0254 就任
天空騎士は、現代ではほとんど神話伝説に近く、体術が衰退したこの時代にあって、虚空に立つことは伝説のように儚い。銃砲の時代において、そのような存在は四千年もの間現れていない。
そして今、空中に立ち、狙撃銃の射撃を無視する盧安の存在は、人々をまるで数万年前の剣と魔法の時代、勇者が大剣と重盾を掲げて魔法使いのために竜の息吹を受け止めた時代へと引き戻すかのようだ。火薬の時代の到来とともに、巨竜と竜殺しの勇者たちは歴史の中に姿を消した。そして今、盧安の振る舞いは人々に否応なく様々な想像を掻き立てる。
噴水の柱の上にひらりと立つ少年は顔を上げ、暗殺者に向けて堂々と警告を発した。「ビルを爆破するな、無関係な人々を巻き込むな、私はここに立っている」。それは歴史に記された騎士道の美徳――謙虚、名誉、犠牲、勇敢、慈悲、霊性、誠実、公正――を想起させた。
うむ、実際の盧安はそこまで完璧ではなく、ごく普通の善意から、自分に阻止できる力があるときに、目の前で人が死ぬのを見たくないだけだ。もちろん、盧安は本当に自分が危険に陥ったなら、ためらわず他人を置いて逃げ出すだろう。しかし、今ここにヘリや戦車を擁する軍隊が自分を狙ってくるのでなければ、盧安は正面からのいかなる攻撃にも微塵も怯まない。
盧安が堂々と姿を現したことで、暗殺者たちは理性を失い、狂乱の射撃を始めた。
普通の暗殺者とは異なり、この暗殺チームの結成目的は復讐にあり、憎しみに駆られた復讐者たちが今回の暗殺行動を行った。標的の戦力が息が詰まるほど強大になると、撤退にはもはや価値がないと悟った。
水線空間ネットワーク上で、次々と水球が急速に凝結し、一発一発の弾丸に撃たれて水霧となる。陽光の照射の下、盧安の頭上に虹が現れ、盧安は全く傷つかなかった。
突然、盧安がそっと手を打ち鳴らすと、空気中の何かが震えているのを人々は感じ取った。盧安が六回目を打ち鳴らした時、通り全体のガラスが蜂の羽音のように震え始めた。八回目に達すると、ガラスの振動は極限に達した。そして十回目の手拍子を打った瞬間、通り全体のガラスが共鳴の中で粉々に砕け散った。大量の白いガラスの粒子が滝のように窓から流れ落ち、無数の光の線が砕けた粒子の中から飛び出した。盧安に選ばれたそれらの粒子は、強弩から放たれた矢のように通りにいる一部の人々をなぎ倒した。彼らは声もなく倒れ、胸元から滑り落ちた短機関銃が、普段着に身を包んだ者たちの不穏な意図を露わにしていた。
盧安はこの見物している警備員たちにも呆れてしまった。こんな時に急いでテロリストーーを見つけようともせず、記者と一緒に自分を取り囲んでいるので、自分でこうして行動するしかなかった。
落ちたサブマシンガンがこの職務怠慢な警備員たちに気づかせた。彼らは素早くこれらの暗殺者を押し倒し、全員を電柱のそばに逆さ吊りにした。そして、あの屋上で狙撃していた奴は口の中の毒物を噛み砕き、その後高層ビルから飛び降りて、血だまりの遺体となった。
盧安は車に乗り、近くの安全地点へ向かった。道中のボディーガードが野次馬を隔てていった。この時、盧安は心の中で密かに思った。『李三祥、白露、君たちはこれが私だと知っているはずだろ。』
盧安はすぐに軍事区域に到着した。
盧安が軍事区のプレハブ小屋に落ち着いてから、わずか二十分後、一機のヘリが基地に着陸した。フィックはヘリから降り、将校の案内でジープに乗り込み、そのジープは盧安のいる場所へと向かった。
ジープに座ったフィックは情報官がまとめた情報をめくって見る。写真の状況を見ながら、フィックは隣の情報官に尋ねた。「その時、彼はまさに噴水の上に立っていたのか?」
特別な徽章をつけた情報官が答えた。「はい、衆目の的でした。」
フィックは半分冗談めかして言った。「本当に人目を引きますね、彼はアイドル路線を目指すつもりですか?」
「そうではないかもしれません。その事件後、私たちは彼が宿泊していたホテルで大量の爆発物を発見しました。爆発していた場合、死傷者は100人以上に達した可能性があります。しかし彼は自らを晒け出し、事件全体で暗殺行動に失敗した者以外に死傷者は出ませんでした。」情報将校が言った。「3ページ目を見てください。弾丸が彼を襲った際、彼は本来撃たれるはずだったボディーガードを蹴飛ばして守ったのです。」
「守られるべき人が、守る人を守るとは、実に滑稽だ。だが……」フィックは顔を上げ、そばの情報将校に言った。「これを覚えておけ。今回の件はお前たちの失態だ。」フィックの口調は厳しくなった。「次にこんなばかげた事態を目にしたくはない。」
情報将校はうつむきながら言った。「承知しました。15日以内に、ベイファンの情報機関を根こそぎにします。」
フィックはわずかにうなずいた。彼は盧安の資料をめくり続け、眉をひそめてつぶやいた。「天空騎士と経済指揮者、この二つの身分が別々だったらどんなにいいだろうか。」フィックの口元には苦悩の色が浮かんだ。
この世界は能術師の世界だが、天空騎士は依然として非常に価値がある。特殊作戦の方式を取れば、天空騎士は最も鋭い尖刀として、軍事指揮部の中央に突入し、徹底的に破壊することができる。
軍学校出身のフィックは、かつて大騎士からなる突撃部隊の編成を夢想したことがあった。彼のその考えは、地球の二十一世紀の少年が「諸君、私は戦争が好きだ」と声高に叫ぶのと同じくらい滑稽だ。もちろん、今のフィックはいくら情熱があろうとも、盧安を武装突撃隊に徴用することなど到底できない。そしてフィックの情熱は、盧安の興味を引くものではなかった。盧安に言わせれば、この戦乱の国において、軍隊とは身動きの取れなくなる落とし穴のようなものだ。「頭脳を使って価値を示す方が、拳で価値を示すよりもずっと安全だ」と、盧安はとっくにその教訓を身にしみて感じていた。
フィックのジープが盧安のいる営舎に到着した。車から降りると、フィックは笑顔で盧安に歩み寄りながら言った。「我が空の騎士よ、君が無事で本当によかった。」
フィックを見た後、盧安は礼儀に従って、腕を胸の前に置き、お辞儀をしてこう答えた。「殿下、ここには騎士はおらず、ただ召集に応じた政務官がいるだけです。」
フィックは盧安の肩をポンポンと叩きながら言った。「そうですか?私の政務官はこんなに勇敢なのですか?」
「もし国にとって有利ならば、生死を顧みずに尽くします。禍があれば逃げ、福があれば受けることなどできるでしょうか?」
フィックは少し呆けた。「そうか、国家のためか。」しかし、すぐに我に返り、続けて言った。「君はまだ十代だろう?なんと、どうやってそんなに鍛えたんだ?それに、次に危険に遭ったらそんなに無茶をするな。」
盧安はでたらめな説明をした。「これ……才能と言うのでしょうかね。私は自分を守ります。私の最初の才能位は危険予知なのです。」
フィックが心の中で思った。「才能?こんな才能って何だ、危機予知?これって探知系の能力術みたいだけど、まさか?」フィックは盧安をちらりと見て。「まあ、血脈術師かもしれないな?」
二人は営帳に入った。
フィックは単刀直入に言った。「戦争になるぞ。希瑞科、どう思う?」
「これはこれ以上ないほど最悪なことだと思う」と盧安が言った。
フィックは眉をひそめて言った。「我々が負けるかもしれないと思っているのか?!」
「いや、もし君の目標が三つの公国なら、必ず勝てる」
「じゃあ、何が最悪なんだ?」
「たくさん仕事を振られる気がするんだ」
フィックは半分冗談めかして言った。「残業代を出すよ」
「うん、給料を1.5倍にしてくれ」
フィックはこの言葉を聞くと、つぶやいた。「君は自分を本当に安く売ったな。」
フィックのつぶやきはもちろん盧安には聞こえていたが、盧安自身に言わせれば、自分にはこうやって『安売り』するしかないのだ。大権を握れば、自分に必要な金なんてものは所詮その程度だ。大きなベッドが千台あっても寝るのは一台だけ、家が千軒あっても住むのは一軒だけ。この地位にいると、余分な金は見栄を張る以外に何の役にも立たない。数十万元もする毛皮のコートが、数百元の綿入れのコートより暖かいとは限らない。漢方薬を食べて育った鶏が、畑で虫をついばんで育った鶏より栄養があるとは限らない。数十万元のワイン一本が、一皿のぶどうより人を養えるとは限らない。そんな消費は、貴賤を際立たせる以外に何の意味もない。
地球二十二世紀の人々は、二十一世紀の贅沢品を追い求める行為こそが、浅はかな人間が自らの浅はかさを覆い隠そうとする劣等感の表れだと考える。盧安はもはや浅はかさを装う必要はなく、彼が本当に望むものを、フィックに金で決済させるつもりもない。
要するに、盧安の消費需要を超える金銭は、彼にとって全く意味をなさない。任務世界での金銭など、どの時空越え者も真剣に受け止めはしない。盧安が求めるのは安全であり、彼の見方では、フィックが天空騎士を突撃隊に入れようとする考えは極めて危険なものだ。
盧安の約束を見て、フィックは笑いながら言った。「よし、では次から、君は私の経済総顧問だ。」




