0243 現状
地球の21世紀の基準で見ると、バカラの農業生産高はその繁栄を支えるに十分である。そしてこの繁栄は、国際貿易秩序に基づいている。
国際貿易秩序の下で、バカラは国際的に農業機械や農薬、化学肥料を輸入でき、同時に国際市場へ穀物を輸出し、取引国に安定した外貨を提供できる。地球の21世紀におけるニュー婕拉ンドやアルゼンチンといった農業・畜産品の輸出国はこのようにして成り立っており、アメリカもまた農業輸出国である。平和な時代において、軍需製品の利益は莫大だが、一国の経済産業を支えることはできず、農産物の輸出こそがそれを支えることができるのだ。
現代化農業では、農民の高い知識レベルは必要ありません。これらの純農業国は、教育に大規模な投資をしたり、民衆に過剰な知識を持たせたりする必要はありません。なぜなら、農業生産活動では、90パーセント以上の農業従事者は中学校の学歴を必要としないからです。アメリカのような農業強国は、農業生産において工業化された管理を実行しています。農民は手順に従って操作し、コンピュータプログラムの簡単なリマインダーに従って、時間通りに水をやり、時間通りに害虫を駆除し、時間通りに施肥します。広大な農地はいくつかに区切られ、各区画には一種類の作物が固定して植えられ、それぞれの作物が受ける日照、水分、肥料といったパラメータはすべて同じに管理され、スーパーに並ぶ農産物も工業生産ラインから出てくる製品と同じように規格化されている。工業化された管理のもとでは、農業に従事する農民は操作マニュアルを理解し、機械を運転でき、指示通りに作業できればそれでよい。この職場では、大卒の学歴も中学卒の学歴も何の違いもない。
こうすると農業の生産性をどうやって高めるのか、と問う人もいるだろう。農業科学研究はどうするのか?もちろん研究する人はいる。国家の中のごく一部の人たちがやればいいのだ。農業科学技術の研究には大量の試験田が必要だ。もし1、2エーカーの田んぼだけで遺伝子作物のような大規模農業プロジェクトをやろうとすれば、在野の科学者が家で落書きをしながら重力波を研究するのと同じくらい滑稽なことだ。国が重力波を研究するために投入する資金は億単位で計算され、打ち上げられた衛星も十数基に上る。こうした必須の資源がなければ、データを集めて研究することはできない。農業科学研究も同様で、十分な資源を投入しなければならないのだ。そして、優秀な農業科学者が不足しているわけではない。すべての第一線で生産に携わる農業従事者の知識水準まで引き上げる必要はない。
要するに、農業を国家の基幹産業としているこれらの国々は、外部からの封鎖を受けず、かつ十分な工業製品が入手できる限り、農業人口を工業人口に転換しなければならない生存上の圧力はなく、教育に大規模な投資をして工業体系を構築する必要もない。
バカラの農業生産水準は非常に高い。この人種隔離制度の下で、経済、政治、インフラ、総発電量、そして生態面は依然として先進国レベルを維持している。バカラ高原全体では交通が発達し、水網が複雑に入り組んでいる。車が幾多の大橋を渡る際には、湖のほとりに多数の水鳥が集まっているのが見える。
このような繁栄は、全世界の科学技術水準に大きな変化が起きない限り、ずっと続いていくだろう。現在のところでは、バカラはかなり長期間にわたって繁栄を続けそうだ。
しかし、この繁栄を地球の22世紀の発展水準から見るならば、それは国全体が死を待っているに等しい。植物の光合成によるエネルギー変換効率には限りがある。地球の22世紀では、核融合発電の光を培養皿ビルに照射し、有機物を合成することができる。伝統的な農業は日照、降水、土地面積などの要因により制約され、いずれは新たな農業技術に取って代わられるだろう。
貿易という関係は、互いに必要とし合うことで成り立つ。工業国が農業国に対して需要を持たなくなったとき、農業国との貿易を維持する必要はなくなる。もしこれらの農業国が生産の転換を遂げて価値を生み出し続けることができなければ、国全体の農業生産は大幅に低下し、自らを飢え死にさせることになる。
上記の全過程が突然発生するはずはなく、これは工業国の新農業革命の速度次第だ。もし工業国の新農業革命の速度が非常に速く、食料価格が急落し、自国の農民にのみ価格保護買い付けを行えば、農業国に大打撃を与え、破滅させることができる。つまるところ、農業国は依然として現代科学技術に依存して農産物を生産しており、もしこうした国に現代の工業製品を輸入する貿易資金がなければ、農業生産を維持できなくなる。この打撃の効果は、相手に科学技術の断絶をもたらすにも等しい。
この世界の科学技術発展はこれほど高速ではなかったため、バカラは非常に安定しており、この世界でのし上がり跳ね回ることができた。ディランフィスが敗戦した後、バカラは積極的に国際舞台でその役割を示した。ディランフィスへの賠償要求に最も積極的だったのがバカラで、ディランフィスも毎回バカラへの返済を優先せざるを得なかった。なぜならバカラは農業だけでなく水源も掌握していたからだ。毎年、低地諸国はバカラに水源を購入しなければならず、もし金を支払わなければ、バカラは上流の河水を別の河道から海に流してしまうのだった。
大戦前、ディランフィスはまさに水源戦略から、バカラを制圧するために出兵したが、制圧は失敗した。戦後のバカラは水価格を大幅に引き上げ、次いで各種農産物の価格も引き上げ、「ディランフィスへの懲罰」と称した。
この世界に到着した後、白露は様々な情報源を通してバカラの幾重もの美しいベールを剥がし、基本的な構造からこの国を理解した。今、彼女は車で天域の街へとやって来た。
天域の街はバカラの有名な都市である。この都市は世界で最も美しい四大都市の一つで、空が真っ青で、巨大な淡水湖を背にしていることで知られている。
この街に着いた後、白露は権威ある能術師の審査協会へと赴いた。明るく清潔なホールで、白露は自身の能術操作を披露している。
白露の掌から光の流れが飛び出す。その光の流れに洗われるように、一塊の結晶が様々な色の光点を屈折させる。結晶内部の能術構造が急速に構築されつつある。審査を担当する能術師は、もともと批判的な表情を浮かべていた顔つきが消え、金縁眼鏡の下に感嘆の色を見せている。
白露は今、極めて強い能術の才能を発揮している。彼女が交換した不可侵能力は、影響を与える物体に対して数倍の感覚をフィードバックするものだが、機能的には、白露は様々な現象を自分の意のままに展開させることができる。数日前から、一条一条のエネルギー回路が彼女の体内で整然と成長してきた。白露の丹念な構築により、能術の経路は掌の部分で複数のナノメートル精度のエネルギーインターフェースに分岐している。これらのインターフェースから放射されるエネルギーこそが、白露の手のひらの光束である。
もしこの世界の格付けに従うなら、白露は現在曦日レベルの能術師である。ただし、今の白露はこうした精度の操作を見せていない。
白露の操作が終わると、試験を担当する能術師はにこにこしながら言った。「蘿拉お嬢様、大変よくできました。あちらでお待ちください。」
白露は淑女の礼を行った後、静かにもう一方へと歩いていった。この時、次の試験者がおそるおそる舞台に上がり、緊張しながら操作を行った。試験を担当するその先生の顔は再び厳しい表情に戻り、冷たく試験用紙に成績を書き込んでいた。
こちら側では、白露が座ったばかりの時に、二人の若い学员が白露に近づいて話しかけようとしたが、白露は丁寧に断った。白露の元一光幕に、一連の新しい任務のヒントがポップアップした。
バカラでの白露の行動は、まだ始まったばかりだ。白露は元一の逐次的な任務と指示のもと、今回の任務の探索を開始した。
苦労人の盧安は起伏の激しいゴミの丘の上を歩いている。
ある感情態が愚痴をこぼす。「このゴミの丘に剣をいっぱい突き刺して、夕暮れの黄昏の中で一枚写真を撮ったら、もしかしたらカッコいいかもしれない。」
より多くの感情態は、絶えずゴミの丘から使えるものを掘り出し、情報を現実の盧安に伝えている。そして現実の盧安は極めて正確にゴミの丘からそれらの使えるものを取り出す。
盧安はここで毎日三時間しか働かないが、回収ステーションに運ぶものは他の人より少なくはない。盧安は長時間滞在したくない。なぜなら汚染がひどすぎるからだ。無阻超能でも特定の汚染物質を完全に沈降させることはできない。
現在、盧安はバイク用ヘルメットを着用しており、ヘルメットには二つの穴が切られ、その穴には防毒マスクの豚の鼻の構造を模倣して空気濾過システムが詰め込まれている。ゴミ捨て場の空気中では、アルデヒド類や芳香族炭化水素などの有毒な有機物ガスが深刻に基準を超えている。盧安のヘルメットは常人には使用できない。なぜなら、濾過効果を確保するために、盧安が詰め込んだアルカリ性の粒子が密集しすぎているからだ。常人ならこのヘルメットを着用すると窒息死してしまう。まるで口と鼻を塞がれて息ができなくなるのと同じである。しかし、盧安は無阻超能力によって、超流動状態の空気を濾過口から押し出し、押し込むことで、ヘルメット内の空気を新鮮に保つことができる。これが盧安の超能力の使い方に関する最新の発明である。
3時間の廃品拾いの仕事が終わった後、盧安はリサイクルステーションに行って品物をいくつか売り、またいくつかの品物を自分の部屋に運んでいじくり回していた。
盧安は廃品拾いの仕事を選んだが、それは盧安がこの仕事に満足しているというわけではない。もし他の手段でこの人間社会が必要とする価値を生み出せるなら、盧安はためらわずにそうするだろう。
ほら、ゴミの山から拾ってきた物を盧安が初步的に組み立てて、生活で使える小物をいくつか作った。これらの品物は価格さえ安ければ、買いたい人もいる。導力ネットワークの制御の下、部品が一つ一つ宙に浮いて移動しながら組み立てられ、小さなガジェットが次々と製造された。
1時間後、盧安は品物を満載したカートを押して、市場へ向かった。




