0183 目覚め
世界が激変した後、物語は一人の賢者の戦略の実行しか許さなくなった。賢者の戦略がより容易に実行されるようになったのは、世界が華やかになったからではなく、むしろ単純になったからだ。古代に謀略家が多かったのは、盲目的に従う人が多かったため、謀略家の戦略が実行できたからだ。一方、現代人の考え方は多種多様で、陰謀や策略を思いついてもすぐに大衆に結末を読まれてしまう。大衆に多くの選択肢があれば、陰謀や策略は実行できず、選択肢が他にない場合にのみ、人々は計略に動かされるのだ。
だから、輪廻者たちは大局に対する指揮権を獲得したいと考えている。彼らにとっては、今や筋書きを知っている賢い人間が多すぎるのだ。
そして今、盧安はまだ海上を漂っている。
盧安は自分の船の電力を確認したが、目的地までたどり着くには足りないようだった。盧安は船の中から数枚のシーツを見つけて縫い合わせ、色とりどりの帆を作った。風の力を借りて、盧安は海上をゆっくりと移動できるようになった。
盧安は海岸線に沿って進み、次々と岩礁を避けた。その時、盧安は船の縁にしゃがみ、海面に群がる藻の集団を見ていた。藻の集団はそれぞれ約700メートルもあり、緑色に茂って海面に浮かんでいる。
「これは何だ?」盧安は少し好奇心を抱き、次に予行演習で棒を使ってそれを突いてみた。この巨大な藻の集団は、カタツムリの触角のように、刺激を受けるとすぐに縮こまった。
動物的な現象が植物に現れ、予行演習中の盧安の好奇心をさらに煽り、さらに命知らずな予行演習をいくつか仕掛けた。この予行演習の盧安は船から手榴弾を取って棒に縛り付け、安全ピンを引き抜き、そのまま棒で突き刺した。
大きな爆発の中、この生き物のような緑色の塊が裂け、盧安はついにこれが何かを理解した。これは海藻の生えた死体だった。完全には分解されていない化学繊維の衣類や、海面に数百メートルおきに存在する緑色の塊を見て、盧安は陸地で何が起きたのかを察することができた。
前回の任務では、海辺で白露に守られたあの人たちは幸運だった。彼らは幽霊に侵入されず、海辺に着けば救われた。しかしこの世界では、海辺に辿り着いた人々は保護されない。これらの人間たちは集団で入水自殺したのだ。
盧安は船を操縦し続けた。しかし盧安は知らなかった、これらの緑色の塊は最終的に海の深くまで漂い、最後には散り散りになることを。大量の死体の中の情報は最終的に海の中のあの存在に集約される。最終的に、この存在は目覚めるが、それはもはや盧安の知っている白露ではないだろう。
源城では、大勢の人々が街中の死体を収容し、車を連ねて大規模な隊列を組んで海辺へとやって来た。大勢の人々が海に向かってひざまずき、神聖な儀式の中で、車両の荷台にある死体を海へと投げ込んだ。
救世の光教会——この宗教組織は大末日の到来を予言することに成功し、信者が急増した。沐沐はこの宗教組織の聖女として、今、大規模な生贄の儀式を指揮している。それは、都市でさまざまな苦難によって亡くなった人々の遺体を海に投げ入れ、真の|救世の神《キュウセ英洛卡ミ》を目覚めさせるというものだ。
元のストーリーでは、川が大量の人々の遺体を海に流し込み、遺体が藻類に分解されて情報が読み取られ、最終的に海の神が目覚めるという展開だった。前回の任務では、白露が直接海に飛び込んで、自分がこの世界に残した残留痕跡を目覚めさせた。そして今回の任務では、神を一刻も早く出現させるため、輪迴者がこのストーリーに介入した。
海水中の死体がますます多くの藻に覆われ、やがて無数の細長い触手が生えて海中へと蠢くのを見つめながら、沐沐は感慨深げに言った。「どうやら物語の筋書きは私たちを選び、神の側に立っているようだ。」
この世界は筋書きによって分かれており、物語全体には二つの重要な要素が互いに対抗している。異世界転生者は、この位面の展開を完全に掌握しようとするならば、いかなる重要な要素も見逃すことはない。慕斯は重要な要素であり、海中の神もまた重要な要素だ。異世界転生者が他の異世界転生者に対して完全な勝利を収めた後、二組の人員を手配し、それぞれ一つの要素を掌握させ、この世界と対峙させるだろう。
元のプロットでは、電磁慕斯と海中の神が情報を互いに吞噬し合う中で勝利し、意識の主導権を握ったため、慕斯が優位な要素となっている。一円六分の六つの穿越チームは皆、慕斯王の帰還を待って、そのチームに加わろうとしている。以前なぜ加わらなかったかというと、それは以前の噬魂組のプロットが非常に危険であり、また様々な超能力も直接使えなかったからだ。
現在、慕斯は依然として軍隊の権力を奪取する道を歩んでいる。慕斯が人口の重要性に気づいた時、本当に強くなる時である。
この時、沐沐のそばに一人の人物が現れた。これは本来元のプロットでは消えるはずだった本体慕斯である。本体慕斯も災難が多いが、誰も気にしていないわけではなく、むしろ以前の全チームが彼を救った後にどんな深刻な結果を招くかを検討していたのだ。
本体慕斯を救うことは、すなわち標的になることを意味する。そのため、月芒隊であれ補習班小隊であれ、また無雙、鴻溝、武心の三つの小隊も、それほど目立ちたくはなかった。唯一真剣にストーリーに干渉している紗幕小隊は最も弱い勢力であり、二線級の戦力である孫抗を派遣しただけだった。
しかし、刺血隊の隊長である衛布が途中で横取りした後、前述の五つの小隊はすぐに本体慕斯を殺害する計画を立てた。本体慕斯は確かに多くの暗殺に遭ったが、いずれも刺血小隊の保護により危険を脱した。
これら五つの小隊が暗殺を続行しようと準備していたとき、惡魔隊が降臨した。すべての知略立案者はこの複雑な状況下で、知略を練る際に一発全身に響く結果を考慮していた。
何度も救われるうちに、本体の慕斯も次第に刺血小隊を信頼し始めた。
今、本体の慕斯は敬虔な群衆の中を歩いている。彼の表情は茫然としているように見え、その茫然さが空からいくつかの電磁分身を誘き寄せて自滅させようとしている。これらの電磁分身は慕斯の身体を乗っ取って欲望を発散したいと思っているが、自分で自分の棺桶に蓋をしていることに全く気付いていない。数秒後、これらの電磁分身は本体の慕斯に逆に攻め込まれ、一つ一つの光の塊となり、おとなしく周りを漂っている。
今、空の電磁スタンドはこのように恥知らずで、地上の敬虔な人々を絶えず攻撃している。時折、支えきれない敬虔な人々が他の人の信仰を罵倒し、さまざまな不愉快な侮辱行為をする。しかし、これらの人々はすぐにその場で殴り殺され、海に放り込まれ、「信心が足りない」と美名される。
本体の慕斯は数メートル先で、全身裸の女性が殺されるのを見た。血は防波堤に流れ、波に少しずつ舐められている。本体の慕斯は忍びない顔をして、沐沐に言った。「まさか、彼女を助けることはできないのか。」
沐沐は空の電磁スタンドを指さして言った。「私たちは助けることはできますが、あなたはそれらを止めさせることができますか?」
沐沐は苦笑いを浮かべて言った。「一人を救えば、他の人が甘え心を起こし、余計な考えが湧いてしまう。だが今は、誰もが自分しか救えず、背水の陣の抵抗で、この幽霊たちに退屈だと思わせるしかないんだ。」
沐沐は空の電磁分身を指さして言った。「数時間前と比べて、幽霊の数は明らかに減っている。私たちのような信徒と違って、心の柔らかい人たちがまだ大勢いて、彼らはそっちを弄ぶのに忙しく、心の固い信徒の私たちを弄る必要はないからだ。」
慕斯は空を見上げて息を吸い、言った。「それでも人が犠牲になることはあるのだな。お前たちの神は、自分の信徒だけを救うのか。」
沐沐は指を振って言った。「あなたは間違っているわ。私たち信徒は、抵抗という代償を払って、あの幽霊たちに警告しているのよ。私たちみたいな人間に近づくなとね。そして私たちの神は、すべての人を救ってくださるの。」
「神はどこにいる?」
「神が覚醒しつつある。」
その時、六百キロ離れた海中で、六百メートルを超える「巨繭」が形成されつつあった。海水中の無数の微細な虫が繭の中に集まっていく。繭の内部では情報が跳躍し、一つの思考が覚醒しつつある。
絶望、苦痛、消滅……感情に富みながらも論理が断片化した思考が、神の脳裏に浮かび上がった。電流の跳躍が頻繁にこの巨大な思考体を刺激し、必死に考えさせ、すべてを一つの完全な論理へと構築させていく。
やがて、この巨大な存在は二つの問いを発した。「私は誰だ?」「ここはどこだ?」
巨大な繭の中で回想が始まり、答えを探す。
「ここは旭起星だ」
「私はとっくに誕生している。」
「ただ疲れて、少し眠っただけだ。」
「さて、もう起きるべきだろうか?」
「はい、起きなければ。やるべきことがある。」
問題は大量の情報によって解答を得た。そして巨大な繭の中で、人間の体が構築されている。骨格、内臓、脳、指が鮮明になりつつある。周囲の栄養組織は急速に分解され、初期の人間遺伝子細胞に栄養を供給している。
そしてこの“人間”の存在は、思考の回転がますます速く、ますます完全になり、この世界が受けている絶望をますます明確に認識している。この存在の固有の思考は、ますますこの世界に耐えられなくなっている。この緑色の巨大な繭から大量の泡が湧き出ている。
三日後、一人の裸の女性が海面に現れた。多数の海藻で構成された魚鰭の作用で、彼女は器用に島まで泳いでたどり着いた。記憶では、この島は数百年前、多くの人々が彼女を崇拝した聖地だった。
緑色の魚鰭が消え、彼女の体に服のような覆いを構築した。遠くの波立つ海面を見つめながら、彼女は黎明のような声で憾みながら自問した。「私が去った後、この世界は一体どうなってしまったのか?」
数十キロ離れたところで、風と波に頼りながら進んできた盧安もついにここに到着した。
元一の指示で、盧安は仮の帆をしまい、モーターを起動し、プロペラが高速回転を始めた。ナビゲーションに表示される目的地が近づくのを見ながら、盧安は心の中で思った。「この三日間で一体何が起こったのかもわからない。まさか到着したときにはすべて終わってしまっているんじゃないか?」
盧安が仕事を怠ける気配を感じて、元一は言った。「このまま何も得ずに戻れば、せっかくの狩りの機会を逃したことを後悔することになるぞ。」




