0199 いたずらな運命
湯宏康の面前で、潘陽の超能属性を指摘した後、傍らの湯宏康の瞳孔は明らかに縮んだ。
この光景を見て、潘陽が盧安の考えを探ろうとした矢先、湯宏康は突然潘陽の肩を叩いて言った。「旧友よ、俺がここに来たばかりなのに、迎えに来てくれたのか?」
潘陽は叩かれてぽかんとなり、その時、湯宏康の手にある携帯電話に映った「俺を追い詰めるな、ここで手を出したくない」という表示に気づいた。
潘陽は非常に不可解に思った。突然現れたこの四級の超能力者に対して、龍部に所属する潘陽は自分が誤解されているように感じた。しかし、この四級の超能力者が近づいてきて自分の超能力に擾乱が起こる現象は確かに存在する。マインドコントロール系が物理系超能力に接近されるのは、非常にやるせない。
この疑いを許さない顔に対して、潘陽は表面的に調子を合わせて笑いながら言った。「そうだ、君の一本の電話で僕は来たんだ。」
傍らの盧安は車の後部座席に座り、湯宏康に向かって言った。「それじゃあ、君たちは旧交を温めるのか、それとも先にあそこへ行くのか?」
「盧安、まずそこに行きましょう。この方は味方です、差し支えありません。」 湯宏康は潘陽の手を握り、それから振り返って言った、「おい、なぜ俺、湯宏康と、俺の同級生の関係を紹介しなかったんだ。俺がこの学院で学んでいた時から、盧安とはもう同級生だったんだぞ。」
湯宏康が名を名乗ると、潘陽の頭の中にはすぐに誰かが分かった。潘陽は情報にあった証明写真と実際の人物の顔を結びつけたのだ。
「もちろん、我々は戦友だ。君は今年の夏に南部戦区の司令部に来たばかりだというのに、君が彼の同級生だったとはね。」
潘陽が自分の現在の状況を正確に言い当てたのを聞いて、湯宏康は一瞬たじろいだ。突然、湯宏康の脳裏に声が響いた。「俺も軍の人間だ。」潘陽は暗黒物質フィールドの干渉に耐えながら、強引に超能力を発動し、この情報を湯宏康に伝えて敵意を解こうとした。
しかし、湯宏康はますます強く潘陽の手を握りしめ、彼を逃がさなかった。なぜなら湯宏康は、北方の軍は超能力者との協力が多いが、南方は少なく、精神操作系は特に厳重に見張らなければならないことを知っていたからだ。この時、盧安が持つ最初のデータは湯宏康にとって逆鱗であり、どうあっても潘陽を自分の支配下から離すことはなかった。
こうして、それぞれの思惑を胸に、三人と運転手一人が同じ車に乗り込んだ。
湯宏康は、わけもなく現れたこのレベル4の精神制御系超能力者をじっと見つめ、潘陽はこの奇妙な偶然がどうやって起きたのかを考えていた。その時、突然潘陽は何かに思い当たり、心の中で苦笑しながら言った。「まさか……そんなはずはないだろう。」
しかし、その後の盧安の案内で、皆は違和感を覚えた。
まず、一行は小さな林に到着した。盧安はそのうちの一本の大木を見て、歩幅で数歩測り、つま先である地面の箇所をトントンと示しながら、湯宏康に言った。「ここの硬軟の属性を変えてくれ。」
湯宏康が超能力を使うと、盧安はあらかじめ用意していた手袋をはめ、土を数十秒間掘り返し、ビニール袋で包装されたポータブルハードディスクの入ったプラスチックボトルを掘り出した。
湯宏康が礼を言おうとした時、盧安は「次の場所へ行こう」と言った。
続いて国道の緑化帯の中、次に某千年の古木の枝の上……ついに、一行は高圧電塔のコンクリート基台のそばに着いた。
湯宏康はコンクリート基台を指差し、思わず尋ねた。「どうやってこれを中に突っ込んだんだ。」
盧安は言った。「私の無阻超能が消えていなかった時は、中に入れるのはとても簡単だった。もちろん、君の属性変換能力でそれを取り出すのも簡単だ。」
湯宏康は自分が回収した七番目のハードディスクを見て、それから尋ねた。「まだあるか?私の実験データはどうしてこんなに多いんだ、よりによって別々に保管するなんて。」
「いや、こんなにたくさんのハードディスクは全部バックアップなんだ。水漏れや圧迫などの不測の事態でハードディスクが使えなくなるのが怖かったから、多めにバックアップを取ったんだ。あと二つ、九はいい数字だからね……」盧安は七枚目のハードディスクのビニール袋を破り、ある予演者が突っ込んだ。「その時、なんで油紙で包もうと思わなかったんだろうね。」
湯宏康は言った。「つまり、この七枚のハードディスクはどれもまったく同じデータが入っているってことか?」
盧安はうなずいた。「入れた時はそうだったけど、こんなに長く置いておいたら、ハードディスクの品質は保証できない。念のため、多めに用意しておくに越したことはない。」
その時、湯宏康に自分の傍から一歩も離れてはいけないと言われていた潘陽が口を挟んだ。「この点は私が証明できます。彼は非常に慎重に物事を進めるので、時に特定の人には一切の隙を与えないんです。」
湯宏康はこれを聞いて、息を吸いながら言った。「ありがとう。」
その後、皆は最後から二番目の地点へ向かった。ここは天卓研究所の周囲の花壇だ。盧安の超能力が重力場の振動環境で増幅されている時、ちょうど超能力を使ってこのハードディスクを取り出せる。
泥まみれの大瓶を見ながら、潘陽は頭をポンと叩いて盧安に言った。「まさかお前の家の門のすぐ近くに埋めてあったとはな。お前を調べてる連中が本当に気の毒になってきた。」
盧安は言った。「次は最後の場所に行く。」
40分後、数人は最後の場所に到着した。この見覚えのある建物を見て、湯宏康はぶつぶつと呟いた。「なぜお前はこんな場所に来たんだ。」
ここはまさに湯宏康が超能力を失った場所だ。盧安は高層ビルの瓦を指さして言った。「最後の一個だ。行く必要はないと思う、お前が破壊すればそれでいい。」
盧安はレーザーポインターで位置を示し、湯宏康はうなずいた。すると、そばの電線から電流が導き出された。屋根の瓦の下から煙が立ち上り、火の手が上がった。これはプラスチックが焦げて発生したものだ。
すべてを終えた後、盧安は「終わった」と言った。
湯宏康は息を吸い込み、少し解放されたように「やっと終わった」と言った。
その時、潘陽が口を挟んで「本当に終わったのか——?」と言った。
湯宏康は心の中でぞっとして、盧安を見た。盧安は潘陽をじっと見つめて「君はどう思う?」と言った。
「人の心が見えるようになってから、誰の言葉も信じなくなったんだ……」潘陽は湯宏康に言った。「いっそ、彼の心の考えを一目見せてもらおうか、どうだ?」
湯宏康は潘陽を見つめ、冷笑して「君の言うことは信じない」と言った。
「それなら、もういい」潘陽は肩をすくめ、腕時計をちらりと見てから言った。「盧安、この時間なら運動場に行って運動するんだろう」
「はい、時間が経つのは本当に早いですね」
潘陽は湯宏康を見た。湯宏康は潘陽をちらりと見てから、盧安に言った。「先に帰っていいよ、これが私の電話番号だ。何か手伝いが必要なら、遠慮なく言ってくれ」。湯宏康は盧安に名刺を渡した。
盧安が去ると、その場には二人だけが残った。正確に言えば三人だ。その運転手は今、完全に潘陽の精神支配下にあった。
潘陽は湯宏康をじっと見つめ、挑発的に言った。「さっき口封じを考えていただろう」
湯宏康は怒鳴り返した。「何をでたらめを言ってるんだ?」
潘陽は笑いながら言った。「恥じることはない。己の為にせずんば、天誅地滅。最良の秘密保持法は、口をきける者を口をきけなくすることだ。彼が秘密を漏らすのを心配するなら、大事を成すには小事にこだわるべきではない。」
湯宏康は冷たく潘陽を見つめて言った。「そうだ、私は彼がまだいくつかの場所を知っているのを心配しているし、その秘密をお前に盗み取られるのも心配している……しかし、お前の口を封じても同じことだ。」
「私を殺すリスクと、彼を殺すリスク、どちらが大きいと思う?軍人として、少しは理性がないのか?」
「お前にとっては、より弱い側を始末するのが適切かもしれないが、私にとっては、彼には手を出せない。」
「そうだな、私もずっと彼に手を出す機会がなかった。ただ、お前は本当に彼が脆いと思っているのか?」
湯宏康は不審そうに尋ねた。「何が言いたい?彼の超能力はもう消えたのだ。」
「はい、データから見ると、彼は確かにもう超能力を使って明らかな、顕著な物理現象を引き起こすことはなくなりました。もともと彼を中心に回っていたプロジェクトも停止しました。しかし私から見れば、もし彼を試していなければ、彼は私の心の中でずっと謎のままです……」
湯宏康が遮って言った。「はっきり言って、彼に手を出すな。お前は私がやってきたことを知っているだろう。」
潘陽が呵呵と笑って言った。「知ってる知ってる、君は虎部に少なくとも十二億の経済的損失をもたらしたんだ。君の出現で僕はとても迷っているんだ、また試してみたい気持ちもある。でも今は、試した後に深刻な結果を招くのが怖い。そして、この突然の出来事が、僕に新たな疑念を抱かせている。」
「またいい加減な疑いを抱いてるのか?」
潘陽が淡々と言った。「私は疑っているんだ、人を翻弄する運命っていうものがあるんじゃないかな。」
「俺の運命は俺が握る。俺の運命を阻むものがあれば、俺はそれを断ち切る……」
「ああ、本当に猪突猛進な奴だ。」潘陽は湯宏康を一瞥し、タクシーに乗り込むと、運転手の肩をポンと叩いた。車はすぐに走り去った。
車内の潘陽は激しく罵った。「お前みたいな猪突猛進な奴がいるせいで、俺は真相を覗き見ることができないんだ!」
潘陽は盧安を疑っていたが、それはただの疑いに過ぎなかった。盧安の思考に侵入する代償が大きくない時、こっそり侵入すればその疑問に答えられた。しかし、今や代償は計り知れないものとなった。未知の代償に直面し、潘陽は自身の好奇心を抑え込まざるを得なかった。
車内の潘陽はシートに凭れかかり、この午後に湯宏康が見せた能力を回想しながら思った。「距離にせよ範囲にせよ、制御の精度、用途の多様性にしても、間違いなく四級だ。南の方で人材を見つけたな……」
潘陽はポケットから盧安の写真を取り出した。「今のお前は、何を避けている?この全ては、結局お前と関係があるのか?」
湯宏康の方は、潘陽が去るのを見て、少し考えた後、低い声で言った。「今日のことは実に奇妙だ、さすが虎部の領域、水がとても深い。」
“しかし俺にとっては、手に入れるべきものは手に入った。”湯宏康は満足げに手に提げたハードディスクを見つめた。




