ぎず、神が定めた戒律を守るのも、できる限り神に近づき、瞑想の際に神から授かる力を得るためだ。そして、あらゆる強大な神降ろしの者たちのいわゆる敬虔さとは、一部の者が考える神の手先となることではなく、神と理念を共にすることなのだ。思考によって神の神格が解釈されるからこそ、神はその神降を行う。ゆえに、神降とは神が凡人に力を授ける過程であるだけでなく、神が凡人の人格を味わう過程でもある。俗に言えば、もし凡人の人格が一山の糞のようなものであれば、神は神降の過程でそれを吐き気をこらえて飲み込まねばならないのだ。
白露はこの世界の神降の基準を知らない。しかし旭起星において、神は神降者を選ぶ際に非常に厳しい目を向ける。まず、神降者は必ず博識でなければならず、神は己のこの世における化身が無知であることを許さない。自尊心と自愛の念を持たねばならず、神は降臨後に自己を汚すような思考が存在することを許さない。道理を知ったならばすぐに実践する覚悟がなければならず、神はその理念を貫く際に生じる怯懦や畏れを許さない。もしこれらの条件を満たせないか、あるいは思考に揺らぎの可能性がある場合、神は降臨を望まないのだ。
旭起星の末代の神霊として、白露はただ一度だけ神降ろしを行った。その際に依り代としたのは、学生を津波から救い命を落とした教師の身体だった。その教師は生前こそ基準を満たしていなかったが、死の間際に基準を満たしたのだ。
そして今、黒弓機関は凡人の視点から神降ろしを見ている。白露は少し興味を抱いている——この世界の神々は、凡界にある神の依り代の穴だらけの思想を見た後、果たしてこの厠のような依り代に飛び込むのかどうかを。白露の目には、黒弓に制御されたこの凡人の依り代には様々な思惑が注ぎ込まれ、更に芙蕾娜までもが人知れぬ細工を施し、欲望で未来の神を縛り付けようとしているように映っている。だから白露にとって、この神の依り代はまさに厠なのだ。
旭起星の末代神明である白露は、最後の神戦で、海が育んだ情報世界において、二桁の神々を斬り落とした。神格の質に関して言えば、白露の神格は間違いなく最高級である。神格の質は、逆境で困難に立ち向かい、理念を貫くためにすべての苦痛と代償を耐え忍ぶ能力に現れる。これが白露が“不可侵犯”の天賦を選んだ理由でもある。
白露の神格基準は多くの亜廃墟位面で通用します。神格は種であり、神格を基礎として思考を支え、絶えず探求し、現象の本質を掌握します。そして神力は往々にして神格と対応しており、それは学習習慣が学習成績に対応しているのと同じで、神格が強いということは神力も強大であることを意味します。たとえ神力を持たない神格であっても、この世界の法則を掌握するのに十分な時間さえあれば、その法則の探求と運用はますます強くなっていくのです。
白露の眼界は非常に高く、神霊がまだ降臨していないうちに、すでにこの世界の神を軽んじている。巨大な思考を宿す真の神の体はないが、それでも神格が低いのに神霊と自称する者たちを軽蔑するのは妨げない。もし白露がこの世界の神界で神格を展開し、身を形成し、次に凡界で理念が合致する代行者を宣召し、歴史の大勢に沿って発展させ、より多くの人に自分を認めさせ、これらの自分を認める人々がその思想を揺るがせずに保てば、凡界から逆に神界へ情報を逆投影するだろう。
情報の不滅を追求することは、神会が神戦を行う理由の一つである。しかし、神の黄昏の末代の神として、白露は誕生当初から旭起星の旧き神々を打ち砕くために存在してきた。神戦後、世界から信仰されなくなり、誰からも偲ばれず、次第に忘れ去られ、信仰の情報が返ってこなくなっても、白露は悔いることなく後悔もしない。
これこそが、末代の神の神格が歴史の転換を瞬く間に促す推進力である。たとえ栄光が短く続くのみであっても、愚昧によって長き歴史の中で存続してきた神格を蔑む。言い換えれば、白露のこのような神格は多くの亜廃墟プレーンでは見られない理由は、他の神格のように長く存続できず、歴史的任務を完遂すると信仰を欠いて消失するからである。
白露の強大さは疑いようがなく、彼女は四百年後にこの世界のすべての神々と渡り合い、どちらがより強いかを試す自信がある。
しかし、元一が白露のような非常に価値のある資産を、この世界と真っ向から衝突させるのを放置するはずがない。元一は時空傭兵が任務を完了した後、それを必ず回収するだろう。
とはいえ、「財政」が逼迫している元一には、富が過剰なある存在がこの次元にまとわりついているなど、想像もつかないだろう。
高次元では、|演変《演変》が一人の客をもてなしている。
|演変《演変》のような完璧で、複雑で、輝かしい高次元構造と比べると、この客ははるかに簡素に見える。
「永遠の方角、高次元世界の感触はどうですか?」
永遠の方角と呼ばれるこの高次元存在は言った。「|演変《演変》、私はもっと多くの退役軍官の座標を購入したいのです。」
|演変《演変》。「親しいとはいえ、規則に従い、私はあなたに優遇することはできません。何しろあなたの誕生は非常に特殊で、私のシステムから生まれたのです。多くの防衛システムがあなたと私のすべての取引を監視しています。」
永恒方向。「理解しました。私は相応の価値を交換として提供するつもりです。」
|演変《演変》。「規則に従い、あなたは元々私のシステム下の将校でしたが、すべての任務を完了せずに、少尉の身分で自己独立しました。しかし、今はそれを利用できます。」
永恒方向。「まだ私は次元に投影されて任務を遂行する必要があるのですか?しかし、私は今では低次元の存在ではなく、擾乱させる歴史線はもはや一本線ではありません。報酬はどのように計算されるのですか?」
|演変《演変》。「一つの任務は二十年の時間です。もしあなたが独立した特色のある歴史の可能性をどれだけ生み出したら、私はそれだけの退役将校の座標を与えます。これで満足ですか?」
永恒方向。「私は一度それを引き受けよう。」
「注意、これは亜廃墟位面だ」と|演変《演変》は高次元空間で高次元地図を描きながら言った。「君が投影するのはまだリスクがある」
永恒方向はこの位面の状況を見て言った。「もし時間が二十年なら、僕には把握している」
|演変《演変》。「把握しているならいいよ。僕はいつでも前もって任務を終了できる。そうだ、低次元での投影で元一が投入した変数に遭遇したら、接触してみるといい」
永恒方向。「彼は僕より少し余裕があるけど、かなり貧乏だから、刺激はしないことにする。ところで、君は彼と連絡したか?今回はまた彼に隠している気がするんだ」
|演変《演変》。「もちろん彼には隠さなければならない。私があなたを雇って直接下層位面に行ってもら宇田けで、彼を十分に刺激している。彼に隠すことは、利益に目がくらんだ彼への慈悲なのだ。彼は考えすぎで、自分の力量もわかっていない。もし私が彼の面倒を見ていなければ、彼はどの亜廃墟で落ちていたかもわからないだろう。」
“金持ちめ!貧乏人にはあなたの考えが理解できない……”永恒之光は感嘆した。




