0177 自己の鎖
噬魂組の基地で、本体の盧安は赤い果物の皮をむいている。
そこへ、本体の慕斯が入ってきて、まっすぐ盧安のもとへ歩いていった。
予行演習で、盧安はもともと避けようと思っていた。盧安は以前にもこうして慕斯と何度もすれ違ってきた。だが今回は、これ以上避けるのはあまりにも露骨すぎると感じたのだ。慕斯が今回自分を探している目的は非常に明確で、一度は避けられても二度目は避けられない。
盧安は向かいに座る慕斯を見つめ、帰りたそうな微妙な表情を浮かべた。慕斯は小声で言った。「まず座って、話を聞いてくれ。」
盧安は小声で罵った。「この疫病神め。」
慕斯は年甲斐もなく顔を赤らめ、それから続けた。「盧安、君の噬魂体はもう運ばれてきたのか?」
盧安は腕時計に映し出された投影欄を光らせ、そのリストーーを指差して言った。「あと四十分で、僕の電磁分身が運ばれてくる。」
「僕のはもう運ばれてきたよ。」
「おや?それはおめでとう」
「なにか違和感を感じる」
このときの炭素ベースの盧安は、まだ何かが起こりつつあることに気づいていなかった。彼は言った。「それで、私に何の用?」
慕斯は少し言葉を詰まらせ、顔に失望の色を浮かべ、首を振りながら言った。「そうだな、君に何の用があるんだ……」
盧安の態度に直面して、慕斯はため息をつき、立ち上がり、黙って立ち去った。
去っていく慕斯に対し、盧安は引き止めることを一切しなかった。慕斯は結局、盧安の目標ではないため、盧安は彼の変化にあまり関心がなく、いずれにせよ盧安は彼が世界に影響を与える行為をすでに一度経験していたのだ。
盧安が今気にかけているのは自分自身だ。腕時計のカウントダウンアラームを見つめながら、本体である盧安の第二層の予行演習は、このときほとんどが心配と不安の感情状態であり、そのうちの一つの感情状態が独り言をつぶやいた。「そろそろ戻ってくるはずだ。」
赤い実を食べ終えた後、盧安は現実で席に座っていた。予行演習の中で並行する盧安は、ネットでその日のニュースをすべて読み終え、動物世界の動画を見終え、天体科学の動画を見終えた。
盧安は初めて気づいた、30分がこれほどゆっくり過ぎることがあるのだと。待つ間、自分のすべての考えが菌のコロニーのように増殖していった。
ついに、電子通知音が鳴った。現実でぼんやりとしていたように見えた盧安はため息をつき、淡々と感慨を込めて言った。「来たか。」
20分後、容器内の電磁盧安はスリープポッドに横たわる本体を見て、ぼんやりとした感覚を覚えた。「この半月、私は二つの独立した時間軸を持っていた。本当に不思議だ。」
機械アームが電磁分身のガラス管をスリープポッドに挿入すると、二つの記憶が重なり始めた。
盧安がスリープポッドから起き上がるとき、最初の動作は周囲を見て、現在を確認することだった。
今は最初の融合後の盧安だ。融合後の盧安は新たな問題に直面している。過去、自分は一体どこにいたのか?なぜなら、この過去が盧安を混乱させ、両端の記憶には膨大な予演と多感情状態が伴い、それはクラスター状の短い予演が生み出す無秩序な感覚のように、自分の理性に挑戦してくるからだ。
今、自分はこの二つの記憶のどちらが自分の主な経験なのかを考えて頭を悩ませている。この二つの時点での理性に直接の衝突はないが、それでも両者の経験が自分に対する態度など、小さな衝突は多く存在する。基地に留まる本体は、戦場にいる自分のことを非常に心配し、不安で、過去に形成された性格が未知の状況でどんな反応を示すかと一喜一憂している。一方、戦場の自分はただ生き延びて自分を守り、この経験を記憶することだけを考えており、自分を心配する余裕などまったくない。
最終的に、盧安はしっかりと思い出してみることにした。盧安は腕時計を手に取り、時間を数日前に合わせ、同じ時間帯に自分が何を考えていたかを思い出し始めた。
すぐに、盧安は自分の混乱を落ち着かせた。
融合後の盧安は何かを悟ったようで、呟いた。「必ずしもあの線をメインにする必要はなく、どの時間線上の自分がより自分らしいか、それが自分なんだ。
例えば、二つの記憶線がある時間において、甲線の自分はぼんやりしていて、乙線は絵を描いていて、線をどうやって柔らかく調整するか集中して考えているなら、自我は乙線にある。もし甲線が突然外の飛ぶ鳥を見て、ひらめき、脳内で空気力学の法則に基づいて予測線を描き始め、乙線が絵の具を摺っているなら、その時は甲線をメインとする。
その時の盧安は腕時計を見ながら自分の過去を思い返し、この方法で過去の感覚を整理し始めた。かつて自分は二つの場所で二つのことをしていたが、自分はずっと自分だった。
盧安は周囲を見回し、ペンと紙と腕時計を手に取った——この時代では、これらは地球の21世紀の手紙と同じくらい骨董品のようなものだ——そして自分の記憶を整理した。
盧安はこれほど一心に自分のことに集中していたため、時に元一から与えられた任務を忘れることもあった。一方、輪廻者たちは盧安が自省しているからといって騒動を起こすのをやめたりはしなかった。輪廻者たちの影響下で、この世界は依然として急激に変化し続けていた。
衛布は噬魂組の訓練キャンプに入り、人混みの中をずっと目で探していた。そして孫抗を見つけた。彼が孫抗を見つけたとき、孫抗も彼を見ていた。六時空間は孫抗に明確にヒントを出した。衛布こそ敵対空間から派遣された者だと。
孫抗は張愛紅の死を連想し、息を吸い込み、拳を思わず握りしめた。一方、衛布は孫抗に対して神秘的な微笑みを見せた後、主人公の慕斯の方へ歩み寄り、大手を振って慕斯の隣に座った。
食事中の慕斯は目を上げ、人を寄せ付けない態度で言った。「あんた誰だ?アイツに監視を頼まれたのか?」
以前、慕斯の孫抗に対する好感度がゼロにまで下がったのは、孫抗のやり方が露骨すぎて、彼の上司が送り込んだスパイのように見えたからだ。そして今、衛布がこのように直接近づいてきたことで、慕斯の警戒心はさらに強まった。
衛布はこれを聞いて、少し呆けた後、孫抗を指差して言った。「俺はあいつとは違う。」
数十メートル離れた場所にいた孫抗は、この言葉を聞いて、思わず吹き出しそうになった。
「おや?では、何を企んでいるんだ。」
「二十七日前の台風、知っているだろう。」慕斯の警戒した視線を受けながら、衛布は神秘的にささやいた。「私は未来から来た。」そう言うと、衛布は立ち去った。
孫抗はここまで聞いて、まるでハエを飲み込んだような顔をした。物語の主人公が敵対チームに振り回される未来が見えたかのようだった。
一方、慕斯は遠ざかっていく衛布を見つめ、狐につままれたような、奇妙な表情を浮かべていた。
別の部屋で、自分の記憶を整理した盧安は、予行演習を通して衛布が近づいてくるのを見た。予行演習の中の彼は、ため息をついて言った。「また一人来たのか!元一の任務は難しくなり始めたようだな……」
元一は答えた。「観察を続けて、適切なタイミングを待ってください。現在の兆候から見ると、あなたは依然として優勢な側です。」
元一の答えに対して、盧安は呵々大笑した。「元一、あなたは本当に私に対して謎の自信を持っているんですね。向こうは血統を持って降りてきた超人で、道具もあれば巻物もあり、指輪の中から適当に取り出したものでも私を吹っ飛ばせます。あまり高い目標を設定しないでください。あなたの戦略支援はせいぜい彼らの超能力を弱める程度ですが、今実際に戦闘が始まったら、私は近づくことすらできません。」
元一は答えた。「躊躇しないでください。タイミングが熟せば、強力な戦略支援があります。」
盧安は疑問を呈した。「戦略支援?軒轅剣や祖巫血脈のようなものを私に渡せますか?」
元一は答えず、盧安の心には疑惑が芽生えた。元一の自信は根拠のないものではないようだ。
「では、私はどうやって勝つのか?」盧安は紙に整理した記憶を見ながら、思わず考え込んだ。
隣で、瀚龍が腐った赤い果実を持って入ってきて言った。「誰が洗った果物だ、湯通ししていないのか?」
予行演習を通じて、盧安はその果実に毛羽立ったカビの斑点を見た。瀚龍は果実を地面に叩きつけ、罵倒した。「これから届く果物で再びカビが生えているのを見かけたら、お前ら全員、果物の供給は一切ないと思え!」
果物は砕かれ、菌毛のついた果肉が壁の隅に転がっている。予演の中の盧安は壁際の果物を見つめ、赤い果実とともに粉砕された白い菌糸の茂みを見て、何かに気づき、砕けた果肉の上にある一群の菌叢を拾い上げた。
この予演の中の盧安は一面に散らばった破片を見て、低声で言った。「どうやら、これはもこもこした個体のようだが、それも単なる単体が集まってできたものに過ぎないようだ。」
ホールに座っている孫抗を見て、その予演の中の盧安はうつむきながら言った。「お腹が空いた……」
衛布が見事に主人公の側近に潜り込んだ時、源城の米堪は仲間たちに言った。「頭、彼はもう向こうに着いた。状況はすべて掌握している。」
明葉は手にした淑女扇を揺らしながら、抑揚をつけて言った。「ならば、猛獣の入場を待つのみだ。」
米堪。「明葉、向こうにまだ入場していない強いチームがいる。計画はあるのか。」
明葉。「この世界には、もう一人ボスがいる」
沐沐。「あなたたち、まさか……」
明葉は沐沐を抱きしめ、後者の真っ赤な顔を無視して笑いながら言った。「そうだよ、私が思っているのは、こういうこと……」彼女のいたずらな手が沐沐の体をまさぐっていた。
米堪は咳払いをした。「明葉、」と言った。「お前はあのボス(|創世神《ソウ晟シン》)がちょうど目覚めた時に邪魔するつもりなのか。」
「なぜ邪魔する必要がある?私たちが彼女の最初の使徒になろう、どうだい?」明葉は腕の中の沐沐を見ながら言った。「沐沐、お前が伝道の聖女をやってみないか?」
沐沐は少し呆けてから言った。「わ、私はできるけど、ただ、これってあまりにも目立ちすぎない?」
「君には堂々と大通りを歩いてもらいたいんだよ」明葉は笑顔で言った。
沐沐はまた少し呆けてから、言った。「もし失敗したら、私を責めないでよ。」
明葉は沐沐の美しい髪を撫でながら言った。「君が失敗するはずがないじゃないか…」
沐沐は明葉の手を振りほどき、その目尻に一瞬、警戒の色が走った。それは、彼女がずっと保ってきた天然ボケの様子とは全く異なっていた。




