0187 厳しい
後方支援を担当するサポーターとして、元一の制御能力は非常に優れている。四時が張銘の真気の力を強制的に回復させようと決めた時、四時の空間は張銘にカウントダウンを示した。そして元一は、自分には四時の空間を止められないと見るや、盧安にもカウントダウンを表示した。
いわゆる強制回復とは、張銘の真気だけを回復させるのではなく、盧安体内の真気も回復させることができる。この回復はまるで闇雲な物資投下のようなものだ。投下は特殊部隊に十分な弾薬を持たせるために行われるが、闇雲な投下は時に敵対武装勢力の手に渡ることもある。
四点がこのように行動したのは、四点空間が張銘は真気が満ちた戦闘に慣れていると考えたからだ。今のような凡人の戦いでは、どう見ても張銘の戦闘経験を発揮できない。一方、盧安はこのような超能力を一切付加しない格闘において、極めて鋭い戦い方を見せる。盧安の一挙一動には淀みがなく、呼吸と筋肉の発力や力の保持の連携、さらには胸筋の運動による呼吸量の微妙な調節までもが、巧みに全身と連動している。四点空間から見れば、いかなる超能天賦も付加されていないように見える二階が、これほどの精密な制御力を達成するには、低魔世界でいったいどれほどの殺し合いを経験してきたのか。このまま肉弾戦を続ければ、四点は判断する、この時すでに怯えを抱いている張銘は、ほぼ間違いなく喉を掻き切られるだろう。そのため、四点は戦いを張銘が慣れ親しんだ局面に引き戻すことを決意する。
要するに、張銘が交換した血統を強制的に回復させたことで、盧安もまた四時点から投下された力を得ることができた。こうして、四時点は今回の駆け引きでもまたミスを犯した。元一が突然抑圧を緩めたため、四時点空間が張銘に与えるカウントダウンは、元一のそれよりも零点零一秒遅れることになった。
元一は盧安に正確な時間を提供したが、四時点空間は張銘に正確な時間を提供できなかった。そのため、両者の体内に同時に高エネルギーな真気が現れたにもかかわらず、盧安の真気が先に漏れ出し、手にした短剣が一歩早く鋭い罡気を放ち、先に攻撃を仕掛けた。一方、真気の回復後に反撃しようと準備していた張銘は、真気の回復が一瞬遅れたことに愕然とした。こうして、張銘が熟知する真気の力は後手に回らざるを得ず、盧安の短剣からほとばしる同種の力に対抗しなければならなかった。
攻撃は最大の防御だが、一拍遅れると、受動的な防御しかできなくなる。張銘は無傷の腕を持ち上げ、罡気の盾を形成して、防ごうとした。それが罡気の短剣と衝突し、数キログラムのTNT火薬相当のエネルギーを放出した。張銘は盧安に打ち飛ばされ、砲弾のように地下車道の左側にある厚いコンクリート壁に激突した。張銘の全身の真気が力を分散したため、彼が衝突した壁には破片ではなく、亀裂が生じた。しかし、張銘が防御に使ったその腕の中の骨はすでに粉砕されていた。張銘の両手はともに使い物にならなくなった。
張銘は痛みを顧みず、一気に跳び上がり、地下車道上部のガラス床を粉々にした。大量のガラス破片が散らばった。そして、この視界の悪い環境で、盧安は罡気で制御する短剣を振り出し、弧を描く一条の流光を描いて、張銘の腹部に向かって殺到した。張銘は空中で脚を使って反撃キックをしたが、刃は張銘の脚に切り口を付けた。短剣は「カーン」と音を立てて地面に突き刺さった。
張銘が逃げ去った後、ガラスはやっと半空からがらがらと地面に落ちた。ガラスの落下が遅すぎるのではなく、張銘の逃げ方が速すぎるのだ。日差しの下で、道路の欠け口のそばのガラス床は、冰糖をまぶしたかのように真っ白だ。
戦闘終了後、元一はすぐに光幕を表示した。「先ほどの目標は重要目標であり、この穿越怪は彼の体に多くのノードを配置している。追跡を勧める、大きな戦果を得られるだろう。」
盧安はつぶやいた。「今は報酬の話すら出なくなったのか?」
「もし必要なら、今回の任務終了後、君が採集した輪廻者の能力を君用にカスタマイズできる。」
「もういい。今わかったよ、お前のところでやってると、力だけは一番不足しないってな。」盧安は、力を投入することが元一たち穿越怪にとって、ゲームプログラマーがゲームの数値をいくつか変えるのと同じくらい簡単だと気づいた。
盧安が輪廻者を一人片付けると、元一はすぐにまだ機能している力の体系を盧安にインストールできる。すると、主世界では使わずに我慢しなければならず、任務世界ではばれないように我慢しなければならない。普段からあまりに多くの能力を持っていても何の役に立つのか?
張銘の真気はなかなか良いが、盧安に無阻超能があれば、既に主世界で欲しいものを手に入れられている。さらにこのような強力な真気を持てば、それは錦上添花ではなく、むしろ面倒が増える。この面倒とは、元一が盧安の力が十分だと判断し、危険な世界へ任務に放り込むことだ。
元一の性分は、盧安がよく分かっている。与えられる力は絶対に自分の保身のためではなく、厄介事を解決させるためだ。だから、盧安は元一の“思いやり”ある手配に大いに“感動”した、しかし断る。
鹵獲した複数の力が互いに衝突しないように、元一は盧安に切り替え機構を設定した。しかし、切り替えの過程で、複数の力を同時に使用する現象が生じることがある。そこで、盧安はすぐに“切り替え”を柔軟に活用する状態に調整した。
美樂の剣気能力を青で示し、張銘の武道能力を緑で示すとしたら、盧安の体内では青と緑は一方が伸びれば他方が縮む関係にある。盧安が攻撃を必要とする時、青が全身を覆い、鋭さをあらわにし、緑は血管に沿って心臓や骨格の部位へと内にこもり、保護および全身の運動を補助する。
もちろん、この二つの力は実際には相反するものである。緑と青は盧安の人体モデル上で一度も接触したことがなく、そのため二つの力が接触しない身体の部位は弱点となる。適切なタイミングでそこを一突きすれば、盧安の体内の複数のエネルギーが混ざり合い、混乱を引き起こし、最終的には暴走してしま宇田ろう。
しかし、盧安から適切なタイミングを見つけるのは難しい。盧安は切り換えの際、体内での各種力体系の増減リズムを非常によく把握しており、敵がそれを見抜いて隙を突くのは確かに難しい。しかも、盧安には予演機能もあるため、状況に応じた予防が可能だ。
盧安は車線の中で一分三十四秒かけて適応し調整を終えると、真気を外に現し、足下から罡気を爆発させて飛び上がり、六メートルの深さの地下車線から跳び出した——これは無阻超能で構築した導力回路よりもずっと使い勝手がいい。
街の移動する影を見つめながら、盧安の指先から一筋の冷たい光が迸る。慕容沖は寒星のような剣気が掃き寄せるのを見て、慌てて隣のビルの中の暗闇深くへと潜り込んだ。
ついさっき、張銘はへこんだ車道から飛び出し、両腕が無惨に傷つき、さらに一太刀で脚を切り裂かれて、狼狽して逃げ出した。十数秒後、慕容沖は盧安が飛び出すのを見なかったので、見に来ることにした。可能であれば、慕容沖は戦況を確認し、それから残り血の張銘にトドメを刺しに行きたいと思った。慕容沖の見解では、張銘は逃げるのが速いので、これは得難いチャンスだ。このチャンスを掴めば、自分の大敵を完全に排除できる、だから彼は慌ててやって来た。
しかし今、彼は盧安に捕まえられた。そして慕容沖は感じる、盧安は彼を待っていたのだと。
盧安は左手から剣気を点射し、両目から大量の黒い気が溢れ出る。黒い気体は墨のように盧安の右手指先へと流れ、盧安が右手指先を素早く動かすと、黒い符文が空中に次々と形成され、そしてまるで水を撒くように暗い影へと放たれる。
地面のその一筋の影がこれらの剣気によって点撃される。瓦が砕けた暗闇の中で、腕と髪の毛が露出し、まるで墨絵の中の人物が姿を現すかのようだ。慕容沖が再び地面の影に没入しようとしたとき、あるいは再び墨絵の中へ歩み入ろうとしたとき、次々と符文が点じられると、地面の影はまるで黒い墨の中に赤い墨を点したかのようになる。鮮やかな炎の赤色が影の中で広がっていく。
慕容沖はスーパーの中で強制的に姿を現し、全身に火傷の跡があり、煙も上がっていた。慕容沖が息をつく間もなく、盧安が窓から「ドン」と飛び込んできて、戦略的制圧を仕掛けた。
盧安は棚に掛かっていた長刀をさっと手に取った――どうやら肉切り包丁のようだ。もう片方の手でフライパンをつかんだ。盧安がこの格好で突っ込んでくるのを見て、一瞬驚いた後に慕容沖は自分の能力が消えていることに気づき、そばの消火器を振り回した。
張銘との戦いと比べると、盧安と慕容沖の戦いは一瞬だったが、慕容沖の運は張銘ほど良くなかった。同じく二階級の者でありながら、張銘は攻撃に失敗した後もなんとか逃げおおせたが、慕容沖は逃げることさえできなかった。
五秒後、盧安は自分の頭を撫でた。今は盧安が最も重傷を負った回である。フライパンで遮ったものの、右の頭蓋骨にひびが入り、盧安は頭がぼんやりとした。一方、慕容沖は喉をナイフで大きく切り裂かれ、地面で喘ぎつつ血が一面に流れている。
この低レベルの戦闘では、双方とも重傷を負ったが、盧安はなお行動する力があった。彼は商品棚を慕容沖の上に倒して火をつけた。大火の中、慕容沖は最後の力を振り絞ってもがき、盧安は落ち着いて自分の頭に薬水を吹きかけながら、予行演習で炎の中の人影を見ていた。
一分後、盧安は息も絶え絶えの慕容沖を踏みつけ、手を彼の後頭部に当て、彼のノードを取り除き、同時に元一のノードを植え付けた。盧安の予想に反して、慕容沖は高次元間のノード争奪で死亡しなかった。
人道主義の精神に則り、盧安は戦略的抑制を解除し、慕容沖の空間袋から丹薬を取り出して彼の口に放り込んだ。
白い炎が提供する力を失った後、慕容沖はこの丹薬を飲み込み、盧安を見つめて言った。「お前は容赦がないな。」
盧安は淡々と言った。「少しは冷酷でなければ、お前たちの手から生き延びられない。」




