↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無窮重阻  作者: 核动力战列舰
PR
179/546

0177 自己の鎖

 噬魂組(シー・フン・ズー)の基地で、本体の盧安(ルー・アン)は赤い果物の皮をむいている。


 そこへ、本体の慕斯(ムー・スー)が入ってきて、まっすぐ盧安(ルー・アン)のもとへ歩いていった。


 予行演習で、盧安(ルー・アン)はもともと避けようと思っていた。盧安(ルー・アン)は以前にもこうして慕斯(ムー・スー)と何度もすれ違ってきた。だが今回は、これ以上避けるのはあまりにも露骨すぎると感じたのだ。慕斯(ムー・スー)が今回自分を探している目的は非常に明確で、一度は避けられても二度目は避けられない。


 盧安(ルー・アン)は向かいに座る慕斯(ムー・スー)を見つめ、帰りたそうな微妙な表情を浮かべた。慕斯(ムー・スー)は小声で言った。「まず座って、話を聞いてくれ。」


 盧安(ルー・アン)は小声で罵った。「この疫病神め。」


 慕斯(ムー・スー)は年甲斐もなく顔を赤らめ、それから続けた。「盧安(ルー・アン)、君の噬魂体はもう運ばれてきたのか?」


 盧安(ルー・アン)は腕時計(シー・ジー)に映し出された投影欄を光らせ、そのリストーーを指差して言った。「あと四十分で、僕の電磁分身が運ばれてくる。」


「僕のはもう運ばれてきたよ。」


「おや?それはおめでとう」


「なにか違和感を感じる」


 このときの炭素ベースの盧安(ルー・アン)は、まだ何かが起こりつつあることに気づいていなかった。彼は言った。「それで、私に何の用?」


 慕斯(ムー・スー)は少し言葉を詰まらせ、顔に失望の色を浮かべ、首を振りながら言った。「そうだな、君に何の用があるんだ……」


 盧安(ルー・アン)の態度に直面して、慕斯(ムー・スー)はため息をつき、立ち上がり、黙って立ち去った。


 去っていく慕斯(ムー・スー)に対し、盧安(ルー・アン)は引き止めることを一切しなかった。慕斯(ムー・スー)は結局、盧安(ルー・アン)の目標ではないため、盧安(ルー・アン)は彼の変化にあまり関心がなく、いずれにせよ盧安(ルー・アン)は彼が世界に影響を与える行為をすでに一度経験していたのだ。


 盧安(ルー・アン)が今気にかけているのは自分自身だ。腕時計(シー・ジー)のカウントダウンアラームを見つめながら、本体である盧安(ルー・アン)の第二層の予行演習は、このときほとんどが心配と不安の感情状態であり、そのうちの一つの感情状態が独り言をつぶやいた。「そろそろ戻ってくるはずだ。」


 赤い実を食べ終えた後、盧安(ルー・アン)は現実で席に座っていた。予行演習の中で並行する盧安(ルー・アン)は、ネットでその日のニュースをすべて読み終え、動物世界の動画を見終え、天体科学の動画を見終えた。


 盧安(ルー・アン)は初めて気づいた、30分がこれほどゆっくり過ぎることがあるのだと。待つ間、自分のすべての考えが菌のコロニーのように増殖していった。


 ついに、電子通知音が鳴った。現実でぼんやりとしていたように見えた盧安(ルー・アン)はため息をつき、淡々と感慨を込めて言った。「来たか。」


 20分後、容器内の電磁盧安(ルー・アン)はスリープポッドに横たわる本体を見て、ぼんやりとした感覚を覚えた。「この半月、私は二つの独立した時間軸を持っていた。本当に不思議だ。」


 機械アームが電磁分身のガラス管をスリープポッドに挿入すると、二つの記憶が重なり始めた。


 盧安(ルー・アン)がスリープポッドから起き上がるとき、最初の動作は周囲を見て、現在を確認することだった。


 今は最初の融合後の盧安(ルー・アン)だ。融合後の盧安(ルー・アン)は新たな問題に直面している。過去、自分は一体どこにいたのか?なぜなら、この過去が盧安(ルー・アン)を混乱させ、両端の記憶には膨大な予演と多感情状態が伴い、それはクラスター状の短い予演が生み出す無秩序な感覚のように、自分の理性に挑戦してくるからだ。


 今、自分はこの二つの記憶のどちらが自分の主な経験なのかを考えて頭を悩ませている。この二つの時点での理性に直接の衝突はないが、それでも両者の経験が自分に対する態度など、小さな衝突は多く存在する。基地に留まる本体は、戦場にいる自分のことを非常に心配し、不安で、過去に形成された性格が未知の状況でどんな反応を示すかと一喜一憂している。一方、戦場の自分はただ生き延びて自分を守り、この経験を記憶することだけを考えており、自分を心配する余裕などまったくない。


 最終的に、盧安(ルー・アン)はしっかりと思い出してみることにした。盧安(ルー・アン)は腕時計(シー・ジー)を手に取り、時間を数日前に合わせ、同じ時間帯に自分が何を考えていたかを思い出し始めた。


 すぐに、盧安(ルー・アン)は自分の混乱を落ち着かせた。


 融合後の盧安(ルー・アン)は何かを悟ったようで、呟いた。「必ずしもあの線をメインにする必要はなく、どの時間線上の自分がより自分らしいか、それが自分なんだ。


 例えば、二つの記憶線がある時間において、甲線の自分はぼんやりしていて、乙線は絵を描いていて、線をどうやって柔らかく調整するか集中して考えているなら、自我は乙線にある。もし甲線が突然外の飛ぶ鳥を見て、ひらめき、脳内で空気力学の法則に基づいて予測線を描き始め、乙線が絵の具を摺っているなら、その時は甲線をメインとする。


 その時の盧安(ルー・アン)は腕時計(シー・ジー)を見ながら自分の過去を思い返し、この方法で過去の感覚を整理し始めた。かつて自分は二つの場所で二つのことをしていたが、自分はずっと自分だった。


 盧安(ルー・アン)は周囲を見回し、ペンと紙と腕時計(シー・ジー)を手に取った——この時代では、これらは地球の21世紀の手紙と同じくらい骨董品のようなものだ——そして自分の記憶を整理した。


 盧安(ルー・アン)はこれほど一心に自分のことに集中していたため、時に元一(ユエン・イー)から与えられた任務を忘れることもあった。一方、輪廻者たちは盧安(ルー・アン)が自省しているからといって騒動を起こすのをやめたりはしなかった。輪廻者たちの影響下で、この世界は依然として急激に変化し続けていた。


 衛布(ウェイ・ブー)は噬魂組(シー・フン・ズー)の訓練キャンプに入り、人混みの中をずっと目で探していた。そして孫抗(スン・カン)を見つけた。彼が孫抗(スン・カン)を見つけたとき、孫抗(スン・カン)も彼を見ていた。六時空間は孫抗(スン・カン)に明確にヒントを出した。衛布(ウェイ・ブー)こそ敵対空間から派遣された者だと。


 孫抗(スン・カン)は張愛紅(チャン・アイホン)の死を連想し、息を吸い込み、拳を思わず握りしめた。一方、衛布(ウェイ・ブー)は孫抗(スン・カン)に対して神秘的な微笑みを見せた後、主人公の慕斯(ムー・スー)の方へ歩み寄り、大手を振って慕斯(ムー・スー)の隣に座った。


 食事中の慕斯(ムー・スー)は目を上げ、人を寄せ付けない態度で言った。「あんた誰だ?アイツに監視を頼まれたのか?」


 以前、慕斯(ムー・スー)の孫抗(スン・カン)に対する好感度がゼロにまで下がったのは、孫抗(スン・カン)のやり方が露骨すぎて、彼の上司が送り込んだスパイのように見えたからだ。そして今、衛布(ウェイ・ブー)がこのように直接近づいてきたことで、慕斯(ムー・スー)の警戒心はさらに強まった。


 衛布(ウェイ・ブー)はこれを聞いて、少し呆けた後、孫抗(スン・カン)を指差して言った。「俺はあいつとは違う。」


 数十メートル離れた場所にいた孫抗(スン・カン)は、この言葉を聞いて、思わず吹き出しそうになった。


「おや?では、何を企んでいるんだ。」


「二十七日前の台風、知っているだろう。」慕斯(ムー・スー)の警戒した視線を受けながら、衛布(ウェイ・ブー)は神秘的にささやいた。「私は未来から来た。」そう言うと、衛布(ウェイ・ブー)は立ち去った。


 孫抗(スン・カン)はここまで聞いて、まるでハエを飲み込んだような顔をした。物語の主人公が敵対チームに振り回される未来が見えたかのようだった。


 一方、慕斯(ムー・スー)は遠ざかっていく衛布(ウェイ・ブー)を見つめ、狐につままれたような、奇妙な表情を浮かべていた。


 別の部屋で、自分の記憶を整理した盧安(ルー・アン)は、予行演習を通して衛布(ウェイ・ブー)が近づいてくるのを見た。予行演習の中の彼は、ため息をついて言った。「また一人来たのか!元一(ユエン・イー)の任務は難しくなり始めたようだな……」


 元一(ユエン・イー)は答えた。「観察を続けて、適切なタイミングを待ってください。現在の兆候から見ると、あなたは依然として優勢な側です。」


 元一(ユエン・イー)の答えに対して、盧安(ルー・アン)は呵々大笑した。「元一(ユエン・イー)、あなたは本当に私に対して謎の自信を持っているんですね。向こうは血統を持って降りてきた超人で、道具もあれば巻物もあり、指輪の中から適当に取り出したものでも私を吹っ飛ばせます。あまり高い目標を設定しないでください。あなたの戦略支援はせいぜい彼らの超能力を弱める程度ですが、今実際に戦闘が始まったら、私は近づくことすらできません。」


 元一(ユエン・イー)は答えた。「躊躇しないでください。タイミングが熟せば、強力な戦略支援があります。」


 盧安(ルー・アン)は疑問を呈した。「戦略支援?軒轅(ケンエン)剣や祖巫血脈のようなものを私に渡せますか?」


 元一(ユエン・イー)は答えず、盧安(ルー・アン)の心には疑惑が芽生えた。元一(ユエン・イー)の自信は根拠のないものではないようだ。


「では、私はどうやって勝つのか?」盧安(ルー・アン)は紙に整理した記憶を見ながら、思わず考え込んだ。


 隣で、瀚龍(ハン・ロン)が腐った赤い果実を持って入ってきて言った。「誰が洗った果物だ、湯通ししていないのか?」


 予行演習を通じて、盧安(ルー・アン)はその果実に毛羽立ったカビの斑点を見た。瀚龍(ハン・ロン)は果実を地面に叩きつけ、罵倒した。「これから届く果物で再びカビが生えているのを見かけたら、お前ら全員、果物の供給は一切ないと思え!」


 果物は砕かれ、菌毛のついた果肉が壁の隅に転がっている。予演の中の盧安(ルー・アン)は壁際の果物を見つめ、赤い果実とともに粉砕された白い菌糸の茂みを見て、何かに気づき、砕けた果肉の上にある一群の菌叢を拾い上げた。


 この予演の中の盧安(ルー・アン)は一面に散らばった破片を見て、低声で言った。「どうやら、これはもこもこした個体のようだが、それも単なる単体が集まってできたものに過ぎないようだ。」


 ホールに座っている孫抗(スン・カン)を見て、その予演の中の盧安(ルー・アン)はうつむきながら言った。「お腹が空いた……」


 衛布(ウェイ・ブー)が見事に主人公の側近に潜り込んだ時、源城の米堪(ミカン)は仲間たちに言った。「頭、彼はもう向こうに着いた。状況はすべて掌握している。」


 明葉(ミン・イエ)は手にした淑女扇を揺らしながら、抑揚をつけて言った。「ならば、猛獣の入場を待つのみだ。」


 米堪(ミカン)。「明葉(ミン・イエ)、向こうにまだ入場していない強いチームがいる。計画はあるのか。」


 明葉(ミン・イエ)。「この世界には、もう一人ボスがいる」


 沐沐(ムー・ムー)。「あなたたち、まさか……」


 明葉(ミン・イエ)は沐沐(ムー・ムー)を抱きしめ、後者の真っ赤な顔を無視して笑いながら言った。「そうだよ、私が思っているのは、こういうこと……」彼女のいたずらな手が沐沐(ムー・ムー)の体をまさぐっていた。


 米堪(ミカン)は咳払いをした。「明葉(ミン・イエ)、」と言った。「お前はあのボス(|創世神《ソウ晟(シェン)シン》)がちょうど目覚めた時に邪魔するつもりなのか。」


「なぜ邪魔する必要がある?私たちが彼女の最初の使徒になろう、どうだい?」明葉(ミン・イエ)は腕の中の沐沐(ムー・ムー)を見ながら言った。「沐沐(ムー・ムー)、お前が伝道の聖女をやってみないか?」


 沐沐(ムー・ムー)は少し呆けてから言った。「わ、私はできるけど、ただ、これってあまりにも目立ちすぎない?」


「君には堂々と大通りを歩いてもらいたいんだよ」明葉(ミン・イエ)は笑顔で言った。


 沐沐(ムー・ムー)はまた少し呆けてから、言った。「もし失敗したら、私を責めないでよ。」


 明葉(ミン・イエ)は沐沐(ムー・ムー)の美しい髪を撫でながら言った。「君が失敗するはずがないじゃないか…」


 沐沐(ムー・ムー)は明葉(ミン・イエ)の手を振りほどき、その目尻に一瞬、警戒の色が走った。それは、彼女がずっと保ってきた天然ボケの様子とは全く異なっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。